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第36回東京国際映画祭

2023年に東京で開かれた映画祭 ウィキペディアから

第36回東京国際映画祭
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第36回東京国際映画祭(だい36かいとうきょうこくさいえいがさい、36th Tokyo International Film Festival)は、2023年令和5年10月23日)から11月1日)までの10日間に渡って東京都内で開催された36回目の東京国際映画祭[1][2]。ドイツの映画監督であるヴィム・ヴェンダースがコンペティション部門の審査委員長を務めた[3]。最高賞の東京グランプリはペマ・ツェテン監督の中国映画『雪豹英語版』が受賞した[4]

概要 オープニング, クロージング ...
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概要

要約
視点

今回は「東京」「国際」「映画」「祭」をきちんと言葉通りに体現できるように「東京から映画の可能性を発信し、多様な世界との交流に貢献する。」というミッション(理念)を掲げて映画祭が行われた[1][5]。上映会場は日比谷有楽町丸の内銀座エリアをメイン会場とし、複数の劇場及び施設・ホール[注釈 1]を使用して実施した[5]

初日に行われるオープニングセレモニーは前回にひきつづき東京宝塚劇場、クロージングセレモニーは第34回以来となるTOHOシネマズ日比谷のスクリーン12にて行われる[6][7]。また、初日のレッドカーペットや屋外上映のイベントなどでは東京ミッドタウン日比谷の日比谷ステップ広場にて開催される[8]。オープニング作品は第76回カンヌ国際映画祭役所広司男優賞を受賞し、今回のコンペティション部門の審査員長であるヴィム・ヴェンダース監督による『PERFECT DAYS』、クロージング作品は山崎貴監督によるゴジラ70周年記念作品『ゴジラ-1.0』が上映された[9]。ゴジラシリーズが東京国際映画祭で上映されるのは2018年の『GODZILLA 星を喰う者』以来となる[注釈 2]

今回からエントリーされた新作の中からジェンダー平等環境貧困多様性差別といった現代の重要な社会テーマに向き合った作品を対象に「人や社会・環境を思いやる考え方・行動」=「エシカル」の基本理念に合致する優れた作品を選出するエシカル・フィルム賞を新設した[10]

黒澤明監督の業績を長く後世に伝え、新たな才能を世に送り出していきたいとの願いから世界の映画界に貢献した映画人、そして映画界の未来を託していきたい映画人に贈られる黒澤明賞は山田洋次檀ふみ奈良橋陽子川本三郎市山尚三の5名の選考委員による選考の結果、『春江水暖~しゅんこうすいだん中国語版』が第20回東京フィルメックスの審査員特別賞を受賞したグー・シャオガン中国語版と『愛を語るときに、語らないこと英語版』が第26回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門に出品され、『マルリナの明日英語版』が第18回東京フィルメックス最優秀賞を受賞したモーリー・スリヤ英語版の2名が今後、世界の映画文化に大いに貢献することを期待して受賞し、開催期間中の10月31日に帝国ホテルにて授賞式が開催され、それぞれに授与した[11]

特別功労賞には『古井戸』で第2回の男優賞を受賞し、第18回ではコンペティション部門の審査員長を務め、今回も『満江紅英語版』がガラ・セレクション部門にて上映される中国の映画監督チャン・イーモウが受賞した[12]

また、今回は映画監督である小津安二郎が生誕120年を祝して特集を組むことから黒沢清ジャ・ジャンクーケリー・ライカートがそれぞれの視点で小津作品を語るシンポジウムの開催や小津の代表作の1つである「東京物語」にオマージュを捧げるようなイメージで今回、映画祭のナビゲーターに就任した安藤桃子と安藤の父である奥田瑛二を撮り下ろしたポスターが採用された[5][13]

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経緯

2023年
  • 2月13日、開催日が発表された[2]
  • 4月20日、7月14日までコンペティション部門とアジアの未来部門の作品エントリーの受付を開始した[14]
  • 6月12日、ヴィム・ヴェンダースの審査委員長就任と小津安二郎監督の生誕120周年を祝した特集が発表された[3][15]
  • 7月5日、9月4日まで「Amazon Prime Video テイクワン賞」の短編作品の作品エントリーの受付を開始した[16]
  • 8月17日、安藤桃子のナビゲーター就任とコシノジュンコがビジュアル監修を務めた映画祭のポスタービジュアルが発表された[5][17]
  • 8月30日、オープニング作品・クロージング作品が発表された[9]
  • 9月19日、ワールド・フォーカス部門の特集上映、アニメーション部門の上映作品、城定秀夫特集の開催、小津安二郎生誕120年記念企画の詳細が発表された[13][18][19][20]
  • 9月22日、フェスティバルソングにTESTSETによる新曲「Japanalog」の使用が決定し、曲を使用した予告編が解禁した[21][22]
  • 9月25日、黒澤明賞にグー・シャオガン中国語版監督とモーリー・スリヤ英語版監督に決定したことを発表した[11][23]
  • 9月27日、ラインナップ記者発表会見が行われた[24][25]
  • 9月27日、29日まで『PERFECT DAYS』、『ゴジラ-1.0』、『正欲』、『わたくしどもは。』、『曖昧な楽園』、『ゴールド・ボーイ』、『』、『怪物の木こり』、『MY (K)NIGHT マイ・ナイト』、『ほかげ』のチケットの抽選販売が行われた[26]
  • 10月10日、特別功労賞にチャン・イーモウが受賞することを発表した[12]
  • 10月14日、チケットの一般販売が開始された[27]
  • 10月24日、日比谷ステップ広場のステップ広場から日比谷仲通りにかけて敷かれた165mのレッドカーペット東京宝塚劇場にてオープニングセレモニーが行われた[28]
  • 11月1日、TOHOシネマズ日比谷にてクロージングセレモニーが行われた[29]
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上映作品

要約
視点

ワールド・プレミアは世界初上映、インターナショナル・プレミアは製作国以外で初上映、アジアン・プレミアはアジアにて初上映、ジャパン・プレミアは日本初上映、*はエシカル・フィルム賞の対象作となったことを意味する[10]

コンペティション

2023年1月以降に完成した長編映画を対象に、114の国と地域から1,942本の応募作品[注釈 3]の中から、選出された15本の作品を上映し、国際的な映画人で構成される審査委員のもと、クロージングセレモニーで各賞が決定される[24][30][31]

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アジアの未来

長編3本目までのアジアの新鋭監督の作品を世界に先駆けて上映するアジア・コンペティション部門。すべてワールド・プレミア上映の10作品を上映し、最優秀作品には「アジアの未来 作品賞」を決定する[30][32]

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ガラ・セレクション

今年の世界の国際映画祭で話題になった作品、国際的に知られる巨匠の最新作、本国で大ヒットした娯楽映画など、日本公開前の最新作を14本プレミア上映する[30][33]。なお、本項目では10本に加えて、オープニング作品とクロージング作品、特別上映を明記する[34][35]

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特別上映

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ワールド・フォーカス

多彩な特集上映とともに現在の世界の映画界の潮流を示す作品を上映する[30][36]

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第20回ラテンビート映画祭 IN TIFF

第32回から5年連続となる「ラテンビート映画祭」とのコラボレーションで、スペイン中南米の秀作も上映する[30][36]

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台湾電影ルネッサンス2023

第33回以来3回ぶりとなる台湾映画の特集[30][36]

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アジアン・シネラマ - 香港フォーカス

アジアン・フィルム・アワード・アカデミーとの共催による香港映画の特集[30][36]

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生誕100周年記念フランコ・ゼフィレッリ特集

イタリア文化省映画・オーディオビジュアル総局 / Cinecittàとの共催による2023年に生誕100周年を迎えたイタリアの映画監督フランコ・ゼフィレッリの特集[30][36]

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バスク映画特集

エチェパレ・バスク・インスティテュート英語版との共催、サン・セバスチャン映画祭の協力によるスペインバスク地方の映画にまつわる特集[30][36]

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Nippon Cinema Now

この1年の日本映画を対象に、特に海外に紹介されるべき日本映画という観点から選考された作品を上映する部門[30][37]

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監督特集 映画の職人 城定秀夫という稀有な才能

様々なジャンルの映画で精力的に活躍する城定秀夫監督の作品4本を特集上映[30][37]

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アニメーション

前回までの「ジャパニーズ・アニメーション」部門がコンセプトも新たに再スタートし、「ビジョンの交差点」と題して海外での話題作も取り上げ、国内の最新作と合わせて9作品の上映とレトロスペクティブとして「海外映画祭と監督」というテーマで、海外映画祭で賞に輝いた監督の作品を3作品を上映[30][38]

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海外映画祭と監督

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アニメ・シンポジウム

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日本映画クラシックス

没後40年を迎える山本薩夫監督のデジタルリマスターされた2作品とサイレント映画の傑作として知られる『雄呂血』のデジタルリマスター版を上映[30][39]

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ユース

少年少女に映画の素晴らしさを体験してもらう部門で、「TIFFティーンズ映画教室」は真利子哲也監督を特別講師に招き、中学生たちが限られた時間の中で映画を作り、その成果をスクリーンで発表する。「TIFFチルドレン」はサイレント映画の名作を第31回2018年)より続いている声優としても活躍している弁士山崎バニラによる大正琴ピアノの弾き語り活弁を行うパフォーマンス付きでお届けし、「TIFFティーンズ」は国際映画祭で評価された作品の中から高校生世代に刺激を受けてもらいたい秀作を上映する[30][40][41]

TIFFティーンズ

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TIFFチルドレン

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TIFFシリーズ

TV放映、インターネット配信などを目的に製作されたシリーズものの秀作を日本国内での公開に先駆け、スクリーンで上映する部門[30][42]

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小津安二郎生誕120年記念企画 "SHOULDERS OF GIANTS"

2023年は小津安二郎監督の生誕120年、没後60年の記念すべき年にあたることからワールド・プレミアを含む小津作品のデジタル修復版16作品を上映する特集上映、ヴィム・ヴェンダースが愛する小津作品『お早よう』の上映と黒沢清ジャ・ジャンクーケリー・ライカートといった世界的に活躍する映画監督によるシンポジウムを行うイベント、『PERFECT DAYS』の出演・関係者が小津作品について語り合い、特別ゲストによるスペシャルミニライブが行われるJ-WAVEによる公開収録、中井貴惠が出演、松本峰明が演奏する朗読劇、小津監督の初期作品群をすべて英語字幕付き35ミリプリントで上映する国立映画アーカイブによる特集上映が行われた[13][43]

小津安二郎生誕120年特集上映

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イベント

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黒澤明の愛した映画

前回に引き続き、黒澤明監督の業績を長く後世に伝え、新たな才能を世に送り出すために世界の映画界に貢献した映画人や映画界の未来を託していきたい映画人に贈られる黒澤明賞の授与に伴い、世界のクロサワが愛した名作5本を上映する特集上映[45]

共催: CAPCOM

Amazon Prime Video テイクワン賞

Amazon Prime Videoの賛同と協賛のもとに日本映画のさらなる才能の発掘を探るべく、長編映画の上映経験のない日本在住の映画監督の15分以下の短編作品を対象とした賞である。2021年に設立され、今回で3回目となった。受賞者はPrime Videoからの賞金100万円に加え、Amazonスタジオとの長編映画製作の開発の機会を提供される。審査委員長は映画監督の行定勲監督が務め、その他の審査委員は玉城ティナ(俳優)、芦澤明子(映画監督)、森重晃(プロデューサー)、戸石紀子(Amazon スタジオプロデューサー)が務めた[46][47]

ファイナリスト8作品が映画祭で劇場上映され[48]、クロージングセレモニーでヤン・リーピン監督の『Gone with the wind』の受賞が発表された[49]

協賛: Amazon Prime Video

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屋外上映会2023

イベント

国際交流基金×東京国際映画祭 co-present 交流ラウンジ

国際交流基金との共催プログラムの一環として、第33回からつづく是枝裕和監督を中心とする検討会議メンバーの企画のもと、東京に集う映画人が交流する場を用意し、彼らが語り合うトークセッション[50][51]

共催: 国際交流基金

「交流ラウンジ」検討会議メンバー

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TIFFスペシャルトークセッション

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共催・提携企画


審査員

コンペティション[3][52]
アジアの未来[52]
Amazon Prime Videoテイクワン賞[52]
エシカル・フィルム賞[10]
  • 水野誠一 (日本の旗 日本/a・unエシカル百科店 スーパーバイザー/supervisor、元西武百貨店社長)
  • 坂口真生 (日本の旗 日本/a・unエシカル百科店 エシカルプロデューサー/ethical producer)
  • 工藤里紗 (日本の旗 日本/テレビ東京 制作局 クリエイティブ制作チーム チーフ・プロデューサー)
  • 渡辺一正 (日本の旗 日本/住友商事執行役員・メディア事業本部長)
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プログラミング・ディレクター ・作品選定コミッティメンバー

  • プログラミング・ディレクター[30]
    • プログラミング・ディレクター: 市山尚三
    • シニア・プログラマー: 石坂健治
    • 「ジャパニーズ・アニメーション」部門 プログラミング・アドバイザー: 藤津亮太
  • 第36回東京国際映画祭 作品選定アドバイザリーボード[30]
  • その他

受賞結果

11月1日にTOHOシネマズ日比谷で行われたクロージングセレモニーにて各賞が発表された[4]

コンペティション
  • 東京グランプリ/東京都知事賞 – 『雪豹英語版』 - ペマ・ツェテン
  • 審査委員特別賞 – 『タタミ英語版』 - ザール・アミール英語版ガイ・ナッティヴ英語版
  • 最優秀監督賞 – 岸善幸 - 『正欲
  • 最優秀女優賞 – ザル・アミール - 『タタミ』
  • 最優秀男優賞 – ヤスナ・ミルターマスブ - 『ロクサナ』
  • 最優秀芸術貢献賞 – 『ロングショット』 - ガオ・ポン
  • 観客賞 – 『正欲』 - 岸善幸
アジアの未来
  • アジアの未来 作品賞 – 『マリア』 - メヘディ・アスガリ・アズガディ
Amazon Prime Video テイクワン賞
  • Amazon Prime Video テイクワン賞 – 『Gone With The Wind』 - ヤン・リーピン
  • Amazon Prime Video テイクワン賞 審査委員特別賞 – 『ビー・プリペアード』 - 安村栄美
エシカル・フィルム賞
  • エシカル・フィルム賞[10] – 『20000種のハチ (仮題)英語版』 - エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン英語版
その他
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脚注

外部リンク

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