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女流王位戦

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女流王位戦(じょりゅうおういせん)は、新聞三社連合日本将棋連盟日本女子プロ将棋協会(LPSA)が主催する[1]将棋女流タイトル戦1989年秋に創設。主に5月から6月にかけて挑戦手合制五番勝負が行われ、その勝者には女流王位のタイトル称号が与えられる。

概要 女流王位戦, 棋戦の分類 ...

概要

女流名人戦女流王将戦に続き3番目に創設された女流タイトル棋戦である。それまで女流王将戦の主催者の一つだった北海道新聞などが中心となり、女流棋界の更なる発展のために、王位戦と同じ新聞三社連合[注 1] 主催で1989年秋に王位戦の姉妹棋戦として創設された[2]。第19期(2007年度)からは北海道出身の中井広恵が初代代表を務めた日本女子プロ将棋協会(LPSA)も主催に加わっており、就位式では日本将棋連盟と日本女子プロ将棋協会(LPSA)の双方から就位状が授与される。

当棋戦の大きな特徴として、王位戦のシステムを踏襲する形式で予選や挑戦者決定リーグが行なわれ[3]、番勝負は女流棋戦では最長の4時間で行なわれ。また、全国各地の会場で番勝負の実施を実現した[3]。棋戦創設当時、他の女流棋戦の対局は番勝負も将棋会館で行われることが通例であり、番勝負を全国各地で実施することは女流棋戦としては画期的なことであった。

第1期女流王位戦は1989年11月に当時の女流棋士全19名を紅組10名・白組9名に分けた予選リーグにより開幕。各組の優勝者(中井広恵 - 林葉直子)による五番勝負が1990年4月 - 6月の予定で行われ(第1局は札幌で開催)、3連勝で中井が初代の女流王位となった[3]

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方式

要約
視点

予選、挑戦者決定リーグ(12名が紅白2つの組に分かれて戦う)、紅白各組の優勝者同士の挑戦者決定戦によって女流王位への挑戦者を決定する[注 2]。挑戦者決定戦の勝者と女流王位が五番勝負を戦い、3勝したほうが新たな女流王位となる。

女流王位と挑戦者には王位戦への参加資格(予選から)が与えられる。ただし女流王位ないし挑戦者が王位戦への参加資格がない場合には、次点の女流棋士として挑戦者決定戦の敗者が代わって出場する[4][注 3]

予選

女流王位とシード者を除く全ての現役女流棋士が参加する。女流タイトル保持者であっても女流棋士の資格を持たない奨励会員やアマチュアの参加枠はない。

  • 持ち時間は各2時間(振り駒チェスクロック方式、第33期まではストップウォッチ方式)。
  • 原則として、6つの組に分かれて行なわれるトーナメント方式を勝ち抜いた計6名[注 4] が挑戦者決定リーグに進出する。
  • 前期挑戦者決定リーグ参加者の6名(リーグ陥落者=成績4-6位)は第1シード扱い、前期予選決勝敗退者の6名は第2シード扱いとなり、予選では別の組に1名ずつ振り分けられる。第1シード者と第2シード者はトーナメントの両端に配置され、予選決勝までは当たらない。
  • 女流2級の者が予選を通過し挑戦者決定リーグに進出した場合は女流1級に昇級する。

挑戦者決定リーグ

予選通過者6名とシード者(前期の残留者)6名の計12名が、紅組・白組の2グループに6名ずつ分かれて総当たりのリーグ戦を行う。各組には通過者とシード者が3名ずつ振り分けられる。シード者の振り分けについては、前期女流王位戦五番勝負の敗者は紅組、前期挑戦者決定戦の敗者は白組に振り分けられる。前期挑戦者決定戦勝者の組に属していた残留者2名(組2位と3位)は白組、前期挑戦者決定戦敗者の組に属していた残留者2名(組2位と3位)は紅組に振り分けられる。各組の優勝者が挑戦者決定戦に進出する。

2名以上が同率トップの成績で並んだ場合、第26期からは直接対決の成績(同じなら前年度の成績)で決定される[5]。第23期まではプレーオフ、第24期・第25期は順位優先方式(同順位・同成績なら直接対決の勝者が優先される)[6]

紅白各組の上位3名(女流王位が防衛に失敗した場合はここに含まれる)は、次期のシード者となり予選が免除される(リーグ残留)。

第19期から第25期まではあらかじめシード者には前期の成績により1位から3位、予選通過者には同順位の4位が与えられており、勝数が並んだ場合は事前の順位が高いほうが上位となっていた(第18期まではシード者に1位、予選通過者に2位が与えられていた)。予選通過者2名以上が勝率で並んで次期シード者が3名に決定できない場合は残留決定戦が行われる。

女流1級の者がリーグ残留を決めた場合は女流初段に昇段する。

持ち時間は各3時間(ストップウォッチ方式。手番の先後はリーグ抽選時に決定)。

挑戦者決定戦

紅白リーグの勝者同士が対局し、その勝者が女流王位への挑戦者となる。

持ち時間は各3時間(ストップウォッチ方式、振り駒)。

女流王位戦五番勝負

女流王位と挑戦者が五番勝負[注 5] を戦い、その勝者が新たな女流王位となる。

持ち時間は各4時間のストップウォッチ計時(1分未満の消費時間切り捨て)[注 6]。持ち時間4時間となっている他の女流棋戦ではチェスクロック計時(1秒単位での消費時間を積算する方式)のため、当棋戦は女流棋戦では最も対局時間の長い将棋となる。

方式の遍歴

さらに見る 期, 五番勝負 ...
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クイーン王位

女流王位を通算5期獲得した女流棋士にはクイーン王位称号が与えられる。

歴代五番勝負

五番勝負勝敗(女流王位側から見た勝敗)
○:勝ち  ●:負け  千:千日手  持:持将棋
女流王位戦五番勝負
太字:女流王位獲得者(五番勝負勝者) 太字Q:クイーン称号獲得者(五番勝負勝者)
挑戦者決定リーグ(組成績1-3位は次期シード)
   :挑戦者(太字は全勝挑戦者    :組1位(挑決進出者) :リーグ陥落(組成績4位以下)
さらに見る 期, 年度 ...
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通算成績

  • リーグ残留・参加は女流王位在位も含む。
  • リーグ残留は第3期から。
  • 記載はリーグ残留1回以上。第36期終了時点まで。
さらに見る 女流棋士, 女流王位在位 ...
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エピソード

  • 第7期女流王位戦では清水市代石橋幸緒の師弟対局となった。もともと清水と石橋は、初の女流棋士同士の師弟関係であった[9]。師弟対局は女流将棋タイトル戦では初の出来事で、師の清水が勝利した。
  • 第20期女流王位戦5番勝負第2局で、石橋幸緒女流王位が129手目で6六角を2二角成と指したが、これが自駒の4四歩を飛び越しており、女流タイトル戦では史上初の反則負けとなった[10]
  • 女流王位は、毎年年末に主催者が同じ王位戦の在位者とお好み対局を行うのが恒例となっている[11]。手合割は平手で、女流王位が先手。持ち時間は女流王位が60分に対し王位が10分というハンディがある。対局の模様は主催紙の新春版に掲載される。なお2024年は、女流王位の福間香奈が身重である(同年10月現在妊娠8ヶ月)ことを考慮し、お好み対局は実施されない[12]
  • 中井広恵は、第33期・第34期・第35期と3期連続で予選勝ち抜きにより挑戦者決定リーグ入りするも、リーグ戦は3期とも0勝5敗に終わり、「リーグ戦15連敗」の珍記録となった。
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脚注

外部リンク

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