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つくばマラソン
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つくばマラソンは、茨城県つくば市で毎年11月下旬の日曜日[注 1]に開催されるマラソン大会である。フルマラソン(42.195km)と10kmの2種目を実施している。フルマラソンと10kmのコースは、ともに日本陸上競技連盟公認コースである[1][2]。
概要
要約
視点

コースの高低差が少ない(10m前後[1])のが特徴で[3][4]、自己記録を出しやすく[1][3]、マラソン初心者の参加も多い[5]。
1981年(昭和56年)に筑波学園マラソン大会として始まった。2009年(平成21年)から2011年(平成23年)の正式名称はエコシティー第n回つくばマラソン(nは自然数)。「科学のまちを走ろう」をテーマとして始まり[1]、2017年(平成29年)現在は「マラソンを科学する」を掲げている[6]。フルマラソンの制限時間は6時間[7]、10kmの制限時間は75分である。沿道には民家が少なく、応援の人も少ない[8]。
主催・後援・協賛
主催者はつくば市・筑波大学・茨城陸上競技協会・読売新聞社[9]であり、茨城県・茨城県教育委員会・土浦市・茨城県体育協会・報知新聞社の後援を得ている。スポーツ用品メーカー・スポーツドリンクメーカー・地元企業等が協賛している。
出場申し込み
申し込み方法は、アーリーエントリー・通常エントリー・レイトエントリーの3種類が用意されている[5]。
ボランティア

多くのボランティアが活動している。読売新聞の各回の報道によれば、毎年400 - 450人程度の市民や企業の関係者が受付・給水・救護などのボランティア活動を行っている[12]。第26回(2006年)大会では例年より多く約800人が参加した[13]。
このほか、NPO法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会がマッサージを提供したり、国士舘大学の学生による「モバイルAED隊」(自転車でコースを巡回して救護活動)、スタート地点でのつくば市消防音楽隊などによる演奏、地元サークルによるチアリーダーのパフォーマンスなどが行われている[12]。
カーボンオフセット
第29回(2009年)より第31回(2011年)まで「エコシティー」という冠称を付けていた[注 2]つくばマラソンはカーボンオフセット料金を出場費に上乗せして徴収している[16][17]。第28回(2008年)は排出権の購入[16]、第29回(2009年)以降は、つくば市とカーボン・オフセットによる環境連携協定を締結した茨城県久慈郡大子町にある「つくばの森」の整備費用に充てられている[17]。第33回(2013年)は出場費から1人当たり100円、総額約164万円を大子町の森林整備費および筑波山の間伐費補助に充当した[18]。
前日イベント
例年「つくばマラソン祭り」と称するイベントをつくばマラソンの前日にイーアスつくばで開催している[19]。第38回(2018年)は、山本ゆうじの司会進行で、ゲストランナーの柏原竜二とサイラス・ジュイ、筑波大学体育系教授の鍋倉賢治によるトークショーが行われた[20]。
放送
つくばコミュニティ放送(ラヂオつくば)が第29回(2009年)大会から生中継を行っている。第29回大会の放送では、ラヂオつくばの職員だけでは人手が足りなかったため日常的に情報交換を行っている「市民レポーター」が交通情報を提供するなどして活躍した[21]。
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コース

コースはこれまでに交通事情の変化等によって何度か変更されているが、第5回(1985年)以降、筑波大学筑波キャンパス内がスタートおよびゴールとなるのは共通している[23]。以下に示すコースは第38回(2018年)のコースである[24]。公式サイトで最新のコース確認ができる[25]。
- フルマラソン
- 筑波大学総合研究棟D前⇒筑波大学構内道路[注 3]⇒筑波大学アイソトープ環境動態研究センター環境動態予測部門⇒県道200号⇒口ノ堀陸橋⇒学園西大通り[注 4]⇒クリーンセンター入口交差点⇒筑波北部工業団地⇒つくばテクノパーク大穂⇒県道45号⇒豊里交流センター⇒県道45号⇒下河原崎東交差点⇒県道123号⇒面野井陸橋東交差点⇒ポンプ場前⇒面野井台交差点⇒(研究学園西交差点で折り返し)⇒面野井台交差点⇒インテル筑波本社⇒酒丸交差点⇒県道24号⇒学園の森交差点⇒国土地理院⇒学園西大通り⇒口ノ堀陸橋⇒県道200号⇒筑波大学アイソトープ環境動態研究センター環境動態予測部門⇒筑波大学構内道路[注 5]⇒筑波大学陸上競技場
- 10km
- 筑波大学総合研究棟D前⇒筑波大学構内道路[注 6]⇒筑波大学アイソトープ環境動態研究センター環境動態予測部門⇒県道200号⇒(要地区で折り返し)⇒県道200号⇒筑波大学アイソトープ環境動態研究センター環境動態予測部門⇒筑波大学構内道路[注 7]⇒筑波大学陸上競技場
関門・給水所
関門は18km・31kmの2地点に設置されており、31kmの関門は14時(スタートから4時間30分)に閉鎖される[26]。また、最終ランナーの通過を待たず交通規制が解除となる区間があり、以降のレースは歩道を走り[3]、交通信号に従う必要がある[8]。
給水所はおおむね2.5km間隔で14か所設置されている[3]。水以外にBCAA(分岐鎖アミノ酸)、アンパン、バナナ、梅干しさらには汁粉を用意している給水所もある[3]。汁粉は協賛企業のカスミが提供しているが、これはつくばマラソンに参加した同社の社員の多くが「温かくて甘い飲み物がほしい」と発言していたことから提供されるようになったという[27]。第25回(2005年)には6 - 7千人分が用意された[27]。ただし第35回(2015年)には汁粉は提供されなかった[28]。
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歴史
要約
視点
1981年(昭和56年)3月1日に筑波学園マラソン大会という名で筑波研究学園都市関係6町村(桜村・谷田部町・豊里町・大穂町・筑波町・茎崎町)と読売新聞社の主催で開催された[29]のが始まりである。この大会には約2,600人が出場し、30km(一般のみ)・10km(一般の部、高校の部)・5km(一般、高校、中学の部)が実施され、そのうち30kmと10kmは日本陸上競技連盟の公認コースであった[29]。第2回(1982年)大会は1,779人が出場したが、うち約200人が事前申し込みをしていない飛び入り参加者だったと当時の「読売新聞」が報じている[30]。同紙の記事によれば、飛び入りランナーの大半は申し込み漏れの人だったが、中には応援をしているうちに走りたくなった人や、30kmで集団についていけなくなり、急きょ10kmに再出場した人もいたという[30]。
第4回(1984年)のみ筑波学園ロードレースに改称しているが[31]、第5回(1985年)には筑波学園マラソン大会に戻っている[32]。第5回大会は国際科学技術博覧会記念として30kmを廃止し、フルマラソンが導入された[32]。この回には国際博覧会協会の職員や各パビリオンのコンパニオンもレースに出場し、注目を浴びた[32]。第7回(1987年)には、特別にフルマラソンに関東学連選抜部門が設けられ、男女とも筑波大学の選手が優勝した[33]。10kmが実施されなかったのはこの年のみである[34]。
第8回(1988年)より、現在と同じ種目・同じ名称「つくばマラソン」になった[35]。ただしこの回の開催日は4月29日で[35]、11月開催となったのは第9回(1989年)からである[36]。第10回(1990年)のつくばマラソンの模様を報じた「市報つくば」には「市民マラソンとしてすっかり定着」と記載されている[37]。この回の出場者は5,694人だった[37]。
1992年(平成4年)には筑波大学で、つくばマラソン参加を目標とした新科目「つくばマラソン」が誕生し[23]、第12回(1994年)大会には受講生50人がフルマラソンや10kmに挑戦した[38]。第14回 - 第19回大会では、フルマラソンの上位入賞者をベルギーで開かれるマラソン大会に派遣していた。派遣先は以下の通りである。


第31回(2011年)大会には、全国のマラソン大会で医療活動を行っている「日本医師ジョガーズ連盟」のメンバー10名が出場、ばてたり怪我をした人に対して声掛けなどを行った[42]。また、この回にはつくばマラソン10kmの部で優勝経験があり、大会当日に誕生日を迎えた真也加ステファンがゲストランナーとして出場した[42]。第32回(2012年)大会では、「つくば市制25周年記念」を冠称し、前年の東日本大震災や同年に市内北条などを襲った竜巻の復興支援義援金として出場者のエントリー費用から100円を充当した[43]。またこの大会では1人3,000円を義援金として提供するチャリティーランナー枠(1,000人)が設けられ[43]、つくば市農業協同組合は北条米の特別パッケージを100個販売し、完売した[44]。
第33回(2013年)は、ゲストランナーとして俳優の石原良純がフルマラソンに出場、東京箱根間往復大学駅伝競走出場経験者や「ママさんランナー」の優勝といった話題があった[45]。第35回(2015年)には混雑対策として、フルマラソンの出場者を記録順に3つのグループに分ける「ウェーブスタート」を試行した[46]。第37回(2017年)は、つくば市制30周年記念として開催され、特定非営利活動法人イマジンがアシストを使った精神援助法を提供した[47]。第39回(2019年)は雨天の中、ゲストランナーの五十嵐真悟が、男子フルマラソンで23年ぶりとなる大会新記録を樹立して優勝した[48]。五十嵐は城西大学駅伝部のコーチを務める傍らマラソンランナーとしても現役で、大会新記録を狙って出場し、狙い通り記録を更新した[48]。
各回の開催種目
○は開催、×は開催せず、○の下の文字は部門(特に明記しない限り、男女それぞれ存在)
各回の出場者数
最多出場者数は■赤色、最小出場者数は■青色で示した。
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歴代優勝者
要約
視点
各回の優勝者とその記録を記載する。初期には学齢・年齢別に優勝者が発表されていたが、ここでは一般の部の優勝者を扱い、一般の部以外の優勝者の記録の方がよい場合は併記する。大会記録は■赤色で示した。歴代記録については公式サイト(歴代記録|つくばマラソン)を参照。
フルマラソン男子
フルマラソン女子
30km男子
30km女子
10km男子
10km女子
5km男子
5km女子
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開催時の状況等
要約
視点

コース・記録
スタート時の並び順に関して、記録が公認される陸連登録者と非登録者との区分けが十分でなく、大学構内を出るまで選手の渋滞が続く[50]。第25回(2005年)大会では、すべての選手がスタートラインを通過するのに約7分もかかったという[51]。このため、号砲からゴールまでの所要時間である「記録」と、選手がスタートラインに達してからゴールまでの所要時間である「ネットタイム」の2つのタイムが完走証に記載される[7]。これらの対策として、第35回(2015年)大会で、出場者を3グループに分け、グループごとに10分おきの時間差でスタートする「ウェーブスタート」が試行された[46]。この対策により各グループの最後尾がスタートラインを通過するのに5 - 6分となった[46]。
公称6時間制限でありながら、4時間半を経過すると歩道を走らねばならず、信号で足止めとなることもある[8][52]。これについて「ツヤ消しだ」[8]、「姑息」[52]などの声がある。
区間の途中に片側2車線の道路があるが、ロードコーンを挟んでランナーと自動車が並走する区間があり、レースの安全性に問題があると指摘されている[53]。
極めて多い出場者
2005年のつくばエクスプレス(TX)開通に伴って出場者数が増加し[8]、各地で混雑が発生する。TXのつくば駅は8時頃にラッシュを迎え[51]、同研究学園駅とJRの土浦駅から運行される臨時シャトルバスの混雑や事前予約制の駐車場(有料)の渋滞が発生している[54]。また、会場の更衣室・手荷物預かり・トイレの混雑も甚だしい[54]。
マナー違反
主催者側からの指摘としてランナーのマナー違反が挙げられ、立ち小便、痰や唾を吐く、ボランティアへの暴言の3つが、悪質なマナー違反ワースト3として大会プログラム裏表紙で言及されている[55]。
自由科目「つくばマラソン」
主催者の1団体である筑波大学は、自由科目(いわゆる一般教養に相当する科目)として「つくばマラソン」という1単位の科目を開講している。1992年(平成4年)に筑波大学体育センターが「つくばマラソン参加を目標とした科目」として新設し[23]、当初は「フルマラソンを走って1単位」という過酷な授業に参加する者はいるのだろうか、と教員は不安を抱いていたが、2007年(平成19年)度までに1,000名を超す受講者を集めている[56]。開講当初は学生だけでなく教職員の受講も認めていたが、1994年(平成6年)からは学生(大学院生を含む)のみ履修可能とした[23]。
授業は、マラソンの基礎知識などの座学による「講義」と、ランニングトレーニングを行う「実技」から成っているが、やや実技を重視したカリキュラムになっている[23]。実技では、初めに12分間走を実施して各人の能力別にA - Dの班に分け、班別に課題を設定してつくばマラソンに向けたトレーニングを行う[57]。参加者は特別な運動経験を持った人物というよりは、いわゆる「普通の大学生」がほとんどであり[58]、彼らは「マラソンを走ってみたい」・「練習の目標・動機付けとしたい」という理由でこの科目を選択している[59]。学生の特徴として、3・4年次生や大学院生といった上級生の比率が高いということ[58]、男子の比率が高いことが挙げられる[57]。
この科目の最終目標は「つくばマラソンへの出場」であるが、つくばマラソンへの参加が単位取得の必須条件とはなっていない[23]。ただし、開講初年度の1992年の受講者53名のうち、フルマラソンに42名(1人は途中棄権)、10kmに8名、計50名が出場しているほか、他の年度も同様の高い出場率を保っている[38]。また、マラソン出場者にアンケートやレポートで完走して得たものを尋ねたところ、「達成感や自信」よりも「仲間・他者の存在」である、という結果が得られた[60]。また、この科目の担当教員である鍋倉賢治は、学生の自己効力感はレース直前から高まっており、たとえ完走できなかったとしても低下していない、と記している[60]。
2005年(平成17年)から[注 8]は、地域住民向けのマラソン講座(クラブ)も開講している。この講座の運営に当たっては、自由科目「つくばマラソン」を受講したOBやOGがスタッフとして参加している[61]。参加者は、つくば市・茨城県を始め近隣の県からさまざまな背景を持った老若男女が集まってきている[61]。
「マラソンを科学する」

第35回(2015年)よりフルマラソンの出場者を記録順にグループ分けし、スタート時間をずらすことで混雑緩和を図る「ウェーブスタート」を導入する[46]など、マラソンに科学的知見を導入して大会の改善を行っている[62]。2017年(平成29年)には筑波大学の体育系の准教授とカシオ計算機の共同研究で、選手100人にウェアラブルセンサーを装着してもらい、ランニング中のパフォーマンスの分析が行われた[6]。
給水所で振る舞われる軽食は栄養学の観点からバランスの良いものを厳選し、配布する際のサイズもランナーの意見を取り入れて改良している[11]。また距離表示や給水所の看板にはランナーの心理を考慮した色彩計画が導入されている[63]。
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参考文献
- 大島幸夫『市民マラソンの輝き - ストリートパーティーに花を! - 』岩波書店、2006年10月26日、248pp. ISBN 4-00-023428-5
- 金哲彦『金哲彦の旅ランニング 走る+観光でレースが何倍も楽しくなる』JTBパブリッシング〈るるぶDo!〉、2012年12月、128頁。ISBN 9784533088452。
- 成美堂出版編集部 編『人気マラソン大会 完全コースガイド』成美堂出版、2009年11月1日、112pp. ISBN 978-4-415-10807-0
- つくば市『市報つくば縮刷版 1987.12〜1992.9』
- つくば市立中央図書館『つくば トピック・ニュース』No.34,38,42,46,51,57,63,69
- 鍋倉賢治(2008)"「マラソンの街・つくば」を夢みて"筑波フォーラム(筑波大学).80:29-32.
- 鍋倉賢治・永井純・齊藤慎一・宮下憲・白木仁・大木昭一郎(1996)"自由科目「つくばマラソン」の授業報告(1)"大学体育研究(筑波大学体育センター).18:59-75.
- 読売新聞社 編『読売新聞縮刷版』No.271,283,294,306,318,331,342,356,375,387,399,411,423,435,447,459,472,483,495,507,615,627
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脚注
関連項目
外部リンク
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