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皇居三の丸尚蔵館

東京都千代田区の皇居東御苑内にある博物館 ウィキペディアから

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皇居三の丸尚蔵館(こうきょさんのまるしょうぞうかん、: Museum of the Imperial Collections)は、東京都千代田区千代田皇居東御苑内にある、国立文化財機構が所管する博物館施設。

概要 皇居三の丸尚蔵館Museum of the Imperial Collections, 施設情報 ...
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狩野永徳 唐獅子図屏風

昭和天皇崩御後の1989年平成元年)6月に遺族の明仁香淳皇后[4]から寄贈され国庫に帰属した美術品を保存、研究、公開するための施設として、1992年(平成4年)9月に宮内庁所管の博物館「三の丸尚蔵館」として皇居東御苑内に建設され、1993年(平成5年)11月3日に開館した[5]。開館以後も皇族からの寄贈により収蔵品が度々追加されており、現在の収蔵点数は9,800点[6]

2019年(平成31年/令和元年)度から収蔵庫と展示室を拡張するために建て替え工事が始まり、2023年(令和5年)年10月に宮内庁から国立文化財機構に移管され、同機構を所管する文化庁が収蔵品の管理を行う体制に改められた。2023年(令和5年)11月3日に建て替えられた第I期棟が開館して施設の正式名称が「皇居三の丸尚蔵館」に改められ、2025年(令和7年)5月からの一時休館を挟んで、2026年(令和8年)秋に旧館跡地に第II期棟が完成して全面的に再開館する予定である[7][8][9][3]

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開館までの経緯

日本の皇室は、京都御所儀式の際に用いる屏風刀剣歴代天皇の宸筆などの古来代々継承されてきた伝来品のほか、近代以降は東京の皇居宮殿、御所で用いた調度品、華族、財界人、海外の賓客などから献納された美術品、院展などの展覧会で買い上げた美術品など、多くの美術品や文化財を所有していた。こうした皇室所有品は「御物(ぎょぶつ)」と称された。第二次世界大戦直後、かつての皇室財産は相当数が国有財産に移された。正倉院と正倉院宝物は宮内庁の正倉院事務所、京都御所桂離宮修学院離宮宮内庁京都事務所の管理下におかれ、陵墓出土品や古文書・典籍などは宮内庁書陵部の管轄となった。これら以外の、第二次大戦後も天皇の私物にとどまった文化財は引き続き「御物」と呼ばれることになった。

1989年昭和64年)1月7日昭和天皇が崩御したことにともない、相続税の納税のため、遺産の範囲を確定する必要が生じた。天皇の晩年には、戦後「御物」と称されたものであっても、国有財産なのか天皇の私物なのかが曖昧になっていたのである。そして「三種の神器」をはじめ、歴代天皇の肖像宸筆、皇室の儀式に用いる屏風や刀剣類など、皇室にゆかりの深い品は、皇室経済法第7条により、引き続き「御物」として天皇の私物とされた。その一部は相続税の課税対象となっている。残りの絵画工芸品などの美術品類約3,180件(約6,000点)は1989年(平成元年)6月、遺族から国に寄贈された[10]。これらの国有財産となった美術品類を適切な環境で保存研究し、一般に公開する目的をもって1993年(平成5年)に、皇居東御苑内に「三の丸尚蔵館」が開館した[5]。地上2階建て、総床面積約1600平方メートル、1階には約160平方メートルの展示室と売店を設けたほか、約1000平方メートルの収蔵庫を備えている。当初は保存研究を主目的とした収蔵施設として建設を計画し、収蔵品の公開については博物館美術館への貸出等を行って展示することを検討していたが、皇室の意向もあり当館内に展示室を設けることになったという[11]

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新体制へ

要約
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三の丸尚蔵館の建て替え

2014年8月、宮内庁が当館に新館を建設する構想を検討していることが明らかとなった。皇居東御苑は平成に入って以降入園者が増加し、2014年7月29日には公開開始以来の入苑者が2500万人を突破[12]、同年には年間の入苑者が初めて100万人を超えた[13]。皇居東御苑入苑者の増加に比例して当館の入館者も増えており、2014年11月15日には開館以来の入館者が500万人に到達、2017年5月28日には600万人を超えた[14]。宮内庁はこうした当館入館者の増加傾向や、皇室からの寄贈品の増加(#収蔵品参照)により収蔵庫が手狭になっている問題[15]を受け、新館を建設し『動植綵絵』30幅が並ぶ程度の展示スペースと新たな収蔵庫の確保をすることを構想した[15][16]2015年12月、改修と新館建設に関する基本計画がまとまり、2016年1月、宮内庁より公表された。総床面積は既存部分の約3倍となる4800平方メートル、展示室は360平方メートル、収蔵庫は約1800平方メートルに拡張。このほか皇居の概要や皇室の歴史などを紹介するコーナーも新設。完成予定は2022年度と発表された[17]2017年12月、宮内庁はこの計画を進めるべく、収蔵品の保存や公開の在り方を検討する有識者懇談会を設置した。しかし有識者からは、既存建物の増築や収蔵品の建物内移動などについて宮内庁の計画に否定的な意見が相次いだ。2018年6月、懇談会座長の宮田亮平文化庁長官が宮内庁の西村泰彦次長に反対意見を盛り込んだ提言を手渡した。これを受け、宮内庁は新館建設計画を撤回。既存の建物を取り壊し、大型の新築棟に全面的に建て替える方針を明らかにした[15]。最終的に展示室を従来の約8倍の1300平方メートルに、収蔵庫を従来の約4倍の4000平方メートルに拡張すること、外国人旅行客誘致を名目に建設費には国際観光旅客税(出国税)を充てることが決定された[18][9]

2019年度から建て替え建設工事が始まり、2023年11月3日に第I期棟が竣工して開館し、博物館の正式名称が「皇居三の丸尚蔵館」に改められた。2025年5月からは開館済みのI期棟と建設中のII期棟との接続工事のため一時休館し、2026年秋に第II期棟が竣工し全面再開館する予定である。新たな施設には複数の展示空間が設けられるため展示品の入れ替えのための休館日がなくなり、皇居では初となるカフェが併設される予定である[7][8][9][19][3]

収蔵品に対する国宝・重要文化財指定の開始

皇族の私有物である御物、御物から国有財産に移されて三の丸尚蔵館が所蔵するようになった美術品、正倉院宝物、書陵部管理品といった宮内庁が管理する文化財は、慣習的に文化財保護法による指定の枠外となっていたため、三の丸尚蔵館の所蔵品は長らく国宝重要文化財に指定されていなかった。しかしながら2018年(平成30年)6月、宮内庁の三の丸尚蔵館の今後の在り方を検討する有識者会議は「(国民に所蔵品の)価値を分かりやすく示すべきだ」との提言を行った[20]。そして2021年(令和3年)7月、文化庁の文化審議会絵巻物の『蒙古襲来絵詞[21]と『春日権現験記絵巻[22]狩野永徳の代表作『唐獅子図屏風[23]明治時代に京都相国寺から宮内省が買い上げた伊藤若冲動植綵絵』30幅[24]、平安中期の書家小野道風の『屏風土代』の計5件を、三の丸尚蔵館所蔵の文化財としては初めて国宝に指定するように文部科学大臣に答申した[25]。同年9月30日、答申通り上記5件が国宝に指定された[26]

国立文化財機構と文化庁への移管

2022年8月23日に宮内庁文化庁は、当館を2023年10月に宮内庁から国立文化財機構に移管し、同機構を所管する文化庁が収蔵品の管理を行う体制に改めることを発表した。この際、当館を文化財の管理と展示と地方展開に実績のある文化庁とその傘下の国立文化財機構に移管することで、三の丸尚蔵館の収蔵品の保存・展示・調査研究と地方展開などの円滑化と進展が図られると説明された[9]

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収蔵品

要約
視点

1989年(平成元年)6月、天皇皇太后は、昭和天皇まで歴代天皇に継承された御物から、絵画、書、工芸品などの美術品類約3,180件(約6,000点)を国に寄贈した。その後、1996年(平成8年)に秩父宮妃勢津子の遺贈品が、2001年(平成13年)に香淳皇后の遺品が、2005年(平成17年)に高松宮妃喜久子の遺贈品(高松宮家が祭祀を継承した有栖川宮家伝来品を含む)が、2014年(平成26年)3月に三笠宮崇仁親王ゆかりの品を中心とする三笠宮家の寄贈品が、それぞれ追加収蔵された[5]。2014年時点で、約9,800点の美術品類を収蔵している[6]

本館建て替え計画にあたって有識者らにより提言された報告書によると、2018年時点で収蔵品9,682点のうち2,484点が「優品」に分類され、国宝重要文化財の候補になるレベルの質を持っているものか、作品が制作された時代、もしくは皇室の歴史と文化との関わりにおいて重要なものであると分類された。なお、この時点では三の丸尚蔵館の収蔵品は慣習的に文化財保護法の枠外であったため、極めて価値が高い文化財であっても国宝や重要文化財に指定されていなく、一部の収蔵品が初めて文化財指定されたのは2021年のことであった(前節参照)。その他の7,139点が美術的、歴史的価値を有し、博物館や美術館で展示することが適当なものであり、残り59点が美術的、歴史的価値が見いだし難く、展示は不適当なものとされた[4]

収蔵品には、江戸時代以前から禁裏に伝来した品のほか、帝室技芸員に任命された美術家の制作した作品、焼失した皇居の明治宮殿で使用されていた調度、装飾品類、明治以降に旧大名家、旧摂関家や財界人等から皇室に献上された美術品などが含まれる。

主な収蔵品については以下を参照。

また主な収蔵品を以下に列挙する。

絵画

国宝

重要文化財(指定予定含む)

  • 『南蛮人渡来図』- 六曲一双屏風、安土桃山時代静岡市葵区の来迎院伝来。徳川公爵家より明治宮殿落成を祝い1889年(明治22年)献納。
  • 二十八都市万国絵図(万国絵図屏風)』 - 八曲一双屏風、安土桃山~江戸時代。明治維新時に駿府徳川宗家より献納されたと伝わるが、それ以前の伝来は不明。明治天皇が好み明治宮殿奥宮殿の表御座所に常に置かれたという。
  • 『紙本著色天子摂関大臣影』 - 鎌倉~南北朝時代。伝来の曼殊院より1878年(明治11年)献納。令和6年度指定。
  • 『紙本著色厩図〈/六曲屏風〉』- 室町時代。徳川家茂より1859年(安政5年)献納。2024年(令和6年)指定。
  • 絵師草紙』 - 鎌倉時代。徳川公爵家より1887年(明治20年)献納。2025年(令和7年)指定予定。

その他

  • 『浜松図屏風』 - 海北友松。旧桂宮家伝来。
  • 『網干図屏風』 - 海北友松。旧桂宮家伝来。
  • 『源氏物語図屏風』 - 伝狩野永徳。旧桂宮家伝来。
  • 『源氏物語図屏風』 - 狩野探幽。1642年(寛永19年)。旧桂宮家伝来。
  • 『扇面散屏風』 - 俵屋宗達。御在来品(京都御所伝来品)か。
  • 『小栗判官絵巻』 - 全15巻。岩佐又兵衛工房。岡山池田侯爵家より1895年(明治28年)献納。
  • 『群獣図屏風』 - 円山応挙、御在来品か。
  • 『牡丹孔雀図』 - 円山応挙、久我家伝来。
  • 『花鳥十二ヶ月図』 - 酒井抱一、1823年(文政6年)。
  • 『西瓜図』 - 葛飾北斎、1839年(天保10年)。明治天皇が1897年(明治30年)、神戸で御買上。
  • 『水辺牽馬之図』 - 亜欧堂田善、江戸時代(18~19世紀)。明治天皇が1976年(明治9年)、須賀川で御買上。

書跡

国宝(指定予定含む)

その他

  • 草書孝経』 - 賀知章筆、近衞家より献納。
  • 孫過庭書譜断簡(そんかてい しょふ だんかん)』 - 空海筆、毘沙門堂門跡より1880年(明治23年)献納。 
  • 『玉泉帖』 - 小野道風筆、近衞家より1878年(明治12年)献納。
  • 『書状(恩命帖)』 - 藤原佐理筆、平安時代10世紀)。近衞家より1878年(明治12年)献納。
  • 『本阿弥切本古今和歌集』(ほんあみぎれぼん こきんわかしゅう) - 平安時代(12世紀)。近衞家より1878年(明治12年)献納。
  • 『安宅切本(あたかぎれぼん)和漢朗詠集』 - 伝・源俊頼筆、平安時代(12世紀)。近衞家より1878年(明治12年)献納。
  • 『巻子本(かんすぼん)和漢朗詠集』 - 伝・藤原公任筆、平安時代(12世紀)。伊達伯爵家より1901年(明治34年)献納。
  • 『堤中納言集(名家家集切)』- 伝・紀貫之筆、平安時代(11世紀)。秩父宮家遺贈品。

工芸品

重要文化財(指定予定含む)

  • 『宇治川蛍蒔絵料紙硯箱』 - 飯塚桃葉作。1775年(安永4年)。蜂須賀侯爵家より献納。2025年(令和7年)指定予定。

その他

  • 『木画箱』 - 唐時代。旧法隆寺献納宝物
  • 『蔦細道蒔絵文台硯箱』 - 安土桃山~江戸時代。御在来品。
  • 『宇治川蛍蒔絵料紙箱・硯箱』 - 初代飯塚桃葉、1775年(安永4年)。蜂須賀家より明治維新後に献納。
  • 『短刀 銘正宗(名物京極正宗)』 - 京極子爵家より1928年(昭和3年)献納。
  • 『短刀 銘行光』 - 前田侯爵家より献納
  • 『短刀 無銘 伝正宗 名物宗瑞正宗/花唐草透彫水晶入短刀拵』- 拵:香川勝廣ほか、1904年(明治37年)。短刀(鎌倉時代)は徳川家達が明治天皇へ1886年(明治20年)献上。
  • 『太刀 銘備前国長船光忠』 - 男爵岩崎小弥太より1933年(昭和8年)献納。

近現代絵画

重要文化財(指定予定含む)

  • 『ベルサリエーレの歩哨』 - 松岡寿、1887年(明治20年)、宮中顧問官花房義質を通じ明治天皇の下命を受けて制作。2025年(令和7年)指定予定。

日本画

  • 『四時ノ名勝』 - 川端玉章、1899年(明治32年)。 1900年パリ万国博覧会出品のため明治天皇の下命を受け制作。
  • 『御苑春雨』 - 横山大観、1926年(大正15年)。大観から皇太子に献上。明治宮殿表御座所の調度として宮内省から六曲一双屏風と双幅掛軸揮毫の下命を受けた大観が、制作の参考として特別に拝観した赤坂御苑を描く。
  • 『朝陽霊峰』 - 横山大観、1927年(昭和2年)。明治宮殿の豊明殿を装飾した六曲一双屏風。
  • 『飛泉』 - 横山大観、1928年(昭和3年)。宮内省から揮毫の下命を受けた双幅掛軸。
  • 『秩父霊峯春暁』 -横山大観 、1928年(昭和3年)。秩父宮家創設を祝して秩父神社が献上。
  • 『龍蛟躍四溟』 - 横山大観、1936年(昭和11年)。大観が90余枚を描き直し献上。
  • 『漁村曙』 - 横山大観、1940年(昭和15年)。秩父宮家遺贈品。
  • 『讃春』- 鏑木清方、1933年(昭和8年)。昭和天皇即位記念として岩崎男爵家が揮毫を依頼。右隻は宮城前広場で憩う雙葉女学校の学生、左隻に隅田川で暮らす水上生活者の親子を描く。
  • 『光明皇后』 - 下村観山 、1897年(明治30年)。所蔵者が1941年(昭和16年)献上。
  • 『武陵桃源・瀛洲神境』 -富岡鉄斎 、1923年(大正12年)。京都市の依頼で制作し献上
  • 『鳳凰之図』 - 結城素明、1925年(大正14年)。大正天皇大婚25年を祝し国務大臣一同が献上。
  • 『雨後』 - 川合玉堂1924年(大正13年)。第5回帝国美術院展覧会にて御買上。
  • 『薫風稚雀寒汀白鷺図』(くんぷうちじゃく・かんていはくろず) - 竹内栖鳳、1928年(昭和3年)。
  • 『玉柏』 - 平福百穂、1928年(昭和3年)。
  • 『雪月花』 - 上村松園、1937年(昭和12年)。貞明皇后の用命を受け20年以上を要して制作。
  • 『火退(ほそけ)』 -堂本印象、 1938年(昭和13年)。
  • 『智仁勇』 - 山本春挙、1925年(大正14年)。大正天皇大婚25年奉祝品。明治宮殿西溜の間を装飾。
  • 『現代風俗絵巻より第1図「宮城」』 -松岡映丘、1928年(昭和3年)。皇太子御成婚を祝し文官武官一同が献上。

洋画

  • 天皇皇后両陛下御肖像』 - 野田弘志、2018年(平成30年)。宮内庁が2014年(平成26年)に制作依頼した油彩画。縦横2メートル。
  • 『 昭和天皇・香淳皇后御肖像』 - モハマド・シャイフル・イスラーム、1973年(昭和48年)。
  • 『締盟国元首肖像』 - ジュセッペ・ウゴリーニ、1875年(明治8年)。明治天皇の下命を受け制作。ヴィルヘルム1世像、ヴィクトリア女王像、フランツ・ヨーゼフ1世像など15点。
  • 『ヴェルダン戦蹟之図』 - ハーバート・ヒュー・スタントン、1918年(大正7年)。英国王立水彩画協会会長のスタントン自ら、訪欧中の皇太子に献上。
  • 満洲鉄嶺- 山本森之助、1916年(大正5年)。立太子礼に際し文官一同が皇太子に献上。
  • 勢津子妃殿下御肖像』- 藤田嗣治、1948年(昭和23年)。
  • 『勢津子妃殿下御肖像』- 林武、1952年(昭和32年)。
  • 『磐梯山破裂之図』 - 山本芳翠、1888年(明治21年)。伊藤博文が明治天皇に献上。
  • 『琉球中城之東門』 - 山本芳翠、1888年(明治21年)。伊藤博文が明治天皇に献上。
  • 『ナイアガラ景図』 - 五姓田義松、1889年(明治22年)、宮内省の依頼を受け制作。
  • 『なさけの庭』 - 児島虎次郎、1907年(明治40年)。皇后御買上。

近代工芸

重要文化財(指定予定含む)

  • 『銅色絵蘭陵王置物』 - 海野勝珉、1890年(明治23年)。明治宮殿表宮殿鳳凰の間を装飾。
  • 『銅色絵太平楽置物』 - 海野勝珉、1899年(明治32年)。 パリ万国博覧会出品のため明治天皇の下命を受け制作。2024年指定。
  • 『菊蒔絵螺鈿書棚』 附 菊蒔絵螺鈿入御書棚製作図 - 川之辺一朝(蒔絵)、海野勝珉(銀製金具)、片岡源次郎(螺鈿)、六角紫水(デザイン)ほか、1903年(明治36年)。 明治天皇の下命を受けて制作され制作期間は11年[27]。金は佐渡金山のものを使用。制作経緯は「明治美術ノ真粋」を後世に伝えるため、あるいは美術奨励のためと当時の美術雑誌などに記されている。いわゆる「明治の三大製作(三大作)」のひとつ[28]。2024年(令和6年)指定。
  • 『七宝四季花鳥図花瓶』 - 並河靖之、1899年(明治32年)。パリ万国博覧会出品のため明治天皇の下命を受け制作。明治宮殿豊明殿を装飾。2025年指定予定。
  • 『旭彩山桜図花瓶』 - 三代清風与平、1905年(明治38年)。日本美術協会第37回美術展覧会にて御買上。2025年指定予定。

その他

明治宮殿の調度品

  • 『菊貼付香炉』 - 12代沈壽官、1893年(明治26年)。表宮殿千種の間を装飾。
  • 『七宝唐花文花盛器』 - 濤川惣助、1889年(明治22年)。表宮殿千種の間を装飾。
  • 『七宝藍地花鳥図花瓶』 - 安藤七宝店(名古屋)、1889年(明治22年)。表宮殿千種の間を装飾。
  • 『鳳凰高彫花盛器』 - 香川勝廣、1905年(明治38年)。表宮殿鳳凰の間を装飾。
  • 『百鶴図花瓶 』- 加納夏雄、1890年(明治23年)。表宮殿桐の間を装飾。
  • 『染錦手葡萄栗鼠図花瓶』 - 精磁会社(有田)、明治前期。表宮殿千種の間を装飾。
  • 『紫檀書棚』 - 紫檀、彫刻、堀田瑞松、1891年(明治24年)。表宮殿西二の間を装飾。
  • 『唐花唐草文象嵌花盛器』 - 金沢銅器会社、1891年(明治24年)。表宮殿西溜の間を装飾。
  • 『色絵四季花卉図花瓶』 - 精磁会社、1890年(明治23年)。表御座所を装飾。
  • 『草花彫刻燭台』 - 1888年(明治21年)欧州より輸入。表宮殿桐の間を装飾。
  • 『大理石付燭台』 - 1888年(明治21年)欧州より輸入。表宮殿鳳凰の間を装飾。
  • 『菊花型燭台』 - 鈴木長吉、1888年(明治21年)。表宮殿西一の間を装飾。
  • 『萩模様衝立』 - 1895年(明治28年)。表宮殿桐の間を装飾。
  • 『瑞鳳模様衝立』 - 1896年(明治29年)。表宮殿鳳凰の間を装飾。
  • 『竹塗秋草に雀刺繍衝立』 - 1893年(明治26年)。表宮殿西二の間を装飾。
  • 『刺繍牡丹文衝立』 - 髙島屋、1922年(大正11年)。宮殿用装飾品として調達。

歴史資料

重要文化財(指定予定含む)

  • 『人物写真帖』 - 大蔵省印刷局、1880年(明治13年)ごろ。深く親愛する群臣の写真を座右に備えるため明治天皇はその蒐集を命じた。鶏卵紙、総革装洋綴の写真帖は全39冊で、収載された肖像写真は皇族15方を含む計4531名。2025年(令和7年)に指定予定。

その他

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過去の展覧会(2019年以降)

  • 百花ひらく-花々をめぐる美-」2025年(令和7年)3月11日~5月6日
  • 瑞祥のかたち」2025年(令和7年)1月4日~3月2日
  • 公家の書-古筆・絵巻・古文書/皇室の美術振興-日本近代の絵画・彫刻・工芸」2024年(令和6年)10月29日~12月22日
  • 花鳥風月―水の情景・月の風景」2024年(令和6年)9月10日~10月20日
  • いきもの賞玩」2024年(令和6年)7月9日~9月1日
  • 「開館記念展 皇室のみやび―受け継ぐ美―」2023年(令和5年)11月3日~ 6月23日
  • 「御即位5年・御成婚30年記念 令和の御代を迎えて―天皇皇后両陛下が歩まれた30年」2023年(令和5年)11月3日~12月24日
  • いとをかし-和みのけしき」2021年(令和3年)10月19日~12月12日
  • 近代陶磁をふりかえる-明治・大正・昭和初期」2021年(令和3年)6月8日~9月5日
  • 名作を伝える-明治天皇と美術」2020年(令和2年)10月10日~12月13日
  • 海と山のあいだ-近代日本の風景描写」2020年(令和2年)7月23日~9月27日
  • 「臨時企画展示 皐月、水無月、文月~夏めく日本」2020年(令和2年)6月2日~7月12日
  • 「御即位記念特別展 令和の御代を迎えて」2020年(令和2年)2月8日~4月12日
  • 大礼-慶祝のかたち」2019年(令和元年)9月21日~2020年(令和2年)1月19日
  • 正倉院宝物を伝える-復元模造の製作事業と保存継承」2019年(令和元年)7月13日~9月1日
  • 慶びの花々」2019年(令和元年)5月3日~6月30日
  • 「御即位30年・御成婚60年記念特別展 御製・御歌でたどる両陛下の30年」2019年(平成31年)2月2日~4月21日
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利用案内

  • 入館料 高校生以下、満18歳未満、満70歳以上、障害者手帳保持者と介護者1名は無料、一般1,000円、大学生500円[30]
  • 開館時間[31]
    • 9:30~17:00(入館は16:30)
  • 休館日[32]
    • 展覧会期間中の毎週月曜日。
    • 展覧会の準備期間。
    • 年末年始(12月28日~翌年1月3日)。
      • 天皇誕生日
      • 月曜日が「国民の祝日等の休日」で開館する場合は、翌火曜日を休館。
    • 皇居東御苑は入苑者が定員を超過した場合、一時的に入苑を中止することがある[33]
  • 館内施設
    • 売店(図録・絵葉書等グッズ取り扱い。公益財団法人菊葉文化協会運営。隣接する大手休憩所にも同協会運営の売店あり(図録バックナンバー・同協会編集皇室関連書籍・DVD・絵葉書その他皇居東御苑入苑記念グッズ等も取り扱い))[34]
    • 休憩室・化粧室なし(大手休憩所・化粧室[35]が館に隣接している[36])。
  • 交通アクセス[5]
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参考文献

  • 『週刊朝日百科』「皇室の名宝8・9・10」、朝日新聞社、1999
  • 特別展図録『御即位20年記念特別展 皇室の名宝』、2009

脚注

関連項目

外部リンク

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