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ゼッケン (競馬)

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競馬におけるゼッケンとは競走馬を見分けるためにの下に装着する道具である。使用目的によってさまざまな種類のゼッケンが存在する。

中央競馬

要約
視点
中央競馬における競走ゼッケンの例
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2011年の菊花賞(紫紺地に黄文字)
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2011年のジャパンカップ(紫紺地に白文字)
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2007年の日本ダービー(白地に黒文字)
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2010年のステイヤーズステークス(赤褐色地に白文字)
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2015年の京都金杯(深緑地に白文字)
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2017年の万葉ステークス(黒地に白文字)
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2022年のメトロポリタンステークス(黒地に黄文字)
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2019年のヤングジョッキーズシリーズファイナルラウンド(深緑地に黄文字)
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2010年のジョッキーベイビーズ(赤褐色地に黄文字)

競走ゼッケン

仕様

日本中央競馬のものは縦510mm・横695mmの台形で、ポリエステル100%の不織布生地を用いる。おもに競馬場から回収しているペットボトルをリサイクルした再生繊維が使用されている。文字は転写シートとなっており、ゼッケンには馬番号・馬名・競走番号・競走名などが貼り付けられる。ジャパンカップなどの国際競走の場合、片方には英文馬名が記載される。日本ダービーのゼッケンには縁に金色の刺繍が入る。ゼッケンには左右にポケットが1つずつ付いており、2023年4月に導入された競走馬トラッキングシステムで使用するGPS発信機を入れられる[1]

歴史

もともとゼッケンの書体や寸法に統一規格はなく、競馬場ごとで異なっていた。これはもともとの競馬倶楽部時代の名残と考えられるが、戦後の東京競馬場中山競馬場では東京競馬場で戦前から使用されていた数字がやや前方に傾いた形のもので統一されていたようである。また天皇賞については戦前の日本競馬会時代より、紫紺地に金色の数字のゼッケンを使用していた。生地は帆布製で、数字は縫い付けられていた。

1965年には、競馬場ごとに異なっていたゼッケンの規格の統一化が図られた。これによってゼッケンのサイズや数字の書体などほぼ同じ様式になったが福島競馬場新潟競馬場や北海道の2場についてはしばらく古いタイプのゼッケンが使用されており、また例外的に天皇賞(1971年まで)や菊花賞1970年まで)や函館記念1972年まで)については規格統一以前の重賞用ゼッケンが継続使用された。また各競馬場のゼッケンも、細かな部分には違いが存在していた。

紫紺地に金色(のち黄色)の文字の天皇賞用ゼッケンはゼッケンの規格統一後は重賞用ゼッケンとして使用されるようになったが、関東では重賞競走でも八大競走などの格の高い競走に限定されていたのに対し関西では重賞競走のほとんどに使用された。その他、関東や関西の一部重賞競走では黒地に黄色の馬番のゼッケンが、またオークスでは紫紺地に桃色の馬番のゼッケンを使用するなどある程度は競馬場の裁量に任されていた。

京都競馬場では障害競走の重賞競走にのみ、黄地に黒色の馬番で作られたゼッケンを使用していた時期もある。

1983年第3回ジャパンカップにて初めて馬名入りゼッケンが導入された。ただしこれは外国馬が出走することによる特別措置で、馬名もゼッケンの下の方に小さく刺繍されたものであった。さらに両サイドで表記の違いがあり片方には日本文馬名、もう片方には英文馬名が記入されていた。1985年有馬記念にも馬名入りゼッケン(ただし両サイドと日本文馬名)が試験的に使用されたが、この時点では本格採用には至らなかった。

1987年京都競馬場の重賞用ゼッケンが変更され緑色の生地に白色で数字を記入し、その下に"KYOTO"という文字が入るようになった。またGI競走用については青地に白色の数字が入るゼッケンが作成され、馬番の下に「天皇賞」などの競走名が表示された。ただしこの時点では文字の規格や帆布製の生地は従来のままであり、他の競馬場が追従することもなかった。同年秋以降、一部の重賞競走より馬名入りゼッケンが使用された(同年のジャパンカップではまだ帆布製であった)。素材は化学繊維製となり、馬番および馬名は印刷により表記されるようになった。この時点では生地は紫紺か黒で馬番・馬名は黄色で記載されるのが通例であったが、オークスのように馬名のみ桃色で書かれたものや重賞競走ながら白地に黒色の馬番、馬名が赤色で記載されたゼッケンが使われるなど、試行錯誤の段階であった。

1989年より、すべての重賞競走で馬名入りゼッケンが使用されるようになった。このとき、グレード競走の格に応じて生地の色を変え文字の色も白が基本となるように仕様が統一された。なお、数字の字体は1987年に馬名入りゼッケンが採用されたときとは若干変更されている(3番や7番や9番の字体などで判別可能)。

1990年秋からは一部の特別競走で馬名入りゼッケンの使用を開始し、さらに1991年の正月開催からは一般競走(平場)を含むすべての競走で馬名入りゼッケンが採用され、以後は馬名の字体に多少の仕様変更があるものの現在に至っている。

以後の仕様変更は以下の通り。

  • 1997年 - ゼッケン生地が化学繊維からアクリル製の不織布へ変更される[2](このころに競走番号も表記開始)。
  • 2002年 - ジャパンカップジャパンカップダートにおいて、馬名の横に調教国の国旗が追加される。ただしジャパンカップダートは2013年まで使用していたが、2014年に国際競走に変更されてからは外国馬の出走があっても使用されなくなった。2014年から2021年まで使用しているのはジャパンカップのみだったが、2022年からは全てのGI競走(JGI・JpnI競走も含む)のゼッケンに調教国の国旗が追加された。
  • 2004年
    • JRA50周年記念のメモリアルレースで、50周年記念ロゴが追加される(同年のみ)。
    • 若手騎手限定競走用のゼッケンが採用された。ただし当初のものは橙地に黒色の馬番・競走番号で派手で見づらいとの指摘があったため、同年秋に黒地に黄色に変更される(2022年現在は一般競走と同じゼッケン)。
    • ゼッケン素材がアクリル製からポリエステル製へ変更される[2]
  • 2014年 - ジャパンカップにスポンサーロゴが入り、馬名下にLONGINESのロゴが掲示されている(2021年からロゴの一部が変更されている)。
  • 2024年 ‐ JRA70周年記念のメモリアルレースで、70周年記念ロゴが追加される(同年のみ、JRA70周年記念アニバーサリーステークス以降は競走番号の上にロゴが付与される)[3]

ゼッケンの色と表記

中央競馬の競走で使用されるゼッケンの生地の色は基本的には下記の通りであるが、一部例外がある。それぞれの競走で使われるゼッケンの仕様を下表に示す。

  • GI及びJ・GI - 紫紺
  • GII及びJ・GII - 赤褐色
  • GIII及びJ・GIII並びに格付けなしの重賞、新設重賞 - 深緑
  • その他の特別競走 - 黒
  • 一般競走 - 白

国際競走ではスタンドから直線を見たときにカタカナ表記の馬名が見えるようになっている。2002年のジャパンカップは東京競馬場(左回り)が改修工事のため中山競馬場(右回り)で代替開催したが表記はそのままだったため、馬名はスタンド側が英語表記になっている。

  • 「○」には特記無き限り数字が入る。
さらに見る 競走の種類, 色 ...

調教ゼッケン

美浦トレーニングセンター栗東トレーニングセンターJRA競馬学校競馬場などの施設において、調教時に装着するゼッケンである。生地は以前は帆布製だったが、現在は競走用と同様にペットボトル素材をリサイクルした不織布が使われている。1年の間調教のたびに使用するため番号部分は熱転写で貼り付けたうえにミシンで縫いつけられているなど、一度しか使用しない競走用と比べ頑丈に作られている。また数字の字体は以前より使用されていた、昭和時代からのものが継続して使用されている。

競走馬が登録された段階で最大4桁の固有の番号が割り当てられる[24]が、ゼッケンに馬名は通常入らない[25]。番号は毎年秋に馬名の五十音順[26]に割り当てられる。競走馬登録を抹消された馬の番号は次回の割り当てが行われるまで欠番となる。ゼッケンの生地および文字の色は所属先、馬齢、性別および用途によって分けられている[27]

2024年10月以降

通常[24][28][29]
さらに見る 馬齢, 性別 ...
番号の下に馬名が貼り付けられる。
特殊用途(所属先によらず共通)[28][29]
さらに見る 用途, 生地 ...
  • GIおよびJ・GI競走の特別登録馬・函館記念
番号の下に馬名が貼り付けられる。特別登録した競走が終わり次第、通常または優勝馬用のゼッケンと取り替えられる。
  • GIおよびJ・GI競走の優勝馬
番号の下に馬名が、番号の右側に優勝したGIおよびJ・GI競走と同じ数の星印がそれぞれ貼り付けられる。

2024年9月まで

通常
さらに見る 馬齢, 美浦所属馬 ...
GIおよびJ・GI競走の特別登録馬
さらに見る 用途, 生地 ...
  • GIおよびJ・GI競走の優勝馬
優勝したGIおよびJ・GI競走[31]と同じ数の星印がそれぞれ貼り付けられる。
  • GI競走優勝馬
紫色の生地に金色の文字。
  • J・GI競走優勝馬
紫色の生地に橙色の文字。
  • その他の重賞競走の優勝馬
    • 美浦所属馬
    黄色の生地に黒の文字。
    • 栗東所属馬
    白の生地に黒の文字。

レプリカゼッケン

コレクション用としてサイズ・素材ともに同一のゼッケンをGI優勝馬のゼッケンに限り、中央競馬ピーアール・センターの通販サイトにて発売している。

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地方競馬

要約
視点

各地域で仕様は異なっている。

大井競馬場では、JRAと同様にすべての競走に馬名入りゼッケンを使用している。JRAのゼッケンと比べると上下の寸法が小さく作られているが、これは靴の踵に拍車をつけている騎手のためで、2011年より拍車使用が禁止になった後も、サイズの違いはそのままとなっている。

その他の競馬場でも、重賞競走や特別な競走については馬名または競走名入りゼッケンを使用するのが一般的になったが、通常の競走用ゼッケンは、競走後に洗濯の上、破損箇所を補修の上使い回される。たとえば廃止された福山競馬場では2年間使用された[32]

生地の色は枠番ごとに生地の色を分けている競馬場が多く、材質も帆布製や化学繊維製など数種類が存在する。

数字の字体は金沢競馬場園田競馬場以西の各競馬場ではJRAが馬名入りゼッケンを採用する前の字体と同じなのに対し、笠松競馬場以東の各競馬場では各地ともにばらばらであり特に名古屋競馬場と笠松競馬場では独特な字体を採用している。

ばんえい競馬においては、重種馬ゆえにサラブレッド用ゼッケンではサイズが小さすぎることから長年馬名入りゼッケンは採用されなかったが、2018年ばんえい記念にて初めて馬名・競走名入りゼッケンが採用され、2021年よりBG1競走で使用されることとなった。

2024年現在、全国の地方競馬場で採用されている馬名入りゼッケンの基本仕様は以下の通り(但し、年度によって基本仕様から外れる場合がある[33])。

さらに見る 主催者, 競走の種類 ...
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ゼッケンの製作委託

現在、中央競馬および一部の地方競馬の競走用ゼッケンおよび中央競馬の調教用ゼッケンは長野県長野市篠ノ井にある身体障害者授産施設に委託されて製作されている。これは利用者の自立支援の一環としてJRAファシリティーズが委託しているもので、生地の裁断から馬番号の貼り付けまでの製作過程を行っている。ゼッケンは各競馬場およびトレーニングセンターに出荷され、競走用ゼッケンの競走馬名の貼り付けについては競走開催前日に各競馬場にて行われている[4]

使用済みゼッケン

競走で使用されたゼッケンは基本的には処分・リサイクルされるが、関係者らが持ち帰ることは可能である。このため牧場などに展示されている例も散見される。テレビ番組や雑誌のプレゼントとして提供されたり、オークションサイトなどで取引されている場合もある。廃棄されたゼッケンをバッグに加工して販売している例もある[32][41]

引退競走実施日の全競走終了後に引退式を行う馬がいるときには引退競走で使用ゼッケンを再作成のうえで再びつけて登場する例もある(ディープインパクトなど)。

脚注

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