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ウエスト・サイド物語 (映画)

1961年のアメリカのミュージカルドラマ映画 ウィキペディアから

ウエスト・サイド物語 (映画)
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ウエスト・サイド物語』(ウエストサイドものがたり、West Side Story)は、ロバート・ワイズジェローム・ロビンズ監督の1961年アメリカミュージカルロマンスドラマ映画。原作はシェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』を元にした、1957年にブロードウェイで上演された同名のミュージカルである。本作は、その映像権を映画プロデューサーのウォルター・ミリッシュが獲得し、映画化した作品である。ナタリー・ウッドリチャード・ベイマー主演。これにジョージ・チャキリスリタ・モレノらが加わり、「トゥナイト」「アメリカ」「マンボ」「クール」「マリア」など、映画の中で歌われる曲も多くの人を魅了して、サウンドトラック・アルバムも空前の売り上げとなった。

概要 ウエスト・サイド物語, 監督 ...
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ジョージ・チャキリス(中央)
予告編

アカデミー賞では作品賞をはじめ、ノミネートされた11部門中10部門を受賞し、この中には作品賞、監督賞とともにジョージ・チャキリスとリタ・モレノがそれぞれ助演男優賞助演女優賞を受賞した。またロバート・ワイズは4年後に『サウンド・オブ・ミュージック』でも監督賞を受賞している。

1961年10月18日ユナイテッド・アーティスツの製作・配給で全米で公開され、批評家、観衆からの絶大な支持を得て、その年のアメリカ国内第2位の興行成績となった。

そしてAFIアメリカ映画100年シリーズによると、アメリカ映画ベスト100では1998年に第41位、2007年に第51位、2004年のアメリカ映画主題歌ベスト100では『雨に唄えば』『サウンド・オブ・ミュージック』と並んで3曲が選ばれ、また2006年のミュージカル映画ベストでは『雨に唄えば』に続いて第2位(第3位が『オズの魔法使』、第4位が『サウンド・オブ・ミュージック』)となり、ミュージカル映画の代表作として評価は高い。

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ストーリー

要約
視点

ところはニューヨークウェストサイド・マンハッタンでは、ポーランド系アメリカ人少年で構成されている非行グループ・ジェット団は、最近になって力をつけてきたプエルトリコ系アメリカ人の非行グループ・シャーク団と、地元の唯一の広場であるビルの屋上運動場の占有権を巡って敵対関係にあった。一触即発の状況が続く中、我慢の限界を迎えたジェット団リーダーのリフは、シャーク団と決着を付けるため決闘を申し込むことに決め、元リーダーで親友のトニーを連れて中立地帯のダンスホールで開かれるダンスパーティーに出席する。そこでトニーは、初めてのダンスパーティーに期待で胸を弾ませていたマリアと出会い、2人は恋に落ちる。しかし、マリアはシャーク団リーダーのベルナルドの妹だったため、トニーはベルナルドの怒りを買ってしまう。

リフとベルナルドは決闘の詳細を決めるために、ドクの営むドラッグストアに向かう。一方、トニーは自宅に連れ戻されていたマリアと会い、彼女が働く洋服店で再会する約束を交わす。トニーはすぐさまドクの店に向かい、決闘の方法を巡って対立するリフとベルナルドに対して、一対一の素手による決闘を提案し、2人に承諾させる。しかし、双方とも決闘用にナイフを用意し、万が一の時にはグループ全員で戦うことを仲間と示し合わせる。

翌日、洋服店で再会したトニーとマリアは将来結婚することを誓い合う。その後、マリアは決闘を止めさせるようトニーに頼み、彼は決闘が行われている高架下に向かう。しかし、既に決闘は始まっており、トニーは必死に止めようとするがベルナルドは聞き入れず、ナイフを取り出して襲いかかる。それに対抗してリフもナイフを手に戦うが、トニーをかばってベルナルドに刺されてしまう。激怒したトニーもベルナルドを刺し殺してしまい、それをきっかけにグループ全員が戦い始める。やがて騒ぎを聞きつけた警察が到着したため、少年たちは散り散りになっていく。シャーク団のチノはベルナルドの復讐をするため、銃を手にトニーの行方を追う。建前上は復讐であったが、チノはマリアのことを愛しており、将来結婚する予定だったことからトニーを妬んでいたのである。

チノから兄が殺されたことを聞かされたマリアはショックを受けるが、謝りに来たトニーに「別れることは耐えられない」と応じ、トニーは「2人で街を出よう」と告げる。トニーはシャーク団から逃れるためドクの店に向かい、マリアも後を追おうとするが、ベルナルドの恋人アニタに彼と別れるように迫られる。マリアはアニタを説得してドクの店に行こうとするが、そこに警察が事情聴取に来たため、アニタに「到着が遅れることをトニーに伝えて欲しい」と伝言を頼む。アニタはドクの店に向かうが、そこにはジェット団が集まっており、トニーとの面会を断られたうえ、彼らに襲われる。トニーの逃走資金を持って来たドクに助けられるが、彼らの行動に激怒したアニタは「マリアは、トニーとの関係を知って激怒したチノに殺された」と嘘を言い放ち、店を出て行く。

ドクからマリアが死んだことを聞かされたトニーは絶望し、「早く殺しに来い」と叫びながらチノを探し出す。トニーは街を歩き回り、運動場でマリアと再会して駆け寄るが、チノによって射殺される。この時チノは、トニーを殺すか殺さないかを迷っていたが、マリアに駆け寄る姿を見て、射殺してしまったのだった。マリアはジェット団とシャーク団の双方に愛する人を2人も失った怒りをぶつけ、双方がこれまで起こしてきた愚かさや間違いを指摘し争うことの無意味さを語る。警察が駆け付ける中、ジェット団とシャーク団の少年たちがトニーの遺体を担ぎ運動場を出て行き、マリアも一人で運動場を後にする。

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キャスト

要約
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さらに見る 役名, 俳優 ...
  • TBS版1:初回放送1979年1月4日『資生堂 新春スペシャル』21:05-23:55 ※ノーカット放送
    • 資生堂の単独提供で放送。この放送のために4本のロングCMが制作された[3]
  • TBS新版:初回放送1990年12月12日『水曜ロードショー』21:00-23:29 ※DVDBD収録・正味約137分(一部原語音声・字幕対応)
    • 2014年5月10日、WOWOWにてカット部分を同一声優(一部は代役)で追加録音しノーカットにした「吹替補完版」が放送された[4]
  • テレビ東京版:初回放送1999年12月28日『20世紀名作シネマ』21:00-23:30

※2021年12月3日発売の「吹替の力」シリーズ『ウエスト・サイド 物語 日本語吹替音声追加収録版ブルーレイ』にはTBS版1、TBS版2(吹替補完版)の2種を収録[5]

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スタッフ

日本語版

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歌の吹替に関して

公開にあたり、主演俳優4人の歌唱部分は大部分が吹替えられることになった(歌唱者は以下の通り)。

吹替えた歌手の名前は映画本編でもサウンドトラック・アルバムでもクレジットされていなかった(現在販売されているものにはクレジットされている)。これは当時広く行われていた慣習であったが、後にいくつかの問題に発展した[6]

特に大きな問題となったのは、ナタリー・ウッド演じるマリアの吹替である。ウッドは自身の歌声が使われると信じて撮影を行っていたが、裏ではマーニ・ニクソンによる吹替が決められていた。撮影終了後に初めてこのことを知ったウッドは激怒したと伝えられる。そのため、ニクソンの録音はウッドの協力のない状態で行わざるを得ず、アップショットの場面を中心にウッドの歌い間違いの修正に苦心した上、最後のシーンでは「触らないで!」(“Don't you touch him!”)と「大好きよ、アントン」(“Te adoro, Anton.”)という台詞の吹替まで行うことになった。このことからニクソンは、サウンドトラック・アルバムの売上の一部を要求するに至ったが、配給会社もレコード会社もこれを聞き入れず、結局はバーンスタインが自主的に報酬の一部をニクソンに回すことで解決を図った。

他にも、アニタの吹替を担当したワンドが訴訟を起こし、サウンドトラックの売上の一部を受け取ることで和解している。

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受賞歴

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11部門でノミネートされ、うち10部門で受賞。なお、歌曲賞は、映画のための書き下ろしではないという理由でノミネートから外された[7]

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日本初公開

日本では1961年12月23日に丸の内ピカデリーなどの松竹洋画系で封切られた。当初は客の入りが悪くガラガラであったが、年が明けると連日満員となり、翌々1963年5月17日まで73週509日にわたる記録的なロングラン上映となった[8]。これは前年の『ベン・ハー』を凌ぐ記録で、2012年9月15日に公開された『祈り〜サムシンググレートとの対話〜』が1192日のロングラン記録を達成するまで更新されなかった。丸の内ピカデリーだけで興行収入4億4968万円を上げ、全ての上映館の最終的な配給収入は13億円の大ヒットとなった[9]

舞台版との違い

要約
視点

映画では舞台版から楽曲構成、歌詞などに相当の変更が加えられている。また、役名や役の位置づけにも一部変更がある[10]

役の大きな変更では、ジェッツの2番手にあたる役がアクションではなく「アイス」という役に変更されている。また、ファイティングシーンで戦うのも、ディーゼルではなくアイスに変更されている。アイスは常に冷静さを欠かさないクールな少年として設定されているため、トーンティングでのアニタの悲劇が起きる場面には彼の存在があってはならず、トニーを狙っているチノを探しに直前に外に出たため、ドラッグストアにはいない。彼の役を演じたタッカー・スミスは、来日公演ではリフを演じ、リフ役のタンブリンの歌唱部分も吹き替えとして担当した。他にグラジェラとヴェルマの位置づけが入れ替わっていたり、ブライダルショップのオーナーであるマダム・ルチアが登場したりといった変更がある。

楽曲の順序の入れ替えとして、ダンスパーティー後にシャークスを待つジェッツが歌う「クール」と、決闘後に同じくジェッツが歌う「クラプキ巡査どの」の位置が入れ替えられている。これに伴い「クラプキ巡査どの」はアクションではなくリフが中心となって歌い、「クール」は死んだリフに代わってジェッツを束ねるアイスが歌い、内容も「シャークスへの復讐にむけて冷静になれ」という意味を持ったものになっている。また、舞台版では決闘後(第2幕冒頭)に置かれている「素敵な気持ち」が2日目夕方のトニーとマリアの待ち合わせ前に移され、マリアたちがお針子をするブライダルショップでの情景に変更されている。これらの変更は明るい雰囲気をもった「クラプキ巡査どの」と「素敵な気持ち」を決闘前に、不気味で緊張感の高い「クール」を決闘後に移すことで、決闘を挟んでの物語の暗転をよりくっきり描き出す効果を得ている。

また、ダンスパーティー後のナンバーである「トゥナイト」と「アメリカ」の順番が入れ替わっている。「アメリカ」は舞台版では女たちだけの歌であるが、映画ではアニタ率いる女たちとベルナルド率いる男たちが対抗して歌い、歌詞もベルナルドたちがアメリカの欠点を数えあげる、より社会批判的な内容に変えられている。

その他の楽曲構成の変更として、舞台版の序曲では「どこかへ」の旋律が現れるが、映画版では「マリア」の旋律に変えられ、続く「プロローグ」も舞台版より拡大されている。また、舞台版では第2幕前半にあって全員のダンスを含む「どこかへ」のシークエンスは歌の前後が大幅にカットされ、歌はトニーとマリアのデュエットで歌われる(オリジナルでは舞台裏の女声が歌う)。「体育館でのダンスパーティー」はリフ役のタンブリンのアクロバットを見せるために拡張されている。また「あんな男に/私は愛している」は「あんな男に」後半のデュエット部分がカットされ、マリアのソロからそのまま「私は愛している」に移行するほか、「ひとつの心」でも若干のカットがある。

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備考

  • 映画の大部分はロサンゼルスに作られたボリス・レヴィン設計によるセットで撮影された。ただ、映画冒頭の一連のシーンはニューヨークの、現在はフォーダム大学リンカーン・センターキャンパスが建っている一角で撮影された。舞台版監督のロビンスは音楽シーン、ダンスシーン、ファイトシーンの全責任を負っていたが、撮影が60パーセントほど進んだ時点で予算超過を理由に解雇された。彼の最後の仕事は決闘場面の演出書きであった[11]
  • マリアのバルコニーは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのニューヨーク・エリアで再現されている。
  • 日本の映画監督石井輝男は同作を非常に気に入っており、監督作『網走番外地 悪への挑戦』や『暴走』シリーズなどに影響が見られる。
  • マイケル・ジャクソンの「今夜はビート・イット」のPVは本作がモチーフとなっている(原題"Beat It"は本作中のセリフに由来)。
  • 第56回アカデミー作品賞を受賞した映画『愛と追憶の日々』において「クラプキ巡査どの」が流れるシーンがある。その際「ムードのない音楽」と批評される。
  • 冒頭のシーンでジェッツからバスケットボールを受け取る黒いシャツの少年は、クリストファー・カルキンである。
  • ラストシーンでマリアが人々を見渡す際、マリアのペンダントの位置がカットによって変化する。
  • 劇中で履かれていた黒のローカットのバスケットシューズが注目を集めたが、この靴は日本ゴム(現・アサヒコーポレーション)製のものであった。アメリカから逆輸入される形で、日本でも若者に愛用されるようになっていった。
  • オープニングタイトルはソール・バスがデザインし、リンウッド・ダン英語版が撮影、製作した。1994年ディスカバリー・チャンネルが放送した『ムービー・マジック』第1シーズン第2回では、ダンがタイトル素材を撮影する様子が短く紹介されている。
  • オープニングタイトル最後、ズームバックでタイトルロゴが現れる直前「オレンジ」(DVDまでの順番)と移り替わる背景色が、製作50周年を記念し修復が施されたBDでは「=暗転 → 青」に変更された。独自に大面積フィルムからマスターを起こしNHK2020年BS8Kで放送した8K版では暗転無しに戻ったが、BSプレミアムでの放送はBD用のマスターに依拠しており、暗転がみられる。
  • 劇中音楽「Cool」などでピアノを演奏しているのは、当時ジャズピアニストでのちに映画音楽作曲家として有名になるジョン・ウィリアムスである。
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リメイク

2021年、スティーヴン・スピルバーグ監督でリメイクされる[12]

脚注

外部リンク

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