日本の大相撲力士 ウィキペディアから
御嶽海 久司(みたけうみ ひさし、1992年12月25日 - )は、長野県木曽郡上松町(出生地はフィリピン)出身で、出羽海部屋所属の現役大相撲力士[3][4]。本名は大道 久司(おおみち ひさし)。身長182cm、体重172kg。血液型はO型。得意技は突き・押し。自己最高位は東大関。父は日本人、母はフィリピン人、尊敬する力士は武双山[5]、平成4年度生まれの関取を指す、いわゆる「花のヨン組」の1人[6][7]。
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![]() 優勝した2022年初場所(関脇時代) | ||||
基礎情報 | ||||
四股名 | 御嶽海 久司 | |||
本名 | 大道 久司 | |||
愛称 | オオミチ、みーたん(自称)[1]、Real Deal[2] | |||
生年月日 | 1992年12月25日(32歳) | |||
出身 |
長野県木曽郡上松町 (出生地は フィリピン) | |||
身長 | 182cm | |||
体重 | 172kg | |||
BMI | 51.93 | |||
所属部屋 | 出羽海部屋 | |||
得意技 | 突き、押し、右四つ、寄り | |||
成績 | ||||
現在の番付 | 西前頭7枚目 | |||
最高位 | 東大関 | |||
生涯戦歴 | 471勝385敗13休(59場所) | |||
幕内戦歴 | 436勝376敗13休(55場所) | |||
優勝 |
幕内最高優勝3回 十両優勝1回 | |||
賞 |
殊勲賞6回 敢闘賞1回 技能賞3回 | |||
データ | ||||
初土俵 | 2015年3月場所 | |||
入幕 | 2015年11月場所 | |||
備考 | ||||
金星2個(日馬富士1個、鶴竜1個) | ||||
2025年1月26日現在 |
一人っ子[8]としてクリスマスの日にフィリピンで生まれた。フィリピンでは慶事であるクリスマスに限って医療費が無料であり、生まれた直後に1つの親孝行をすることになった。母はクリスマスジャストに生まれたからという理由でミドルネームをジャスティンと命名した[5]。4歳の時に移住した長野県木曽郡上松町の自然で育った[8]。父親と一緒にキノコやタラの芽を山で採取したり、川で泳いだり、アユやイワナ、ヤマメなどの川魚を釣って塩焼きにして食べたりしたことなどを、後に思い出として語っている[9]。保育園時代には生まれつき障害のある子と手を繋いだり、運動会の徒競走で1着でゴールインした後にその障害のある子が困っているところに手を貸したりと弱きを助ける心優しい面があった[5]。
大道少年が相撲を始めるきっかけとなったのは、上松町立上松小学校1年の時に大桑村で開かれた相撲大会で自分より体の小さな相手に負けたことである。これをきっかけに地元の木曽少年相撲クラブに入った[10]。小学生の時は父と約束し自宅の庭石の上で毎日400回、四股を踏むことを日課とした[5]。5年次に全日本小学生相撲優勝大会で2位となった[11]。
木曽町立福島中学校に進学すると3年で全国大会ベスト8となっている。木曽青峰高在学中に国体少年の部で3位となった[12]後に東洋大学法学部企業法学科[13]に進学した。一方で大相撲入りに関しては、相撲部屋へ何度も見学に行って、厳しいということを恐れていたことから、頭になかったという[14]。
東洋大学には監督の濱野文雄から「復活のために力を貸してほしい!」と低迷から脱却するための要員と期待されて勧誘された[15]。大学時代は力強い突き押しを武器に、個人タイトル15冠。4年時の11月に学生横綱[16]、12月にアマチュア横綱となり、現行基準では日大出身の元幕内・市原(清瀬海)、同じく日大出身の幕内・遠藤に続き3人目となる幕下10枚目格付出の資格を得た[17]。
当初はプロ入りする意向はなく、アマチュア相撲の強豪・和歌山県庁への就職が内定しており、就職したら家族を呼んで和歌山で一緒に暮らす[14]ことを考えていた[18]。しかし、大学の相撲部の浜野監督の知人から部屋を紹介され[14]、また「最近10年くらい幕内力士が出ていなくて、今は名門とは言えないかもしれない。でも、きっと再興させたいと思っている。是非とも力を貸してほしい」という11代出羽海親方(元幕内・小城ノ花)の説得もあり[15][19]、2015年2月12日に出羽海部屋へ入門した[20]。
2014年2月に部屋を継承したばかりの11代出羽海にとっては初の直弟子である。後に女性週刊誌で大道は「大学卒業後、プロに進もうとは思っていませんでした。公務員試験を受け、和歌山県庁から内定をいただき、両親も喜んでくれていましたから。でも、遠藤関が活躍する姿を見て、"(大学相撲で)自分もあの人といい勝負をしてたんだよなぁ"と思うと、ふつふつと湧き上がるものがありました。でも、勝負の世界に絶対はないですし……」とコメントしており「もし結果が出なければ、"あのとき公務員になっていればよかったのに"と後ろ指をさされる。辞退した県庁のみなさんにも申し訳が立たない。行くからには、絶対に結果を出すという気持ちで入門しました」と入門時の心境を語った[21]。
入門時に目標の力士として元大関・武双山(現・年寄:藤島)の名を挙げたが、2月28日の新弟子検査で身長を測定したのは奇しくもその元・武双山の藤島審判副部長だった[22]。なお、大道は出羽海部屋は知っていたが出身力士は舞の海くらいしか知らず、入門した後で名門であることを改めて知ったといい、出羽海部屋が出羽海一門のトップであるということも知らなかった[14][15]。
基本的に突き押しを得意とするがとっさの変化も見られる。一見ただの押し出し、寄り切りに見える相撲であっても、相撲の流れは天才的だ、相撲が臨機応変だという評価もある[145][146]。若い頃は瞬発力に優れ、腰がよく下り、叩きを食いづらかったが、押すべきところで辛抱できずに差す癖もあった[147][148]。四つ相撲もある程度取れるがどちらかというと右四つ得意であり、左四つで胸が合うと弱い[149]。中学生の時にもろ差しになって密着する相撲を取っていたので四つになることもあるが、部屋でも「まわしがないと思って取れ」と押し相撲に徹するように指導されている[14]おっつけは相撲の流れの中で多用することがあり、2017年3月場所7日目の日馬富士戦では敗れはしたがおっつけで土俵際まで追い詰めた[150]。
あまり稽古熱心でないことでも知られており、場所相撲の典型である[151][152]。
2017年頃から四つ相撲が上達し、もろ差しが光るようになった[153][154]一方で、まだ型がはっきりしないという声もあった[155]。
2019年11月場所頃は前かがみになって頭から当たる相撲が取れていない、もっと体を作るべきだ、裂傷に怯まないようにすべきだという指摘があった[156][67][157][158][159]。
2019新型コロナウイルス感染拡大防止のため出稽古が禁止されていた中で行われた2020年7月場所は好調であったが、その要因として「普段から稽古熱心な力士ではないだけに、逆に幕下との稽古で疲れが残らず、場所が進むにしたがって調子が上がっていくのではないか」と分析された[160]。突き起こして前に出て押し込む相撲が取れないまま差されると脆く、同場所9日目の霧馬山戦での黒星はその一例である[161]。それでも、調子の良い場所では頭から当たる立合いが冴え渡り、2021年9月場所6日目の琴ノ若戦はその好例である[162]。2021年9月場所中、花田虎上のコラムで「懐に入った相撲は本当に強い」と評された[163]。一方で精神面の甘さが弱点の1つである[164]。
2021年11月場所中、花田虎上は足がしっかりと出る立合いとやはり得意の下からのおっつけで起こす相撲を評価した一方で、稽古場での手抜き癖を懸念していた[165]。この場所中に北の富士は、諦め癖を指摘している[166]。
2021年は押しの決まり手で28勝(押し出し27勝、押し倒し1勝)を挙げたが、これは2021年の幕内で1位の記録で、自身が2021年に幕内で挙げた55勝の約半分を占める。御嶽海が押しに拘るのには、取組時間を短くする、突き指などの四つ相撲を取ることによる怪我のリスクを低下させる、といった本人の狙いがある[167]。
(以下、最高位が横綱・大関の現役力士)
(以下は横綱・大関の引退力士)
力士名 | 勝数 | 負数 | 力士名 | 勝数 | 負数 | 力士名 | 勝数 | 負数 | 力士名 | 勝数 | 負数 |
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碧山 | 5 | 4 | 明瀬山 | 1 | 0 | 朝乃山 | 6 | 6 | 熱海富士 | 2 | 4 |
阿炎 | 11(1) | 7 | 阿夢露 | 2 | 0 | 荒鷲 | 3 | 1 | 勢 | 6 | 1 |
逸ノ城 | 16 | 7 | 一山本 | 1 | 3 | 宇良 | 8 | 4 | 遠藤 | 18(1) | 8 |
炎鵬 | 1 | 0 | 欧勝馬 | 0 | 1 | 阿武咲 | 12 | 6 | 王鵬 | 1 | 1 |
大の里 | 1 | 1 | 隠岐の海 | 7 | 5 | 魁聖 | 1 | 7 | 臥牙丸 | 1 | 3 |
輝 | 7 | 0 | 鶴竜 | 6(1) | 8 | 稀勢の里 | 2 | 6 | 北太樹 | 2 | 0 |
旭秀鵬 | 0 | 2 | 霧島 | 7 | 11 | 金峰山 | 2 | 4 | 豪栄道 | 8(1) | 9 |
豪ノ山 | 1 | 3 | 琴恵光 | 3 | 0 | 琴櫻 | 3 | 8 | 琴奨菊 | 11 | 4 |
琴勝峰 | 2 | 6 | 琴勇輝 | 3 | 0 | 佐田の海 | 7 | 3 | 里山 | 1 | 0 |
島津海 | 0 | 1 | 志摩ノ海 | 1 | 0 | 正代 | 19 | 15 | 湘南乃海 | 4 | 1 |
松鳳山 | 5 | 4 | 蒼国来 | 1 | 4 | 大栄翔 | 16 | 14 | 大翔丸 | 2 | 1 |
貴景勝 | 14* | 13 | 貴ノ岩 | 2 | 0 | 隆の勝 | 9 | 10 | 髙安 | 10 | 24 |
宝富士 | 13 | 6 | 豪風 | 4 | 1 | 玉正鳳 | 0 | 1 | 玉鷲 | 29 | 9 |
美ノ海 | 3 | 2 | 千代鳳 | 4 | 1 | 千代翔馬 | 0 | 1 | 千代大龍 | 6 | 5 |
千代の国 | 8 | 0 | 千代丸 | 0 | 1 | 剣翔 | 1 | 3 | 照強 | 1 | 0 |
照ノ富士 | 5(1) | 14 | 東白龍 | 1 | 0 | 徳勝龍 | 2 | 2(1) | 栃煌山 | 7 | 2 |
栃ノ心 | 6 | 8 | 翔猿 | 4 | 8 | 友風 | 1 | 1 | 豊ノ島 | 1 | 0 |
豊響 | 2 | 0 | 錦木 | 9 | 3 | 錦富士 | 2 | 2 | 白鵬 | 4(1) | 12 |
日馬富士 | 2 | 5 | 英乃海 | 1 | 0 | 平戸海 | 0 | 7 | 豊昇龍 | 3 | 9(1) |
北青鵬 | 2 | 0 | 北勝富士 | 16 | 12(1) | 誉富士 | 1 | 1 | 翠富士 | 5 | 3 |
妙義龍 | 7 | 6 | 明生 | 12 | 8 | 豊山 | 3 | 1 | 嘉風 | 4 | 4 |
竜電 | 2 | 9 | 狼雅 | 2 | 1 | 若隆景 | 9 | 4 | 若元春 | 2 | 4 |
(カッコ内は勝数、負数の中に占める不戦勝、不戦敗の数。太字は2025年1月場所終了現在、現役力士。)
2025年1月場所終了現在
一月場所 初場所(東京) |
三月場所 春場所(大阪) |
五月場所 夏場所(東京) |
七月場所 名古屋場所(愛知) |
九月場所 秋場所(東京) |
十一月場所 九州場所(福岡) |
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2015年 (平成27年) |
x | 幕下付出10枚目 6–1 |
東幕下3枚目 6–1 |
西十両12枚目 優勝 11–4 |
西十両5枚目 12–3 |
西前頭11枚目 8–7 |
2016年 (平成28年) |
西前頭10枚目 5–8–2[注釈 5] |
西前頭13枚目 10–5 |
西前頭8枚目 11–4 敢 |
東前頭筆頭 5–10 |
西前頭5枚目 10–5 |
東小結 6–9 |
2017年 (平成29年) |
西前頭筆頭 11–4 技★★ |
東小結 9–6 |
東小結 8–7 殊 |
西関脇 9–6 殊 |
東関脇 8–7 |
東関脇 9–6 |
2018年 (平成30年) |
東関脇 8–7 |
東関脇 7–8 |
東小結 9–6 |
西関脇 13–2 殊技 |
東関脇 9–6 |
東関脇 7–8 |
2019年 (平成31年 /令和元年) |
西小結 8–4–3[注釈 6] 殊 |
東小結 7–8 |
西小結 9–6 |
東関脇 9–6 |
東関脇 12–3[注釈 7] 殊 |
東関脇 6–9 |
2020年 (令和2年) |
西前頭2枚目 7–8 |
西前頭3枚目 10–5[注釈 8] |
感染症拡大 により中止 |
西関脇 11–4[注釈 9] 殊 |
西関脇 8–7 |
東関脇 7–8[注釈 9] |
2021年 (令和3年) |
西小結 9–6 |
西小結 8–7[注釈 9] | 東小結 10–5[注釈 10] |
西関脇 8–7 |
東関脇 9–6 |
東関脇 11–4 |
2022年 (令和4年) |
東関脇 13–2 技 |
西大関2 11–4 |
東大関 6–9 |
西大関 2–5–8 [注釈 11][注釈 12] |
西大関2 4–11[注釈 13] |
西関脇2 6–9[注釈 14] |
2023年 (令和5年) |
東前頭2枚目 7–8 |
東前頭3枚目 4–11 |
西前頭6枚目 9–6 |
西前頭2枚目 3–12 |
東前頭11枚目 9–6 |
西前頭9枚目 8–7 |
2024年 (令和6年) |
東前頭9枚目 6–9 |
西前頭10枚目 9–6 |
西前頭7枚目 8–7 |
西前頭2枚目 7–8 |
東前頭3枚目 4–11 |
西前頭7枚目 7–8 |
2025年 (令和7年) |
西前頭7枚目 2–13 |
x | x | x | x | x |
各欄の数字は、「勝ち-負け-休場」を示す。 優勝 引退 休場 十両 幕下 三賞:敢=敢闘賞、殊=殊勲賞、技=技能賞 その他:★=金星 番付階級:幕内 - 十両 - 幕下 - 三段目 - 序二段 - 序ノ口 幕内序列:横綱 - 大関 - 関脇 - 小結 - 前頭(「#数字」は各位内の序列) |
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