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JR西日本221系電車

西日本旅客鉄道の直流近郊形電車 ウィキペディアから

JR西日本221系電車
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221系電車(221けいでんしゃ)は、1989年平成元年)に登場した西日本旅客鉄道(JR西日本)の直流近郊形電車[4]

概要 基本情報, 運用者 ...

1990年(平成2年、第30回)鉄道友の会ローレル賞受賞車[5]


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概要

JR西日本が初めて設計・製造を行った形式である[6][2]1987年昭和62年)4月の国鉄分割民営化直後、北海道旅客鉄道(JR北海道)以外のJR各社が新設計の特急形車両を登場させる中、新生JR西日本を象徴する車両として、東海道山陽本線琵琶湖線JR京都線JR神戸線)の新快速関西本線大和路線)の大和路快速といった関西私鉄との競合が激しいアーバンネットワーク京阪神エリア)に投入された[3]

形式名は、213系の続形式として「215系・217系」[注 2]とすることも検討されていたが、新生JR西日本の意気込みを込めて、一の位を1とした「221系」とされた[7]。電動車方式の違いは形式の奇数・偶数で区別することとした(後述)。

開発にあたっては、1988年(昭和63年)に瀬戸大橋線用クロ212形の設計を担当した近畿車輛が、同車のエクステリアデザインを基本としつつ、同社の親会社である近畿日本鉄道(近鉄)向け5200系で採用した、3扉転換クロスシートや扉間の連窓構造などを盛り込んだ設計コンセプトを提案し、これを全面的に採用する形で実設計が行われた。製造は主に近畿車輛・川崎重工業日立製作所が担当したが、一部は自社の鷹取工場後藤車両所で組み立てられた[注 3][注 4][1]。競合する私鉄に対抗するため、窓が大きく明るい車内など快適な居住性と高速走行性能を実現し、大量増備と集中投入が続けられ、新快速大和路快速の主力車両となった。

新快速の運用車両には153系が「ブルーライナー」、117系が「シティライナー」と愛称があり、本形式にも「アメニティライナー」の愛称が付与された[4]。後継車の223系以降の新快速運用車両に愛称はないため、現状新快速用の車両として愛称が付与された最後の車両である。

1994年(平成6年)以降、最高速度130 km/hでの走行が可能な後継の223系の登場により、新快速の最高速度も120 km/hから130 km/hに向上したため、現在では221系は新快速の運用からは撤退しており、大和路線やおおさか東線奈良線山陰本線嵯峨野線)などの関西の路線を中心に使用されている。

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構造

要約
視点

本節では登場当時の仕様を基本として記述する。

車体

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東海道本線の快速で使用される221系原型車
(2012年7月15日 茨木駅

車体長は19,670/19,500 mm(先頭車/中間車)、車体幅は2,950 mm、20 m級車体に片側3箇所の両開き扉(開き幅1,300 mm[8])という、近郊形としてはオーソドックスな構成である[9][10]。ただし、113系115系と比較して両端の側出入口の位置を若干車端に寄せており、制御電動車・制御車の場合は運転台直後に乗降扉が配置される。

車体は相当数の増備が見込まれ、211系213系での軽量ステンレス車体と比較して導入コストに大差が生じること[11]や高さ1 mもの大窓(後述の側面窓)を使用したために構体の強度不足を懸念したことから普通鋼製であるが、既存の鋼製車体を工夫することで、どれだけ軽量化ができるか挑んだシステムとした[2]台枠は、側梁と横梁に一般構造用圧延鋼材 (SS400)、枕梁と中梁に溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材(SMA50B)および高耐候性圧延鋼材(SPA)を使用した溶接組立構造である[9]。外板には耐候性圧延鋼材(SPA)を使用し、板厚は側腰板が2.3 mm、幕板が1.6 mmである[9]。屋根板は、0.6 mm厚のステンレス鋼(SUS)波板および1.6 mm厚の SPA を使用し、ポリウレタン樹脂による塗り屋根としている[9]。床には1.0 mm厚のSUS波板を使用する[12]

床面高さはホームとの段差を小さくするために1,150mm(117系比75 mm縮小)とし、屋根高さを46 mm上昇、天井機器の小型化により客室高さを2,330 mm(117系比160mm拡大)とした[9]

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223系(左)と比べて大きな後退角を持つ前頭部形状

前頭部形状は展望・空気抵抗・見た目の良さなどを重視して、クロ212のデザインを継承した。このため、一般車としては破格の大型曲面ガラスを使用し、上半分に15度の後退角がついた流線形となっており、スピード感を強調している[9]。また、運転台は若干低く[注 5]、窓ガラスは側面以上に巨大なものとなった。また、地下区間の走行を考慮して中央に非常用貫通扉が設置され[4]、デザインおよび隙間風防止の観点から外開き式プラグドアとし、膨張性シールゴムで気密性を保つ[9]

側面窓は従来車に比べて天地方向に大幅に拡大され、高さ1mとなった[13]。また、外の景色がどの席からも見られるように座席1つに対して1枚の幅狭窓が連続で配置され、腐食対策としては不利となる戸袋部にも窓が設けられた。そのため、窓配置は便所なしの運転台付きが「dD(1)4(1)D(1)4(1)D(1)1」(d:乗務員扉、D:客用扉、(1):戸袋窓)、中間車は「1(1)D(1)4(1)D(1)4(1)D(1)1」となる。なお、客用扉間の4連窓の内寄り2枚は非常時の換気などを考慮して下降式窓となっており、400 mm下降する[12]。後継系列の223系では側窓高さが50 mm縮小されて950 mmとなり、さらに2000番台以降は座席配置の変更で戸袋窓も廃止されたため、大窓が並ぶエクステリアは221系固有の特徴である。また、ガラス破損時に223系後期車と同等の緑色ガラス[注 6]に交換された車両も出てきている。

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221系4両編成側面図(クハ221-18・サハ221-18・モハ221-18・クモハ221-18)

「パノラマ通勤車」をコンセプトワードとし、カラープランは観光利用にも適するようにした[14]。ピュアホワイトをベースに、新快速および関西急電シンボルカラーのベージュ・茶色(ぶどう色2号)と、JR西日本コーポレートカラーの青を組み合わせた帯を車体下部に配する[14]。塗装案として、485系スーパー雷鳥」に準じた白をベースにブルーとピンク[注 7]の帯を配したものや、117系をイメージして車体下半分にクリームとブラウンの細帯を配したものがあった[7]

なお、本系列は2009年(平成21年)より進められた鋼製一般型車両の単色塗装化の対象外である。

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種別表示器と行先表示器
 
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ラインカラーを取り入れた種別幕

先頭車前面には、上部に幕式種別表示器のみを設けた。側面表示器は、種別を幕式、行先と号車番号をLED式とした[3]。これは運用線区が多岐に渡ることを想定して、列車種別の文字色で運用線区を表す[注 8]というもので、表示内容の多様化に対する対応が容易なLEDと、色の自由度が高い回転式字幕を併用する方式を採用した[注 9]。側面表示器のLEDは寿命保持のため走行中は消灯する。

この方式がJR西日本の標準となり、後に登場する近畿圏の近郊・通勤型車両および681系281系などの特急形電車にも採用され[注 10]225系1次車および287系まで踏襲された。

また、側面の形式と車両番号は国鉄時代からの書体のものであるが、本系列が最後の採用となった。

車内

新快速への投入と113系の置き換えを両立させた3扉車で、座席は2+2列の転換クロスシートを基本に[13]、扉間に6脚(シートピッチ910 mm、乗降ドア横は固定式)、車端部に4人掛けボックス席を配した。ボックス席のシートピッチも転換クロス部分を向かいあわせにした場合に近い寸法(約1,750 mm)が確保されている。従来車端部に設けられていた配電盤や機器箱などは、運転配電箱や共通配電箱として極力床下に移設して妻厚を100 mmとすることで[15]中間車の座席定員を117系と同数の1両64席としている。先頭車は運転台直後に乗降扉を配し、座席定員を117系と比べトイレ設置車は6席、トイレ非設置車は4席の減少に抑えている。乗降扉は半自動対応のボタン式とされ、JR西日本の近郊・通勤型電車における標準仕様として他系列にも波及したほか、既存車両にものち改造で取り付けられた。

座席モケットは当初ブラウンとベージュの組み合わせであったが、2011年(平成23年)6月より順次、225系0番台に準じたモケットに変更された[16]。座席ヘッドカバーは白色とされたが、後に優先座席は識別のため緑色のものに交換されている。

車端部妻面には号車番号表示器およびデジタル時計を組み合わせた、LED式車内案内表示装置が設けられている[3][注 11]トイレ和式を編成中に1か所(クハ221形・クハ220形の2位側)設置されていたが[4]、体質改善工事ですべて車椅子対応の洋式に改造された。

冷房装置はそれまで国鉄が採用していた集中式AU75 1基搭載とは異なり、集約分散式の WAU701(冷凍能力20.93 kW≒18,000 kcal/h)2基を各車毎に搭載する方式が採用された[17]。これにより冷房装置の重量が2分されるため、集中式1基搭載と比較して構体、特に冷房装置を支持する天井の梁や側柱の強度設計が容易になっている。冷房装置 WAU701 に加えて、横流送風機、マイコン式温度調節器、自動巻き取り式フィルタおよび電気暖房機をマイコン制御により全自動運転が可能である[17]。また、車外放送向けに放送用スピーカーを内蔵している[18]

このほか、阪急6300系京阪8000系などに既に設置されていた車内公衆電話を当系列にも設置する計画もあったが、最終的には見送られた[19]

乗務員室

運転台のマスター・コントローラー(マスコン)は、ブレーキとマスコンが別々の横軸ツインレバー型をJRグループで初めて採用した。他のJRグループでは1990年代以降JR四国を除いて左手ワンハンドル型の採用が相次いだが、JR西日本では221系以降、全ての在来線新造車両でこのマスコンを採用している。

車掌スイッチは個別開閉機能を設けた間接制御式(リレー式)を採用した。

主要機器

編成や車種構成の都合からMM'ユニット方式と1M方式の2種の主回路構成を採る形式が混在する。機構的には国鉄分割民営化後に製造された205系1000番台(MM'ユニット方式)および213系(1M方式)を基にしており、加えて耐雪ブレーキなどの耐寒・耐雪装備を備える。基本的なシステムは日本国有鉄道(国鉄)時代に新製した211系・213系に準ずるが、加速度の統一を目的に編成内のMT比1:1が維持された。編成両数は偶数両を基本とし、登場当初は2・4・6両編成、のちに8両編成が登場したが、奇数両編成も組成できるようになっている[15]

機器艤装での大きな特徴を以下に示す。

  • 海からの潮風の影響が考えられるJR京都線・JR神戸線での走行を考慮し、浜側(1 - 3位側)に空制部品関係、山側(2 - 4位側)に電気部品関係を集中的に配置[15]
  • 乗務員室内の機器や中間車の運転に関係する機器のうち、通常取り扱わないものを運転配電箱として床下に移設[15]
  • 客室妻面に納めていた機器のうち各車共通なものは、共通配電箱として床下に移設[15]

主制御器は、205系で開発された CS57(MM'ユニット方式)と、213系で開発された CS59(1M方式)をそれぞれ基本とする、WCS57B・WCS59A が搭載されている。制御方式は界磁添加励磁制御であり回生ブレーキを常用する設計となっているため、211系などと同様に勾配線での抑速ブレーキも使用可能である[3]。国鉄時代すでに207系900番台で採用実績のあったVVVFインバータ制御の採用は信頼性や費用対効果の観点を考慮し断念した[20]。制御用引き通しとしてKE96ジャンパ連結器が各車両連結面の2 - 4位寄りに設置されている。

補機用の電源として、213系(SC22)で実績のあるブースタ方式DC-DCコンバータと3相インバータで構成された静止形インバータ(SIV)WSC23 がクモハ220形・モハ221形・モハ220形に搭載される[10]。集電装置からの直流1,500 Vを電源として三相交流440 V/60 Hz(定格容量130 kVA)および 単相交流600 V/180 Hz(定格容量30 kVA)を出力し、三相交流440 Vに関しては1 - 3位寄りに設置されたKE5Aジャンパ連結器[注 12]を介して編成に引き通されており、後述する空気圧縮機や冷房装置、室内灯の電源となっている[注 13][10]。単相交流600 Vに関しては自車搭載の励磁装置の電源である[10]。各車には単巻変圧器が搭載され[注 14]、三相交流440 Vを電源として単相交流100 V/60 Hzを出力する。これは、各車ヒーターなどの電源として用いられる。SIVが搭載されている車両には補助整流装置も搭載され、三相交流440 Vを電源として直流100 Vを出力する。モハ221形・クハ220形・サハ220形に搭載される鉛蓄電池(AB40、容量40 Ah)も直流100 Vを出力する[10]

さらに見る 形式, WMT61S ...

主電動機713系用として開発された MT61 を基本とする WMT61S(端子電圧375 V時定格出力120 kW)および、213系用として開発された MT64 を基本とする WMT64S(端子電圧750 V時定格出力 120 kW)の2種がそれぞれ採用されている[3]。これらは端子電圧は異なるが、磁気回路の工夫などにより出力特性が極力同一となるように設計されている。

駆動システムは中空軸平行カルダン[3]を採用した。歯車比は211系と同じ5.19である[3]

電動空気圧縮機は、SIV出力の三相交流440 V/60 Hzを電源とし、低騒音および保守簡易構造である水平対向・レシプロ式4気筒タイプを採用する[22]。モハ221形に WMH3093-WTC2000A(吐出し量2,075 L/min)が、サハ220形・クハ220形は WMH3094-WTC1000C(吐出し量1,120 L/min)が搭載され、信頼性向上のため除湿装置を設ける[22]

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クモハ221形のパンタグラフ増設車

集電装置は、投影面積を小さくできるメリットを持つ下枠交差式パンタグラフ WPS27 をクモハ221形・クモハ220形およびモハ220形後位寄りに1基搭載する[3][10]。ばね上昇空気下降式であり、微動すり板を採用することで離線の減少を図っている[10]。これは以後207系・223系の各系列にも継承されている。

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モハ221用 WDT50H 形台車
(ヨーダンパ装着工事施工済)

台車には円錐積層ゴムによる軸箱支持機構を備えるボルスタレス台車である DT50・TR235 を基本とする WDT50H(動台車)・WTR235H(付随台車)が使用されている[3][23]。台車枠はプレス鋼板製の側梁にシームレスパイプを用いた横梁で構成されたH形形状である[24]。横梁内部は空気ばねの補助空気室としている[24]。車体支持装置は、牽引梁を2本の連結器で支持したZリンク式とし、波打一体圧延車輪および両つば式密封円筒ころ軸受を採用することでばね下重量の軽減を図っている[24]。高速走行時の安定性向上を睨んだヨーダンパ設置準備工事を当初よりされていたが、これは1998年(平成10年)以降、順次追加取り付けが実施され、電動車は各台車の左右に、制御車と付随車は各台車の片側面にそれぞれ取り付けられた[25][26]

基礎ブレーキ装置は、WDT50Hが踏面片押しブレーキ、WTR235Hが踏面片押しブレーキと1車軸あたり1枚のディスクブレーキを備える[22]

細かな差異としては、先頭車両に装着される台車の一部(クモハ221形・クモハ220形の前位側台車およびクハ221形・クハ220形後位側台車)に排障器が取り付けられているほか、モハ220形前位およびサハ220形後位側に装着される台車は側バリ端面が鉛直となっており、排障器の取り付けが可能な設計がされている。

ブレーキは制御応答性に優れる電力回生併用電気指令式空気ブレーキ方式を採用する[22]。常用ブレーキ、非常ブレーキ抑速ブレーキ耐雪ブレーキおよび直通予備ブレーキの5種類を備えるが、非常ブレーキに関しては最高速度が110 km/hから120 km/hへ引き上げられたため、増圧機構を有している[22]。抑速ブレーキは回生ブレーキを使用するが、制動力が不足する場合は空気ブレーキによる補足が入る[22]。回生ブレーキは20 km/h前後で失効する[22]

各車にブレーキ関係の機器(ブレーキ受量器〈クモハ221形・クモハ220形・モハ220形〉、電空変換弁〈電動車〉/多段式中継弁〈付随車〉、増圧電磁弁、応荷重弁など)を一体箱化したブレーキ制御装置を搭載する[27]。電動車では、MM'ユニット方式の場合はクモハ221形に搭載されたブレーキ受量器でユニットを組むモハ221形も含めた2両分を、1M方式の場合はクモハ220形およびモハ220形に搭載され、自車のみの1両分を制御する[27]。ブレーキ受量器で所要ブレーキ力と回生ブレーキ力を演算し、不足するブレーキ力は空気ブレーキで補足するが、ブレーキ受量器からの電気指令を電空変換弁を介して空気指令に変換し、供給空気ダメからブレーキシリンダーに加圧する[27]。付随車では多段式中継弁で運転台からの電気指令を空気指令に変換し、供給空気ダメからブレーキシリンダーに加圧する[27]

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EB装置を取り付けた運転台

連結器は1編成を1車両として運用する考え方を基本としたため、中間連結部は半永久連結器を使用する[28]。先頭車運転台寄りの連結器は117系に倣い、増解結作業の容易化のために、電気連結器・自動解結装置付き密着連結器を採用する[28]

保安装置は、新製当初はATS-SWのみを搭載していたが、1998年(平成10年)から2001年(平成13年)にかけてATS-P取り付け工事が鷹取工場網干総合車両所(以下網干と略称)で行われている[29]。また、2006年(平成18年)から2011年(平成23年)にかけてEBTE装置の取り付けが網干および吹田工場(以下吹田と略称)で行われている[29]

EB・TE装置の取り付けに合わせて、連結面間への旅客の転落を防ぐために中間車連結面への転落防止幌の取り付けが網干と吹田で行われた[29]2011年(平成23年)からは、運転台に映像音声記録装置(ドライブレコーダー)の取り付けが網干・吹田と下関総合車両所で行われている[29]

警笛は、AW-2およびAW-5が先頭車両床下に搭載されている[30]。補助警笛(ミュージックホーンや電笛など)は装備されていない。

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形式

要約
視点

当初からJR西日本の直流電化区域全域での運行を視野に入れ、常にMT比(編成内の電動車と付随車の比率)が1:1となる設計としたことから、電動車2両でユニットを組む221形グループと電動車1両と付随車1両の2両でペアを組む220形グループが並行して製造された。この結果、桜井線・和歌山線の2両編成から東海道・山陽本線の最大12両編成まで需要に応じた編成を自由に組成でき、また6両編成時の113系[注 15]のように電動車比率が必要以上に高くなることもなくなった。

MM'ユニット車グループ

さらに見る 次車, クモハ221形 ...
  • クモハ221形(Mc)
米原近江今津京都(山陰本線)・天王寺JR難波寄りの先頭に連結される制御電動車。前位寄りに運転台を備え、パンタグラフと主制御器などを搭載し、モハ221形とユニットを組んで使用される。
  • モハ221形(M')
クモハ221形とユニットを組む中間電動車。空気圧縮機(CP)などの空制系機器と冷暖房などのサービス電源を供給する静止形インバータ(SIV)などの補助機器を搭載する[注 16]
  • クハ221形(Tc)
上郡播州赤穂篠山口園部加茂寄りの先頭に連結される制御車。後位寄りに運転台を、2位寄りにトイレを備える。
  • サハ221形(T)
付随車。主要機器は搭載されておらず、連結位置はモハ221形の下り寄りに固定されている。

1M車グループ

さらに見る 次車, クモハ220形 ...
  • クモハ220形(M1c)
JR難波・天王寺(阪和線)寄りの先頭に連結される制御電動車。前位寄りに運転台を備える。パンタグラフ、主制御器と補助電源用SIVを搭載する。クハ220形とペアを組み、2両編成を組成した。後にサハ220形とペアを組み、4両に組成されている。京都・網干には配置されていない。
  • モハ220形(M1)
パンタグラフ、主制御器と補助電源用SIVを搭載する中間電動車。サハ220形またはクハ220形とペアを組み、6連および8連組成では、MM'ユニット車グループと混結される。
  • クハ220形(T1c)
加茂・京都寄りの先頭に連結される制御車。後位寄りに運転台を、2位寄りにトイレを備え、CPを搭載する。クモハ220形とペアを組み、2両編成を組成した。後にモハ220形とペアを組み、4両に組成されている。京都・網干には配置されていない。
  • サハ220形(T1)
CPを搭載する付随車。クモハ220形またはモハ220形とペアを組み、6連および8連組成では、MM'ユニット車グループと混結される。
さらに見る ← 長浜・永原・柘植播州赤穂・上郡 → ← 寺前姫路(播但線) → ← 大阪(おおさか東線)・JR難波・環状線外回り先頭加茂・京都(奈良線)・五条 → ← 京都(山陰本線)胡麻 →, 8両編成 ...
凡例
  • Cont:主制御器
  • CP:空気圧縮機
  • SIV:補助電源装置

製造時期における差異

  • 3次車
    • 車内の吊り革とその引き通し棒が全体に渡って設けられるようになった。
    • 車内外の半自動ドアボタンの取り付け位置が低くなった。
  • 4次車
    • 乗務員室扉の雨樋が標準装備となった。
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改造

要約
視点

体質改善工事

さらに見る 施工年度, 施工工場 施工両数 ...
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体質改善車(転落防止幌なし、幕式種別表示器)
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体質改善工事施工車(右)と未施工車(左)の並び

2010年代に入ると、当形式は初期車の製造から25年程度が経過し、車体腐食や電子機器劣化などが進行、後継車である223系や225系と比較すると品質面やサービス面が低下する傾向があった[32]。そこで、接客設備の改善および安全性向上を目的に、2012年(平成24年)度から2019年(平成31年・令和元年)度にかけて、221系全474両を対象に体質改善工事を行った[33][34]。体質改善第1号は吹田総合車両所京都支所所属のK12編成[注 17][35]となり、2012年(平成24年)12月27日に出場試運転を行い、2013年(平成25年)1月11日に営業運転に復帰した[36]。2017年(平成29年)度までに奈良車・京都車が、網干車も2020年(令和2年)3月に完了した[37]

221系を含めた車両の体質改善(リノベーション)に対して2014年度にグッドデザイン賞が授与されており、一部車両に記念プレートが掲示されている[38][39]

車体
  • 前面部、戸袋部、側引戸に腐食対策から補強工事を施工[40]
  • 塗装は全剥離のうえ、下地処理より再塗装[40]
  • 事故での機器損傷や巻き込みを防止するために前面スカートを強化[40]
  • 乗務員室の側扉を交換(扉窓が縮小)。
  • 客用扉および乗務員用扉上への雨樋の追加。
  • 運転台上部に前面行先表示器を設置し、運行番号表示器を撤去[40]
  • 運転台前面の窓を縮小し、強化ガラスに交換(K12編成は未施工)。運転台前面の保護棒は撤去[41]
主要機器
  • ATS-Pの更新[42][注 18]
  • 多重設定装置を223系と同等のモニタ制御装置に変更[43]
乗務員室
  • 前部標識灯をシールドビームからHIDに変更するとともに、補助灯(黄色)を追加して視認性を向上[43]。尾灯は小型LEDに変更。これら灯具類は車内より交換可能とした[43]
  • 223系併結時を考慮し、放送装置の更新[43]
  • NFBやスイッチ類の配置を223系・225系に準拠し、車掌スイッチのユニット化を実施[43]
  • 前面貫通扉にワイパーの追加[43]
客室
  • ラッシュ時の乗降時間短縮や混雑緩和に対応するため、ドア周辺[注 19]の座席計12名分(転換式座席3列)が減少。代わりに収納式補助席を設置[注 20]することで、閑散時間帯においては従来と同等の着席座席を確保[40]
  • 先頭車両車端部に車いすスペースを設置、クハ221形・クハ220形のトイレを車いすでの使用に対応するために円弧形ドアを採用して大型化[43]
  • LED式案内表示器は車端部の物を撤去し、側扉鴨居部に新設[40]。223系1000番台以降に揃えて、ドア上3箇所に千鳥配置とした[注 21]
  • つり革は握りの大きさと太さを拡大して黄色(山吹色 以下同)に着色し、優先座席付近はスリーブを緑色にして区別。
  • 握り棒を大型化し、扉周囲とともに黄色に着色。
  • 室内化粧板の全張り替え。
  • 床材の張り替え。
  • 座席を225系と同じモケットに、座席枕カバーを個別タイプに交換。戸袋窓にあたる部分を除き、窓際のひじ掛けを撤去。
  • 車内の連結面の貫通扉を225系と同一形状のステンレス無塗装タイプに交換[42]、車内温度維持や火災延焼対策の観点から扉のストッパーは廃止。
  • ドアチャイムの新設。
  • 乗降ドアおよび側窓を複層ガラスタイプに変更[42]
  • 窓枠を交換し、カーテンを3段階式のストップ式に交換。
  • 出入口前に金属製の滑り止めを新設。

先頭車間転落防止幌の取り付け

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転落防止幌の設置前後比較

2010年(平成22年)12月に舞子駅で発生した乗客転落死亡事故を受けて、複数編成を併結した運用の多い本系列にも、先頭車間転落防止幌が順次設置された[44][45][注 22]

車外表示器フルカラーLED化

  • 2017年(平成29年)4月より、奈良支所に所属するNB805編成およびNC608編成を皮切りに、京都支所と奈良支所の車両に対して側面行先表示器のフルカラーLED化が順次行われ[46]2019年(令和元年)12月までに完了した。 また、2020年(令和2年)より網干総合車両所所属車にも同内容の工事が施工されている。[要出典]
  • 2023年(令和5年)2月より、奈良支所に所属する4・8連の一部が種別表示器を幕式からフルカラーLED式に変更されている。こちらは、側面と前面の両方に施行されている。[要出典]

いずれの変更も、前面の行先表示器は3色LEDのままとなっている。[要出典]

その他

2002年(平成14年)以降、運転台前面の上下に保護棒を取り付ける工事が行われている[25]。また、2004年(平成16年)より前面排障器が大型のものに交換されている。

吹田総合車両所京都支所に所属する車両には、2009年(平成21年)よりクモハ221の前位寄りに霜取り用のパンタグラフを搭載した編成が登場している[47]。増設されたパンタグラフの使用は2010年(平成22年)12月1日から開始された[48]

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運用

要約
視点

この項では線区別に車両配置と運用状況を記す。配置両数の一例として1997年(平成9年)3月時点では網干372両・奈良102両の配置、2007年(平成19年)3月改正時点で網干には296両、奈良には178両の配置、2025年(令和7年)3月時点では奈良には384両、京都には90両の配置となった。

1996年(平成8年)度から2024年(令和6年)度にかけて、新快速の223系・225系投入により、網干所属車は全て奈良または京都への転属が行われた。なお、奈良への新製配置車については2025年(令和7年)現在も他所への転属実績はない。

2025年(令和7年)4月1日時点を基準にした車両配置と[49][50]、2018年(平成30年)10月28日現在の運用線区を記す[51][52][53][54][55]

JR神戸線・JR京都線・琵琶湖線

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221系 新快速
(1990年9月22日 神戸駅
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221系 本線快速
(2020年3月23日 さくら夙川駅

1989年(平成元年)より網干電車区に新製配置され、JR神戸線JR京都線系統の新快速・快速列車を主体に投入された。同年2月から3月にかけて1次車として6両編成×5本(M1 - M5)と4両編成×6本(E1 - E6)の54両、7月には2次車として6両編成×7本(M6 - M12)と4両編成×1本(E7)の46両、計100両が配置された。編成記号は、6両編成がM、4両編成がEとされた[56]。4両編成は2編成連結の上で快速運用として同年3月6日から、6両編成は新快速用として4月1日から運用を開始した[56]

続いて1990年(平成2年)度には3・4次車として計194両が導入された。内訳は3次車が6両編成×14本(M13 - M26)とモハ220+サハ220のユニット×7組14両の合計98両、4次車が6両編成×16本(M34 - M49)96両となる。モハ+サハユニットは、4両編成の6両増結用に充てられ、E編成はM27 - M33となった。この増備によって、同年3月10日ダイヤ改正ではデータイムの新快速の221系化および一部区間での120 km/h運転が実現するとともに[57][58]、湖西線での運用を開始した[51]。また、8月5日付運用修正で網干区から4両編成が一時消滅し、6両編成49本のみが所属することとなった[56]

1991年(平成3年)には網干電車区に5次車として6両編成×11本(M50 - M60)が新たに配置された。また、同年11月21日付の運用修正で、6両編成を4両編成と8両編成にする組成変更[注 23]により、初の8両編成が登場[59]。これは、6両編成新快速の輸送力増強によるものである。8両編成の登場に合わせて6両・4両編成共々編成記号が変更され、8両編成が A、6両編成が B、4両編成が Cとなった。同年3月16日改正では本格的に120 km/h運転を開始し、草津線での運用を開始した[52][56]。同年9月14日ダイヤ改正では北陸本線長浜駅までの直流電化が完成したことから、運用が長浜駅まで拡大された[56]

1992年(平成4年)には、同年3月のダイヤ改正に合わせて網干電車区に6次車4両編成×9本(C19 - C27)が新製配置され、221系の製造は終了した。この増備により朝ラッシュ時を除く大半の新快速運用を221系で行うようになるとともに、データイムの新快速の8両編成化を行った[60]。この時点で網干所には396両(8両編成×18本・6両編成×24本・4両編成×27本)が配置された[59]

阪神・淡路大震災が発生した1995年(平成7年)より最高速度130 km/hに対応する223系1000番台の投入が開始され、1997年(平成9年)には6両編成2本と4両編成3本が奈良へ転出、本形式初の転属となった。1999年(平成11年)からは223系2000番台が増備された。2000年(平成12年)3月11日改正では新快速の全列車が223系に統一され、8両編成×3本、4両編成×1本、8両編成から脱車したT1-M1ユニット4本の合計36両が網干から奈良に転属[61]、また所属変更はないが一部は福知山線にも転用されている。本線系統に残存した編成は2024年3月まで普通・快速運用専属となり、ごくわずかに赤穂線湖西線北陸本線(米原 - 長浜間)の列車でも運用された。

2001年(平成13年)の奈良線みやこ路快速運転開始により、網干の30両が奈良に転出したが、JR京都・神戸線では223系の増備は行わず、余剰気味の113系を快速運用に活用して対応した。

2003年(平成15年)12月1日から平日も全ての新快速が芦屋駅に停車するようになり、朝の神戸駅 → 大阪駅間では快速が先着になる。これによってこの朝ラッシュ時のJR神戸線上り列車の221系の運用がなくなった[注 24]。また、播但線姫路駅 - 寺前駅間の普通列車でも運転を開始した(後述)。

2004年(平成16年)10月16日にはJR京都・神戸線の快速から113系が撤退し、221系のJR東海の大垣駅への乗り入れが開始された。また、JR神戸線に続き、JR京都線でも朝の大阪方面の快速を223系使用のみとし、221系による快速は両方向とも大阪駅着の朝ラッシュ時を外れる列車に運用されるようになった。2007年(平成19年)1月から3月には4・6両編成各1本が網干から奈良に転属した。

2008年(平成20年)1月21日からは、223系2000番台の車両性能を221系と同一水準になるよう機器の設定が変更された223系6000番台との併結運用を開始した。また、同年には4両編成19本が京都へ転属した[62]。2010年(平成22年)には6両編成2本が奈良へ、4両編成1本が京都へ転出した[63]。同年から翌2011年(平成23年)にかけては8両編成6本が奈良へ転属している[64]

2012年(平成24年)3月には奈良へ8両編成1本が転出、入れ替わりで4両編成2本が転入した。翌2013年(平成25年)には4両編成1本が京都へ転属している。2016年(平成28年)3月25日には221系を含む京阪神快速電車の大垣駅乗り入れが終了した。同年7 - 8月には網干と奈良で体質改善未施工車と体質改善施工車(8両編成×2本)を交換[65]、9月には4・8両編成各2本が奈良へ転属した。

2018年 (平成30年)10月には223系1000番台のAシート改造に伴う車両不足により、奈良から4両編成×2本が網干に転属した。これに関連して、223系6000番台2編成が2000番台に原番復帰している。

2020年(令和2年)には225系3次車の導入と221系転出による201系の置き換えが発表され[66]、225系3次車の導入開始により、翌2021年(令和3年)3月13日には網干のA・C編成の運用を終了した。2021年(令和3年)4月1日時点では、8両編成(A編成)×5本、6両編成(B編成)×14本、4両編成(C編成)×3本の合計136両が網干に所属していた[67]が、2021年5月にA・C編成が全て吹田総合車両所奈良支所へ転属[68]し、2021年(令和3年)9月にはB17・B18・B19編成も同様に転出した[69]ほか、ほぼ同時期に223系6000番台との連結運用がいったん消滅となった。

2023年にはB11編成が奈良へ[70]、B12・B13編成が京都へ転属[70]、網干には6両編成×8本の配置となった。2023年には223系2000番台のうち6両編成3本が6000番台へ改番され、同車との連結運用が再開された[71]が、2024年2月に2000番台へ戻されたため再び終了している[72]

2024年(令和6年)3月16日のダイヤ改正により、網干総合車両所本所所属車によるJR京都線・JR神戸線での本線運用が終了し[19]、奈良へ6両編成5本、京都へ6両編成1本が転出した[72]。播但線用として以後も2本のみ残存したが、翌2025年に奈良へ転出し網干への配置が消滅している[73]

225系3次車導入直前時点での運用区間は以下の通り(播但線を除く)。

大和路線・奈良線・おおさか東線

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221系 大和路快速
(2023年12月8日 大正駅
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221系 みやこ路快速
(2017年1月6日 玉水駅 - 棚倉駅間)
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221系 おおさか東線普通
(2022年3月12日 南吹田駅
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かつて存在した6+2両編成の大和路快速運用
(2008年3月16日 大正駅

奈良電車区(現在の吹田総合車両所奈良支所)には、1989年(平成元年)2月から7月にかけて、1・2次車として4両編成×12本、2両編成×12本の計72両が配置された。同年4月10日から関西本線(大和路線)・大阪環状線で大和路快速を中心に運用を開始した[29]。その後1991年には3次車のモハ220+サハ220ユニット3組(34 - 36)を増備、3本を6両編成化した[52]

1994年(平成6年)9月4日には和歌山線の運転区間が全区間に拡大した。1997年(平成9年)3月にはJR神戸線系統からの転用車が転入し、関西本線(大和路線)の快速増発に充てられた。日中も和歌山線高田駅まで入線するようになる。2000年には8両編成×3本、4両編成×1本、8両編成から脱車したT1-M1ユニット4本の合計36両が網干から奈良に転属[61][注 25]、また同時に1M車グループによる4両編成も登場し、2両編成×4本に先述のT1-M1ユニットを組み込まれた。

2001年(平成13年)3月3日には奈良線で運用を開始[74]みやこ路快速に投入された。その運用増のため、6両編成×3本と4両編成×3本の計30両が奈良に転属[75]2002年(平成14年)3月23日には和歌山線の運用区間が王寺駅 - 五条駅間に縮小した。

2007年(平成19年)1月から3月には、福知山線脱線事故による予備車確保の観点から、6両編成×1本と4両編成×1本の合計10両が網干から奈良に転入した。

2010年(平成22年)には奈良の6両編成×1本、2両編成×1本を4両編成×2本に組み替えた。2010年(平成22年)3月には網干から6両編成×2本が奈良に、奈良から4両編成×3本が京都に転属した[63]。同年12月には網干から8両編成×2本が奈良に転属[64]、これにより奈良に初めて8両編成が配置された。2011年(平成23年)3月には網干から8両編成4本が奈良に転属[64]。8両編成×1本、6両編成×5本、2両編成×7本を4両編成×13本に組み替え。これにより、2両編成が消滅した[53]。翌2012年(平成24年)には網干より8両編成1本が転入、網干へ4両編成2本が転出している。

網干への225系100番台の新製配置に伴い、2016年(平成28年)9月から10月に網干から8両編成・4両編成各2本が奈良に転属した[65]。またこれ以降大和路線の区間快速は全列車221系での運転となった。2018年(平成30年)には、2016年に奈良へ転入していた4両編成2本が再び網干へ転出している。

2020年(令和2年)3月14日ダイヤ改正にて大和路快速の8両編成への統一、休日のみやこ路快速の6両編成への統一が行われ、6両編成は大阪環状線直通列車から撤退した[76]

2021年(令和3年)4月1日時点では、8両編成(NB編成)×9本、6両編成(NC編成)×9本、4両編成(NA編成)×29本の242両が配置されていた[67]。2021年(令和3年)5月から7月にはA編成×5本とC編成×3本全車が網干から、K1・K2編成の2本が京都からそれぞれ奈良へ転属[68]、6両編成×10本に組み替え、同所のNC610 - NC619編成となる。9月には網干のB17・B18・B19編成が奈良へ転属[69]、同所のNC620・NC621・NC622編成となる。2021年(令和3年)10月には221系が大和路線普通列車でも運用開始されるのに伴い、NC編成に201系と同じく女性専用車が設定された。

2022年(令和4年)3月12日には201系に代わりおおさか東線の普通列車で運用を開始した[77]。同年5月には奈良のNB802編成が京都へ転属[78]、同所のK10編成と6両編成2本に組み替え、同所のF01・F05編成となった。

2022年(令和4年)5月にはNB802編成が京都支所に転出[78]、2023年(令和5年)には京都支所からK11・K19・K20・K22 - K24編成が転入[70]してNA430 - NA435編成(転入時に車番順に整理)となっているほか、網干からもB11編成が転入しNC623編成となっている[70]

2023年(令和5年)3月18日のダイヤ改正とうめきた地下駅の開業に伴い、大和路線・おおさか東線の直通快速で運用されていた207系321系が撤退し、その代替として221系8両編成での直通快速の運行を開始した[79]

2024年(令和6年)には網干より6両編成5本(B2 - B5・B7→NC624 - NC628編成)が、翌2025年(令和7年)には同様に網干から6両編成2本(B14・B15→NC629・NC630編成)が転入[73]し、2025年3月ダイヤ改正で奈良区201系の置き換えが完了した。

2025年(令和7年)4月1日現在、吹田総合車両所奈良支所に8両編成(NB編成)×8本、6両編成(NC編成)×30本、4両編成(NA編成)×35本の384両が配置されている[49]。運用区間は以下の通り。

関西本線・大阪環状線・奈良線の快速列車や普通列車で運用されている。最大8両編成を組み、4両編成を2本を併結しての運転もみられる。桜井線(万葉まほろば線)へは通常朝ラッシュ時のみ乗り入れる。

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おおさか東線「快速 うれしート」の車内

大和路線・奈良線・おおさか東線では、一部の列車に有料座席快速 うれしート」の設定がある[80][81]

福知山線(JR宝塚線)

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221系丹波路快速篠山口駅、2006年)

福知山線(JR宝塚線)では、JR神戸線系統への223系2000番台1次車の量産に伴って余剰となった8両編成の福知山線(JR宝塚線)での運用が1999年(平成11年)5月11日に開始[61]された。

2000年(平成12年)には4両編成×11本を網干から宮原総合運転所に貸し出し[82]、同年3月11日改正より6両・4両編成も福知山線(JR宝塚線)で運用を開始した[52]。日中の丹波路快速や朝夕の快速を中心に、福知山駅までの全線にわたって運用されていた。

2008年(平成20年)6月27日より宮原総合運転所に新製配置された223系6000番台(MA編成)がJR宝塚線で運用を開始し、網干所221系4両編成のC編成による運用を置き換えた。そのあとも、A・B編成での運用[83]が残っていたが、2012年(平成24年)3月17日225系6000番台に置き換えられ、福知山線での221系の運用が終了した[84]

阪和線・紀勢本線(きのくに線)

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221系阪和線快速(2008年)

2000年(平成12年)3月11日改正からは、阪和線でも快速列車を中心に運用されるようになった。4両編成または4両×2本併結の8両編成で使用され、一部は紀勢本線(きのくに線)紀伊田辺駅まで4両編成で乗り入れていたほか、送り込みとして和歌山線全線で運用されていたが、2010年(平成22年)12月1日日根野電車区(現:吹田総合車両所日根野支所)に新製配置された225系5000番台の営業運転開始に伴い、阪和線・紀勢本線(きのくに線)天王寺駅 - 紀伊田辺駅間での運用を終了した[53]

なお、これ以前に一部指定席の臨時列車として、白浜駅までの急行(のちに快速に格下げ)や箕島駅和歌山駅から嵯峨野線・湖西線まで乗り入れるホリデー号に使用された実績がある(後述)。

播但線

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播但線普通列車の221系(2010年)

播但線では、2003年(平成15年)12月1日より姫路駅 - 寺前駅間で土休日のみ網干総合車両所所属の221系による運用を開始した[52]2004年(平成16年)6月には平日運用が追加され、毎日運転されるようになった[52]

網干所の221系は2024年(令和6年)3月にJR神戸線・JR京都線系統での運用を終了したが、この時は播但線の運用は残存していた。定期列車は6両編成が朝の1往復(姫路駅の始発とその折り返し)のみで、103系3500番台が不足する際の代走でも使用された。

2025年(令和7年)3月にはこの運用も223系に置き換えられ、播但線での運用は終了した[73]

湖西線・草津線・山陰本線(嵯峨野線)

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221系 嵯峨野線普通列車
(2024年7月28日)
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221系 湖西線普通列車
(2018年1月5日)

1990年(平成2年)3月に湖西線[51]、1991年(平成3年)3月に草津線[52]で網干車の運用が開始され、大阪方面からの直通列車で主に使用された。その後、前者は2006年(平成18年)10月に、後者は2007年(平成19年)3月に一旦撤退となった[54]

2008年(平成18年)2月18日から嵯峨野線内にて221系の運用を開始し、113系・117系京都車による運用の一部を置き換えている。2008年(平成20年)3月には網干総合車両所から221系4両編成×6本が京都総合運転所に転属し、221系は網干・奈良・京都の3区所に分散配置されることになった。また、3月15日ダイヤ改正より京都車の湖西線運用を開始し、同年内には4両編成13本が追加転入した。

2010年(平成22年)3月の嵯峨野線複線化開業に伴う運用増のため、網干から4両編成×1本が京都に、奈良から4両編成×3本が京都に転属した[63]

2013年(平成25年)には網干から4両編成1本が京都に転入、同時に草津線での運用が開始された[54]

2015年(平成27年)3月には湖西線で約8年半振りに網干車の運用が再開となったが、線内折り返しの普通運用のみとなった。網干車の湖西線運用は2021年(令和3年)春に再び終了している。

2019年(平成31年)3月16日改正で京都車担当の山陰本線胡麻駅 - 福知山駅間の運用が終了した[85]

2021年(令和3年)4月1日時点では、4両編成(K編成)×24本の計96両が所属していた[67]。2021年(令和3年)5月にK1・K2編成が奈良支所へ転出[68]し、2022年(令和4年)5月にNB802編成が奈良支所から転入した。NB802編成はK10編成との組み換えにより同所のF01・F05編成[78]としている。2023年にはK11・K19・K20・K22 - K24編成が奈良へ転出、網干からB12・B13編成が転入してF03・F04編成となった[70]。翌2024年には網干からB10編成が転入しF02編成となっている[72]

2025年(令和7年)4月1日現在、吹田総合車両所京都支所に4両編成(K編成)×15本、6両編成(F編成)×5本の90両が配置されている[50]。いずれも223系2500・6000番台と共通運用で、嵯峨野線の朝夕の一部列車で吹田総合車両所福知山支所(旧:福知山電車区)の223系5500番台を併結した6両編成で運転を行っている[54]

臨時列車としての運用

新快速の原則223系への統一後も、神戸ルミナリエなにわ淀川花火大会に合わせて運転される臨時新快速には本系列が充当されたことがある[86][87]。また、春秋の行楽期の日曜・祝日に、野洲大阪行きの定期回送列車(8両編成、大阪から福知山線快速)の京都駅 → 大阪駅間を、臨時新快速として客扱いしていたことがある。「ひまわり号」などの団体列車にも使用される[88]

1990年代、夏季には「マリン白浜221」「マリン城崎221」、冬季には「きのさき」「味めぐり城崎カニスキ」などの臨時急行にも充当された[89]。その際は中央の扉を締め切り、車内にゴミ箱を設置するなどの配慮がなされた[89]。また、指定席車両を連結した行楽臨時列車(ホリデー号、後に指定席車両を廃止した「レジャー号」に移行)にも使用され、「○○ホリデー221」のヘッドマークや、「ホリデー」「レジャー」の種別幕が用意された。臨時快速「レインボー」(後に「天橋立ホリデー」に改称)として北近畿タンゴ鉄道経由で天橋立駅[90]まで、「伊吹ホリデー221」や花博の臨時列車として、岐阜駅まで運行されたこともある。

2025年(令和7年)3月15日のダイヤ改正より、新大阪駅 - 桜島駅間を梅田貨物線・桜島線経由で運行する臨時快速「エキスポライナー」のうち、平日朝時間帯の桜島行き4本に使用されている[91][92][93][94]

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車体ラッピング

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「お茶の京都トレイン」ラッピング編成

2023年(令和5年)3月17日より、吹田総合車両所奈良支所のNC604編成を車両外装および内装を「お茶の京都」デザインで統一したラッピング列車として運転を開始した[95][96][97]。この取り組みは223系6000番台「森の京都QRトレイン〜Quality and Relaxing Train〜」の「森の京都」ラッピングに続くもので、期間は約3年程度の予定[98]

高速走行試験

国鉄時代、381系による在来線における160 km/h速度向上試験が二度にわたり実施された湖西線において[99]、高速化(160 km/h程度)の実現や新形式の設計に必要なデータ収集のため、1990年(平成2年)5月から6月にかけて、本形列を用いた160 km/h高速走行試験が行われた[99][100]

当時網干電車区所属の6両編成(M21編成、東海道本線基準で東京寄りからクモハ221-33+モハ221-33+サハ221-33+モハ220-14+サハ220-14+クハ221-33)を使用した。

試験を行うに当たり、以下の改造を施工した。

  • サハ221-33およびサハ220-14を脱車した4両編成(クモハ221-33+モハ221-33+モハ220-14+クハ221-33)とし、MT比を3M1Tとすることで加速性能を向上[100]。編成全体を方向転換させ、湖西線基準で京都寄り(西側)がクモハ、近江塩津寄り(東側)がクハとした[101]
  • 歯車比を5.19から3.17[注 26]へと高速用に変更[100]
  • 車端ダンパ、ヨーダンパ、アンチローリング装置の取り付けで乗り心地を改善[100][101]
  • 台車軸ばね定数変更[注 27]および空気ばねを改良型に変更した、WDT50H改・WTR235H改台車採用による乗り心地の改善[100][101]
  • 高速走行での集電性能改善のため、パンタグラフはダンパを取り付けたWPS27改に変更し、クモハ221-33・モハ221-33・モハ220-14車間に高圧引き通し母線を設置[100][101]
  • GG信号(高速進行信号)表示灯をクハ221-33運転台に仮設[101]

試験区間は湖西線(安曇川駅 - 永原駅間)とし、GG信号現示のための信号機仮設が行われた。測定項目は、輪重や横圧、分岐器性能、乗り心地、駆動装置性能、主電動機整流性能、ブレーキ性能、架線・パンタグラフ性能、構造物の応力評価、地上騒音、高速信号視認性などである[100]

走行試験の結果、輪重や横圧は異常がなく、限界値以下であった[101]。乗り心地に関しても、左右加速度は想定通りであった[101]。分岐器性能や集電性能、騒音や振動に関しても160 km/h走行に耐えうる性能を示した[102]

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その他

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京都鉄道博物館にて展示中の先頭部モックアップ(左)

京都鉄道博物館には、車掌体験用として本形式の先頭部モックアップが展示されている。これはかつて交通科学博物館(2014年(平成26年)4月6日閉館)において運転シミュレータとして使用されていたものに客室部分を追加改造したものである。追加改造部分は字幕式の方向幕、側扉はステンレスの無塗装のものがそれぞれ設置され、実車とは異なっている。

編成表

網干総合車両所(旧:網干電車区)所属

さらに見る ← 長浜・近江今津・柘植上郡・播州赤穂 →, 編成番号 ...
さらに見る ← 長浜・近江今津・柘植上郡・播州赤穂・篠山口 →, 編成番号 ...
さらに見る ← 長浜・寺前上郡・播州赤穂・篠山口 →, 編成番号 ...
さらに見る ← 長浜・寺前上郡・播州赤穂 →, 編成番号 ...
さらに見る ← 長浜・寺前上郡・播州赤穂 →, 編成番号 ...
さらに見る ← 寺前姫路(網干) →, 編成番号 ...

吹田総合車両所奈良支所(旧:奈良電車区)所属

  • :女性専用車両
さらに見る ← 湊町・環状線外回り先頭加茂・五条 →, 編成番号 ...
さらに見る 加茂・京都・五条・和歌山 →, 編成番号 ...
さらに見る 加茂・京都・五条・和歌山 →, 編成番号 ...
さらに見る 加茂・京都・五条 →, 編成番号 ...
さらに見る 加茂・京都・五条 →, 編成番号 ...
さらに見る 加茂・京都・五条 →, 編成番号 ...

吹田総合車両所(旧:京都総合運転所)所属

さらに見る ← 永原・柘植京都(東海道本線) → ← 京都(山陰本線)福知山 →, 編成番号 ...
さらに見る ← 永原・柘植京都(東海道本線) → ← 京都(山陰本線)福知山 →, 編成番号 ...
さらに見る ← 永原・柘植京都(東海道本線) → ← 京都(山陰本線)胡麻 →, 編成番号 ...
さらに見る ← 永原・柘植京都(東海道本線) → ← 京都(山陰本線)胡麻 →, 編成番号 ...
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脚注

参考文献

外部リンク

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