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ノーヒットノーラン
投手が相手チームに安打と得点をともに一切与えずに試合を終える、野球及びソフトボールの記録 ウィキペディアから
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ノーヒットノーランは、野球、ソフトボールの試合における記録。
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本項では一部、ノーヒットノーランに近いが異なる記録である、ノーヒッター(無安打試合; 英: no-hitter, no-no、メジャーリーグベースボールや世界野球ソフトボール連盟によって定義される)についても記述する。またノーヒットノーランの達成者についてはノーヒットノーラン達成者一覧を参照。
概説
野球・ソフトボールの試合において、投手が相手チームに安打も得点も一切許さず勝利することをノーヒットノーランと言う。 ノーランのラン”Run”は、得点を意味する野球用語であり、直訳すると「無安打無得点」。
安打のみならず一人の走者すらも出させずに完封勝利を挙げた場合は完全試合(パーフェクトゲーム)となる。完全試合もノーヒットノーランではあるが、ある具体的な事例について、完全試合とは言わず単に「ノーヒットノーラン」という場合は四球、死球、失策、打撃妨害、振り逃げのいずれかによる出塁を許したが生還させなかったことを含意する。日米ともに、完全試合の回数を含めて数えられる。なお、コールドゲーム、あるいは9回もしくは延長戦までおこなっての引き分け試合で無安打無得点を達成した場合は参考記録扱いとなる。一方で、延長戦でタイブレークに突入した場合、完全試合は認められなくなるのに対し、ノーヒットノーランは記録が継続する[1]。
日本のプロ野球においては先発投手が完投で達成した場合は個人記録として公認されるが、複数の投手の継投による場合はチームの記録として公認される。社会人や高校などのアマチュア野球では個人記録のみ公認され、継投による達成は参考記録扱いとなる。
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メジャーリーグベースボール
要約
視点
メジャーリーグベースボール (MLB) では2020年8月26日現在、完全試合23回を含んで304回達成されている。1991年に発表されたMLBの公式見解において、ノーヒッターとは「9回以上を一人または複数の投手が無安打に抑えた場合」と定義されている[3]。したがって、四死球、ボーク、失策、犠打、犠飛、野手選択、打撃妨害、捕逸や暴投などで得点を許したが相手を無安打に抑えた試合も含まれる。また、継投による場合、チームが敗れた場合にもノーヒッターは記録される[注釈 1]。
→達成者の詳細については「ノーヒットノーラン達成者一覧 § メジャーリーグ」を参照
無安打試合にまつわる記録
- 最初の無安打試合
- MLB最初の無安打試合は、1876年7月15日、セントルイス・ブラウンストッキングスのジョージ・ブラッドリーが達成。
- アメリカンリーグ初の無安打試合は、1902年9月20日に、シカゴ・ホワイトソックスのニクシー・キャラハンが達成した。
- 達成回数・連続達成記録
- 通算達成回数で最も多い選手はノーラン・ライアンの計7回。2015年10月4日現在で複数回達成者は37人(継投による達成含む)、3回以上の達成者はノーラン・ライアン、サンディ・コーファックス、サイ・ヤング、ボブ・フェラー、ラリー・コーコラン、ジャスティン・バーランダーの6人。コーファックス、ヤングは完全試合を含む。
- サンディ・コーファックスは、4年連続達成の記録を持つ。
- ノーラン・ライアンは3年連続で達成している。そのうち最初の年度の1973年は2回達成。また1973年~1975年の3年連続、1990年~1991年の2年連続と2年以上連続を2回記録した。
- ジョニー・ヴァンダー・ミーアは、1938年6月11日と6月15日、先発2試合連続の無安打無得点を達成した(ダブルノーヒッター)。MLBでは唯一の例である。
- 年間個人最多達成回数は2回でジョニー・ヴァンダー・ミーア、アリー・レイノルズ、バージャル・トラクス、ノーラン・ライアン、ロイ・ハラデー、マックス・シャーザーが達成。ハラデーは完全試合を含む。
- MLB全体での年間最多達成回数は近代野球前が1884年の8回(ノーヒッター2回、ノーヒットノーラン6回)、近代野球では2021年の9回。
- 継投による達成は2015年8月14日現在で37投手により11回記録されている。そのうちヴァイダ・ブルー、マイク・ウィット、ケント・マッカー、コール・ハメルズの4人が単独でのノーヒットノーランも記録。ウィットは完全試合。
- 初登板(MLBデビュー戦)での達成
- 1892年10月15日 バンプス・ジョーンズ シンシナティ・レッズ 対 ピッツバーグ・パイレーツ(ナリーグ)スコア7-1 近代野球前の記録。1失点でのノーヒッター。
初先発での達成はテッド・ブリーテンスタイン、バンプス・ジョーンズ、ボボ・ホロマン、タイラー・ギルバートの順番で4人が達成しバンプス・ジョーンズのみがMLBデビュー戦での達成となっている。
- 両リーグでの達成
- ナリーグ、アリーグでそれぞれで達成した投手はサイ・ヤング、ジム・バニング、ノーラン・ライアン、野茂英雄、ランディ・ジョンソンの5人。野茂は1996年(ドジャーズ)と2001年(レッドソックス)に記録している。サイ・ヤング、ジム・バニング、ランディ・ジョンソンは完全試合を含む。
- 完全試合から継投によるノーヒッター達成に変わった例
- 1917年6月23日のボストン・レッドソックス対ワシントン・セネターズにおいて、レッドソックス先発のベーブ・ルースが先頭打者に四球を与えた後に審判に対する抗議で退場となり、代わってマウンドに上がったアーニー・ショアが9回終了まで無安打無得点に抑え達成した。なお、1991年に記録見直しが行われるまで、この試合はショアによる完全試合という扱いであった。
- 6投手の継投による達成
- 2003年6月11日のインターリーグの試合で、ヒューストン・アストロズはロイ・オズワルト、ピーター・マンロー、カーク・サールース、ブラッド・リッジ、オクタビオ・ドーテル、ビリー・ワグナーの6投手を継投してニューヨーク・ヤンキースを無安打無得点に抑えた。
- 2012年6月9日のインターリーグの試合では、シアトル・マリナーズはケビン・ミルウッド、チャーリー・ファーブッシュ、スティーブン・プライヤー、ルーカス・リットキー、ブランドン・リーグ、トム・ウィルヘルムセンの6投手を継投してロサンゼルス・ドジャースを無安打無得点に抑えた。
- 9回まで両チーム無安打無得点試合
- 1917年5月2日のシンシナティ・レッズ対シカゴ・カブス戦で、レッズ先発のフレッド・トニーとカブス先発のヒッポ・ボーンが9回まで互いに無安打無得点。10回にボーンが2安打1失点で敗戦投手となり、トニーが延長10回を無安打無得点で抑えた[4]。
- 無安打試合を達成しながら敗北
- 1964年4月23日: ヒューストン・コルト45's 0対1 シンシナティ・レッズ。コルト45'sのケン・ジョンソンが無安打試合を達成も敗戦。
- 1967年4月30日: ボルチモア・オリオールズ 1対2 デトロイト・タイガース。オリオールズはスティーブ・バーバー、ステュ・ミラーの継投で無安打試合を達成も敗戦。
- マイナーリーグ、9回まで27奪三振で達成
- 1952年5月13日: ロン・ネッチアイ、マイナーリーグD級のブリストル・ツインズ対ウェルチ・マイナーズの試合で記録。振り逃げを含んでの達成。
- この他、1990年7月1日、ニューヨーク・ヤンキースのアンディ・ホーキンスがシカゴ・ホワイトソックス戦で8回無安打に抑えながら、0対4で敗戦した試合がある。ホームのホワイトソックスが勝利し9回裏がない試合だったため、公式の無安打試合となっていない。この試合のホワイトソックスの4得点は、無安打チームが挙げた得点としてはMLB最多である。
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日本野球
要約
視点
プロ野球
日本プロ野球では、レギュラーシーズンにおいて(完全試合16人を含む)90人が、合計102回達成。この他、ポストシーズンにおいて1人が1回達成している。
→個人記録達成者の詳細については「ノーヒットノーラン達成者一覧 § 日本プロ野球」を参照
チーム別無安打無得点達成試合数は読売ジャイアンツが17試合で最多、被達成試合数は中日ドラゴンズが14試合で最多となっている。上記のように楽天のみ達成記録がない。被達成については楽天も含め現存チームすべてが記録している。
2024年時点で、1シーズンに達成した投手の最高人数は5人で、1940年と2022年に記録されている[5]。
継投による無安打無得点が記録された試合は日本シリーズでの完全試合1試合を含む以下の6試合である。ただし継投による無安打無得点はチームとしての記録として参考記録となり、個人記録にはならない。
- 太字は継投による完全試合。
- ポストシーズン
- オールスターゲーム
投手に投球回数の制限がある(1人3イニング2/3を超えてはならない)ため必ず継投になるオールスターゲームでも、1回記録されている。
参考
9回二死までを無安打無失点に抑えながら初安打を許した例
- 9回を無安打無失点に抑えながら延長で初安打を許した例
- 無安打に抑えながら四球・失策・盗塁・犠打・進塁打で得点を許した例
- 9回以上を無安打無失点に抑えたまま9回終了以降に降板した例
- 無安打無失点のままスコアレスドローになった例
二軍
[9]二軍のイースタン・リーグ、ウエスタン・リーグでも1962年に巨人の山崎正之が完全試合で達成して以来、完投・継投を含め複数回達成されているが、このうち1試合だけ「両チーム無安打試合」が記録されている。これは日本プロ野球では唯一のケースである(2021年シーズン終了時点)。
- ノーヒットノーラン初達成者(イースタン・リーグ初達成者)
- ウエスタン・リーグ初達成者
- 複数回達成者
前述の竹下潤も1993年9月14日ヤクルト戦で無安打無得点を達成しており、無安打試合は二度記録している。
一軍で無安打無得点達成経験がある選手では、1970年に一軍で達成している渡辺秀武が1968年に二軍で達成しており、唯一の記録となっている。
独立リーグ
四国アイランドリーグplus
四国アイランドリーグplusでは、これまで4人が達成している(うち1人は、リーグの公式戦として扱われるNPB三軍との交流戦)。
2017年8月29日の香川対巨人三軍の定期交流戦(丸亀市民球場、リーグ公式戦の一環)では香川が4人の投手の継投で[10]、2020年8月15日の香川対徳島戦(レクザムスタジアム、7イニング制)では香川が3人の投手の継投で[11]、2022年5月31日の徳島対ソフトバンク三軍の定期交流戦(むつみスタジアム)では徳島が6人の投手の継投で[12]、それぞれ無安打無失点を達成している。
リーグ所属選手によるものではないが、2019年4月16日の高知対ソフトバンク三軍の定期交流戦(高知市野球場)では、ソフトバンクの渡辺健史がリーグ史上初の完全試合を達成した[13]。
ベースボール・チャレンジ・リーグ
ベースボール・チャレンジ・リーグでは、これまで7人が達成している。
2018年4月13日の富山GRNサンダーバーズ対滋賀ユナイテッドベースボールクラブ戦(高岡西部総合公園野球場)では、富山の投手4人による継投でのノーヒットノーランが記録された[14]。
また、参考記録として以下の記録がある。
関西独立リーグ (2代目)
関西独立リーグ (2代目)では、これまで2人が達成している。
2022年9月6日の06BULLS対堺シュライクス戦(花園中央公園野球場)では、堺の投手4人の継投でのノーヒットノーランが記録された[17]。
九州アジアリーグ
九州アジアリーグではこれまで1人が達成している[18][19]。
また、5回終了(7回制試合の得点差コールド)での参考記録として以下がある[20][21]。
なお、2024年6月9日には、火の国サラマンダーズの松江優作が、準加盟球団の佐賀インドネシアドリームズとの公式戦で完全試合を達成している[22]。
社会人野球
都市対抗野球
都市対抗野球大会では、これまでに完全試合2人を含む5人が達成している。
日本選手権
社会人野球日本選手権大会では、これまでに完全試合1人を含む4人が達成している。
大学野球
全日本大学野球選手権大会
全日本大学野球選手権大会ではこれまでに完全試合4人を含む8人が達成している。
明治神宮野球大会
東京六大学野球
東京六大学野球では完全試合3人を含む25人で計26回達成している。
また継投による無安打無得点も2回達成されている。ただしこれは参考記録扱いで、達成人数には含めない。
※1942年までの大学は全て旧制。
東都大学野球
東都大学野球1部では、完全試合2人を含む10人で計11回達成している。また、2部において完全試合を2人が2回、3部において完全試合を2人が2回、1部と2部の入れ替え戦において2人が2回、2部と3部の入れ替え戦において1人が1回達成している。
また継投による無安打無得点も1部で2回達成されている(ただしこれは参考記録扱いで、達成人数には含めない)。
※1942年までの大学は全て旧制。
高校野球
選抜高等学校野球大会
選抜高等学校野球大会(センバツ・春の甲子園)では完全試合2人を含む12人が達成している。
また継投による無安打無得点も1回達成されている(ただしこれは参考記録扱いで、達成人数には含めない)。
参考
- 9回を無安打無失点に抑えながら延長で初安打を許した例
※1938年までの学校は全て旧制。
全国高等学校野球選手権大会
全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)では22人が計23回達成している。完全試合は達成されていない。
また継投による無安打無得点も1回達成されている。ただしこれは参考記録扱いで、達成人数には含めない。
参考
- 9回を無安打無失点に抑えながら延長で初安打を許した例
※1939年までの学校は全て旧制中学。
明治神宮大会
明治神宮野球大会(秋季高校野球)では、これまで1人が達成している。
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韓国野球
韓国野球委員会
KBOリーグでは2017年現在、14人が達成している。
→個人記録達成者の詳細については「ノーヒットノーラン達成者一覧 § 韓国プロ野球」を参照
台湾野球
中華職業棒球大聯盟
中華職業棒球大聯盟では2024年現在、11人が達成している(うち1人は完全試合)。
→個人記録達成者の詳細については「ノーヒットノーラン達成者一覧 § 台湾プロ野球」を参照
国際試合
- 1971年11月2日 - 富山市で行われた日米野球1971第7戦の読売ジャイアンツ対ボルチモア・オリオールズ戦で、オリオールズのパット・ドブソンが3四球を与えながらもノーヒットノーランを達成している。「鋭いスライダーに大きなカーブ、見たこともないチェンジアップに、重くて速いストレート」を織り交ぜた。ドブソンは試合後に「マークしたのはオー(王貞治)だけだった」と振り返っている[23]。
- 1990年11月11日 - 東京ドームで開催された日米野球1990第8戦で、全米オールスターズのチャック・フィンリーが5回まで投げて安打を許さず、6回から継投したランディ・ジョンソンも2四球を与えながらも安打を許さず、継投によるノーヒットノーランを達成している[24]。
- 2006年3月10日 - 第1回 ワールド・ベースボール・クラシック1次リーグC組パナマ対オランダ戦で、オランダ代表のシャイロン・マルティスが球数制限内の65球で7回を無安打無得点に抑え、味方打線も10得点でコールド勝ちとなり、ノーヒットノーランを達成している。
- 2014年11月15日 - 東京ドームで開催された日米野球2014第3戦で、侍ジャパンが則本昂大、西勇輝、牧田和久、西野勇士の4人の継投による[注釈 5]ノーヒットノーランを達成している[25]。
- 2021年5月31日 - 2020年東京オリンピックアメリカ大陸予選オープニングラウンドB組カナダ対コロンビア戦で、カナダ代表がアンドリュー・アルバース、ブレンダン・マクギガン、ベン・オニシュコの3人の継投によるノーヒットノーランを達成している[26]。
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脚注
関連項目
外部リンク
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