Loading AI tools
1999年のアメリカのSFアクション映画 ウィキペディアから
『マトリックス』(英: The Matrix)は、1999年公開のアメリカ合衆国制作のSFアクション映画。
マトリックス | |
---|---|
The Matrix | |
監督 | ウォシャウスキー兄弟[注釈 1] |
脚本 |
ラリー・ウォシャウスキー アンディ・ウォシャウスキー |
製作 | ジョエル・シルバー |
製作総指揮 |
バリー・M・オズボーン アンドリュー・メイソン ラリー・ウォシャウスキー アンディ・ウォシャウスキー アーウィン・ストフ ブルース・バーマン |
出演者 |
キアヌ・リーブス ローレンス・フィッシュバーン キャリー=アン・モス ヒューゴ・ウィーヴィング ジョー・パントリアーノ グロリア・フォスター |
音楽 |
オリジナル ドン・デイヴィス ロブ・ドーガン ジャック・デンジャーズ チノ・モレノ ハイブ 非オリジナル レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン マドンナ・ウェイン・ギャシー ステファーヌ・グラッペリ リーアム・ハウレット ハリー・ジェイムス グラント・マーシャル |
撮影 | ビル・ポープ |
編集 | ザック・ステンバーグ |
製作会社 |
ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ シルバー・ピクチャーズ |
配給 |
ワーナー・ブラザース ロードショー・エンターテイメント |
公開 |
1999年3月31日 1999年6月11日 1999年4月8日 1999年9月11日 |
上映時間 | 136分 |
製作国 |
アメリカ合衆国 オーストラリア[1] |
言語 | 英語 |
製作費 | $63,000,000[2] |
興行収入 |
$467,222,728[2] $172,076,928[2] 87億円[3] |
配給収入 | 50億円[4] |
次作 | マトリックス リローデッド |
真実を知らず仮想世界マトリックスで人生を送る主人公が、外部からの介入により機械に支配された現実世界の救世主であることを知らされ、自信が持てないまま様々な無理難題の解決を経て成長して行く過程を描いており、当時ハリウッドで一般的でなかった哲学的要素や東洋的なワイヤーアクションやバレットタイムが導入された事で「驚異の映像革命」などと評された[5][6][7]。ウォシャウスキー兄弟が監督・脚本を務め、キアヌ・リーブス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス、ヒューゴ・ウィーヴィング、ジョー・パントリアーノらが出演する。本作はウォシャウスキー兄弟の監督作品としては2作目で、デビュー前に脚本のみ完成させていたマトリックスの約6000万ドルのスポンサー契約締結が行えなかったため[8]低予算で『バウンド』という映画を制作して高評価を得て、本作のスポンサー契約を締結している[9]。但し、当初の『ニューロマンサー』の映像化を目指した脚本ではスポンサーが付かず、脚本は『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』に着想を得る方向性で書き直された。
SFのサブジャンル、サイバーパンクの一例で、同ジャンルを好むウォシャウスキー兄弟のオタク的知識が大量に投入されている。アクションシーンは、日本の武道・アニメ映画の影響を受けており、日本や香港のアクション映画の殺陣やワイヤーアクションの技術が使用され、その後のハリウッドのアクション映画作品に影響を与えた。また、カメラが通常の速度でシーンを移動しているように見える一方で、画面内のアクションをハイスピードカメラのようにスローモーションで進行させることで、特定のキャラクターの超人的な速さの動きを1つ1つ知覚できるように表現する「バレットタイム」と呼ばれる視覚効果を広めた。特に主人公のネオが仰け反りながら銃弾を避けるシーンはバレットタイムの象徴となり、様々なCMや映画やゲームで盛んにパロディやオマージュが行われている。20世紀末にCGの採用がブームになっていた中で、「ジュラシック・パーク」や「スターウォーズ エピソード1」などで行われていたような、従来ならミニチュア模型で作っていた映像をCGに置き換える使い方に留まらず、高度な哲学的テーマと特殊な映像技術と東洋的アクションをストーリ展開上意味ある形で組み合わせた映像は「驚異の映像革命」などと言われ、その後の映像作品に与えた影響は計り知れないものがある[5][6][7]。特に知的なストーリー展開や、アクションシーンを効果的に演出する方法として参考にされる事が多い。
高度な技術が投入されている一方で人間関係は分かりやすく描かれており、主人公の成長は当然のこととして、新しくチームに加わった主人公に対する仲間の不信感、仲間の裏切り、自己犠牲、多数の仲間の喪失、主人公とヒロインのラブストーリーなども盛り込まれ、サイバーパンクに詳しくない一般的な視聴者でも感情移入しやすくなっている。
1999年3月31日に米国で公開され、全世界で4億6,000万ドル以上の興行収入を記録した。また、アカデミー賞4部門(視覚効果賞、編集賞、音響賞、音響編集賞)のほか、BAFTA賞、サターン賞などを受賞した。史上最高のSF映画のひとつと考えられており、2012年には「文化的、歴史的、美学的に重要な作品」として、米国議会図書館のアメリカ国立フィルム登録簿に登録された。
2003年には続編の『マトリックス リローデッド』と『マトリックス レボリューションズ』が公開され、2021年に『マトリックス レザレクションズ』が公開された。
トーマス・アンダーソンは、大手ソフトウェア会社のメタ・コーテックス[注釈 2]に勤めるプログラマーである。しかし、トーマスにはあらゆるコンピュータ犯罪を起こす天才ハッカー「ネオ」という、もう1つの顔があった。平凡な日々を送っていたトーマスは、ここ最近、起きているのに夢を見ているような感覚に悩まされ「今生きているこの世界は、もしかしたら夢なのではないか」という、漠然とした違和感を抱いていたが、それを裏付ける確証も得られず毎日を過ごしていた。また、仮想空間でハッキングの仕事を繰り返していたトリニティは、盗聴されることにより、ネオ探しを追跡するためのエージェントや地元の警察官によって発見されたものの、トリニティ・ポーズで警官を倒し、逃走と電話線経由の現実世界への帰還に成功する。敗北したエージェント同士はネオ探しを確実に行っているため、次にネオ本人の人物を探しに行くことになる。
ある日、トーマスはパソコンの画面に「起きろ、ネオ(Wake up, Neo.)」「マトリックスが見ている(The Matrix has you.)」「白ウサギについて行け(Follow the white rabbit.)」という謎のメッセージを受け取る。ほどなくしてトリニティと名乗る謎の女性と出会ったトーマスは、トーマスに危機が迫っているため、「モーフィアス」がネオを探していることを告げられる。翌日にトーマスは寝坊し、仕事場に遅刻してしまうものの、ほどなくして無線機からモーフィアスと会話する事態に発展し、エージェントの部類の人物が仕事場に侵入してきたことを指摘する。逃走するトーマスだったが、マンションの壁を降りることができなかっため、結局トーマスはエージェントに連行されてしまう。取調室に閉じ込められたトーマスはモーフィアスに連絡するよう文句を言うが、エージェントによってトーマスの口は物理的に封じられてしまい、トーマスの臍に無理やりセンチネルの形状をした「バグ」とよばれる小型機械を埋め込まれるものの、トーマスが夜に気が付いた頃には、自宅の寝室にいた。その直後にモーフィアスはトーマスが現在盗聴されている状況にあるため、トリニティの車に乗るよう電話で告げる。屋外の車に乗り込んだトーマスは、スイッチが銃をトーマスに突き付けることで強制的にトリニティにある事を実行させようとしたため、拒否したトーマスは車から降りかけたものの、トリニティに止められる。そしてトリニティはバグを直接腹から取り出すための機械を使い、バグを取り出すことに成功したことで、トーマスは今まで起きていたことがすべて現実であったことに気づく。その後トリニティの仲間の建物でモーフィアスを紹介され「あなたが生きているこの世界は、コンピュータによって作られた仮想現実だ」と告げられ、このまま仮想現実で生きるか、現実の世界で目覚めるかの選択を迫られる。日常の違和感に悩まされていたトーマスは現実の世界で目覚めることを選択する。渡された赤いカプセルを飲み、心停止した瞬間にデータが転送され、トーマスは自分が培養槽のようなカプセルの中に閉じ込められ、身動きもできない状態であることに気づく。トリニティたちの言ったことは真実で、現実の世界はコンピュータの反乱[注釈 3]によって人間社会が崩壊し、人間の大部分はコンピュータの動力源として培養されていた。覚醒してしまったトーマスはセンチネルに殺害されず、不良品として廃棄されるが、待ち構えていたネブカドネザル号に救われる。
トーマスは、モーフィアスが船長を務める工作船「ネブカドネザル号」の仲間として迎えられ、ハッカーとして使っていた名前「ネオ」を名乗ることになった。モーフィアスはネオこそがコンピュータの支配を打ち破る救世主(The One)であると信じており、仮想空間での身体の使い方や、拳法などの戦闘技術を習得させた。人類の抵抗軍の一員となったネオは、仮想空間と現実を行き来しながら、人類をコンピュータの支配から解放する戦いに身を投じ、仲間の信頼を得ながら才能を開花させて行く。
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | ||
---|---|---|---|---|
ソフト版 | フジテレビ版 (追加収録版) |
機内上映版 | ||
ネオ(トーマス・A・アンダーソン) | キアヌ・リーブス | 小山力也 | 森川智之 | 宮本充 |
モーフィアス | ローレンス・フィッシュバーン | 玄田哲章 | 内海賢二 (最上嗣生) | 郷里大輔 |
トリニティー | キャリー=アン・モス | 日野由利加 | 戸田恵子 | |
エージェント・スミス | ヒューゴ・ウィーヴィング | 中多和宏 | 大塚芳忠 | |
オラクル | グロリア・フォスター | 此島愛子 | 片岡富枝 | |
サイファー(レーガン) | ジョー・パントリアーノ | 金尾哲夫 | 樋浦勉 | |
タンク | マーカス・チョン | 坂東尚樹 | 岩崎ひろし | |
エイポック | ジュリアン・アラハンガ | 山野井仁 | 佐久田修 | |
マウス | マット・ドーラン | うえだゆうじ | 石田彰 | |
スウィッチ | ベリンダ・マクローリー | 紗ゆり | 唐沢潤 | |
ドーザー | レイ・パーカー | 宝亀克寿 | 水野龍司 | |
エージェント・ブラウン | ポール・ゴダード | 安井邦彦 | 青山穣 | |
エージェント・ジョーンズ | ロバート・テイラー | 石井康嗣 | 内田聡明 | |
ラインハート | デビッド・アストン | 金尾哲夫 | 牛山茂 | |
チョイ | マーク・グレイ | 小形満 | 平田広明 | |
ドゥジュール(白いうさぎの女) | エイダ・ニコデモ | 大坂史子 | 金野恵子 | |
警部補 | ビル・ヤング | 宝亀克寿 | 田原アルノ | |
宅配便の男 | デヴィッド・オコナー | 川島得愛 | 蓮池龍三 | |
ビルの警備員 | ルーク・クイントン | 山野井仁 | 田原アルノ | |
オラクルの側近 | デニ・ゴードン | |||
スプーンの男の子 | ローワン・ウィット | |||
赤いドレスの女 | フィオナ・ジョンソン | セリフなし | ||
日本語版
「Matrix」はラテン語の「母」を意味するmaterから派生した語で、転じて「母体」「基盤」「基質」「そこから何かを生み出す背景」などの概念を表す。本作では、コンピュータの作り出した仮想現実を「MATRIX」と呼んでいる。
ウォシャウスキー兄弟は、日本と香港のアクション映画や日本のアニメ、ウィリアム・ギブスンの作品まで様々なものを参考・土台とし、特に「ジャン・ボードリヤールの哲学を基調とした」と語っている。ギブスンはマトリックスを「間違いなく究極のサイバーパンク芸術品」と絶賛している[12]。「MATRIX」という言葉自体はギブスンの『ニューロマンサー』にも見られ、ボードリヤールの著書『シミュラークルとシミュレーション』の中にも掲げられており、これが出所となったという見方もある。作中ではハードカバーのボードリヤールの本が映るシーンも見られる。2作目からボードリヤール本人をアドバイザーに迎える計画があったが、断られたという。ウォシャウスキー兄弟曰く、脚本の大部分はレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの『Wake Up』を聴きながら書き上げたとのこと。映画でもエンディング・テーマに起用されており、そのバンド名やその活動自体が正にマトリックスの世界そのものとされている。
※発表年順。
2000年に発売されたDVDは、3種類のパターンのDVDが順番に発売された。3種類ともジャケットのパターンが異なる。コメンタリーはケン・ウィルバーとコーネル・ウェストが担当、コーネル・ウェストは劇中に出演もしている。ワーナーブラザーズのそれ以前のDVDはディスクラベルが白色で統一された灰色一色のシルク印刷であり、メニュー画面にムービーが使用されていなかったが、今作以降はラベルにレーベル印刷が採用されるようになり[注釈 6]、後世のワーナー製DVDも似たフォーマットが採用されるようになった。
当時はまだDVDプレイヤーが普及する前で、日本全国でも十数万台しか再生機器が流通していない状況であり、今作のDVDは同時期に発売されたPS2の売り上げに大きく貢献(一気に百万台以上の再生機器が発生したことになる)、DVDプレーヤー普及となるキラーコンテンツの一つとなった。
以前のDVDはメインメニュー画面が4:3だったが、この映画のDVD発売を境にメニュー画面も16:9となり、ワイドテレビ対応になった。これらのうち2種類を購入した人を対象として、抽選で2,000名に「特製ケース付きオリジナルICテレホンカード(全3種類のうち1種類)」が当たるキャンペーンが行われた。
2008年12月以降、単体ブルーレイ、3作品同梱のブルーレイが発売されている。
4Kデジタルリマスター版は、BD版に比べ寒色寄りの色合いとなり、一部が白飛びしているなどの問題が指摘されている[23]。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.