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高知県のプロ野球独立球団、四国アイランドリーグplus所属 ウィキペディアから
高知ファイティングドッグス(こうちファイティングドッグス、Kochi Fighting Dogs)は、プロ野球独立リーグ・四国アイランドリーグplusに所属する高知県の野球チーム。2005年加盟。略称「高知FD」。
チーム名は高知県由来の土佐闘犬からつけられたもので、雄大な土佐の黒潮もイメージに絡ませている[1]。チームカラーは黒と赤[1]。
本拠地は高知市野球場。このほか、室戸広域公園野球場、四万十市安並運動公園野球場、安芸市営球場、黒潮町立大方球場など県下の球場[注 1]を使用している。2011年のシーズンまでは、参加チームの中で唯一ナイター設備を整えた球場がなく、ホームゲームはデーゲームでの開催のみとなっていた。また、高知市周辺の開催球場は高知市野球場のほか、高知市東部総合運動場野球場、香美市秦山公園野球場(土佐山田スタジアム・2010年は開催なし)、高知県立春野運動公園野球場(2009年まで)を併用していた。2012年からは本拠地の高知市野球場にナイター設備が設置され、ナイター開催が可能となった[注 2]。これ以降公式戦中高知市野球場での開催が20試合以上となる一方、土佐山田スタジアムや高知市東部野球場は2試合以下となり、高知市周辺での試合はほぼ高知市野球場に集約された。2016年度は土佐山田スタジアムと高知市東部野球場は当初から試合の開催予定がなく[4]、雨天振替の対象にもならなかった。2017年は東部球場で2年ぶりに1試合が開催されたが[5]、2018年は再び開催がなかった。2019年は東部球場で1試合が予定されていたが、雨天中止となった[6]。2020年はソフトバンク3軍との交流戦を含め、東部球場で5試合が開催された[7]。2021年は交流戦2試合、2022年は公式戦1試合がそれぞれ東部球場で開催されている[8][9]。2023年は、東部での開催がなかった代わりに、土佐山田で8年ぶりに1試合が開催された[10]。土佐山田では2024年も1試合が実施された一方[11]、東部球場は引き続き当初より予定がなかった[12]。
2010年からは佐川町が選手の宿舎、越知町が練習場を提供し、この両町を「ホームタウン」と称している。越知町のグラウンドでは2011年から公式戦も開催されており、2012年から2014年は高知市野球場に次ぐ試合数(2012年4試合、2013年3試合、2014年3試合)であったが、リーグの試合数が減少した2015年から2021年までは1試合に戻った。2022年は当初より設定されなかった[13]。2023年は2年ぶりに2試合が開催され[10]、2024年も1試合を実施した[14]。
県外球場での公式戦として、2006年8月20日に岡山県野球場で1試合を開催したことがある(対香川戦)。2021年5月15日に、15年ぶりに岡山県(笠岡市のかさおか古代の丘スポーツ公園野球場)で試合(対愛媛戦)が開催された[15]。これは、チームに所属する藤井皓哉の「凱旋試合」として実施された[16]。2022年も福岡ソフトバンクホークス3軍との交流戦2試合が実施された[17]。2023年は香川戦1試合が開催された[10]。2024年も愛媛戦1試合が実施された[18]。
リーグが発足した2005年の初代優勝チームである。一方、2024年現在、2シーズン制導入後にリーグでは唯一前後期制覇(およびそれを含む年間完全優勝)を達成していない(解散・休止中のチームを除く)。
年度 | 期 | 監督 | 順位 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | 引分 | 勝率 | ゲーム差 | 打率 | 防御率 | 本塁打 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2005 | 全 | 藤城和明 | 1 | 90 | 46 | 31 | 13 | .597 | 6.5(注1) | .237 | 1.94 | 20 |
2006 | 前 | 藤城和明 | 1 | 45 | 27 | 13 | 5 | .675 | 5.0(注1) | .261 | 2.48 | 23 |
後 | 藤城和明 | 2 | 44 | 24 | 17 | 3 | .585 | 5.5 | ||||
2007 | 前 | 藤城和明 | 3 | 45 | 19 | 22 | 4 | .463 | 10.0 | .246 | 2.75 | 28 |
後 | 藤城和明 | 3 | 45 | 21 | 19 | 5 | .525 | 6.5 | ||||
2008 | 前 | 定岡智秋 | 2 | 40 | 22 | 16 | 2 | .579 | 5.0 | .257 | 2.83 | 21 |
後 | 定岡智秋 | 2 | 40 | 22 | 15 | 3 | .595 | 1.0 | ||||
2009 | 前 | 定岡智秋 | 5 | 40 | 17 | 21 | 2 | .447 | 7.0 | .284 | 3.13 | 49 |
後 | 定岡智秋 | 1 | 40 | 22 | 12 | 6 | .647 | 2.5(注1) | ||||
2010 | 前 | 定岡智秋 | 2 | 38 | 22 | 9 | 7 | .710 | 0.5 | .241 | 2.30 | 18 |
後 | 定岡智秋 | 4 | 38 | 16 | 19 | 3 | .457 | 8.5 | ||||
2011 | 前 | 定岡智秋 | 4 | 32 | 12 | 16 | 4 | .429 | 9.0 | .268 | 4.37 | 27 |
後 | 定岡智秋 | 4 | 32 | 11 | 19 | 2 | .367 | 9.0 | ||||
2012 | 前 | 定岡智秋 | 4 | 40 | 9 | 26 | 5 | .257 | 16.0 | .192 | 3.51 | 7 |
後 | 定岡智秋 | 4 | 40 | 7 | 27 | 6 | .206 | 14.5 | ||||
2013 | 前 | 定岡智秋 | 4 | 40 | 14 | 23 | 3 | .378 | 8.5 | .225 | 3.88 | 36 |
後 | 定岡智秋 | 4 | 40 | 9 | 26 | 5 | .257 | 16.0 | ||||
2014 | 前 | 弘田澄男 | 3 | 40 | 13 | 23 | 4 | .361 | 9.0 | .232 | 3.76 | 31 |
後 | 弘田澄男 | 3 | 40 | 12 | 21 | 7 | .364 | 10.5 | ||||
2015 | 前 | 弘田澄男 | 4 | 34 | 12 | 17 | 5 | .414 | 8.5 | .223 | 3.20 | 21 |
後 | 弘田澄男 | 4 | 34 | 13 | 21 | 0 | .382 | 10.0 | ||||
2016 | 前 | 駒田徳広 | 4 | 31 | 10 | 17 | 4 | .370 | 8.0 | .244 | 3.28 | 21 |
後 | 駒田徳広 | 3 | 34 | 15 | 13 | 6 | .536 | 1.0(注2) | ||||
2017 | 前 | 駒田徳広 | 2 | 34 | 17 | 13 | 4 | .567 | 4.0 | .265 | 3.10 | 22 |
後 | 駒田徳広 | 3 | 31 | 12 | 13 | 6 | .480 | 1.0 | ||||
2018 | 前 | 駒田徳広 | 2 | 36 | 17 | 14 | 5 | .548 | 5.5 | .246 | 3.33 | 13 |
後 | 駒田徳広 | 3 | 30 | 9 | 15 | 6 | .375 | 5.5 | ||||
2019 | 前 | 駒田徳広 | 2 | 34 | 16 | 15 | 3 | .516 | 1.5 | .227 | 2.88 | 9 |
後 | 駒田徳広 | 4 | 36 | 12 | 19 | 5 | .387 | 5.0 | ||||
2020 | 全 | 吉田豊彦 | 2 | 76 | 35 | 34 | 7 | .507 | 2.0 | .247 | 2.49 | 7 |
2021 | 前 | 吉田豊彦 | 2 | 34 | 19 | 12 | 3 | .613 | 3.0 | .278 | 2.27 | 13 |
後 | 吉田豊彦 | 1 | 34 | 22 | 8 | 4 | .733 | 7.0(注1) | ||||
2022 | 前 | 吉田豊彦 | 1 | 34 | 17 | 13 | 4 | .567 | 1.0(注1) | .231 | 2.60 | 6 |
後 | 吉田豊彦 | 4 | 34 | 13 | 18 | 3 | .419 | 6.0 | ||||
2023 | 前 | 吉田豊彦 | 3 | 34 | 11 | 17 | 6 | .393 | 6.5 | .228 | 3.45 | 3 |
後 | 吉田豊彦 | 2 | 34 | 16 | 14 | 4 | .533 | 3.0 | .258 | 3.01 | 18 | |
2024 | 前 | 定岡智秋 | 3 | 34 | 12 | 17 | 5 | .414 | 11.0 | .267 | 4.32 | 8 |
後 | 定岡智秋 | 3 | 34 | 13 | 19 | 2 | .406 | 12.0 | .263 | 4.03 | 15 |
※金地は優勝
※2010年までは全5戦(3勝)制、2021年以降は全3戦(2勝)制。
※2009年は2チームによる5戦制、2022年は4チームによるトーナメント制
2006年3月よりアイランドリーグの各チームは、それまでのIBLJの直接保有から独立した会社組織へと体制変更した。その中で、高知だけは2007年シーズンまで新たな出資者が現れず、IBLJの全額出資のままであった[244]。チームの経営安定化のために出資者の確保が求められ、2007年6月に千葉ロッテマリーンズのボビー・バレンタイン監督が「アイランドリーグのチームの買収を検討中」とコメントしたと報じられた(その後ロッテ球団側が否定)際にも、マスコミに候補として名があがった[245][246]。
2007年9月、IBLJの鍵山誠社長は、経営者を一般公募することを発表した。その理由としては、年間7千万円になるチームの赤字をリーグで負担することが困難になってきていることが挙げられている[244]。仮に引き受け手が現れなかった場合、最悪のケースではチームの休止もあり得る状況となっていたが[244]、2007年10月22日、大阪府の不動産会社タップ(現・アクト不動産)の北古味鈴太郎社長(高知県出身)がオーナーとなり[247]、大阪府の整水器メーカー日本トリム(創業者が高知県出身)がメインスポンサーとなることが発表された[248]。また球団代表兼ゼネラルマネジャーに藤川球児(当時阪神)の兄である藤川順一が就任することも合わせて決定した[247]。
チーム休止の危機はひとまず回避されたが、北古味新オーナーはチームの運営を「当面2年」と表明し、この間に運営状況が好転しなければ存続問題が再燃する懸念が残された形となった[249]。
新体制となった2008年は「歴史」の箇所に記したように、観客動員数自体は減少したが収入は増加となった。
経営上での懸案事項である球場の照明設備については、2009年3月に尾﨑正直知事が高知市などと本格的な検討に入ることを表明し、これを受けて同年4月に高知市は検討委員会を発足させた。検討委員会は同年11月20日に高知県立春野運動公園野球場を照明設置の第一候補と決定した。予算が付き次第2010年度に着工すると報じられた[250]。その後、2010年8月の県と市の連携会議で、高知市野球場にナイター設備を2012年春に設置することで合意し[251]、すでに記したように予定通り2012年のシーズンよりナイター開催が可能となった。
また、2009年4月には越知町と佐川町が連携して球団への支援(選手に対する住居の提供や試合の開催)を行う構想を明らかにした[252]。シーズン終了後の12月に、球団と両町の間で協定が結ばれ、越知町は練習場、佐川町は住居をそれぞれ無償で提供することが決まった[253]。両町は、隣接する仁淀川町も支援に加わるよう呼びかけるという。
2009年10月30日のリーグ首脳の記者会見によると、2009年度は8300万円の売上高に対して収支は1600万円の赤字となる見込みで、赤字額はリーグ6球団では最も少ない[254]。11月5日に日本トリムのスポンサー契約が1年延長されることが球団から発表され、存続が正式に決まった[255]。2010年の参加について、北古味オーナーは「各方面から存続を期待する声が多く、社会的な責任もあると考えた」と述べる一方、武政重和球団社長は「運営に必要な収入はまだ十分固め切れていない」とも話した[256]。
今後の球団運営活性化のために、尾崎知事は行政や経済界・市民などによる「県民会議」を設立する方針を明らかにし、11月21日に準備会の会合が開かれた。2010年1月30日、「高知ファイティングドッグス(FD)を応援する県民会議」の設立総会が開かれた。70の団体、企業や個人が参加し、会員は経営安定化に協力するとしている[257]。一方、独立運営化以来球団代表兼ゼネラルマネージャーを務めた藤川順一が辞任したことが、1月31日に発表された。後任は未定。
2010年度は上記のように観客動員は前年比で微減であったが、リーグの鍵山CEOは赤字ながら過去最高収益となる見込みであること、有料入場者数は9割を越え、前年より増加していることを述べている[258]。武政球団社長は「来季は経営黒字化のめどが立った」と新聞で語った[259]。2011年2月24日のリーグ首脳による記者会見では、2010年度の収支は5百万円の赤字という予測が公表された[260]。同記者会見では2011年度の収支目標はプラスマイナス0としている。また、越知町・佐川町の支援は越知町は2010年に練習場などに4000万円を投資、新たな支援策も検討している[259]。
2011年11月4日に開かれた県民会議の総会で、2011年度の収支は創設以来初の黒字となる見通しであることが報告された[261]。その後2012年2月29日に開催された記者会見で黒字額は61万2000円となったことが発表された[262]。2012年度については70万円の赤字であった[263]。
2011年のシーズンは、同じリーグの徳島から運営業務(会場設営やイベント企画、グッズ販売など)を受託した[264]。これは高知の運営ノウハウを伝えるとともに、2012年度より開始のナイター運営を学ぶ目的から実施された。
「概要」節に記したように高知市以外の県内の球場でも試合を開催するが、2013年現在はこれらの試合では興行権を地元の自治体や企業が購入し、観客は入場を無料とするケースが多いとされている[265]。
2015年2月25日に発表された2014年度の収支見込みは、3年ぶりに約60万円の黒字となることが発表された[266]。
2015年12月に、当年度の収支見込みは1100万円の黒字となることが明らかにされた[267]。藤川球児の加入に伴うグッズ販売の増加や前期終了後に台湾プロ野球に入団した2人の移籍金などの収入に加え、登録選手・外国人選手の抑制による支出削減の結果と報じられている[267]。1試合平均の動員数も前年より96人増加した[267]。2016年3月31日にリーグより発表された2015年度の決算では、経常利益は1000万円の黒字であった[268]。2017年2月20日に発表された2016年度の決算では経常利益は70万円の黒字となり、3年連続で黒字決算を達成した[269]。
2017年のシーズンは、マニー・ラミレスの加入効果で観客動員が1試合平均739人と過去最高を記録し、チケットやグッズの増収効果により4年連続で黒字を達成する見込みであることが、11月28日に発表された[270]。ラミレスが離脱した2018年は、1試合平均の入場者は前年より292人減少した(447人)が、経営努力によって黒字を確保する見込みと2018年11月27日に発表した[271]。2019年3月の発表では70万円の黒字だった[272]。
2019年2月7日、高知新聞は黒潮町の水産会社「明神水産」が主要株主となる新球団運営会社の設立と、梶田宙が球団社長を退任して元四国銀行行員の山本裕司が後任となることを、いずれも取材による見込みとして報じた[273]。3月1日、既報の通り、山本が社長を務める新会社「高知犬」に運営が移管された[167]。球団職員は全員が新会社に移る形となる[274]。この運営企業の変更は、従来の球団運営会社の累積赤字が解消できなかったことから、そちらを清算させて新会社に運営を移行させることを目的に実施された[275]。
2020年4月10日にリーグから発表された2019年シーズンの経営報告では、収入が前年(1億0590百万円)から2000万円以上の減少となる7795万円にとどまり、収支は2000万円近い赤字となって[276]、黒字決算が途切れた。新運営会社となってからは「収支に関してよりシビアになった」とされ[275]、海外事業や行政からの委託事業などは縮小された[276]。
社長を務めていた山本は2020年2月に退任し、「高知犬」の親会社である明神水産の代表取締役が一時的に社長を務めた後、2020年6月に武政重和が6年ぶりに球団社長に復帰した[277]。武政は高知ユナイテッドSCの球団社長を務めており、兼任となる[277]。
2022年3月31日にリーグから発表された2021年度の経営状況報告では969万円の経常赤字を計上し、3年連続の赤字決算となっている[278]。リーグ本体および所属球団の中では唯一の赤字でもある[278]。
2023年4月10日にリーグから発表された2022年度の経営状況報告では、前年同様リーグおよび所属球団中唯一赤字ではあったが、赤字額は前年の約半分となった[279]。
2024年4月12日にリーグから発表された2023年度の経営状況報告では、前年に引き続いて赤字決算で、赤字額は微増だった(香川も赤字となったため、リーグ唯一ではなかった)[280]。また、報告書の中では、2023年に主要株主が明神水産から複数の企業・団体に変更となったことが明らかにされている[280]。
マスコットキャラクターはチーム名と同じく土佐犬をイメージしたもので、名前は「ドッキー」。ユニフォームの帽子に顔の部分がデザインされている。四国アイランドリーグ時代はリーグ4チームの中でユニフォームにマスコットをあしらっている唯一のチームであった(2008年からは福岡レッドワーブラーズがマスコットとロゴを組み合わせたマークを使用)。ホームゲームでは着ぐるみも登場する。専用のTwitterアカウントも持つ(2015年7月開設)[281]。
2021年のシーズン開幕前に、球団ロゴの変更に合わせて、エンブレムなどに使用されるデザインが従来の「力強いイメージ」からかわいらしさを伴ったものに変更された[282]。
この節の加筆が望まれています。 |
2021年シーズン途中より、「ボールドッグ」1頭がデビューし[284]、2022年時点では2頭となっている(いずれも殺処分となる可能性のあった犬が引き取られた)[285]。
選手・指導者については高知ファイティングドッグスの選手一覧を参照。
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