八雲町
北海道二海郡にある町 ウィキペディアから
北海道二海郡にある町 ウィキペディアから
やくもちょう 八雲町 | |||||
---|---|---|---|---|---|
| |||||
国 | 日本 | ||||
地方 | 北海道地方 | ||||
都道府県 | 北海道(渡島総合振興局) | ||||
郡 | 二海郡 | ||||
市町村コード | 01346-3 | ||||
法人番号 | 6000020013463 | ||||
面積 |
956.08km2 | ||||
総人口 |
14,630人 [編集] (住民基本台帳人口、2024年8月31日) | ||||
人口密度 | 15.3人/km2 | ||||
隣接自治体 |
山越郡長万部町、茅部郡森町 檜山振興局:檜山郡厚沢部町、爾志郡乙部町、久遠郡せたな町、瀬棚郡今金町 | ||||
町の木 | オンコ | ||||
町の花 | ヒマワリ | ||||
町の鳥 | オオワシ | ||||
八雲町役場 | |||||
町長 | 岩村克詔 | ||||
所在地 |
〒049-3192 北海道二海郡八雲町住初町138 北緯42度15分22秒 東経140度15分55秒 | ||||
外部リンク | 公式ウェブサイト | ||||
ウィキプロジェクト |
八雲町は渡島半島の北部にあり、函館市と室蘭市の中間に位置している[1]。町名は尾張徳川家17代当主の徳川慶勝が豊かで平和な理想郷建設を願い、日本最古の和歌である須佐之男命(スサノオノミコト)が読んだ「八雲立つ 出雲八重垣妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」を引用して名づけたことに由来している[1]。2005年(平成17年)10月1日に旧八雲町と熊石町が合併した新八雲町となり、日本国内で唯一となる太平洋と日本海に面する町になった[1]。地図上では黒松内町も同様に日本海と太平洋に面しているように見えるが、日本海側、太平洋側ともごく僅かに他の町に遮られ、面していない。
渡島半島北部にあって半島を横断して東に内浦湾(噴火湾)、西に日本海に面している[2]。地勢や気象は東西で大きく異なっており、東部地区(八雲地域)では河川が扇状に支流を広げて下流域に平地や丘陵地を形成している[3]。西部地区(熊石地域)は海抜1,000 mを超える山々が連なって分水嶺から急峻な斜面と段丘が海岸に迫っており、平坦地が少なく大半が森林になっている[3]。また、海岸線の大半は岩礁地帯になっている[3]。見市川流域や海岸線の一部は檜山道立自然公園になっている[4]。
気候は太平洋側と日本海側で異なっており、太平洋側(八雲)はオホーツク海高気圧の影響を受けた冷涼性の海洋性気候であり[5]、年平均気温は7.9℃で夏季に霧が発生することがある[1]。日本海側(熊石)は対馬暖流の影響を受けた比較的温暖な地域になっており[5]、年平均気温は9.3℃となっている[1]。降水量は太平洋側では夏が多くて冬に少なくなるのに対して、日本海側では冬が多くて夏に少なくなる傾向が見られる[1]。
八雲(1991年 - 2020年)の気候 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 10.3 (50.5) |
13.7 (56.7) |
16.0 (60.8) |
24.2 (75.6) |
27.5 (81.5) |
30.4 (86.7) |
33.5 (92.3) |
33.4 (92.1) |
31.6 (88.9) |
26.9 (80.4) |
22.1 (71.8) |
15.5 (59.9) |
33.5 (92.3) |
平均最高気温 °C (°F) | −0.1 (31.8) |
0.7 (33.3) |
4.5 (40.1) |
10.1 (50.2) |
15.0 (59) |
18.5 (65.3) |
22.4 (72.3) |
24.7 (76.5) |
22.4 (72.3) |
16.3 (61.3) |
9.0 (48.2) |
2.1 (35.8) |
12.1 (53.8) |
日平均気温 °C (°F) | −3.3 (26.1) |
−2.8 (27) |
0.7 (33.3) |
5.9 (42.6) |
10.7 (51.3) |
14.7 (58.5) |
19.0 (66.2) |
20.9 (69.6) |
17.6 (63.7) |
11.1 (52) |
4.7 (40.5) |
−1.2 (29.8) |
8.1 (46.6) |
平均最低気温 °C (°F) | −7.1 (19.2) |
−6.9 (19.6) |
−3.4 (25.9) |
1.5 (34.7) |
6.6 (43.9) |
11.4 (52.5) |
16.2 (61.2) |
17.6 (63.7) |
12.9 (55.2) |
6.0 (42.8) |
0.4 (32.7) |
−4.7 (23.5) |
4.2 (39.6) |
最低気温記録 °C (°F) | −18.3 (−0.9) |
−19.0 (−2.2) |
−14.1 (6.6) |
−8.9 (16) |
−1.4 (29.5) |
1.8 (35.2) |
6.7 (44.1) |
8.8 (47.8) |
3.4 (38.1) |
−1.9 (28.6) |
−8.3 (17.1) |
−14.4 (6.1) |
−19.0 (−2.2) |
降水量 mm (inch) | 74.2 (2.921) |
69.9 (2.752) |
69.4 (2.732) |
84.0 (3.307) |
100.1 (3.941) |
77.9 (3.067) |
132.5 (5.217) |
195.2 (7.685) |
157.9 (6.217) |
103.9 (4.091) |
116.6 (4.591) |
99.1 (3.902) |
1,294.1 (50.949) |
降雪量 cm (inch) | 185 (72.8) |
153 (60.2) |
99 (39) |
9 (3.5) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
35 (13.8) |
150 (59.1) |
628 (247.2) |
平均降水日数 (≥1.0 mm) | 17.2 | 15.3 | 12.9 | 10.4 | 10.5 | 8.4 | 9.8 | 10.3 | 11.0 | 12.2 | 15.2 | 17.8 | 151.1 |
平均月間日照時間 | 64.8 | 83.4 | 134.4 | 177.0 | 181.1 | 138.2 | 116.5 | 139.7 | 159.0 | 148.0 | 91.4 | 64.6 | 1,500.9 |
出典1:Japan Meteorological Agency | |||||||||||||
出典2:気象庁[6] |
熊石(1991年 - 2020年)の気候 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 10.3 (50.5) |
11.8 (53.2) |
18.0 (64.4) |
22.5 (72.5) |
26.0 (78.8) |
28.9 (84) |
33.3 (91.9) |
33.5 (92.3) |
31.9 (89.4) |
24.4 (75.9) |
20.1 (68.2) |
14.9 (58.8) |
33.5 (92.3) |
平均最高気温 °C (°F) | 0.6 (33.1) |
1.3 (34.3) |
5.0 (41) |
10.6 (51.1) |
15.7 (60.3) |
19.8 (67.6) |
23.4 (74.1) |
25.7 (78.3) |
22.8 (73) |
16.7 (62.1) |
9.5 (49.1) |
3.0 (37.4) |
12.8 (55) |
日平均気温 °C (°F) | −2.0 (28.4) |
−1.4 (29.5) |
1.8 (35.2) |
7.0 (44.6) |
11.8 (53.2) |
16.0 (60.8) |
20.1 (68.2) |
21.9 (71.4) |
18.7 (65.7) |
12.7 (54.9) |
6.2 (43.2) |
0.2 (32.4) |
9.4 (48.9) |
平均最低気温 °C (°F) | −4.7 (23.5) |
−4.3 (24.3) |
−1.5 (29.3) |
3.0 (37.4) |
7.9 (46.2) |
12.6 (54.7) |
17.2 (63) |
18.6 (65.5) |
14.8 (58.6) |
8.7 (47.7) |
2.7 (36.9) |
−2.5 (27.5) |
6.1 (43) |
最低気温記録 °C (°F) | −13.1 (8.4) |
−13.7 (7.3) |
−9.4 (15.1) |
−4.6 (23.7) |
0.4 (32.7) |
4.6 (40.3) |
9.6 (49.3) |
11.0 (51.8) |
5.6 (42.1) |
−0.3 (31.5) |
−7.8 (18) |
−12.4 (9.7) |
−13.7 (7.3) |
降水量 mm (inch) | 84.9 (3.343) |
71.0 (2.795) |
64.9 (2.555) |
90.5 (3.563) |
134.3 (5.287) |
98.2 (3.866) |
177.5 (6.988) |
179.6 (7.071) |
140.8 (5.543) |
121.3 (4.776) |
116.3 (4.579) |
109.3 (4.303) |
1,383.3 (54.461) |
降雪量 cm (inch) | 152 (59.8) |
124 (48.8) |
62 (24.4) |
1 (0.4) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
14 (5.5) |
91 (35.8) |
442 (174) |
平均降水日数 (≥1.0 mm) | 19.1 | 15.5 | 12.5 | 10.8 | 11.0 | 9.2 | 12.2 | 9.8 | 10.8 | 12.9 | 15.8 | 18.9 | 157.6 |
平均月間日照時間 | 46.0 | 64.1 | 127.0 | 164.3 | 166.6 | 158.9 | 130.3 | 157.3 | 166.6 | 142.6 | 75.0 | 43.4 | 1,454.5 |
出典1:Japan Meteorological Agency | |||||||||||||
出典2:気象庁[7] |
2015年(平成27年)に集計された国勢調査の統計によれば、以下の集落は調査時点で人口0人の消滅集落となっている[8]。
八雲町と全国の年齢別人口分布(2005年) | 八雲町の年齢・男女別人口分布(2005年) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
■紫色 ― 八雲町
■緑色 ― 日本全国 | ■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
八雲町(に相当する地域)の人口の推移
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||
総務省統計局 国勢調査より |
旧八雲町は、江戸時代にアイヌと交易するために和人が住み始め[9]、1801年(享和元年)に日本国内最北の関所となる「山越内関門」を設置した。旧尾張藩の藩主徳川慶勝が北海道開拓と併せて旧臣の生計を確保するため、遊楽部の土地の下付を願い出て1878年(明治11年)に家族持15戸、単身者10名、総人員82名を移住させたことから開拓が始まった[1][10]。1881年(明治14年)に黒岩とともに独立して八雲村となった[1]。その後、国道の開通によって役場をはじめとした各機関が山越内村から八雲村に移り、1902年(明治35年)の北海道二級町村制施行により両村が合併して八雲村となった[1]。
旧熊石町は、鎌倉時代後期の1296年(永仁4年)に日蓮の六老僧の1人である日持が熊石の地を訪れている事が記録に残っている[1]。1691年(元禄4年)には和人地のエゾ地境界として相沼から熊石に番所が移されて当時の日本国内最北端の地となったが、1741年(寛保元年)の渡島大島(松前大島)の噴火によって村損壊の危機に陥ったが[1]、1744年(永享元年)頃から有力者の移住によって新たな村づくりが進められ、ニシンの千石場所として繁栄した[1]。 1873年(明治6年)に熊石、泊川、相沼の3村に戸長が任命され、1902年(明治35年)の北海道二級町村制によって熊石村として発足し[1]、1962年(昭和37年)に町制施行して熊石町となった[1]。
— 平成18年9月1日制定[20]
- 私たちは、太平洋と日本海を持つ町を誇りとし、より豊かな未来をつくるために、この憲章を定めます。
- 自然を愛し美しい町をつくろう
- 助け合うあたたかい町にしよう
- 活気あふれる町にしよう
- つねに進歩する町民になろう
農業では早くから馬鈴薯(ジャガイモ)の作付けが行われているほか、北海道を代表する軟白ねぎの生産地になっている[25]。また、もち米やダイコンなどの野菜、カスミソウやスターチスなどの花卉、熊石地域のミニトマトやイチゴの高設栽培、メロンなどを生産している[25]。酪農も早くから西洋農法を積極的に取り入れたため「北海道酪農発祥の地」と言われており、現在でも乳牛1万頭、牛乳の生産4万5千トンと道南で随一の規模を誇っている[25]。漁業では太平洋と日本海に面していることから豊富な魚介類が水揚げされている[26]。内浦湾(噴火湾)ではホタテガイを中心とした栽培漁業が行われているほか、日本海側のアワビ養殖は採卵から成貝までの一貫体制が確立しており、ともに北海道内で有数の養殖業になっている[26]。日本海側の熊石沖では、水深343 mの「日本海固有水」と呼ばれる海洋深層水を取水している[27]。熊石海洋深層水は低水温で豊富な栄養特性があり、不純物も少なく一般細菌の汚染がない清浄性に優れている特長があり、生鮮魚介類の洗浄や栽培漁業への活用、食品加工への活用などの研究が進められている[27]。漁港は熊石地域に熊石漁港(第3種漁港)、関内、泊川、相沼の3港があり、八雲地域に八雲漁港(第2種漁港)、栄浜、落部、東野、山越、黒岩の5港がある[28]。
工場などの建設用地としては野田生(のだおい)に「野田生工業団地」[34]、熊石に「熊石企業誘致用地」を造成している[35]。
北海道新幹線の札幌方面延伸時には、新八雲駅(仮称)が開業する予定である。
北海道運輸局による「一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー)の自動認可運賃等」では「北海道D地区」の運賃となる[39]。
国道5号の一部区間は、シーニックバイウェイの「函館・大沼・噴火湾ルート」[40]、国道229号は「日本海追分ソーランライン」になっている。
道南随一の規模を誇る酪農では牛乳、チーズ、アイスクリームなどの乳製品がある[43]。畜産では肉用牛の生産が盛んであり、循環型畜産によって育てた「北里八雲牛」がある[43]。稲作では八雲地域でもち米の「風の子もち」、熊石地域ではうるち米を生産しており、畑作では北海道を代表するネギの生産地になっている[44]。
かつては馬鈴薯(ジャガイモ)を原料としたデンプンの製造が盛んであり、1931年(昭和6年)に榊原安茂がでんぷん飴にビート糖やバターを配合したバター飴を開発して販売を始めたため、「バター飴発祥の地」になっている[45]。また、八雲は「木彫り熊発祥の地」でもあり、徳川義親が旅行でスイスを訪れた際に土産品として販売していた木彫り熊を八雲の農民の副業に奨励しよう買い求めて帰国し、1924年(大正13年)に第1号を製作した[44][46]。木彫りの熊には細かく毛を彫る「毛彫り」と面で熊を表現する「面彫り」があり、肩の盛り上がりから放射状に毛が流れる「菊型毛」は八雲産の特徴であり[47]、面彫りは八雲オリジナルの彫り方である[44]。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.