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日本の漫画作品 ウィキペディアから
『NEW GAME!』(ニューゲーム)は、得能正太郎による4コマ漫画作品。『まんがタイムきららキャラット』(芳文社)にて、2013年3月号から5月号までの読み切り掲載を経て、同年7月号から本連載を開始し[2]、2021年10月号をもって完結した[3]。2021年3月時点でシリーズ累計発行部数は320万部を突破している[4]。2016年と2017年にはテレビアニメ版が放送された。
NEW GAME! | |
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ジャンル | 4コマ漫画、お仕事系[1] |
漫画 | |
作者 | 得能正太郎 |
出版社 | 芳文社 |
掲載誌 | まんがタイムきららキャラット |
レーベル | まんがタイムKRコミックス |
発表号 | 2013年3月号 - 2021年10月号 |
巻数 | 全13巻 |
話数 | 全151話 |
ゲーム:NEW GAME! -THE CHALLENGE STAGE!- | |
ゲームジャンル | アドベンチャーゲーム |
対応機種 | PlayStation 4 PlayStation Vita |
開発・発売元 | 5pb.Games(MAGES.) |
メディア | [PS Vita]PS Vitaカード [PS4]BD-ROM |
発売日 | 2017年1月26日 |
レイティング | CERO:C(15才以上対象) |
キャラクターボイス | あり |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画 |
ポータル | 漫画 |
ゲーム会社を舞台として、若い女性社員ばかりのチームに配属されたヒロインの日常・勤務生活を描く、4コマ漫画である。作者の得能は3年間、ゲーム会社に勤務した経験があり[5][6]、その経験が基になっている[5]。企画時には作者の辛い実体験に基づいた「ほのぼの社畜漫画」という路線が予定されていたものの[5]、連載が始まると登場人物たちの仲の良さに引っ張られ、予定よりも楽しげな作風で描かれることとなった[5]。ゲームソフトの開発環境やハードウェアの推移は移り変わりが激しく[注 1]、月刊誌連載のペースでは執筆から単行本に収録されるまでの間に情勢が変わってしまうことから、ゲームの時事ネタや社会風刺は扱わない方針で[7]、劇中におけるゲームの制作場面は普遍的な内容のみが描かれている[7]。
物語の方向性は女性中心の人間関係を描くことに置かれており[7][8]、社会人ドラマ的な内容よりも、各話で特定のシチュエーションに置かれた登場人物がどうするかという内容を念頭に置いた話作りが指向されている[9]。物語は基本的にヒロインの視点で描かれているが[10]、本作では上司と部下という上下関係が軸となっており[11]、周囲の先輩社員から見た、初心を思い出させてくれる仲間としてのヒロインの姿を印象づける内容にもなっている[10]。基本的に性格の良い人物しか登場しないという作風になっているが[12]、主要な登場人物が学生のような仲良しグループとは異なり[13][11]、プロとしての責任を背負って人間関係のトラブルにも向き合わなければならない間柄であることも意識して描かれた[13]。一方、部分的には生々しい実体験に基づいたエピソードも盛り込んではいるが[注 2]、作者の実体験では失敗した事柄を主人公たちが円満に解決する形などに改変した上で反映されており[11]、ゲーム業界の悲惨なエピソードの暴露といった内容は避けられ[14]、残業や休日出勤を楽しんでこなすヒロインや[10]、キラキラとした[14]女性社会人たちの姿を、ほのぼのとした[15]作風で描いている。
作者の得能は本作より以前に手掛けた『こもれびの国』の反省点から、主人公にぶれのない目的を持たせ、ストーリーを成り行きではなく全体の見通しをつけてから進めるようにした[11]。物語上のポイントのみを押さえ、後は登場人物の立場から人物を動かしていくという方針の話作りがされているものの[16]、単行本1冊(各巻13話)ごとにすっきりとした区切のつく構成が意識して描かれている[17]。また物語の第1話から読者によって好き嫌いの分かれるセクシャルな場面を挿入することで、今後の作風を明確にする方針を打ち出しつつ[11]、セクシャルな場面でも下品にならない程度の匙加減が意図された[18]。
作者の得能は影響を受けた作品として、女性ばかりの日常ものの漫画を描くことになった最初のきっかけは天野こずえによる漫画『ARIA』であったとしており[6]、また各話のストーリーの流れは、女児向けのアニメや男児向けの特撮ヒーローものの様式美を参考にするところが多いとしている[19]。
第3話までの内容は中編のゲスト作品として掲載され、読者からのアンケートの反響を見て長期連載化するかどうかが決まることになっていた[20]。実際に連載が決定したのは、アンケートの結果のおかげであったという[21][22]。この時には下着が丸見えになるようなセクシャルな描写や出番の多い主要登場人物の八神コウよりも、無口で台詞も少ない主人公の同僚、滝本ひふみに対する反響が多かったという[23]。
雑誌連載開始から2014年2月に単行本第1巻が発売された直後までの反響は、それほど大きなものではなかった[24]。しかし2014年5月末頃になってから[25]、単行本第1巻82ページ1コマ目(#9話)の、主人公である涼風青葉が両手を握り締めて「今日も一日がんばるぞい!」と自分を励ます場面[注 3]がインターネット・ミームとして流行し[15][25][27]、前後の文脈から切り離された1コマだけがTwitterなどのSNS上で挨拶として盛んに転載されるようになり[25][10]、パロディも数多く作られた[28][注 4]。劇中においては登場人物の口癖というわけではなく[25]、たった一度きりの台詞であったが[25][30]、キャラクターの可愛らしさや親近感から[25][10]、気合いの入れすぎにならない程度に前向きで使いやすい画像として評判を呼んだ[25][10][31]。当初は出典が明示されないまま流行として一人歩きし[25]、あまり漫画を読まない層にまで広まるが[25]、やがてこの1コマが本作からの引用であることが知られて本作自体も話題となり[25]、作品の内容も評価されるようになる[15][25][10]。
評判と共に単行本も発売から数か月遅れで売れ始め[28][25]、特に2014年8月から9月頃にかけては[25]、幾度も重版を繰り返してもすぐに完売するなど、熱狂的な人気によって一時的に入手困難な状況となった[15][25][32]。これに乗じてインターネット上での転売価格が高騰したため、そのことに対する作者からの警告も寄せられている[33][15]。なお作者である得能自身は、このコマ自体は次の場面のための繋ぎとして描いたもので[24]、特に上手く描けたコマという訳でもなく[34]、人気はラッキーパンチに過ぎなかったと述べており[24]、また今後も本編の中で登場人物に「がんばるぞい」という台詞を言わせる予定はないと語っている[35][36][25]。ただし作品外においては、SNS上での流行に乗る形で「がんばるぞい」のフレーズが宣伝として用いられることもあり[24][35]、発端となった場面が2016年7月25日放送のテレビアニメ版第4話にて映像化された際には、原作者の得能自身もTwitter上で、この場面にちなんだイラストを公開した[37]。また、テレビアニメ版のオープニング映像では台詞こそないものの、「がんばるぞい」の場面の両手を握り締めるポーズが多用されている[38]。なおテレビアニメ版本編では、この台詞は原作に沿った形で映像化されており、原作同様に全話を通して一度きりの台詞という扱いとなっている[30]。テレビアニメ版で声優として主人公の涼風青葉役を演じた高田憂希は第4話の収録に当たり、これが人気の台詞であることを意識して収録前に何度も練習していたものの、本番は1回でOKが出るなど、拍子抜けするほど淡々としたものであったと語っている[30]。
2014年10月に発売された『まんがタイムきららキャラット』2014年12月号では初めて表紙・巻頭カラーに登場し[28]、未アニメ化作品としては10年ぶりに単独で表紙を飾った[注 5]。これも「がんばるぞい」が流行した影響で重版を繰り返したため、急遽決まったものであったという[39]。なお、本作のテレビアニメ化が発表されたのは、翌年の2015年10月[32]である。
作者の得能は、単行本の第1巻がイレギュラーな話題性で売れたため、第2巻以降が売れるかどうかには不安もあったと回顧しているが、第2巻は多めに部数を用意したにもかかわらず、発売翌日に重版がかかったという[40]。
2016年12月2日には、アニメ流行語大賞2016で「今日も一日がんばるぞい!」が銅賞を獲得したことが報じられた[41]。
主人公が春に入社する場面から物語が始まり、そこから年単位の時間が経過していく。主人公には「キャラクターデザイナーになる」という明確な目標が設定されており[11]、第3巻では目標が成就するものの、物語はそこでゴールとはならず、実はその役職についてからが真の苦労を味わうスタートラインであるという展開が用意されている[42]。第5巻の「THE SPINOFF!」は、主人公が就職する前の1年間を描いた前日譚で、本編冒頭で主人公がどのような心境で入社したのかをテーマに描かれた[43]。
本項では単行本第9巻のあとがきで「DDB編」「FS4編」と表記したこと[44]を参考に、主人公達が開発を行ったゲームソフト、および前日譚に分けて記載する。
主人公の涼風青葉は高校を卒業後、小学生の頃から好きだったコンピュータRPG『フェアリーズストーリー』(以下『FS』)シリーズを制作しているゲーム開発会社「株式会社イーグルジャンプ」にグラフィッカー[45]として就職する。若い女性ばかりで友好的な雰囲気のチームに配属された青葉は、彼女にとって憧れであり目標だった[46]キャラクターデザイナー兼キャラ班リーダーの女性、八神コウの部下として働くことになるが、仕事のことには自分にも他人にも厳しく有能なのに、私的な事柄になるとルーズなコウの言動に困惑する。絵を描くのは好きだがゲーム制作の経験はない青葉は、既に開発後半に差し掛かっていた最新作『フェアリーズストーリー3』(以下『FS3』)の仕事で端役キャラクターのモデリング作業を任され、慣れないビジネスマナーや3DCGに悪戦苦闘しつつも、アートディレクター(以下AD)の遠山りん、青葉と同じキャラ班の滝本ひふみや飯島ゆん、モーション班の篠田はじめ、プログラマー班の阿波根うみこら先輩社員たちの協力や叱咤を得て、グラフィッカーとしてのスキルを磨いていく。かつて周囲と対立しながらキャラクターデザイナーの地位を勝ち取ってきたコウは、青葉の出世欲の弱さを不安視するが[47]、青葉は持ち前のコミュニケーションスキルを発揮して周囲と打ち解けていき、過去のコウとは異なった道を歩み始める[48]。また先輩社員たちも、青葉と打ち解け合ったりする中で彼女に触発されて自分を見つめ直す。
やがて、『FS3』の納期に向けてスケジュールが厳しくなっていく中、青葉の様子を心配した親友の桜ねねがデバッグチームのアルバイトにやって来る。ねねは常識の欠如や[49]、青葉のプロ意識とのずれ[50]が元で幾度かトラブルを起こしつつも、正社員たちとの交流を経てゲーム制作に興味を抱くようになる。
その後、『FS3』は発表会を経て無事に発売日を迎え、打ち上げの祝賀会が開かれる。祝賀会の中でコウはディレクターの葉月しずくから次回作ではプロデューサーにステップアップすることになったりんの代わりにADに指名されるも、過去に人間関係で失敗したことのあるコウはAD就任を固辞してしまう。しかし、しずくからコウの過去を聞かされた青葉は、コウにサインを求めると共に感謝と励ましの言葉を掛ける。青葉から自分自身への信頼を寄せられたコウは、少し自信を取り戻すことが出来たのだった[51][34]。
『FS3』の祝賀会と社員旅行を終えた後、しずくはプロデューサーにりん、ADにコウ、キャラ班リーダーにひふみ、プログラムチーフにうみこという新体制[52]の元、次回の新規タイトルとなるアクションゲーム『PECO』に向けた企画を立ち上げる。青葉もキャラコンペ[注 6]にデザインを提出するが、落書きで付け足したアイデアが思いがけずゲームの基幹として採用されたことで、それまで憧れであり頼れる上司であったコウとキャラクターデザイナーの地位を巡ってぎくしゃくする局面を経験し、青葉が今まで憧れて目指してきた夢とは、今その立場にいるコウを蹴落として成就するものであるという現実に直面する[53]。その一方、コウも、かつて青葉の入社以前に挫折を経験した過去に向き合い、また青葉の目標として追われる立場からの葛藤を味わう。結果的には青葉とコウは衝突を避けて協力し、共同でのメインキャラクターデザイナーという道を選ぶが[54]、青葉は「ゲーム会社に就職してキャラクターデザイナーになる」という夢が叶ってから見えてきた新しい目標を自覚する[55]。青葉の同僚たちもまた、それぞれの抱える課題に向き合いながら、ステップアップを目指していく。
『PECO』は出資会社(パブリッシャー)の芳文堂からの期待も集めることとなり、青葉は周囲との相談を密にすることによって実力不足を補いながら[56]、入社から1年を迎えて周囲からも貢献を評価されていく。しかし高まった期待は『PECO』を失敗のできないプロジェクトにしてしまい、芳文堂側プロデューサーの大和・クリスティーナ・和子は無名の青葉ではなく知名度の高いコウにキービジュアルを描かせることで、コウを前面に立てた商業戦略を立てなければ開発予算に見合った宣伝効果を見込めないという、制作チームにとって不本意な決断を余儀なくされる[57]。コウは決定に憤るが、青葉は自分たちが納得するためにも、コウとキービジュアルを賭けてもう一度コンペで勝負させて欲しいと申し出て[58]、青葉の意気込みを汲んだコウも全力で応じる[59]。結果的に青葉はコウとの圧倒的な実力差に打ちのめされ[60][注 7]、脚光の当たらない内部デザイナーという立場に甘んじる結果となる。しかし、『FS3』のアルバイトを終えた後も自主的にプログラミングを勉強し[62]、うみこの計らいによって契約社員[63]として採用されてきたねねから「大出世」と評され、心を救われる[64]。
ねねの採用と時を同じくして、青葉の所属するチームもゲーム専門学校からグラフィッカー兼キャラクターデザイナー志望の望月紅葉とプログラマー志望の鳴海ツバメを研修生として受け入れることになる[65]。青葉は紅葉からライバル視されることで、後輩から目標として意識される立場となる[66]。プログラマー班に配属されたねねも、就職内定を狙う意識の高いツバメから真剣さの度合いを問われて険悪な関係となるが[67]、共に危機的状況を乗り切ったことで和解する[68]。紅葉とツバメもまた先輩たちとの交流や対立、和解を経て成長し、イーグルジャンプへの正式採用を勝ち取ることに成功する[69][70]。一方、コウもまた青葉に触発され、現状に満足せず更なる高みを目指したいという想いから[71]、今の職場を離れる覚悟を固めていく。やがて『PECO』が完成を迎えた際のイベントの場で、コウは青葉をステージ上に引き上げ、公衆の前で「期待の若手」として紹介する[72]。『PECO』は最終的に、パッケージ裏面にてコウに続いて青葉の名前を併記した形で発売される[73]が、コウはいつか青葉たちの元に戻ってくることを約束して、クリスティーナの妹が勤めるフランスのゲーム開発会社へと出向する[74]。
物語は青葉がイーグルジャンプに入社する前年、ゲーム『フェアリーズストーリー2』(以下『FS2』)の設定資料集[注 8]が発売された日に遡る。高校3年に進級し、ゲームのキャラクターデザイナーになる夢を恥じらいながらも諦められない青葉は、進路希望調査の稚拙な回答を親友のねねに目撃され、まずは美術大学に進学し、そこからゲーム会社へ就職するという現実的な進路を提案される。美大受験について質問するために美術教師の元を訪れた青葉は、廃部寸前の美術部をひとりで切り盛りする星川ほたると出会い、優れた美術の技量を持ち恥じることなく将来の夢を語る彼女に感銘を受ける。青葉はねねと共に美術部に入部し、ほたるに倣って美大受験のための美術を学び始める。
季節が巡る中、青葉とほたるは部活や学校生活や合宿を通じて絆を深め、互いに影響を受けながら精神的にも成長し、技術を磨いていく。他人と対立することを避けがちだったほたるは、青葉との交流を経て、面と向かって言いづらかったことも指摘できるようになる。一方で、ねねの画力は美大合格レベルには程遠く、3人揃って同じ大学に進学することはできないという現実にも直面する。3人は互いに友情を確認しつつもそれぞれの進路を固めていくが、あるときねねは青葉が、ほたると同じ美大に進学してから就職するという進路にとらわれすぎていることを指摘する。青葉はねねが示した『FS2』の設定資料集[注 8]を読み返し、憧れの人である八神コウが、高卒ですぐにキャラクターデザイナーに抜擢されていたことを初めて知る。青葉は、自分にコウのような才能はないと考え、高卒からの就職試験をためらうが、ほたるは青葉が才能の有無を言い訳にしていることを指摘する。青葉は考えを改め、ねねやほたるの「不採用でも大学卒業後にまた再挑戦できるのだから、記念受験だと思えばいい」という助言にも後押しされ、美大受験と就職試験を併願することにする。
面接日に、待合室で時間を待たされていた青葉は、正体を隠して面接本番前に現れたコウ本人と人事担当者の葉月しずくから、高卒で就職に挑戦する理由を尋ねられ、友人たちに背中を押されてここに来た経緯と自分の意気込みを、恥じることなく語る。青葉は直後の面接本番でしどろもどろになって失敗してしまうが[注 9]、しずくの目には留まり、結果的にはほたると一緒の美術大学の合格発表と同時にイーグルジャンプの採用通知も受け取る。夢か友情かという選択を迫られた青葉は就職を選択し、ほたるとねねもそれを祝福する。本編冒頭の場面に戻ってエピソードが終わる。
『PECO』の発売後、しずくは次回作の構想を数年掛けて練ることとなり[76]、青葉達のチームは他チームのヘルプがメインとなっていた[77]。『PECO』から企画の仕事にも携わるようになったはじめは数々の新企画を持ち込むも、ボツをもらう日々が続いていた[78]。業を煮やしたはじめは青葉達と共に会社には無断で、自分の企画のひとつであるドッジボールゲームを作り始める[79]。やがてりんからも正式にゲーム試作が認められ、ドッジボールゲームのテスト版は完成する[80]。そして、最終的にはクリスティーナの了承も得ることに成功し、はじめがディレクターを務める新作『デストラクションドッジボール』(以下『DDB』)の開発が決定する[81][注 10]。青葉、ゆん、紅葉の3人は『DDB』のキャラコンペに参加し、その結果、紅葉が『DDB』のキャラクターデザイナーに決定する[83]。一方、コンペに敗れたゆんはADに就任し[84]、青葉は先輩として紅葉のサポートをしつつ[85][86]、モデリングの仕事[87][88]やねねと共にUIの開発に携わるようになる[89]。
その頃、渡仏したコウはクリスティーナの妹でゲームディレクター[90]の大和・カトリーヌ・十和と中学生[注 11]の大和・ソフィー・和音の家にホームステイしつつ、フランスのゲーム会社「ブルーローズ」でカトリーヌの下で働いていた[92]。そして先生になるか絵のお仕事をするか迷っていたほたるも大学を休学して[93]、コウと共にカトリーヌの家で暮らしつつブルーローズで働くことになる[94]。そしてコウとほたるはブルーローズの新作ゲーム『ユートピア』[95]の最重要モンスター「キングズハンド」のデザインを巡って競い合うことになる[96][97]。またソフィーは『PECO』にハマった[98]ことがきっかけで青葉のファンとなり[99]、自らもキャラクターデザイナーになることを決意する[100]。そんな時、コウはカトリーヌから正式にブルーローズに入社することを要請される。イーグルジャンプを辞めるか否か迷うコウだったが、ほたるやソフィーとの会話の中で自分が本当にやりたいことを自覚し、イーグルジャンプに戻ることを決意する[101]。日本への旅立ちの日、コウの部屋には自らが描き上げたキングズハンドの完成画が置かれ[102]、最終的にはコウのデザインが採用されることになった[103]。
一方、『DDB』は開発も終盤に差し掛かった頃、現状のクオリティに納得がいかなかったはじめは大規模な仕様変更を決意する[104]。しかし、クリスティーナが『DDB』と同時期に芳文堂から発売される『ダイナギアーズ』(以下『ダイナ』)を警戒して発売延期に反対したため、発売日は当初予定のままで仕様変更が行われる。その結果、ゲームそのものは面白くなったものの[105]、開発状況は炎上状態に突入。キャラ班と企画班の負担が圧迫される[106]と共に、外注会社に頼んだキャラモデルの品質も著しく低下してしまい、青葉達は仕様変更を諦めるか否かの決断を迫られることになってしまう[101]。しかし、イーグルジャンプに戻ってきたコウがクリスティーナを説得したことで2か月の発売延期が決定。また問題視された外注の品質もコウのサポートによって大きく改善したことで、『DDB』は無事にマスターアップを迎えることが出来た[107]。『DDB』の売上自体は『ダイナ』の半分以下だったものの、利益率の面では『ダイナ』に負けない数値を出すことに成功したのだった[108]。
『DDB』の発売後、『DDB』開発の裏でしずくが構想した『フェアリーズストーリー4』(以下『FS4』)の開発がスタートする。コウは自らADに志願すると共に、キャラコンペを行わずに青葉を『FS4』のキャラクターデザイナーに指名する[107]。青葉はコウの指示の元で主役のキャラデザを行うもののコウが思い浮かべるイメージをなかなか表現出来ず、コウもまた青葉に対して自分のイメージを明確に指示することが出来ずにいた。一度はスケジュール面の問題からコウが妥協を余儀なくされる寸前までいったものの[109]、青葉が土壇場でコウをモデルにしたキャラデザを描いたことでコウを含めた全員が納得出来るキャラデザとなった[110]。そしてこれをきっかけに主役以外のキャラデザもイーグルジャンプの開発メンバー達をモデルに描かれることが多くなった[111][112][113][114][115]。一方、ほたるも大学中退とブルーローズへの正式入社を決意し[116][117]、『ユートピア』のパッケージイラスト担当の座を勝ち取ることに成功した[118]。
順調に開発が進む『FS4』だったが、青葉によるキービジュアルの話が動き始めた頃、芳文堂から「『ダイナ』に資金を集中する」という理由で一方的に出資が止められてしまい、開発中止の危機に陥ってしまう[119][120]。りんとクリスティーナは開発続行のため奔走し、その中でクリスティーナはカトリーヌにブルーローズによる『FS4』への出資をお願いし、カトリーヌも了承する[121]。そして『FS4』のタイトルが使用出来ないかもしれないという問題点を残しつつも[122]、ブルーローズからの出資が行われることになり開発続行が決定する[123]。
しかし、カトリーヌはこれまでキャラコンペで勝ったことがない青葉をコンペなしでキャラクターデザイナーに選んだことを問題視し、出資の条件として『FS4』のキービジュアルを青葉ではなくほたるに描かせることを要求する。結局はコンペでキービジュアルを決めることにはなったものの、青葉はコウから完全に信用されていなかったことへのショックと、天才のほたると絵で争うこと対する自信喪失が原因で会社に来なくなってしまう[124][125]。しかし家に押しかけてきた紅葉の叱責によって自信を取り戻し、コンペへの参加を決意する[126]。そしてコンペ当日、青葉はほたるが描いたものを上回る出来のキービジュアルを発表し、カトリーヌにも認められた上でキービジュアル担当を勝ち取る[127]。最終的に『FS4』は芳文堂とブルーローズの共同出資という形で『フェアリーズストーリー4』として[128]世に出され、大ヒットを記録することになった[129]。
そして『FS4』の発売から数年後、成長したソフィーがイーグルジャンプに入社し、AD兼キャラクターデザイナーとなった青葉のチームに入るところで本作の物語は幕を閉じる[130]。
本作の主な登場人物はほとんどが女性で[注 12]、男性の多くは一部の劇中ゲームキャラクターや動物(ペット)などの例外を除いて名前などの個性が描写されず、端役としてのみ登場する。本作は百合(女性同士の同性愛)ジャンルの漫画として受け取られることもあるものの[132]、作者の得能は、意図的に百合として描いている遠山りんと八神コウの関係性を除けば、他は友情のつもりで描いているとしている[132]。主要な登場人物の名前は姓が漢字・名が仮名という命名規則で統一されているものの、主人公の涼風青葉は字面を優先したため姓も名も漢字表記となっており[8][注 13]、また劇中2年目に登場する望月紅葉も、やがて青葉にとって重要な立ち位置となっていくことを示すために、対になる名前が与えられている[133]。登場人物の服装は、キャラクター紹介ページやイラストではお洒落に、本編中は勤務中であることを意識して、やや野暮ったくも可愛らしい服装という匙加減を意図して描き分けられている[134]。
テレビアニメ化の際には、主要な登場人物の誕生日やABO式血液型、身長、食べ物の好き嫌い、出身地の都道府県といったプロフィールが設定され、アニメ版公式サイトで公開された。年齢は劇中で年齢が明かされた時点でのもの。「声」はテレビアニメ版で役を担当した声優。
役職の欄の「FS」「DDB」はそれぞれ「フェアリーズストーリー」「デストラクションドッジボール」の略称である。
主な登場人物はゲーム会社・イーグルジャンプのグラフィックチーム[135]に所属しており、その関係の中で物語が進行する。
劇中2年目の第4巻51話では端役として登場し、面接を受けに来ている様子が描かれる[292]。第6巻53話以降は東京ゲーム専門学校からのインターンシップという形でイーグルジャンプに入社し[293]、青葉にとって初めての後輩となる[294]。いずれもゲーム専門学校の生徒としては優秀と評されるだけの技術を習得している[295]。後に正式採用が決定し[69][70]、専門学校卒業後は正社員となっている[296]。
テレビアニメ版では、劇中に登場するペットの鳴き声を演じる声優は、すべて飼い主と一人二役となっている[351][352]。
青葉が入社1年目に関わることになる劇中ゲームソフト。かつて葉月が初めてディレクターを務めた『フェアリーズストーリー』シリーズ1作目は社内での期待が低く、開発予算もほとんど割り当てられなかったが[58]、当時は新人であったコウをメインキャラクターデザイナーに抜擢するなどの思い切った人選が行われ[58]、発売後は話題作となり[366]、当時まだ小学生であった青葉に「キャラクターデザイナーになる」という夢を抱かせた。また、シリーズ2作目の『フェアリーズストーリー2』は青葉が高校3年生に進級した頃に設定資料集[注 8]が発売され[367]、コウにとって過去の挫折に関わる作品として幾度か言及されている。『フェアリーズストーリー3』はシリーズ3作目の続編という設定で、青葉より1年先輩のゆん、はじめもこの作品の開発期間中に入社したと言及されている[233]。
劇中ゲームのキャラクターは3DCGで描かれているという設定で、本編の主要登場人物のうち青葉のいるブースの4人は、主にモブキャラクターやモンスターのモデリングやモーション付けを行っている。本編のテレビアニメ版では実際に3DCGで描かれたゲームキャラクターが描写されているほか、第11話では劇中ゲームソフトのオープニングムービーという体裁でアニメ化されて登場している。劇中オープニングムービーでは内容は本編原作で語られた断片的な情報を膨らませて、典型的なファンタジーを意識したストーリー性が持たせられているほか[368][注 54]、同じく第11話では劇中で出版されたコウへのインタビュー記事という体裁で、劇中ゲームソフトのストーリーに言及した記述が画面に映り込むカットがある。
『フェアリーズストーリー3』に続いて青葉たち制作に関わる劇中ゲームで、続編ではない新規のタイトル。ステージクリア制のアクションゲームであるという設定[238]。ディレクターとして続投する葉月を筆頭に、『フェアリーズストーリー3』に関わった制作スタッフを引き継ぐ。青葉の思いつきがゲームコンセプトに関わるアイデアとして採用され、本編で彼女と親しい同僚たちも重要な仕事を任されている。ゲームのバックストーリーは『不思議の国のアリス』をモチーフにしたものとなっている[390]。
青葉たちが働くゲーム会社「株式会社イーグルジャンプ」は、東京都[249]の都市部に所在しているという設定になっている。原作では具体的な地名に触れる場面こそないものの、青葉が阿佐ケ谷駅(東京都杉並区)で下車して南口経由で出勤していると解釈できる描写があり[410]、テレビアニメ版では原作の描写に沿う形で具体的な駅名にも言及されているほか[410][注 56]、劇中に登場する勤務先周辺の店や風景も阿佐ケ谷駅周辺でロケハンされている[412][410]。イーグルジャンプはゲームの制作部分を担当するデベロッパー企業で、劇中ゲーム『フェアリーズストーリー』や『PECO』は「芳文堂」というパブリッシャー企業が出資を行っているという設定となっている。劇中ではイーグルジャンプは「大きな会社ではない」[413]と言及されているが、劇中の描写からは中小企業の規模ではないと解釈できるものもあり[31]、一般向けのテレビゲームを複数開発する規模の企業であることが描写されている[31]。
社内の入退場および出退勤の記録はすべてIDカードで記録されている[157]。テレビアニメ版では、正規の勤務時間は10時00分から19時00分(実働8時間)という設定[注 57]。劇中の登場人物はほとんどが女性だが、男性の社員もいることが言及されている[276]。チームを率いるディレクターが人事に関して決定権を持っており[276]、実力や相性を考慮したチーム分けがされている[203]。青葉の所属するチームが女性ばかり[278]なのは、ディレクターの葉月の「失敗を許容できるような可愛い子を部下にしたい」という意向や[261][276]、要職にあるコウとりんの人間関係を考慮した結果であることが示唆されているが[203]、男性中心のチームもある[276]。なお、新入社員の採用は不定期であると言及されており[413]、人材の募集は通年で行っている[414]ほか、未経験者の採用にも積極的である[注 57]。青葉が入社した年の採用は、青葉のみであった[413]。
社員の労働環境については、正社員とアルバイトでは賃金形態が異なるとされ、時給制となっているアルバイトが正社員と同じように残業や休日出勤を繰り返すと、正社員と給料の額が逆転してしまうという言及がある[415]。テレビアニメ版では正社員が月給制、アルバイトが時給制とされている[注 57]。正社員は睡眠時間を削っての夜遅くまでの残業が多く、マスターアップ(ゲームの完成)が近づくと泊まり込みの作業もあるという描写がされており[31]、劇中では遠回しに「ブラック企業ではないか」というニュアンスの指摘をされる場面もある[416][31]。ただし、昇級や有給休暇の制度が健全に機能している描写もあるため、ゲーム会社という特殊性も加味すると、劇中で描かれる労働環境の善悪は読者の解釈が分かれるものとなっている[31]。また、マスターアップを迎えた後には有給休暇をまとめて消化する描写がある[417]。
なお、本作の作者である得能はゲーム会社の取材に際し、知人が在籍する3DCGモデリング会社の株式会社フライトユニット(東京都杉並区)から取材協力を得ており[418]、登場人物たちのデスクの上の光景や[418]、社員の採用基準[419]、(テレビアニメ版での)猫のいる職場環境[420]などの設定に反映されている。デスク周りの光景はテレビアニメ版で詳細な設定が作られ、後に原作にも反映された[421]。また、テレビアニメ版の劇中において、本編の登場人物たちが3DCGを制作している劇中ゲームキャラクターも、フライトユニットがモデリング協力している[422][418][423]。ただし、フライトユニット代表の松本浩幸(安堂ひろゆき)[424]によれば、取材が反映されているのは部分的な要素であり、フライトユニットがそのまま劇中ゲーム会社のモデルとなっているわけではなく[420]、細かくパーティションで仕切られて社員が女性ばかりという社内風景などは、現実のフライトユニットの社内風景と異なっているとされる[420]。
本作では、ゲーム開発を取り巻く環境については普遍的な内容に徹する方針で描かれており[7]、劇中で用いられている開発環境については明確な描写が少ないものの、第4巻にはAutodesk社の3Dモデリングソフト「Maya」のスクリプト言語であるMEL(Maya Embedded Language)に言及する場面がある[211]。なお、テレビアニメ版では「Maya」の市販教本『Autodesk Maya トレーニングブック3』の出版元のボーンデジタル社が協力しており[425]、ソフト名こそ実名ではないものに改変されているものの、前述の教本などソフト関係の書籍が、何種類か実物の装丁や丁割(ページレイアウト)で登場している。
漫画の中で実在の地名に言及される場面としては、第3巻36話、第5巻SP10話で青葉、ねね、ほたるが初日の出参りをするために高尾山(東京都八王子市)に登山する場面がある[注 58]。
「THE SPINOFF!」の副題で出版された第5巻は、全ページが書き下ろしのエピソードの[428]、主人公である青葉の学生時代を描いた外伝的な作品(前日譚)となっており、読者が時系列に沿って第1巻の前に読んでも差し支えない内容が意図されている[428][429]。当初はこれを「第0巻」として出版することも検討されていたものの、出版上のルールで実現しなかった[430]。単行本の目次は裏表紙カバー袖にあり、各話サブタイトルと第1巻から通しで振られたエピソード番号がつけられているが、外伝である第5巻には「SP」で始まるエピソード番号がつけられ、本編と区別されている。
B5判の完全版『NEW GAME! -Complete Edition-』が2023年11月から刊行されている[431]。
電子書籍版は2015年3月13日、コミックシーモアが他の電子書籍ストアに先駆けて、単行本第1巻を独占先行配信するという形で開始された[433][6]。その後は他の電子書籍ストアでも販売が行われている。
テレビアニメ1期は2016年7月4日から9月19日までAT-X・TOKYO MXほかにて放送された[437]。
テレビアニメ1期の続編として第2期『NEW GAME!!』がAT-X・TOKYO MXほかにて、2017年7月11日から9月26日まで放送された[438]。
『NEW GAME! -THE CHALLENGE STAGE!-』(ニューゲーム ザ チャレンジステージ)のタイトルで5pb.より2017年1月26日に発売された。対応機種はPlayStation VitaとPlayStation 4、ジャンルはアドベンチャー。
「フェアリーズストーリー3」の予約が好調なことから追加ストーリーをダウンロードコンテンツとして制作することになり、そのアートディレクターとなったという設定の青葉たちのストーリー。
育成パートでは青葉を育成する。会社の先輩に仕事を教わることで青葉の能力が上昇していく。誰から教わるかによって青葉の能力値が変化する。育成パートの合間にはアドベンチャーパートがあり、ここでは他のキャラクターとの会話イベントとなる。会話の選択肢によって、親密度が変化する。ストーリーの後半ではキャラクターの個別ルートに進行する。個別ルートはゲーム完成後の社員旅行という設定で、様々なイベントが発生する。
2015年3月28日より叡山電鉄デオ720形723号車にラッピングやヘッドマークを施して運行、出町柳駅に青葉の等身大パネル[注 59]を設置[441]。テレビアニメ化決定後の同年10月28日よりヘッドマークデザインを変更している[442]。その後、2016年5月3日からはテレビアニメ化を記念した新ラッピング車両を運行[443]、2017年4月からは再度ヘッドマークデザインが変更された[444]。いずれも期間限定。
2016年にはコラボ1日乗車券・特別入場券が2か月連続(第1弾:8月27日、第2弾:9月18日)で発売された[445][446]。
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