トップQs
タイムライン
チャット
視点

2009年J2最終節

ウィキペディアから

Remove ads

2009年J2最終節(2009ねんJ2さいしゅうせつ)は2009年12月5日に行われた日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)ディビジョン2 (J2) 第51節を指す。本項では特に、J2優勝の可能性があったベガルタ仙台(仙台)、セレッソ大阪(C大阪)と、J1昇格の可能性があった湘南ベルマーレ(湘南)、ヴァンフォーレ甲府(甲府)の動向を中心に記す。

最終戦までの経緯

要約
視点

第48節まで

2009年は、J2のクラブ数が18になったことを受け、J1・J2入れ替え戦が廃止され、J1への昇格はJ2上位3チームの自動昇格方式となった最初のシーズンだった。

18チーム3回戦総当たりとなったこの年は、C大阪、仙台、湘南、甲府の4チームが序盤から抜け出し、対戦が一巡した第17節終了時点で4位甲府と5位水戸ホーリーホック(水戸)との勝ち点差が既に6ある[1]という「4強」状態となり、この4チームの間の順位が入れ替わりながらそのままシーズン終盤までもつれ込むことになった。

湘南は一時は首位に立つものの第28節から4連敗するなど調子を落としてじりじりと順位を下げ[2]、甲府は負けは少ないものの勝ちきれない試合も多く、第24節からの11試合で4勝4分3敗と波に乗りきれない[2]など、各チームとも中盤では勝ちきれない試合も多く混戦が続いたが、終盤にかけて第33節からの6戦を5勝1分けの無敗で一気に勝ち点を上積みした仙台[3]と第36節から無敗を続けるC大阪[3]がそれぞれ一歩抜け出す展開となった。

11月8日に開催された第48節、C大阪はホームでザスパ草津(草津)に5-0と大勝して[4]12戦無敗(9勝3分け)で勝ち点を101まで伸ばす。この時点でC大阪は甲府・湘南の勝ち点を下回る可能性がなくなり、J1昇格を自力で勝ち取った[5]。仙台は「自身が勝利し、甲府・湘南がともに引き分け以下であれば昇格確定」[5]という条件の中、アウェイにて4-0で水戸に勝利[4]。甲府がアビスパ福岡(福岡)に1-2で敗戦[4]、湘南が東京ヴェルディ(東京V)に2-2と引き分けた[4]ことで仙台の昇格も確定した。これにより、昇格残り1枠は甲府と湘南の争いになった。

第49節・第50節

迎えた第49節は、首位のC大阪と2位仙台が、勝ち点で並ぶ湘南と甲府がそれぞれ直接対決するという好カードとなり、共に満員の観衆を集めて行われた。11月21日に行われた甲府と湘南の試合は点を取り合う展開となり、終了間際の湘南MF坂本紘司のゴールで湘南が3-2で勝利。一方、その翌日に行われた首位攻防戦はこちらも終了間際に仙台DF朴柱成のゴールで仙台が1-0で勝利してついに首位浮上。いずれも試合も終了間際のゴールで決着するという劇的な展開となった。


2009Jリーグ ディビジョン2 第49節第1日
2009年11月21日
17:03
さらに見る 2 - 3 ...

2009Jリーグ ディビジョン2 第49節第2日
2009年11月22日
13:06
さらに見る 1 - 0 ...

この結果、4チームの順位は以下の通りとなり、かろうじて昇格の可能性を持っていた5位サガン鳥栖(鳥栖)の昇格が消滅した。

さらに見る 順位, クラブ ...

続く第50節、この節でJ2優勝が確定する可能性のあった仙台[7]だが、仙台は11月29日にアウェーで徳島ヴォルティス(徳島)相手に4-0で大勝した[8]ものの、C大阪がその前日にホームでFC岐阜相手に2-1で勝利しており[8]、優勝決定は最終節まで持ち越しとなった。一方、第50節で昇格を確定できる可能性のあった湘南[7]だが、11月28日に甲府がファジアーノ岡山(岡山)相手に勝利を収めた[8]ことで昇格確定は持ち越しとなり、湘南自身もザスパ草津(草津)相手にスコアレスドローを喫し[8]、両者の勝ち点差は1に縮まって最終節を迎えることとなった。

さらに見る 順位, クラブ ...
Remove ads

最終節

要約
視点

概要

各チームの対戦カードは以下のとおり。優勝争い・昇格争いに絡む4チームがそれぞれ別のスタジアムにおいて同時並行で試合を行うことになっていた。

左側がホームチーム、太字は優勝争いまたは昇格争いに関係するチーム。

仙台とC大阪の優勝争い、湘南と甲府の昇格争いはいずれも勝ち点差1の勝ち点勝負となっていた。

さらに見る クラブ, ベガルタ仙台 ...

試合開始前の時点で得失点差が+48で同じであり、勝ち点で並んだ場合は得失点差が同じになることがないため、勝敗のみで勝負が決することが確定していた。

さらに見る クラブ, 湘南ベルマーレ ...

勝ち点で並んだ場合は得失点差の勝負となるが、湘南の1点差負けなら湘南昇格、湘南が2点差負けで得失点差で並んでも、総得点で湘南が7上回っているため、甲府が逆転で昇格するにはまず勝つことが必須とも言える状況であった。

試合展開

各会場ともに12時33分キックオフ。小瀬では2分に甲府がFW金信泳のゴールで早々と先制する。鳥栖でも8分にC大阪がMF石神直哉から左サイドのMF乾貴士を経由して中央に飛び込んだMF船山祐二へとつなぎ、船山のゴールで先制点を挙げる[11]

一方水戸では、湘南が20分にコーナーキックから水戸のMF中村英之に頭で合わされ先制を許すと、その1分後に水戸FW荒田智之に突破されると折り返しのパスに反応した森村昂太に追加点を許して序盤で水戸に2点のリードを許し、さらに25分には水戸FW荒田智之からのクロスをFW高崎寛之があわせて決定的な場面をつくられるなど、苦しい展開となってしまう[12]。この時点まで湘南は監督の反町康治曰く「ある意味パニック状態」[13]となっていたが、逆に選手にとってはMF田村雄三が試合後「2点を取られて逆に吹っ切れました」と語ったように[14]、昇格争いの緊張感から来る堅さがとれて動きが徐々に良くなってくる。

鳥栖 0 - 1 C大阪
水戸 2 - 0 湘南
甲府 1 - 0 熊本

小瀬では甲府が23分に左サイドからのクロスを待っていた金信泳により追加点を奪うが、28分に熊本のFW小森田友明に1点を返される。

水戸では湘南は30分、MF寺川能人のクロスにFW阿部吉朗が頭で合わせ、これをキーパーが弾いたこぼれ球に反応したFW田原豊が押し込み1点を返すと、その4分後の左コーナー近くからのフリーキックに再び阿部が頭で合わせゴール[15]。2点のビハインドを追いついて前半を2-2で折り返す。

優勝を争う2チームは、C大阪は先制点の後も再三攻め込み、前半だけで11本ものシュートを放つもののゴールを割ることは出来ず前半終了[11]。一方、仙台では「普段どおり」のサッカーを意識しすぎるあまり、かえっていつものダイナミックな展開は影を潜め、攻勢がなかなか決定的なチャンスへと結びつかない展開が繰り返され、両チーム無得点のまま前半を終える[16]

仙台 0 - 0 愛媛
鳥栖 0 - 1 C大阪
水戸 2 - 2 湘南
甲府 2 - 1 熊本
さらに見る 順位, クラブ ...

ハーフタイムで、甲府監督の安間貴義は「こういう状況でも(点数を伝えてもいつも通り)出来ると思って」湘南戦の得点の動向を選手に伝え[17]、逆に湘南監督の反町康治は「前半で追いついたのですから、ハーフタイムには甲府の結果を我々は知っていましたが、教える気はありませんでした。この試合を勝つんだということを話しました」[13]と、対照的な対応をしていた。

後半8分、湘南はカウンターからチャンスを作る。田原を経由してボールを右サイド半ばで受け取ったMF坂本紘司のクロスに逆サイドでDFの裏を抜けた阿部が再び決めて、ついに2点ビハインドをひっくり返すことに成功[15]、昇格圏内の3位を取り戻すことに成功した。逆転を許した水戸も攻撃の手を緩めないが、後半20分過ぎから足の止まり始めた水戸に対して、湘南の組織的な守備が反撃を許さない[15]

このころ、追加点がほしいC大阪だったが、後半は鳥栖の前線からのプレスを許す展開が続き、後半28分にC大阪の前線の起点となっていたMF乾貴士が立て続けに2回の警告をうけて退場になってしまうと、1人多い鳥栖の攻勢がさらに強まり、C大阪は防戦一方となってしまう[11]。逆に仙台では後半20分、MF梁勇基の右コーナーキックからDFエリゼウのヘッドで先制、この時点で再び仙台が首位に立つ[16]

水戸 2 - 3 湘南
仙台 1 - 0 愛媛
さらに見る 順位, クラブ ...

試合も終盤にさしかかり各会場とも膠着した展開が続き、このまま試合終了かと思われたが、首位攻防の2会場でロスタイムの展開が待っていた。

仙台では後半の愛媛のシステム変更に手を焼いていたDF陣が愛媛MF赤井秀一の突破を許し、赤井からのセンタリングを後半出場のFWジョジマールのヘディングシュートで同点に追いつかれてしまう[16]。同じころ、鳥栖では鳥栖MF野崎陽介からのパスを受けたMF高地系治がC大阪GKキム・ジンヒョンの股を抜いてゴール、同点に追いつく[11]

仙台 1 - 1 愛媛
鳥栖 1 - 1 C大阪

この時点で試合終了すれば優勝は仙台なのだが、この時点でまだ仙台にはC大阪が同点に追いつかれた報は伝わっておらず、「勝ち越さなければ優勝を逃す」と考えていた仙台選手によるロスタイム残り時間の総攻撃も実らずそのまま試合終了。仙台の選手はピッチに倒れこみがっくりうなだれ、ユアスタは水を打ったかのような静寂に包まれた[16]

一方、同点に追いつかれたC大阪だったが、仙台が引き分けて試合終了したため「再度勝ち越せばJ2優勝」となる状況だったが、数的不利を覆せず、逆にその2分後、再び鳥栖MF高地に勝ち越しゴールを許して試合終了。鳥栖はロスタイムに2点を奪い逆転する劇的勝利を収めた[11]。このゴールに喜びを爆発させた鳥栖ベンチおよび選手は、この試合を最後に退任が決まっていた岸野靖之監督になだれ込むように駆け寄り、岸野監督の脚を肉離れさせてしまうという珍事すら起こった。また、「ロスタイムが長すぎる」と執拗な抗議を行ったC大阪GKキム・ジンヒョンが退場処分を受けている。

仙台ではその報が試合終了からやや遅れて届いた。ユアテックスタジアム仙台(ユアスタ)の場内アナウンスで「C大阪敗れる」との報告がなされた瞬間、会場は大歓声に包まれた[16]。ピッチでうなだれていた選手も狐につままれるようではあったが笑顔を見せた。なお、この後に仙台のサポーターが鳥栖の栄誉をたたえるためにサガン鳥栖コールを行った。また対戦チームの愛媛のサポーターも試合終了後に行われたクラブ年間MVPの表彰式において、選出された梁勇基のサポーターコールである通称「梁ダンス」を仙台サポーターと一緒に踊るなど、優勝チームを祝った[18]

水戸対湘南、甲府対熊本の試合はその後得点が動くことなくそのまま試合終了。湘南の勝利により、湘南の11年ぶりとなるJ1昇格が確定した。

仙台 1 - 1 愛媛
鳥栖 2 - 1 C大阪
水戸 2 - 3 湘南
甲府 2 - 1 熊本
さらに見る 順位, クラブ ...
Remove ads

試合データ

要約
視点

※ 表記等は公式記録に基づく(この当時、後半ロスタイムの計時はすべて「89分」で統一されている)。

2009Jリーグ ディビジョン2 第51節第1日
さらに見る 1 - 1 ...
ベガルタ仙台
GK16林卓人
DF25菅井直樹
DF06エリゼウ
DF03渡辺広大
DF27朴柱成
MF17富田晋伍
MF07千葉直樹68分に交代退場 68分
MF11関口訓充
MF10梁勇基
FW18マルセロ・ソアレス86分に交代退場 86分
FW14平瀬智行62分に交代退場 62分
サブメンバー
GK22桜井繁
DF23田村直也
MF08永井篤志68分に交代出場 68分
FW13中島裕希86分に交代出場 86分
FW09中原貴之62分に交代出場 62分
監督
手倉森誠
愛媛FC
GK21山本浩正
DF13関根永悟
DF02柴小屋雄一
DF23吉川健太
DF14三上卓哉
MF19越智亮介45分に交代退場 45分
MF34渡邊一仁
MF17大山俊輔87分に交代退場 87分
MF16赤井秀一
FW08内村圭宏89分に交代退場 89分
FW22横谷繁
サブメンバー
GK01川北裕介
DF05アライール
DF15松下幸平89分に交代出場 89分
MF06田森大己87分に交代出場 87分
FW09ジョジマール45分に交代出場 45分
監督
バルバリッチ

2009Jリーグ ディビジョン2 第51節第1日
さらに見る 2 - 1 ...
サガン鳥栖
GK21室拓哉
DF02柳沢将之
DF20渡邉将基39分に警告 39分
DF05飯尾和也
DF03磯崎敬太76分に交代退場 76分44分に警告 44分
MF32山田卓也
MF14高橋義希
MF06高地系治
MF10島田裕介67分に交代退場 67分
FW34山瀬幸宏35分に交代退場 35分
FW35ハーフナー・マイク
サブメンバー
GK33河田晃兵
DF13日高拓磨76分に交代出場 76分
MF27下地奨
MF18野崎陽介67分に交代出場 67分
FW11トジン35分に交代出場 35分89分に警告 89分
監督
岸野靖之
セレッソ大阪
GK21キム・ジンヒョンRed card 89分
DF02羽田憲司
DF04藤本康太
DF05前田和哉
MF17酒本憲幸88分に警告 88分
MF10マルチネス
MF26山口螢
MF19石神直哉
MF07乾貴士Yellow card 72分 Yellow-red card 73分
MF11船山祐二87分に交代退場 87分
FW15小松塁61分に交代退場 61分
サブメンバー
GK27丹野研太89分に交代出場 89分
DF23山下達也
MF18ブルーノ87分に交代出場 87分
FW09カイオ61分に交代出場 61分89分に交代退場 89分
FW20西澤明訓
監督
レヴィー・クルピ

2009Jリーグ ディビジョン2 第51節第1日
さらに見る 2 - 3 ...
水戸ホーリーホック
GK01本間幸司
DF03保﨑淳40分に警告 40分
DF04鈴木和裕73分に警告 73分
DF32大和田真史
DF02小澤雄希89分に交代退場 89分
MF08菊岡拓朗
MF30中村英之49分に警告 49分
MF07村松潤85分に交代退場 85分
MF19森村昂太75分に交代退場 75分
FW09荒田智之
FW11高崎寛之
サブメンバー
GK31原田欽庸
DF05加藤広樹89分に交代出場 89分
MF22森賢一
MF15島田祐輝85分に交代出場 85分
FW13吉原宏太75分に交代出場 75分
監督
木山隆之
湘南ベルマーレ
GK32野澤洋輔
DF05臼井幸平81分に警告 81分
DF03ジャーン
DF19村松大輔
DF30島村毅60分に警告 60分
MF02田村雄三
MF07寺川能人71分に交代退場 71分
MF08坂本紘司
FW10アジエル89分に交代退場 89分
FW34田原豊
FW11阿部吉朗
サブメンバー
GK16植村慶
DF14阪田章裕
MF21永田亮太71分に交代出場 71分
MF28猪狩佑貴89分に交代出場 89分
FW09リンコン
監督
反町康治

2009Jリーグ ディビジョン2 第51節第1日
さらに見る 2 - 1 ...
ヴァンフォーレ甲府
GK34阿部謙作
DF03御厨貴文
DF05ダニエル
DF04山本英臣27分に警告 27分
DF20吉田豊
MF09大西容平86分に交代退場 86分
MF31林健太郎
MF07石原克哉
FW10藤田健
FW18金信泳75分に交代退場 75分3分に警告 3分
FW11マラニョン
サブメンバー
GK21鶴田達也
MF08美尾敦86分に交代出場 86分
MF33片桐淳至
FW15ガウボン75分に交代出場 75分76分に警告 76分
FW16松橋優
監督
安間貴義
ロアッソ熊本
GK41木下正貴
DF15市村篤司9分に警告 9分
DF20チョ・ソンジン
DF06福王忠世
DF02網田慎61分に交代退場 61分
MF11宇留野純
MF22吉井孝輔
MF29原田拓44分に警告 44分
MF23西弘則84分に交代退場 84分
FW33小森田友明
FW10木島良輔74分に交代退場 74分
サブメンバー
GK31稲田康志
MF28藤田俊哉61分に交代出場 61分
MF26山本翔平84分に交代出場 84分
MF05山口武士
FW17山内祐一74分に交代出場 74分
監督
北野誠
Remove ads

出典

関連項目

Loading related searches...

Wikiwand - on

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.

Remove ads