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ビブリオバトル

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ビブリオバトルBibliobattle)は2007年に京都大学から広まった輪読会・読書会。「ビブリオ(書籍)」+「バトル(戦い)」の名のとおり、参加者はそれぞれ自分が推薦する本をプレゼンテーション式に紹介し、討論のように競わせるという方式を特徴とする。

歴史

2007年京都大学大学院情報学研究科共生システム論研究室の谷口忠大によって考案された。2008年に谷口が立命館大学助教となると、研究室の有志によって運営が続けられた。その後、京都大学総合人間学部大阪大学[1][2]など各地に広がっていった[3]。共生システム論研究室では、開始当初からYouTubeを用いた各発表の公開が行われていた。

2010年ビブリオバトル普及委員会が発足した。また、同年から大学生・大学院生を対象にしたビブリオバトル首都決戦(2014年から全国大学ビブリオバトルへ改称)を開催した。

2012年6月にビブリオバトル春のワークショップを開始した(これ以降毎2017年まで継続)。同年11月にNPO法人知的資源イニシアティブ(IRI)が企画・運営するLibrary of the Year 2012の大賞を受賞した[4]

2013年文部科学省「第三次子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」にビブリオバトルが掲載された[5]。これを受けて、学校教育への導入がより進むようになった。また、これ以降は全国の自治体が策定する「子ども読書読書活動推進計画」への文言掲載も進むようになった[6]

2014年全国高等学校ビブリオバトルを開始した。同年12月にビブリオバトル・シンポジウム2014を開催した[7]

2016年Bibliobattle of the Yearを開始した。同年9月に第10回高橋松之助記念文字・活字文化推進大賞特別賞を受賞した[8]。同年12月27日に一般社団法人ビブリオバトル協会を設立した[9]

2017年全国中学ビブリオバトルを開始した。

2018年の文部科学省「第四次子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」にビブリオバトルが掲載された[10]

2020年2021年全国大学ビブリオバトルコロナウイルス感染症の影響で中止となり、代替大会として大学ビブリオバトル・オンライン大会を開催した[11][12]

2021年Bib-1グランプリ2021を開催した[13]

2023年の文部科学省「第五次子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」にビブリオバトルが掲載された[14]

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公式ルール

ビブリオバトル公式ルール[15]

  1. 発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。
  2. 順番に1人5分間で本を紹介する。
  3. それぞれの発表の後に、参加者全員でその発表に関するディスカッションを2〜3分間行う。
  4. 全ての発表が終了した後に、「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員が1人1票で行い、最多票を集めた本をチャンプ本とする。

公式ルールの詳細

  1. 発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。
    1. 他人から推薦された本でも構わないが、必ず発表参加者自身が選ぶこと。
    2. それぞれの開催でテーマを設定してもよい。
  2. 順番に1人5分間で本を紹介する。
    1. 5分間が経過した時点でタイムアップとし、速やかに発表を終了すること。
    2. 発表参加者はレジュメやプレゼン資料の配布などはせず、できるだけライブ感をもって発表すること。
    3. 発表参加者は必ず5分間を使い切ること。
  3. それぞれの発表の後に、参加者全員でその発表に関するディスカッションを2〜3分間行う。
    1. ディスカッションの時間では、発表内容の揚げ足を取ったり、批判的な問いかけをしてはならない。発表内容で分からなかった点の追加説明を求めたり、「どの本が一番読みたくなったか?」の判断に必要な質問を心がけること。
    2. 参加者全員が、お互いにとって楽しい場となるよう配慮すること。
    3. 質疑応答が途中の場合などはディスカッションの時間を多少延長しても構わないが、当初の制限時間を大幅に超えないように運営すること。
  4. 全ての発表が終了した後に、「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員が1人1票で行い、最多票を集めた本をチャンプ本とする。
    1. 発表参加者も投票権を持つ。ただし、自身が紹介した本には投票せず、他の発表参加者の本に投票すること。
    2. チャンプ本は参加者全員の投票によって民主的に選ぶ、一部の参加者(司会者、審査員、教員など)に決定権が偏ってはならない。

参加者は発表参加者、視聴参加者からなる。参加者全員という場合にはこれらすべてを指す。

公式ルールの文言改訂

2021年11月のビブリオバトル普及委員会理事会にて文言改訂案が承認・決定され、2022年4月1日から現行の公式ルールが施行された[16]

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全国大学ビブリオバトル

要約
視点

概要

日本全国の大学生・大学院生によるビブリオバトルの祭典。2010年から2013年までは東京都の主催により、ビブリオバトル首都決戦として開催された。

2014年からは主催者が活字文化推進会議(主管:読売新聞社)に移り、全国大学ビブリオバトルの名称へ変更された。

2020年2021年新型コロナウイルス感染症の流行により、従来から続く全国大学ビブリオバトルは中止となったが、代替大会として大学ビブリオバトル・オンライン大会が開催された。

開催情報

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全国高等学校ビブリオバトル

概要

2014年に始まった日本全国の高校生によるビブリオバトルの祭典。

新型コロナウイルス感染症の流行により、2020年度の第7回全国高等学校ビブリオバトルは開催中止となった[32]

開催情報

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全国中学ビブリオバトル

概要

2017年に始まった日本全国の中学生によるビブリオバトルの祭典。

新型コロナウイルス感染症の流行により、2019年度の第3回全国中学ビブリオバトル決勝大会と2020年度の第4回全国中学ビブリオバトル決勝大会は開催中止となった[43]

開催情報

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ビブリオバトル春のワークショップ

概要

ビブリオバトルについてのさまざまなテーマを語り合うワークショップで、主にビブリオバトル普及委員会のメンバー同士での情報交換を目的としている。

2014年度からビブリオバトル・シンポジウムが開催されるようになったことに伴い、2015年度以降は開催規模を縮小した[50]

開催情報

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ビブリオバトル・シンポジウム

概要

ビブリオバトルについてのさまざまなテーマを語り合うシンポジウムで、一般聴衆向けに広く公開することを目的としている。

開催情報

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Bibliobattle of the Year

要約
視点

概要

全国に広がるビブリオバトルに関わるユニークな活動を発見し、それらの活動を多くの人に周知することで、各地の活動をさらに盛り上げていくことを目的とした表彰制度のこと。2016年からビブリオバトル普及委員会が主催している。

賞の種類には以下の4種類がある。

  1. 優秀賞:ビブリオバトルの発展に寄与する活動や、未来志向の先進的な活動を行った個人または団体の功績に対して与えられる。
  2. 特別賞:ビブリオバトルに関連する個性的な活動をした個人・団体の功績に対して与えられる。
  3. 新人賞:ビブリオバトル普及委員会への入会後2年以内に顕著な活動を行った者に対して与えられる。
  4. 大賞:優秀賞受賞者のうち、ビブリオバトルの発展に最も寄与した活動を行った個人または団体の功績に対して与えられる。

大賞および優秀賞受賞者一覧

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公式ルールの展開

概要

ビブリオバトル本来の公式ルールを用いながら、選書方法に新たな楽しみ方を提案する派生系のビブリオバトルが生まれている。

  • ダブルバウト・ビブリオバトル:5分間の中で2冊の本を紹介するビブリオバトル。紹介する2冊に見られる関連性を必ず説明しなければならない[82]。公式ルールの第1には「発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる」と書かれているが、ここには「1冊の本」というように冊数を限定した記述は見られないため、「2冊の本」という方法も公式ルールの範囲内であると解釈できる。
  • 妄想書籍バトル:実在しない本で行われるビブリオバトル。会の最中は本を実在するものとして扱う[83]。公式ルールの第1には「発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる」と書かれているため、通常は一般に公刊された「実在する本」を持って集まるものと思われるが、「活字化される前の本」(アイデアの段階)という解釈も可能である。

派生系

概要

ビブリオバトルの公式ルールの枠組みを用いながら、紹介する対象を「本」以外のものへと拡張することで、新たな楽しみ方を提案する派生系のビブリオバトルが生まれている。

  • ムビリオバトル:ビブリオバトルのルールに倣って参加者がオススメする映画を紹介し、発表された映画の中から「本日のチャンプ映画」を決め、その場でチャンプ映画を鑑賞する[84]
  • イクチオバトル:水族館内のサカナから自分の気になった一種類を選び出し、そのサカナをスケッチする。そのスケッチとともに、その魚を選んだ理由やその魅力などについて、3分程度のプレゼンテーションを行い、最も多くの参加者に「見たい」と思わせた者(サカナ)を勝ちとする[85]
  • シンブリオバトル:ビブリオバトルのルールに倣って参加者がオススメする新聞記事を紹介し、発表された記事の中から「本日のチャンプ記事」を決める[86]

派生したイベント

ビブリオバトルの形式を応用した多様なイベントが各地で開催されている。

関連書籍

解説書

  1. 谷口忠大著『ビブリオバトル:本を知り人を知る書評ゲーム』文藝春秋(文春新書)、2013年4月
  2. 吉野英知、須藤秀紹、大谷裕、谷口忠大監修、ビブリオバトル普及委員会編著『ビブリオバトル入門:本を通して人を知る・人を通して本を知る』情報科学技術協会、2013年6月
  3. 粕谷亮美著、谷口忠大監修、しもつきみずほイラスト『ビブリオバトルを楽しもう:ゲームで広がる読書の輪』さ・え・ら書房、2014年3月
  4. ビブリオバトル普及委員会編『ビブリオバトル ハンドブック』子どもの未来社、2015年4月
  5. 谷口忠大監修『コミュニケーションナビ 話す・聞く①:やるぜ!ビブリオバトル』鈴木出版、2016年1月
  6. 谷口忠大マンガ原案・監修、沢根千尋マンガ、粕谷亮美文『マンガでわかる ビブリオバトルに挑戦!』さ・え・ら書房、2016年3月
  7. 須藤秀紹、粕谷亮美編『読書とコミュニケーション:ビブリオバトル実践集』子どもの未来社、2016年6月
  8. 谷口忠大著『賀茂川コミュニケーション塾:ビブリオバトルから人工知能まで』世界思想社、2019年12月
  9. 益井博史著『ソロモン諸島でビブリオバトル』子どもの未来社、2020年5月
  10. 木村修平、近藤雪絵編著『英語でビブリオバトル実践集』子どもの未来社、2021年2月
  11. 谷口忠大、石川竜一郎編著『コミュニケーション場のメカニズムデザイン』慶應義塾大学出版会、2021年10月
  12. ビブリオバトル普及委員会編著『ビブリオバトル ガイドブック ルール改訂版』子どもの未来社、2023年9月

小説

  1. 山本弘著『翼を持つ少女:BISビブリオバトル部』東京創元社、2014年12月
    • 山本弘著『翼を持つ少女:BISビブリオバトル部(上)』東京創元社(創元SF文庫)、2016年4月
    • 山本弘著『翼を持つ少女:BISビブリオバトル部(下)』東京創元社(創元SF文庫)、2016年4月
  2. 山本弘著『幽霊なんて怖くない:BISビブリオバトル部』東京創元社、2015年6月
    • 『幽霊なんて怖くない:BISビブリオバトル部』東京創元社(創元SF文庫)、2017年2月
  3. 山本弘著『世界が終わる前に:BISビブリオバトル部』東京創元社、2016年2月 
    • 山本弘著『世界が終わる前に:BISビブリオバトル部』東京創元社(創元SF文庫)、2019年1月
  4. 赤羽じゅんこ、松本聡美、おおぎやなぎちか、森川成美著『なみきビブリオバトル・ストーリー』さ・え・ら書房、2017年6月
  5. 山本弘著『君の知らない方程式:BISビブリオバトル部』東京創元社、2017年8月
  6. 濱野京子著、森川泉イラスト『ビブリオバトルへ、ようこそ!』あかね書房(スプラッシュ・ストーリーズ 30)、2017年9月
  7. 森川成美、おおぎやなぎちか、赤羽じゅんこ、松本聡美著『なみきビブリオバトル・ストーリー2:決戦は学校公開日』さ・え・ら書房、2018年2月
  8. 赤羽じゅんこ著、浮雲宇一イラスト『5分で本を語れ:チームでビブリオバトル!』 偕成社(偕成社ノベルフリーク)、2023年9月
  9. 風祭千著『真夜中を切り裂け!:僕らをつなぐビブリオバトル』文芸社(文芸社文庫NEO)、2024年7月

関連項目

  • 山本弘 (作家) - ビブリオバトルを題材とした『BISビブリオバトル部』を執筆。監修は考案者の谷口忠大。

脚注

外部リンク

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