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金星 (相撲)
平幕の力士が横綱と取組をして勝利すること ウィキペディアから
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金星(きんぼし)とは、大相撲で平幕の力士が横綱と取組をして勝利することである。このため、三役以上(小結以上)が横綱に勝っても金星にはならず、単に白星と呼ばれる。
概要
『金星』という言葉は大正期から見られ、1930年(昭和5年1月)に金星は昇給の対象とされた。
金星を獲得すると力士褒賞金の支給標準額が10円増加する。これは、勝ち越し20点分に相当し、獲得場所に負け越しても本場所ごとの褒賞金の支給額が、10円を4000倍した4万円まるまる昇給する。ただし、不戦勝や反則勝ちの場合は金星にはならない(2003年(平成15年)7月場所5日目、横綱朝青龍の反則負けに際して、勝利した前頭2枚目旭鷲山に対し金星不適用が確認された[注釈 1]。2014年(平成26年)9月場所4日目に、横綱日馬富士の反則負けに際して、勝利した前頭3枚目嘉風にも金星は適用されなかった[1])。但し、勇み足など非技・勝負結果での勝利は金星になる[注釈 2]。
また、優勝決定戦での勝利も、それ自体は番付の昇降や持ち給金にはかかわらないものなので(優勝によって30円の昇給にはなるが)、これも金星にはならない。なお、過去に決定戦での平幕-横綱戦は7例あるものの(一騎討ちは4例)すべて横綱が勝っている。
勝ちを白星、負けを黒星と呼ぶことから生まれた表現であると思われる。また、大関に勝つことを俗称として銀星(ぎんぼし)ということがあるが、これは公式記録として集計されず、昇給にも関係しない。NHKの大相撲中継や各新聞のメディアは平幕が大関に勝っても「銀星」という言葉は使わない。銀星や三役力士が大関や横綱に勝った場合、横綱の反則での勝利の場合でも大相撲中継においてインタビューを受ける。
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派生した俗語
金星獲得記録
要約
視点
金星獲得数
2025年(令和7年)5月場所現在。
1位 | 安芸乃島勝巳 | 16個 |
2位 | 高見山大五郎 | 12個 |
栃乃洋泰一 | ||
4位 | 土佐ノ海敏生 | 11個 |
同一横綱からの金星獲得数
4個以上獲得した力士を記す。(太字の力士は現役力士。)
1場所3金星獲得
1場所で4個金星を獲得した力士はいないが、金星にはならないものの類似する記録として、大関および三役在位中に4横綱を全て撃破した力士に1949年5月場所の佐賀ノ花(東冨士、前田山、照國、羽黒山)と1956年3月場所の若ノ花(鏡里、吉葉山、栃錦、千代の山)の2人がいる(ともに大関在位中)。また、同じく三役在位中に3横綱を総なめした力士として、1984年3月場所の大乃国康(倒した横綱は3金星獲得と同じ)、2019年1月場所の御嶽海久司(白鵬、鶴竜、稀勢の里)など8人(関脇6人、小結2人)いる。大関在位中に1場所で横綱を3人以上撃破した力士は13人おり、平成以降では霧島・琴奨菊・稀勢の里の3人が記録している。
連続場所金星獲得
4場所連続
- 2力士が獲得(2024年現在)
- 太字の力士は現役力士。
3場所連続
- 16力士が獲得(2024年現在)
- 太字の力士は現役力士。
複数横綱からの金星獲得
優勝20回以上の複数横綱から金星獲得
- 貴乃花光司と朝青龍明徳、白鵬翔から
同一横綱からの連続金星獲得
太字の力士は現役力士。
金星獲得年少記録
(2024年現在)
1位 | 貴花田光司(千代の富士貢) | 18歳9か月 |
2位 | 白鵬翔(朝青龍明徳) | 19歳8か月 |
3位 | 北の湖敏満(北の富士勝昭) | 19歳11か月 |
4位 | 大錦充周(琴櫻傑將) | 20歳0か月 |
5位 | 錦洋幸治(大鵬幸喜) | 20歳4か月 |
- ( )内は対戦相手。
金星獲得最年長記録
最年長記録は、2025年(令和7年)7月場所10日目の玉鷲一朗(対大の里泰輝戦)の40歳8か月[4][5]。また初金星獲得最年長記録(年六場所制導入後)は、2014年(平成26年)7月場所9日目の豪風旭(対日馬富士公平戦)の35歳1か月。
金星獲得までの所要場所最速記録
- 太字の力士は現役力士。
前相撲からの記録
幕下付け出しからの記録
- 武双山は幕下60枚目格、遠藤は10枚目格、逸ノ城は15枚目格付け出し。
三段目付け出しからの記録
- 朝乃山は100枚目格付け出し。
元大関の金星獲得
- 元大関で昇進前に金星獲得経験がなく、陥落後に初めて獲得できたのは能代潟・貴ノ浪・雅山・琴奨菊の4人。
- 把瑠都・琴欧洲(平成以降ではこの2人)・大受・北葉山など、元大関で引退までに金星獲得経験が全くない力士も複数いる。
- 現役の大関経験者では霧島(2代)・豊昇龍・琴櫻(2代)・大の里が金星獲得経験がない。
- 太字の力士は現役力士。
その他の記録
- 最高位が関脇以下で三役在位中に横綱戦での勝利経験があるものの、引退まで金星を獲得できなかった力士は千代鳳・時天空・普天王・琴稲妻・若翔洋・水戸泉・佐田の海(父)の7人。
- うち、水戸泉が6勝、佐田の海が2勝しているほかは1勝のみである。
- 現役力士では、若隆景が該当。
- 年6場所制以降に誕生した横綱のうち、柏戸・輪島・武蔵丸・鶴竜・照ノ富士・豊昇龍・大の里の7人は金星獲得経験がない。
- 豊昇龍に関しては三役在位中の横綱戦での勝利経験もない。
- 戦後に誕生した横綱を含めると羽黒山と東富士も該当し、それより前にも存在する。
- 逆に歴代横綱で金星を最も多く獲得したのは朝潮太郎(3代)で、7個。
- 年6場所制以降に誕生した横綱のうち、金星を2個以上獲得した力士は多数存在するが、若乃花(2代)・若乃花(3代)・稀勢の里以外は1場所で複数獲得したことがある。
- 逆に三役未経験者で1場所に金星を複数個獲得した力士は三杉磯・荒鷲の2人。
- 平成最後の金星獲得は逸ノ城。
- 令和初の金星獲得は玉鷲。
- 大正時代に「金星」という相撲用語が見られるようになってから最も番付下位の力士による金星獲得の記録は、2025年7月場所13日目に東前頭15枚目琴勝峰が西横綱大の里を破った取組である。それまでは長らく戦前の1941年1月場所4日目に西前頭14枚目小松山が東横綱男女ノ川を破った取組、戦後では1991年7月場所11日目に東前頭13枚目琴富士が東横綱旭富士を破った取組が金星獲得の最低地位の記録であった。
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金星配給記録
要約
視点
金星配給数
金星配給連続日数
- 最終成績の横に◎の付いている力士は、その場所を優勝している。
- 太字の力士は2025年7月場所4日目現在、現役力士である。
1場所5金星配給
- 武蔵丸(2001年9月場所)は当場所11日目で5個目の金星を配給するも(6勝5敗)、千秋楽まで皆勤し9勝6敗。
- 稀勢の里(2017年11月場所)は当場所9日目で5個目の金星を配給し(4勝5敗)、翌10日目から途中休場(4勝6敗5休)。
- 太字の力士は現役力士。
連続場所金星配給
連続場所金星無配給
- 年6場所制以降で、皆勤場所のみ対象。太字は間に休場を挟まない記録。休場を挟まない記録としては、大鵬は6場所連続、千代の富士と貴乃花は4場所連続が最長となる。
金星初配給までの所要取組数
- 昭和以降。
- 太字は休場を含まない記録。取組数には不戦敗を含まず、不戦勝を含む。
- 太字の力士は現役力士。
- 双葉山と隆の里の二人は、横綱としての初黒星が金星配給であった。
新横綱初日が金星配給だった横綱
年間金星無配給
年六場所制以降、6場所を皆勤してのものとしては、2024年時点まで未記録。年間金星配給最少の記録は1で、大鵬はじめ複数の横綱が記録している。また年間に限らない連続6場所皆勤しての金星なしは白鵬の3回を筆頭に、大鵬、玉の海、北の湖、2代若乃花がそれぞれ1回ずつ記録している[注釈 28]。惜しかった例としては1971年の玉の海と2011年の白鵬で、玉の海は9月場所まで金星無しの後の現役死、白鵬は技量審査場所を含め金星配給無しだったが、この年は八百長問題による春場所中止で年5場所だった。
金星配給の一場所平均
単純に「金星配給数÷横綱在位場所数(全休場所等も含める)の見方で、1958年・年6場所制移行後の横綱として「金星配給率」の最も多いのは栃ノ海晃嘉。在位17場所で33個配給は、一場所平均約1.94個になる。それに次ぐのは若乃花勝(在位11場所・18個配給、一場所平均約1.64個)で、以降は琴櫻傑將(在位8場所・12個配給、一場所平均1.50個)、稀勢の里寛(在位12場所・18個配給、一場所平均1.50個)、旭富士正也(在位9場所・12個配給、一場所平均約1.33個)が続く。
なお通算の金星配給が53個で歴代最多の北の湖敏満は、横綱在位も63場所と長く、配給率では一場所平均0.841個となっている。
1957年・年6場所制以前の横綱では、男女ノ川登三(在位12場所・22個配給、一場所平均約1.83個)が最多で、宮城山福松(在位17場所・29個配給、一場所平均約1.71個)、鏡里喜代治(在位21場所・31個配給、一場所平均約1.48個)、前田山英五郎(在位6場所・配給8個、一場所平均約1.33個)、朝潮太郎(在位16場所・配給20個、一場所平均約1.25個)が続く。
逆に、「金星配給率」の少ない横綱は白鵬翔で、在位84場所中で金星配給は26個、一場所で平均約0.309個という驚異的なペースを保ったまま引退した(歴代2位)。また、これまでに皆勤10場所連続金星なしを1度、6場所連続以上を3度記録している。
その他の金星配給率の少ない力士は、玉の海正洋(在位10場所・配給3個、一場所平均0.30個)と玉錦三右エ門(在位12場所・配給4個、一場所平均約0.33個、年6場所制移行前)という二所一門の先輩後輩だが、この2人共に力が衰える前に現役のまま早世した。栃木山守也は現役中に早世したわけではないが、在位15場所に対し5個しか配給せず、一場所平均0.30個であった。彼ら以外での最少は大鵬幸喜(在位58場所・配給28個、一場所平均約0.48個)で、千代の富士貢(在位59場所・配給29個、一場所平均約0.49個)、朝青龍明徳(在位42場所・配給25個、一場所平均約0.60個)、北の富士勝昭(在位27場所・配給17個、一場所平均約0.63個)が続く。
その他、年6場所制移行前には太刀山峯右エ門のように、10場所以上在位しながらも金星を全く配給しなかった横綱も存在する。
珍記録としては、金星配給率が「一場所平均でぴったり1」の横綱が昭和以降で3人いる。東富士欽壹(在位20場所、金星20個)、佐田の山晋松(在位19場所、金星19個)、双羽黒光司(在位8場所、金星8個)。
金星配給率(昭和以降・少数順ベスト10)
- 平幕力士との対戦回数は、不戦敗を除く。
- 玉の海と玉錦の2人は現役中に病死。朝青龍は不祥事により現役引退。
金星配給率(昭和以降・多数順ワースト10)
- 平幕力士との対戦回数は、不戦敗を除く。
- 前田山は不祥事により現役引退。
- 朝潮 (3代)の横綱在位数は、引退直後の番付上も数えると17場所となる。
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座布団
→詳細は「座布団の舞」を参照
現在では横綱が敗れると会場全体から座布団が舞う。金星を挙げた力士に対する賞賛の意味であるが、実際は土俵上の力士や行司、またその他の観客に座布団が当たるなどして怪我の恐れがあるため、館内では投げないようにと放送が流れる。
近年は、座布団同士を繋ぎとめて投げられないようにするなどの対策が取られており、2010年11月場所で稀勢の里が白鵬の連勝記録を止める金星を挙げた際には、座布団が舞うことはなかった。一方、歴史や文化的観点からこのような対策が取られることに苦言を呈す者もいる[6]。
脚注
関連項目
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