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地方紙を買う女
松本清張の短編小説 ウィキペディアから
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『地方紙を買う女』(ちほうしをかうおんな)は、松本清張の短編小説。『小説新潮』1957年4月号に掲載され、1957年8月に短編集『白い闇』収録の1編として、角川書店(角川小説新書)より刊行された。
あらすじ
武蔵野に居を構える作家・杉本隆治は、小説「野盗伝奇」を『甲信新聞』という山梨県の地方紙に連載していた。ある時、東京の潮田芳子という女性から「野盗伝奇が面白そうだから貴紙を読んでみたい」旨の購読申し込みが甲信新聞に届く。杉本隆治は感謝の礼状を芳子に送った。ところが、申し込みから1か月も経たないうちに「小説がつまらなくなったのでもう購読しない」という葉書が届く。連載中の小説が面白くなるはずだが、購読を中止することに不審に思う杉本は同紙に載っている山梨県内で発生した2人の男女の服毒心中事件の記事に目を留め、芳子の新聞購読の目的は小説ではなくこの事件だと疑い始める。
エピソード
- 『宝石』に1963年に掲載された創作ノートで、清張は以下のように述べている。「有楽町の駅前に、地方紙を売っている。それのヒントが一つと、それから当時僕は地方新聞の代理店を通じて、小説を書いていたので、地方からよく投書がくるんだ。その二つで思いついた」[1]。
- 清張が1956年から1957年にかけて地方紙に連載した小説『野盗伝奇』のタイトルが、本作三節においてそのまま挙げられている。このことについて、メディア史研究者の土屋礼子は「殺人事件を説き明かす鍵として、この連載小説の名がそのまま登場するのは、新聞に小説を連載する作家となった彼の喜びを反映しているように思える」と述べている[2]。他方、研究者の山本幸正は「おそらく、地方新聞に小説を配信する共同通信社のために『野盗伝奇』を書いた松本清張も「杉本隆治」と同じような気持ち[注釈 1]を抱かざるを得ない経験をしたのではないか」と述べている[3]。なお、山梨県の地方紙に『野盗伝奇』が連載された事実は確認されていない[4]。
- 本作の英訳「The woman who took the local paper」がアメリカのミステリー小説誌『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』1979年6月号に掲載された。3か月後に光文社発行の雑誌『EQ』に再掲載されたが、清張は「こんどEQMM誌に出た英訳では、誌面の関係上原作が縮められている」「背景の描写は作品の雰囲気を出すのに重要な要素となっているので(著名な例としてE・A・ポウの『アッシャー家の没落』の冒頭部分、E・ブロンテの『嵐が丘』における英国ヨークシャの荒れ地の風景描写、S・モームの東南アジアものなど)、この部分を削られると小説から味も素っ気もなくなったようで、原作者としては不満である」とのコメントを付している[5]。
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映画
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映画タイトル『危険な女』。1959年12月16日公開。製作・配給は日活。
- キャスト
- スタッフ
テレビドラマ
要約
視点
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1957年版
1957年12月27日、NHKの「テレビ劇場」枠(20:45-21:00)にて放映。松本清張原作初のテレビドラマ化作品。
1960年版
1960年10月24日と10月31日、KRテレビ(現・TBS)系列の「ナショナル ゴールデン・アワー」枠(20:30-21:00)、「松本清張シリーズ・黒い断層」の1作として2回にわたり放映。
1962年版
1962年5月31日と6月1日(22:15-22:45)、NHKの「松本清張シリーズ・黒の組曲」の1作として2回にわたり放映。
1966年版
1966年1月11日、関西テレビ制作・フジテレビ系列(FNS)の「松本清張シリーズ」枠(21:00-21:30)にて放映。
1973年版
1973年2月12日(23:15-24:10)、フジテレビ系列の「恐怖劇場アンバランス」第6話として放映。制作は1969年 - 1970年になされている。DVD化されている。
- キャスト
- スタッフ
1981年版
「松本清張の地方紙を買う女」。1981年11月14日、テレビ朝日系列の「土曜ワイド劇場」枠(21:02-22:51)にて放映。サブタイトル「昇仙峡囮心中」。視聴率22.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)[6]。
- キャスト
- スタッフ
1987年版
「松本清張の地方紙を買う女」。1987年10月23日、フジテレビ系列の「ザ・ドラマチックナイト」枠(21:03-23:22)にて放映。視聴率20.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)[6]。第27回日本テレビ技術賞(撮影部門)受賞作品。
2007年版
「松本清張スペシャル・地方紙を買う女」。2007年1月30日、日本テレビ系列の「火曜ドラマゴールド」枠(21:00-22:54)にて放映。地方紙は仙台地区の設定となっている。
劇中、東日本大震災に被災する前のJR女川駅のホームや駅舎外観を見る事が出来る。
- キャスト
- スタッフ
2016年版
「松本清張ドラマスペシャル・地方紙を買う女〜作家・杉本隆治の推理」。2016年3月12日(21:00-23:06)、テレビ朝日系列にて、松本清張二夜連続ドラマスペシャルの第一夜として放送された。小説家を主人公とした視点で描かれる[7]。
2012年以降、テレビドラマでの仕事を単発ドラマにほぼ絞り、その中でも松本清張作品への主演を中心としてきた田村(当時72歳)の、最後の清張作品主演作。田村の清張作品出演は、生涯で全9作となった(田村の信頼篤かった、彼のテレビ朝日系での清張作品全5作を演出した藤田明二と、同じく4作の脚本家・竹山洋の2人との最後の仕事ともなった)。田村最後の現代劇ドラマともなっている。
視聴率は11.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯)[8]。石川県を舞台としており、輪島市の琴ヶ浜海岸などで撮影された[9]。
- キャスト
- 杉本隆治:田村正和(小説家。地方紙『金沢日々新聞』[7]で推理小説「遠い記憶」を連載)
- 潮田芳子:広末涼子(代議士秘書・潮田早雄の妻)[10]
- 田坂ふじ子:水川あさみ(杉本のアシスタント)
- 潮田早雄:北村有起哉(本間代議士の秘書)
- 広田咲:片瀬那奈(金沢日々新聞の社会部記者)
- 庄田咲次:駿河太郎(東京のデパート警備員)
- 雪乃:渡辺麻友(芸者)[11]
- 小島警部補:木下ほうか(石川県警捜査一課の警部補)
- 高見悟:寿大聡(北羽咋署巡査長)
- 福田梅子:須藤理彩(東京のデパート店員)
- 庄田恵:西田尚美(庄田の妻)
- 由紀子:遊井亮子(西銀座のバー「エンゼル」のママ)
- 根本たか子:石井苗子(銀座のクラブ「ルビコン」のママ)
- 久保勇介:相島一之(北羽咋署捜査1課長)
- 潮田久子:佐々木すみ江(潮田早雄の母)
- 服部三郎:佐野史郎(金沢日々新聞の文化部長)
- 山下重光:寺島進(県警本部長)
- 本間精次郎:大杉漣(厚生労働大臣)
- 東山善吉:橋爪功(杉本の小説家仲間で文芸賞の選考委員)
- 森次晃嗣、生島勇輝 ほか
- ナレーター:田中哲司
- スタッフ
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朗読
脚注
外部リンク
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