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TOP500

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TOP500
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TOP500(トップ500)は、狭義にはHPLベンチマークによるコンピュータの性能のランキングであり、広義にはそれから派生したGreen500Graph500などのランキングも含めて指している場合もある。また、そのランキングを定期的に集計し、評価するプロジェクト全体を指すこともある。

Thumb
スーパーコンピュータ指数関数的な性能向上を示す片対数グラフ。横軸は年、縦軸はGFLOPS
  TOP500リストの1位から500位の合計
  TOP500リストの1位のFLOPS
  TOP500リストの500位のFLOPS

TOP500が初めて公開されたのは1993年であり、以降、1年に2回、最新のリストが発表されている[1]。目的は、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC、高性能計算)における傾向を追跡・分析するための信頼できる基準を提供することであり、コンピュータの計算科学応用向け性能の評価に適したいくつかのベンチマークの実行結果によりランク付けが行われる。リストの作成はマンハイム大学テネシー大学ローレンス・バークレイ米国立研究所の研究者らが行っており[2]、毎年6月のInternational Supercomputing Conference(ISC)および11月のSupercomputing Conference(SC)の開催に合わせて発表されている。

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ベンチマークの種類

最も古くからあるHPLによる狭義のTOP500以外にも、異なる指標に基づいて測定されたベンチマーク・ランキングも、広義のTOP500として集計・発表・メンテナンスされている。

HPL・HPCG

HPLとHPCGは、どちらも倍精度浮動小数点処理・行列の乗算を多用して、大規模連立一次方程式を解くコードによるベンチマークという点は共通である。HPLは密行列(配列)、HPCGは疎行列の処理となるため、式の規模はそれに応じて異なる(ジャック・ドンガラによれば、「HPLとHPCGはブックエンド」であるとされる[3](演算器が中心か、複雑なメモリアクセスが中心か、というそれぞれの典型で、その他のアプリケーションの性能はその間に入る、という意))。

  • HPL - (詳細は LINPACK#HPL を参照)最も古くから集計されているため、狭義のTOP500としてこれを指す場合がある。
  • HPCG - CGはConjugate Gradientsの略で、共役勾配法(conjugate gradient method)のコードによるベンチマーク。HPLが主に密行列の扱いを計測対象とするのに対し、HPCGは疎行列の扱いが計測対象となる。

Graph500

Graph500は、グラフを扱う性能によるベンチマークによるランキングである。より具体的には、1秒間にグラフのエッジ(枝)を辿る(トラバースする)操作の回数であるTraversed Edges Per Second(TEPS)により、性能を計算する。

Green500

Green500は、性能ベンチマークそのものではなく、ベンチマークの値を、消費エネルギーで割った値によって求めた計算の電力効率のランキングである。「力技」で性能を向上させるようになってきている近年、重要になりつつある。

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歴史

1990年代に入って並列計算機が増加すると、有意な統計を得るためにスーパーコンピュータの新たな定義が求められるようになってきた。1992年にプロセッサ数によるランク付けが試みられた後、実際に設置された計算機の性能をもとにリストを作成する案がマンハイム大学により提案された。1993年にプロジェクトに加わったテネシー大学のジャック・ドンガラによりLINPACKベンチマークが提供され、既存の資料をもとに試行版が1993年5月に作成された。1993年6月からは設置機関およびベンダの申告により、年に2回発表されるようになった。

TOP500リスト

要約
視点

歴代1位の一覧

1993年以降に1位を獲得したシステムは以下の通りである。

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過去の上位10位

2021年11月

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2021年6月

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2020年11月

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2020年6月

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2019年11月

さらに見る 順位, RmaxRpeak (PFLOPS) ...

2019年6月

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2018年11月

さらに見る 順位, RmaxRpeak (PFLOPS) ...

2018年6月

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2017年11月

さらに見る 順位, RmaxRpeak (PFLOPS) ...

2017年6月

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2016年11月

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2016年6月

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2015年11月

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2015年6月

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主な内訳

2024年11月のTOP500の500システムのうち、主な項目別のシステム数上位5位は以下の通り[7]。なおカッコ内の数字はシステム数。

ベンダー

  1. レノボ (161)
  2. ヒューレット・パッカード・エンタープライズ (116)
  3. EVIDEN[] (51)
  4. DELL (37)
  5. Nvidia (27)

国・地域

  1. アメリカ合衆国 (173)
  2. 中国 (63)
  3. ドイツ (40)
  4. 日本 (34)
  5. フランス (24)

アクセラレータ/コプロセッサー

  1. NVIDIA A100 (26)
  2. NVIDIA Tesla V100 (22)
  3. NVIDIA A100 SXM4 40GB (16)
  4. NVIDIA H100 (14)
  5. NVIDIA H100 SXM5 80GB (14)

プロセッサー

  1. AMD Zen-3 (Milan) (71)
  2. Xeon Gold 62xx (Cascade Lake) (70)
  3. AMD Zen-2 (Rome) (61)
  4. Xeon Platinum (Sapphire Rapids) (57)
  5. Xeon Gold (Skylake) (42)

オペレーティングシステム

  1. Linux (190)
  2. CentOS (34)
  3. HPE Cray OS (26)
  4. Red Hat Enterprise Linux (24)
  5. Cray Linux Environment (17)


備考

  • Rmaxはベンチマークでの実測のFLOPS、RpeakはFLOPSの理論限界。Rmax/Rpeakが実行効率となる。
  • 各リストともジップ分布に従っている。
  • 計算速度は年率約90%の増加を示している。
  • 500位の計算機のトップに対する相対性能は年々向上している。


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その他

リスト対象外のスーパーコンピュータ

いくつかのスーパーコンピュータはその速度にもかかわらず、TOP500リストから除外されている。中でも最速のものはNCSABlue Watersであり、TOP500には登録しないと表明した[8]。彼らによると、TOP500の速度競争は有用なスーパーコンピュータの開発には無益であるためである[9]。また、その他の組織では機密上の理由でリストに参加していないものもある。汎用コンピュータではないためにこのリストから除外されているスーパーコンピュータとしては、理研MDGRAPE-3MDGRAPE-4などがある。


脚注

関連項目

外部リンク

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