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必殺必中仕事屋稼業
必殺シリーズ第5作 ウィキペディアから
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『必殺必中仕事屋稼業』(ひっさつひっちゅうしごとやかぎょう)は1975年1月4日から6月27日まで、毎週土曜日[1] 22:00 - 22:55に、朝日放送と松竹(京都映画撮影所、現・松竹撮影所)の共同製作で、TBSテレビ系[2]で放送した時代劇。全26話。主演は緒形拳。
必殺シリーズの第5作目である。
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概要
要約
視点
必殺仕置人殺人事件以来、タイトルから消えていた「必殺」の文字を復活させた作品。元締の嶋屋おせいが仕切る裏稼業「仕事屋」が悪人を葬る従来シリーズの基本フォーマットを踏まえながら、賭博(ギャンブル)を作品のテーマに据えている。主人公の半兵衛と政吉は賭博狂いの設定で毎回、賭場が登場する。一か月で五千両の大金を工面することが仕事の目的となる第13話など、エピソードの幾つかは賭け事が重要な要素となり、殺しが行われない回(第20話)がある。
「仕事屋」は基本的に困窮した頼み人の依頼を解決することが目的で殺しを専門とする稼業ではない。依頼人を救い、仇討ちなどで必要とされる場合、または依頼に裏があった時に標的の悪人を殺すかどうかの裁量は元締おせいの一存で決める。その際、半兵衛と政吉には殺しの追加報酬をおせいが支払う場合が多い。
キャストはシリーズ第1作『必殺仕掛人』で藤枝梅安を演じた緒形拳を再び起用。『仕掛人』『必殺仕置人』にゲスト出演、プロデューサーの山内久司と交流があった林隆三をキャスティング。元締役はこれまでの非主水シリーズに出演して来た山村聰に代わり、草笛光子を初の女元締役として起用した。オープニング ナレーションは前作『暗闇仕留人』で中村主水を演じた藤田まことが担当した。
第16話「仕上げて勝負」は瑳峨三智子がゲスト出演したことが縁で、実母の山田五十鈴がその映像美を高く評価。必殺シリーズへの出演を自ら希望した。次回作のゲスト出演(『必殺仕置屋稼業』 第15話)を皮切りに『必殺からくり人』のレギュラー出演に繋がって行ったというエピソードがプロデューサーの仲川利久(元・朝日放送プロデューサー)の著書に記している。
放映中は腸捻転解消(ネットチェンジ)などの問題に見舞われたが、近畿地区で過去最高の視聴率を記録。漫画家の近藤ゆたかは「非主水シリーズで最高傑作」と評し[3]、山田誠二は「極めて完成度の高い名作[4] 」と評している。
元来、人殺しをしたことがない一介の町人と元侍の二人組が場数を踏んで行くうちにプロの殺し屋に変貌するが「仕事屋」が徐々に崩壊するまでの過程を第1話から最終話の間で丹念に描かれており、物語は「火盗改に面が割れ手配書を廻された半兵衛が、決然と殺しの稼業への覚悟を決める」ところで幕を閉じる。
本作以降に制作した『必殺からくり人』などの非主水シリーズは2クール未満で終了。本作が非主水シリーズとしては最後の2クール作品となった。2クールを超える非主水シリーズは『必殺仕掛人』(全33話)と第3作『助け人走る』(全36話)の2作である[5]。
音楽面での本作のみのパターンとしては殺しのシーンで主に使われる曲が他シリーズの通例のように主題歌(『さすらいの唄』)のアレンジ曲ではなく、レコードB面の挿入歌(『夜空の慕情』)のアレンジ曲であることなどが挙げられる。
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あらすじ
蕎麦屋「坊主そば」の主人 半兵衛は博打狂いの通称「知らぬ顔の半兵衛」として博打好きの間では有名であった。彼はいつものように賭場に赴くとかつては侍で現在は流れの博打打である青年 政吉と出会う。半兵衛は彼と大金を賭けて勝負して、勝利する。
ある日、半兵衛は食い逃げした客を追い掛け、材木置場で客の死体を発見する。その男は北町奉行所の与力 三村敬十郎の命を狙っており、返り討ちに合っていた。現場に居合わせた半兵衛は男の仲間と疑われ、三村に捕まり酷い拷問を受ける。三村は証拠をでっち上げ、無実の人間も犯人にしてしまうことから、奉行所で問題視され、奉行からの命令で半兵衛は解き放ちとなる。
奉行所から出た半兵衛は謎の男 利助から「迷惑料」という名目の大金を渡された。興味を持った半兵衛は利助の後を付けて、飛脚問屋「嶋屋」の女主人 おせいに行き着く。おせいは必要とあらば殺しを行う裏の稼業「仕事屋」の元締で、三村の命を狙っていた。裏の事情を察知した半兵衛はおせいに口止め料を要求するが、おせいは半兵衛の度胸の良さを見込んで裏の稼業に請い、半兵衛はこれを受ける。
三村を殺す為に尾行する半兵衛は政吉と何度も出会う。政吉は別口で三村の殺しの依頼を受けており、半兵衛と同様に三村の命を狙っていた。互いの事情を知らない半兵衛と政吉は過去の因縁から会う度に反発し合う。
三村の命を狙っていた半兵衛と政吉は彼を同時に殺す。現場を離れた後、口封じのために互いに殺し合う半兵衛と政吉の下におせいと利助が現れた。おせいは政吉の得物の短刀を見て、彼が生き別れた実の息子であると直感するがそれを隠し通し、政吉に仕事屋に加入するように打診した。政吉はこれを了承して、ここに新しい仕事屋グループが結成された。
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登場人物
仕事屋
- 知らぬ顔の半兵衛[6]
- 演 - 緒形拳
- 蕎麦屋「坊主そば」の主人。明るく闊達な人物で、商売そっちのけで賭場に赴く大の博打好き。勝負では負けることも多いが度胸があり、土壇場の勝負運は強い。
- 口髭を蓄え、殺しの道具の剃刀はこれを手入れするための物だが、第13話で口髭を剃り落とした。丸刈りの頭は博打から更生しようとして出家した際の名残りと発言している。
- 前の店主と店の権利を賭けて勝負した挙げ句に勝ったことで蕎麦屋の主人となる。店の売上げを持ち出して博打に興じるなど、お春を困らせるが一方で彼女を深く愛している。人生観は博打の影響を強く受けており、博打打ちの末路に自分の将来を重ねることが多い[7]。
- おせいに見込まれて裏稼業に足を踏み入れた為、当初は殺しは全くの素人だった。その為に殺しの練習をする描写が見られ、素人然とした殺しなどが多々見られる。最終話に近付くに連れて、プロの殺し屋に変貌していった。
- 第25話で、お春に裏の仕事を知られて一緒に生きて行くことを誓うが、その矢先に仕事屋は崩壊。得物の剃刀を自らの手で真っ二つに折ってしまう。政吉の遺した懐剣で最後の仕事を終えた後は火盗改同心に追われる途中で裏の仕事の報酬を店に投げ込み、いずこへと去る。
- 必殺スペシャル『仕事人大集合』に登場、飾り職人の秀と組み、駿府で裏稼業を続けていたことが明かされる。『必殺仕置長屋 一筆啓上編』第12話では未だ手配中の身で、江戸には戻っていないと語られる。
- 侍くずれの政吉[8]
- 演 - 林隆三
- 流れの博徒。一部では「いかさま師」として有名で他人のいかさまを見抜く眼力が高い。劇中で自身がいかさまを行うことは稀で、普通に賭け事を行っている。
- 元は旗本(松永家 五千石)の跡取りであったが養子という出自から家を飛び出し、博徒となる。おせいの息子で、武器に用いる女物の懐剣はおせいが別れ際に渡した形見である。実子とすぐに気付いたおせいに対して、自身は終盤まで気付かなかった。
- 半兵衛とは因縁ある関係で、仕事屋となると同じ博打狂いとして悪友となる。第25話では勘違いで半兵衛を懐剣で刺してしまうが、逆に絆をより強くする。
- 最終話で火盗改同心に捕まり、仕事屋の内情を吐かせる為に拷問を受ける。最期は己の口を封じる為に同心の隙を付いて、刀を奪い、おせいの目前で自害した。
- 利助
- 演 - 岡本信人[9]
- 嶋屋の番頭で仕事屋の密偵。情報収集と連絡係を担う。
- 真面目な性格で賭け事を嫌う。博打好きの半兵衛と政吉に嫌味な発言や態度を取ることが多いが、後半では強い信頼関係を築いていた。元は清衛門 配下の盗賊で凄腕の御金蔵破りであり、盗賊時代に培った体術や技術を披露することがある。
- 最終話でおせいを庇い、悪人の匕首で急所を刺されて死亡した。
- 嶋屋おせい[10]
- 演 - 草笛光子
- 飛脚問屋「嶋屋」の女主人で、仕事屋の元締。
- 大盗賊の夫である清衛門が残した大金を使い、弱者の為の裏稼業「仕事屋」を開業した。裏稼業の元締として常に厳しい態度で臨むが後述の政吉との関係など、陰では感情的な一面を見せることがある。原則として殺しはしないが、依頼に嘘があったり自分に直接関わる場合は自ら手を下す。
- かつて、ある事情から生き別れになった息子が政吉であり、子を捨てたことを今でも後悔して、政吉に母としての情を抱くが仕事屋の元締として、それを隠し通しながら厳しく接する。
- 最終話で、火盗改の同心 熊谷に裏稼業が発覚して危機に陥る。半兵衛に最後の仕事を頼み、自身は熊谷を殺害して復讐を果たす。眼前で政吉が自害して、自らも死のうとするが半兵衛の説得で思い留まる。
- シリーズ第12作『江戸プロフェッショナル・必殺商売人』の登場人物「おせい」は同一人物の設定である。
その他
- お春
- 演 - 中尾ミエ
- 半兵衛の内縁の妻。
- 姉御肌で、博打に興じる半兵衛に代わり、蕎麦屋「坊主そば」を切り盛りする。元は江戸にやって来たきた独り者で半兵衛に助けられたことがきっかけで蕎麦屋に居座り、押しかけ女房となった。
- 第25話で、半兵衛の裏の仕事を知る。半兵衛は「もう二度と裏の仕事はしない」と約束して、一緒に歩もうとするが最終話で捕り方に見つかった半兵衛は彼女を捨てて、江戸を去って行った。
- 『必殺仕置長屋 一筆啓上編』第12話では、半兵衛との間に出来た息子を育てていると語られる。
- おまき
- 演 - 芹明香[11]
- 政吉の行き着けの飲み屋の女主人で彼の情婦。最終話で政吉を庇って、悪人の匕首を胸に受けて死亡した。
- 源五郎
- 演 - 大塚吾郎[12]
- 半兵衛と幼馴染の岡っ引き。強面だが半兵衛を前にすると途端にオカマ口調になり「半ちゃん」と呼ぶ。
- 半兵衛を好意を抱き、何かと一緒にいる政吉には敵意を、お春に対しては共感と嫉妬の入り混じった感情を抱いている。半兵衛 一筋の筈だが、第20話では名前の分からない陰間を口説いていた。
- 「半ちゃん、淡白ねぇ」が主な口癖[13]。
ゲスト
- 第1話 「出たとこ勝負」
- 第2話 「一発勝負」
- 第3話 「いかさま大勝負」
- 第4話 「逆転勝負」
- 第5話 「忍んで勝負」
- 第6話 「ぶっつけ勝負」
- 第7話 「人質勝負」
- 第8話 「寝取られ勝負」
- 第9話 「からくり勝負」
- 第10話 「売られて勝負」
- 第11話 「表を裏で勝負」
- 第12話 「いろはで勝負」
- 第13話 「度胸で勝負」
- 第14話 「招かれて勝負」
- 第15話 「大当りで勝負」
- 第16話 「仕上げて勝負」
- 第17話 「悟りて勝負」
- 第18話 「はめ手で勝負」
- 第19話 「生かして勝負」
- 第20話 「負けて勝負」
- 第21話 「飛び入りで勝負」
- 第22話 「脅して勝負」
- 第23話 「取込まれて勝負」
- 第24話 「知られて勝負」
- 第25話 「乱れて勝負」
- 第26話 「どたんば勝負」
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殺し技
- 知らぬ顔の半兵衛
- 悪人の首(喉元)を手拭いで押さえながら、剃刀で瞬時に切り裂く。その際に吹き出す血を手拭いで吸い取ることで返り血を浴びるのを防ぐ。第5話では櫛で急所を刺す。第25話で、剃刀を自らの手で叩き割った為、最終話では政吉の懐剣を使用した。
- 侍くずれの政吉
- 女物の懐剣で、悪人の急所を突き刺す。第22話では悪人の刀で切腹に偽装して刺す。
- 嶋屋おせい
- 簪や短刀で悪人を突き刺す(第3話 等)。第11話では仕込み柄杓(茶道具)を使用した。
スタッフ
主題歌
放送日程
- サブタイトルのフォーマットは「勝負」。
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腸捻転解消(ネットチェンジ)
→詳細は「ネットチェンジ」を参照
本作の本放送当時、必殺シリーズを制作する朝日放送(ABC)はTBSテレビ系、毎日放送(MBS)はNETテレビ(現・テレビ朝日)系であった。新聞資本から見た場合、朝日放送とNETテレビは朝日新聞社が、毎日放送とTBSテレビは毎日新聞社が出資していた為、系列と資本が異なり、「腸捻転」と呼ばれた。この解消(ネットチェンジ)が番組の放映中に行われ、大きな影響を受けることとなる。
NETテレビ系列の土曜22時台は『土曜映画劇場』を放送していた為、金曜22時枠への移動を余儀なくされた。本作は関西で視聴率 30%前後を記録し続け、シリーズ最高視聴率を記録(最高は第8話の34.2%)。好調な勢いであったがネットチェンジ後の視聴率は半分以下の13%台に下降した[4][14][15]。
制作スタッフはネットチェンジを挟む第13話と第14話を前後編として、「土曜の夜では間に合わぬ “仕事”は金曜よる10時」のキャッチ コピーで視聴者の流出を防ごうとした。TBSテレビでの画面上では第13話の最後に「この番組は来週から10チャンネル NETテレビでご覧ください」と字幕スーパーで案内した[16]が異例の前後編は「番組終了」と誤解されて、裏目に出てしまった[17]。当時はビデオデッキが一般家庭に広く普及しておらず、一度定着した視聴習慣は変わらない時代で最終的に15%前後まで視聴率を回復したが、ネットチェンジ前の水準には遠く及ばなかった[14][15]。
TBSは必殺シリーズがNET系列に移動することで視聴者が離れることを恐れ、「必殺シリーズと同様のコンセプトの番組制作」を毎日放送に依頼した。毎日放送は東映に依頼して『影同心』を制作。視聴者の囲い込みに成功した[14][15]。
制作スタッフは中村主水を再々登場させることを決めて、シリーズ第6作『必殺仕置屋稼業』を制作。視聴率を好転させた[4][15]。
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補足
- 小沢深雪が唄う主題歌『さすらいの唄』は第5話等、一部の回では歌い方が異なるバージョンが存在した。また、ネットチェンジ直後の第14話「招かれて勝負」は本編終盤で半兵衛が板倉屋を仕掛けるところから主題歌が始まり本編中に1番が終了。そのまま2番の歌詞が続く中、エンディングクレジット画面(タイトルバックは通常の画像と変わらない)が流れる特殊仕様とされている。
ネット局
要約
視点
系列は当時の系列。第1話「出たとこ勝負」 - 第13話「度胸で勝負」(1975年1月4日 - 3月29日)はTBSテレビ系で放送。第14話「招かれて勝負」 - 第26話「どたんば勝負」(1975年4月4日 - 6月27日)はNETテレビ系(現:テレビ朝日系)で放送。○は腸捻転解消後(第14話以降)に遅れネットに変更となったTBSテレビ系の民放テレビ局。
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脚注
前後番組
外部リンク
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