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ペイ・パー・ビュー
有料コンテンツに料金を支払って視聴するシステム ウィキペディアから
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ペイ・パー・ビュー(英語: pay-per-view、略称:PPV)は、有料コンテンツに料金を支払って視聴するシステム。
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放送
要約
視点
放送では、主にケーブルテレビや衛星放送、インターネットで利用されており、視聴者は1番組ごとに視聴料金を支払い、テレビやスマートフォン及びタブレット、パソコン等で番組を視聴する。
放送される番組は、スポーツ、映画、音楽、アニメ、ポルノなど多岐に渡る。
類似する課金方法として、1日単位で課金するペイ・パー・デイ(Pay Per Day, PPD)や、一連の番組群をセットにしたペイ・パー・シリーズ(Pay Per Series, PPS)がある。
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国ではペイ・パー・ビューが総合格闘技、ボクシング、プロレス、コンサート、映画等の放送で利用されているが、近年ではUFCやボクシングなどの格闘技イベントがペイ・パー・ビュー全体総売上げの大半を占めている。1番組の視聴料金は視聴コンテンツによって差が大きく約5ドルから約80ドルである。
アメリカで最初にペイ・パー・ビューが誕生したのは1951年に電話線を使用したシステムであったが、テスト放送を行っただけで本放送の許可を得ることは出来なかった。
現在でも利用されているケーブルを使用したシステムは1972年に誕生した。1990年に入ると衛星放送を使用したシステムもペイ・パー・ビューで利用出来るようになった。
1975年10月のモハメド・アリ対ジョー・フレージャーでボクシングが初めて本格的にペイ・パー・ビューで放送された。
1980年のロベルト・デュラン対シュガー・レイ・レナードではペイ・パー・ビューが10ドルで販売され、15万5千件の販売件数を記録した[1]。
1983年10月16日のテネシー大学対アラバマ大学で初めてアメリカンフットボールがペイ・パー・ビューで放送された。
現在のような環境が定着し始めたのはIn Demand、HBO、Showtimeなどの会社がレッスルマニアやボクシングなどのスポーツイベントや、コンサートなどを生中継するようになった1980年代後半からである。
歴代PPV販売件数
ボクシング
アメリカでボクシングの試合は、通常はケーブルテレビ局のESPNやストリーミングサービスのDAZNやAmazon Prime Videoといった媒体で放送・配信されているが、かなりの人気ボクサーになると試合がペイ・パー・ビューで放送されるようになり、より多くのファイトマネーを稼ぐことが出来るようになる。その為、ペイ・パー・ビューで試合が放送されることはボクサーにとって一種のステータスとなっている。
ボクシングのペイ・パー・ビュー放送は、49ドル99セントから84ドル99セントの価格設定で販売されている。多少のばらつきはあるが1年につき3~5イベント程度がペイ・パー・ビューで放送されており、販売件数が100万件を越える人気のイベントもあれば10万件前後のイベントもあるが、そのような極端な例を除けば1イベントあたりの平均販売件数は20万~30万件である。
ペイ・パー・ビューのビジネスモデルは最終収益からケーブルテレビ放送と衛星放送の配給会社が約40~50%、そしてESPNなどのテレビ局がが5~10%をそれぞれ受け取り、残った分がプロモーターの取り分となるのが慣例となっている[2][3]。
1イベントでの最多販売記録は、2015年5月2日に行われたフロイド・メイウェザー・ジュニア 対 マニー・パッキャオ戦の460万件である。歴代2位は2017年8月26日に行われたフロイド・メイウェザー・ジュニア対コナー・マクレガーの430万件、歴代3位は2007年5月5日に行なわれたオスカー・デ・ラ・ホーヤ対フロイド・メイウェザー・ジュニアの240万件である。
女子ボクシングの最多記録は2001年のレイラ・アリ対ジャッキー・フレージャー・ライドの12万5千件である[4]。
ペイ・パー・ビューの問題点
ペイ・パー・ビューは莫大な収益を生み出す一方で、視聴者が高額なペイ・パー・ビュー視聴料金を支払える人達に限定されてしまうという問題も抱えている。HBOスポーツ元社長のロス・グリーンバーグは「ペイ・パー・ビューの発展はボクシングにおける最大の経済問題だ。ペイ・パー・ビューがこのスポーツを助けているとは言えない、視聴者を限定することになるのでこのスポーツに損害を与えている」と述べている[5]。
また「HBOがペイ・パー・ビューで大きな利益を得る事はないのでHBOは積極的ではないが、プロモーターと選手達が大金を稼ぐことが出来るペイ・パー・ビュー放送を強く要求する」「(ペイ・パー・ビュー放送に移行した)パッキャオのような選手をHBOの通常のボクシング中継に出場させるのがますます困難になっている。しかし、HBOがペイ・パー・ビュー放送から撤退したとしても、プロモーターは自分たちで(トップランク社がミゲール・コットvsポール・マリナッジを独自でペイ・パー・ビューを実施したように)行うか、他に協力してくれるところを探すだけだろう」と述べている[5]。
HBO PPV
HBOは、1973年に通常のボクシング中継を開始して以降ボクシングを放送するテレビ局としてはアメリカ国内トップに君臨し、ペイ・パー・ビューも黎明期からボクシングの大半のペイ・パー・ビューイベントを放送していたが、2018年で45年間続けてきたボクシング中継を打ち切り、ボクシングのペイ・パー・ビュー放送からも撤退した。
HBOは1999年にペイ・パー・ビューを合計400万件(総額2億ドル)、2006年に11イベントで合計370万件(総額1億7700万ドル)販売している。2007年には8イベントで合計480万件(総額2億5500万ドル)を販売してこれが現在の年間最多販売記録となっている[6]。2008年は9イベントで合計380万件(総額1億9200万ドル)、2009年は3イベントで合計320万件(総額1億6700万ドル)、2010年は6イベントで合計375万件(総額2億ドル)、2011年は7イベントで合計450万件(総額2億6200万ドル)、2012年は4イベントで合計400万件(総額2億3800万ドル)、2013年はHBOとShowtime合わせて4イベントで合計397万件(総額2億5200万ドル)を販売した[7]。
SHOWTIME PPV
1995年、HBOと並びアメリカの2大ボクシング放送局であったShowtimeが、マイク・タイソンのキャリア後期からペイ・パー・ビュー放送に参入した。
2013年、ShowtimeにHBOからフロイド・メイウェザー・ジュニアが移籍してきたことで、Showtimeはペイ・パー・ビュー放送に復帰した。
しかし、Showtimeも2023年で37年間続けてきたボクシング中継を打ち切り、ボクシングのペイ・パー・ビュー放送からも撤退した。
FOX PPV
2016年1月、地上波放送局のFOXが、プレミア・ボクシング・チャンピオンズと契約を結んで約20年ぶりにボクシング中継に復帰した。プレミア・ボクシング・チャンピオンズの方針としてビッグマッチでも地上波での放送にこだわりペイ・パー・ビューでの放送を行っていなかったが、方針を変え2019年3月16日のエロール・スペンス・ジュニアvsミゲル・アンヘル・ガルシアからペイ・パー・ビュー放送を開始した。
しかし、2022年10月でプレミア・ボクシング・チャンピオンズとの契約が終了したことで、FOXはボクシング中継を打ち切り、ボクシングのペイ・パー・ビュー放送からも撤退した。
ESPN PPV
ESPNは、当初はESPN GamePlanやESPN Full Courtとして大学アメリカンフットボールや大学バスケットボールをペイ・パー・ビュー放送していた。
2003年6月28日にLatin Furyの前座試合をペイ・パー・ビュー放送したことでボクシングのペイ・パー・ビュー放送に参入。2005年3月のシェーン・モズリー対デビッド・エストラーダから本格的にペイ・パー・ビュー放送を開始。29.95ドルという低価格で販売した[8]。
2017年7月、トップランクがESPNとテレビ契約を交わしたことで、ESPNは2019年4月20日のテレンス・クロフォード対アミール・カーンでペイ・パー・ビュー放送に復帰した[9]。
2021年11月20日、テレンス・クロフォード対ショーン・ポーターで、初めて従来のケーブルテレビや衛星放送では放送せずに、インターネット配信「ESPN+」のみでの独占配信を実施した。しかしペイ・パー・ビューの販売件数が低調だったとことで、クロフォードは「アプリケーションをテレビで使う方法がわからない人がたくさんいたんだ。高齢者やテクノロジーに疎い人はアプリの入手方法がわからないんだ。そしたら彼らは買わないよね」と不満を漏らした[10]。ESPN+はこれ以降は、従来のケーブルテレビや衛星放送でも同時に放送している。
DAZN PPV
DAZNは、サービス開始当初はボクシングのビッグマッチにおいての主流であったペイ・パー・ビューから月額サブスクリプションへの変換を訴え、「ペイ・パー・ビューは死んだ」などペイ・パー・ビューを否定するプロモーションしていたが、方針を変え2022年5月7日のサウル・アルバレス対ディミトリー・ビボルからペイ・パー・ビュー放送を開始した[11][12]。なお、DAZNのペイ・パー・ビューはDAZNのみの独占配信ではなく従来のケーブルテレビや衛星放送でも同時に放送している[13]。
Amazon Prime Video PPV
プレミア・ボクシング・チャンピオンズと契約を結んだことでAmazon Prime Videoはボクシング中継に参入し、初中継となった2024年3月30日のティム・チュー対セバスチャン・フンドラからペイ・パー・ビュー放送を開始した。なお、Amazon Prime Videoのペイ・パー・ビューはAmazon Prime Videoのみの独占配信ではなく従来のケーブルテレビや衛星放送でも同時に放送している[14]。
ボクシングのPPVイベント
- ペイ・パー・ビューの販売件数は、主催したボクシングプロモーターや制作したテレビ局が公式に発表することはまずなく、ボクシングメディアやスポーツメディアの関係者への取材によって報じられることがほとんどである。
ボクシングエキシビションのPPVイベント
その他のボクシングPPV販売件数
UFC
UFCのペイ・パー・ビューは80ドルで提供されている[254]。UFCがペイ・パー・ビューに参入したのは比較的遅かったが、2006年に10イベントで522万件(総額2億2300万ドル)を販売、年間売上でWWEに肩を並べ、ボクシングを上回った。2007年は11イベントで493万件、2009年は13イベントで775万件を販売している。UFCの年間最多販売記録は14イベントで914万件(4億1100万ドル)を販売した2010年である[255]。ペイ・パー・ビュー業界の専門家は「UFCはペイ・パー・ビュー業界を生き返らせた」と語っている[256]。
UFCのPPVイベント
PPVイベントに出場した日本人選手
日本人選手がメインイベントに出場したイベント | |
WWE
WWEは特番として月1回程度ペイ・パー・ビュー大会を開催していたが、2014年のWWEネットワークの発足以降はサブスクリプション形式の動画配信サービスに切り替わり、プレミアム・ライブ・イベント(PLE)に改称された。
日本
歴史
日本では、長くケーブルテレビでのペイ・パー・ビューは行われず、1996年にCSデジタル放送のパーフェクTV!(後のスカパー!プレミアムサービス)開局に伴いペイ・パー・ビューが始まった。続けて、1997年に開局したCSデジタル放送のディレクTV(2000年に閉局)、2002年に開局した東経110度CSデジタル放送のプラット・ワン(2004年に閉局)ももペイ・パー・ビューを行った。こうしてケーブルテレビが主流であったアメリカとは異なり、日本では衛星放送が主導する形で行われている。なお、東経110度BS・CSデジタル放送のスカパー!では厳密にはペイ・パー・ビューは行われていないが、1番組のみのペイ・パー・シリーズ(PPS)という事実上ペイ・パー・ビューと同等のものが存在する。[257]
ケーブルテレビでペイ・パー・ビューが行われるようになったのは放送のデジタル化に伴ってであり、2004年4月になって、J:COMがデジタル放送サービスの一つとして始めた[258]。
日本ではケーブルテレビや衛星放送などの視聴環境がアメリカほど普及しなかったこともあり[259]、ペイ・パー・ビュー文化は根付かず、UFCやボクシングなどの海外ではペイ・パー・ビューで行われるイベントも、日本ではWOWOWやJ SPORTSなどの月額料金制の専門チャンネルで放送されていた[260]。また、国内ボクシングのペイ・パー・ビューはディレクTVで行われていたが、閉局とともに終了。
しかし、1997年10月11日に行われたPRIDE.1は当時パーフェクTV!加入件数30万程度(2010年度は約221万)でありながらペイ・パー・ビュー販売件数が3万件に達した[261]。以降、PRIDEは最終興行となった2007年4月8日のPRIDE.34まで一貫してペイ・パー・ビュー方式で中継が行われ、その間、2002年8月に行われた大型格闘技イベント「Dynamite!」は約10万件を売り上げた。「格闘技はPRIDEとともにPPVで観る文化として根付き始めた」と分析する格闘技関係者もいるほどである[262]。その後、PRIDEの実質後継たる総合格闘技イベントのDREAM・戦極(SRC)、続いてRIZINも同様にペイ・パー・ビューで中継している。
その後、2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、様々なライブイベントが中止や無観客開催となり、その代替として音楽ライブをインターネットでペイ・パー・ビュー配信する取り組みが急増。インターネットテレビプラットホームであるABEMAでは2020年6月~9月末に配信されたペイ・パー・ビューだけでも23億円を売り上げた[263]。なお、非公式な試算ではあるが、嵐のコンサート『アラフェス2020 at 国立競技場』ではペイ・パー・ビュー売上が数百億円にのぼったと試算されている[264][265]。
また、2022年6月19日に行われたキックボクシングイベントの「THE MATCH 2022」では、ABEMAにてペイ・パー・ビュー配信が5500円の販売価格で行われ、その注目度から販売件数は50万件にのぼり(推計27億円の売り上げ)[266][267]、上記の「Dynamite!」を超えて日本でのスポーツイベントのペイ・パー・ビュー販売件数の記録を20年ぶりに塗り替えた[268]。以降も格闘技イベントのRIZINでは平均して10万件を売上げ、大晦日大会では30万件以上を売り上げることもある[269]。
現状
CS・BS
スカパー!プレミアムサービスの場合、通常は1ヶ月単位で視聴料金を支払うが、ペイ・パー・ビューの場合は番組単位で料金を支払う。ペイ・パー・ビューの視聴情報はチューナーに蓄積され、そこに接続したインターネット回線あるいは電話回線を通して定期的にスカパーJSATへ送られ、その情報を基に加入者へ料金を請求する[270]。また、スカパー!では厳密にはペイ・パー・ビューは行なっていないが、格闘技など一部コンテンツをペイ・パー・シリーズ(PPS)という事実上ペイ・パー・ビューと同等のもので放送している。
J:COMデジタル(デジタルケーブルテレビ)の場合には、チューナー内蔵のケーブルモデムにより視聴情報が送信される。
なお、かつてBSではWOWOWが193chの「WOWOW3」で行っていた。またプラット・ワンではCS-WOWOWのペイ・パー・ビューチャンネル「WOWOW PPV」が存在した。さらにかつて日本で展開していたディレクTVではペイ・パー・ビュー・ジャパンが存在した。
メディア媒体配信
主要ネット配信サイトで、ペイ・パー・ビューでの動画配信が行われている。なお、レンタルビデオ店の名残から、「レンタル視聴」という用語が用いられることもある。
2007年9月より株式会社アクトビラ(旧:テレビポータルサービス。2007年9月1日より現社名)が動画コンテンツの配信サービスを開始しており、その中でペイ・パー・ビュー方式の動画配信サービスである、アクトビラ ビデオとアクトビラ ビデオフルを提供している。
2005年3月にはヴィジョネア株式会社がペイ・パー・ビュー方式のDVDメディアである、「PPV-DVD」として選り抜き方式のDVDを提供している。当時のガラケーにおいて映像作品を購入する際に現れるアドレスを空メールで送信し、返信される視聴パスワードを入力すると、コンテンツが視聴できるようになる「DVD MAGIC」という技術を採用し、イービストレード株式会社が「ケータイDVD」として2004年8月からコンビニのam/pm約800店舗で試験的に販売していた[271]。
2020年6月よりABEMAが有料オンラインライブを1コンテンツごとに購入するPPVをスタートした[272]。以降も様々なネット配信サービスがPPV機能を開始させた。
2022年11月よりDAZN JAPANがPPV β版を開始し、14日のフロイド・メイウェザー・ジュニア対デジのボクシングエキシビションを初めてペイ・パー・ビューで中継した[273][274]。
2023年9月1日よりWOWOWオンデマンドのPPVサービス開始[275]。UEFAチャンピオンズリーグや落語などがPPV配信されている。
主なメディアとチャンネル
- ペイ・パー・ビュー放送媒体
- スカパー!プレミアムサービス - J:COM TVデジタル - JC-HITSエラボ(終了) - スカパー!プレミアムサービス光 - ひかりTV
- ペイ・パー・ビュー放送チャンネル
- ネット配信サイト
- ABEMA - U-NEXT - Lemino - Rakuten TV - FOD - Hulu - WOWOWオンデマンド - DAZN
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ウェブサイト
ウェブサイトでは主に、学術雑誌の電子ジャーナルで、購読制と併用して採用されている。
購読すれば紙の雑誌を買った場合のように雑誌全体を読めるのに対し、ペイ・パー・ビューでは論文1編ごとの課金となる。専門の研究者の場合は所属機関(大学、企業など)が購読しているので、ペイ・パー・ビューは、専門外の論文を読みたい場合や、在野の研究者が使うことになる。
インターネット広告
ペイ・パー・ビュー広告では、広告が閲覧されるごとに広告料が発生する。コンテンツのペイ・パー・ビューと違い、ペイの主体(広告主)とビューの主体(広告閲覧者)は異なる。
ペイ・パー・ビュー以外の料金システムには、閲覧されるだけでなく広告がクリックされないと広告料が発生しないペイ・パー・クリック、購入が必要なアフィリエイトなどがある。ペイ・パー・ビューはこれらより広告効果が不確かなため、廃れつつある。
脚注
関連項目
外部リンク
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