トップQs
タイムライン
チャット
視点
単位記号
ウィキペディアから
Remove ads
単位記号(たんいきごう、unit symbol[1])とは、計量単位を示す記号である。計量法においては「計量単位の記号」[2]または単に「記号」[3]としている。
単位記号は、日本では計量法第7条に基づき、計量単位規則で定められている。国際単位系 (SI) においては、国際単位系国際文書第9版 (2019年) で定められている。両者に共通する計量単位についての単位記号は完全に同一である[注 1]。
SI接頭語の記号(k, M, G, c, m, µ など)は、それ単独では単位記号ではないが、単位記号と結合して新しい単位記号を形成するので[4]、ここで言及する。
文字種
法定計量単位やSI単位においては、単位記号はほとんどが1文字または数文字のラテン文字によって表記される。SI接頭語記号も同じである。ごく少数であるがラテン文字以外の文字種も用いられており、次のとおりである。
組立単位の場合は、上記に加えて、べき乗を表す数字(例:m3、m s-2)、分数を構成するための斜線「 / 」、積を表す中黒「・」が用いられる。
SI接頭語の記号
SI接頭語の記号を単位記号に結合して作られたグループは、元の単位の倍量および分量(倍量・分量単位)を表す新しい不可分な単位記号を形成し、それらを正または負の指数でべき乗することができる。また、他の単位記号と組み合わせて合成単位記号を形成することもできる[4]。
- SI接頭語の記号と単位記号の間にスペースを空けずに表記する。スペースを挟んで表記するとそのスペースは掛け算を意味する(スペース#単位記号の積)ので、別の意味になってしまう。
記法
要約
視点
単位記号の記法において注意すべき点は以下である。
- 単位記号・SI接頭語記号は、直立体で表記する。(注)これに対して、量の記号はイタリック体で表記する。
- 大文字と小文字の別を厳格に守る(#誤りやすい表記)。
- 単位記号は複数形にはしない。(注)これに対して、欧文で単位記号ではなく、単位名(例えば metre)を用いる場合は、3.2 metres のように複数形にする。
- 単位記号の後にはピリオドを付けない。ただし文章(特に欧文)の終わりに単位記号が示されるときはピリオドがあっても良い。
- 単位記号に、量の性質に関する追加情報を付けてはならない。 例:最大電位差は、Umax = 1000 V と書く。U = 1000 Vmax とはしない[5]。
なお計量法体系の規定では、ラテン文字・数字についての全角・半角の概念そのものがないので、全角表記も半角表記も用いることができる。
組立単位の表記
SI基本単位(7個)の記号と固有の記号を持つSI組立単位(22個)の記号を組み合わせて、様々な量について単位記号を構成することができる。その場合の記法は次の通りである[6][7]。
単位の積
- 2つ以上の単位の積で新しい単位を表現する場合は,次の例のいずれかの記法を用いる。
単位記号と接頭語記号が同じとなる、m(メートルのm、ミリのm),T(テスラのT、テラのT),h(時のh、ヘクトのh)が使われる場合は誤解が生じないように注意する。
単位の商
- 単位同士の商の形で新しい単位を表現する場合は次の例のいずれかの記法を用いる。ただし,斜線による記法では,同一行に2つ以上の斜線を入れてはいけない。複雑な構成の単位の場合は負のべき乗または括弧を用いる。
- m/s2 (m/s/sは不可)
- m·s-2
- J/(mol·K) (J/mol/Kは不可)
- J·mol-1·K-1
注意すべき単位の積
仕事、熱量および電力量の3つの物象の状態の量(物理量)は、いずれも広義ではエネルギーと同じ物理量であって[注 5]、同じ計量単位(ジュール、ワット秒またはワット時)で表される。このうち、ワット秒とワット時については、仕事・熱量を表す単位記号と電力量を表す単位記号は以下のように異なっている(キロワット時#単位記号)。
すなわち、電力量の単位記号は、中黒「・」を挟まない記号と規定されている。電力量計は特定計量器の一つであり、記号として「kW・h」を用いると検査に合格できない。
SI接頭語との組み合わせ
誤りやすい表記
誤って表記されやすい単位記号の例としては次のものがある[8]。
- 10 Kg → 正しくは、10 kg
- 30 M → 正しくは、30 m
- 60 HZ → 正しくは、60 Hz
- 50 sec → 正しくは、50 s
- 10 ℓ → 正しくは、10 l または 10 L
以下は、国際単位系国際文書における誤りの例である。
単位の名称の省略語や単位記号の省略語を使ってはならない[9]。
大文字で始まる記号
大文字で始まる単位記号は、人名に由来するものが多いが、全てがそうではない。
人名に由来
人名に由来する単位記号は、その最初の文字は大文字である。SI単位では、次のものが該当する。
- 基本単位:A(アンペア)、K(ケルビン)
- 組立単位:Hz(ヘルツ)、N(ニュートン)、Pa(パスカル)、J(ジュール)、W(ワット)、C(クーロン)、V(ボルト)、F(ファラド)、Ω(オーム)、S(ジーメンス)、Wb(ウェーバ)、T(テスラ)、H(ヘンリー)、℃(セルシウス度)、Bq(ベクレル)、Gy(グレイ)、Sv(シーベルト)
- SI併用単位:Da(ダルトン)、Np(ネーパ)、B(ベル)
以下はSI単位ではなく計量法の法定計量単位におけるものである。
- Ci(キュリー)、R(レントゲン)、P(ポアズ)、St(ストークス)、°F(カ氏度)、Å(オングストローム)、Gal(ガル)[注 7]、Torr(トル)
以下は計量法の省令単位におけるものである。
- Bh(重ボーメ度)
人名に由来しないが大文字で始まる記号
次のものはSI併用単位であり、大文字で始まるが、人名に由来する単位記号ではない。
- L(リットル) 「l」(エルの小文字)の他に「L」(エルの大文字)を用いることが許容されている(リットル#l から L へ)。
次のものは法定計量単位であり、大文字で始まるが、人名に由来する単位記号ではない。
次のものは省令単位であり、大文字で始まるが、人名に由来する単位記号ではない。
特別の記号
次の記号は、単独では単位記号とは言えないが、大文字で始まり、それぞれメートルまたはその分量単位と連結して単位記号となる。生体内の圧力の計量または血圧の計量に用いられる。
小文字で始まる記号
人名に由来しない単位記号で、#人名に由来しないが大文字で始まる記号以外の記号は、その最初の文字は小文字で表記される。
小文字で始まるが、途中に大文字が現れる単位記号が2つある。
- eV(電子ボルト)
- dB(デシベル)[注 8] である。
Remove ads
2つの単位記号
ほとんどの計量単位については、単位記号はただ一つであるが、2つの単位記号を持つ単位がある。
国際単位系(SI)
- リットル:l または L
計量法の法定計量単位
- リットル:l または L(再掲)
- リットルを含む全ての法定計量単位:グラム毎リットル(g/l・g/L)、リットル毎時(l/h・L/h)など8単位
- 回転速度 回毎分:r/min または rpm
- 回転速度 回毎時:r/h または rph
- 濃度
- 体積百分率:vol% または %
- 体積千分率:vol‰ または ‰
- 体積百万分率:volppm または ppm
- 体積十億分率:volppb または ppb
- 体積一兆分率:volppt または ppt
- 体積千兆分率:volppq または ppq
- 海里:M または nm [10]
- 屈折度 ディオプトリー:Dptr または D
同一アルファベットによる単位記号
要約
視点
単位記号とSI接頭語の記号には、同じ単一のアルファベット(小文字、大文字)を用いているものがあるので、混同しないように注意しなければならない(#誤りやすい表記)。以下に、その異同を示す(SI単位、SI接頭語、SI併用単位、1999年10月以降の法定計量単位に限る。)。太字の記号は、全く同一の記号である。
異なる計量単位の同一の単位記号
次に掲げる単位記号 rad、T、oz、fl oz、D は、異なる計量単位、異なる定義であるにもかかわらず、計量法においては全く同一の単位記号となっており、極めて紛らわしい。
過去の国際単位系国際文書においては、ラドの記号は、紛らわしい場合は、rad に替えて rd を使うことができるとされていた[11]。
ヤード・ポンド法を用いる国では、トロイオンスの記号として oz t 、ozt 、oz tr などを用いているので紛れがない。
上記以外に、海里の単位記号である nm (もう一つの記号は M)は、メートルの10-9を表す nm (ナノメートル) と同一であり、かつ両方とも物象の状態の量が「長さ」であり、紛らわしい。ただ、両者のスケール差は1兆倍以上であり、また使用される状況が全く異なるので、実用上で混同されることはまずない。
Remove ads
規定の根拠
日本の計量法第7条に基づき、計量単位規則の別表第2(主要な単位:国際単位系 (SI) に係る単位、SI単位のない量についての非SI単位、SI単位のある量についての非SI単位)、別表第3(SI接頭語)、別表第4(特殊の計量に係る単位)、別表第5(省令単位)、別表第6(ヤード・ポンド法による単位)、別表第7(仏馬力)で規定されている。
国際単位系(SI)で規定されている単位については、国際単位系国際文書第9版(2019年)[12]の表2(基本単位)、表4(固有の名称と記号を持つ22個のSI単位)、表5、表6、表7(SI接頭語)、表8(SI併用単位)に示されている。
計量単位規則と国際単位系国際文書第9版(2019年)に共通する計量単位についての単位記号は完全に同一である[注 14]。
規範性
計量法
日本の計量法第7条では「計量単位の記号による表記において標準となるべきものは、経済産業省令(計量単位規則)で定める。」としており、単位記号の書き方を一意に規制しているわけではなく、定められた記号以外のものの使用に罰則が伴う規制ではない[13]。
しかしながら、大文字と小文字の区別については大文字と小文字とで違う意味をもつもの(例えば、m(ミリ)、M(メガ))が存在するので、正しく区別して使用すべきである(#同一アルファベットによる単位記号)。
特定計量器
特定計量器[注 15]に表記する単位記号については、計量単位規則が定める記号を用いなければ検定に合格できず、使用することができない[14]。
国際単位系
国際単位系 (SI) においては、定められた正しい単位記号を用いることは必須 (mandatory) である[15] 。ただし国際単位系国際文書は日本における法令ではないので罰則が伴う規制が働くわけではない。
Remove ads
単位記号の一覧
要約
視点
以下に計量単位記号をアルファベット順に示す。列挙順序は、特殊文字、アルファベット(小文字、大文字の順)、ギリシャ文字の順である。
- 記載している単位記号の範囲は次のとおりである。
- 2022年12月時点でのSI基本単位、固有の名称と記号を持つ22個のSI単位、SI併用単位
- 法定計量単位
- 1995年~1999年に廃止された法定計量単位
- 第1版 (1970年) から第8版 (2006年) までの国際単位系国際文書に記載されたことのある非SI単位
- SI接頭語の記号
- 固有の記号を持たない組立単位(m2、kg/m3、m/s、J/K、Pa s のような単位)およびSI接頭語を付した単位(km、ms、MPa、THz のような単位)は記載していない(ただしSI接頭語の記号そのものは含めている)。
表内の記号の意味は次のとおりである。
- 「法定計量単位」の欄:
- 特:特殊の計量に用いる計量単位 [注 16]
- ヤ:ヤード・ポンド法による法定計量単位
- 仏:仏馬力
- 空欄:上記以外の法定計量単位または計量法で定めたSI接頭語
- 非:非法定計量単位
- 省:省令単位(法定計量単位ではない)
- 「SI接頭語」の欄:
- 可:SI接頭語を付することができる
- 不可:SI接頭語を付することができない
- 不明:SI接頭語を付することができる/できないが不明
- 備考などの欄
- SI(年数):国際単位系国際文書の各年版
- ページ数:仏語版(1981年以前)または英語版(1985年以降)
Remove ads
脚注
関連項目
参考文献
外部リンク
Wikiwand - on
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Remove ads