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第97回アカデミー賞
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第97回アカデミー賞は、映画芸術科学アカデミー(AMPAS)が主催する賞であり、2024年の映画を対象とし、2025年3月2日にカリフォルニア州ロサンゼルス市ハリウッドのドルビー・シアターで授賞式が行われた[5]。コメディ俳優のコナン・オブライエンが初となる授賞式の司会を務めた[6][7][8]。
ノミネートは2025年1月23日に発表され、『エミリア・ペレス』が最多の13部門、『ブルータリスト』と『ウィキッド ふたりの魔女』が10部門とつづいた[9][10][11]。
『ANORA アノーラ』は作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞を含む最多5部門を受賞し[12][13][14]、その他、『ブルータリスト』が主演男優賞を含む3部門、『デューン 砂の惑星PART2』、『エミリア・ペレス』、『ウィキッド ふたりの魔女』がそれぞれ2部門を受賞した。
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日程
受賞とノミネート
要約
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第97回アカデミー賞のノミネートは2025年1月17日に発表予定であった。しかし、2025年1月7日に発生した南カリフォルニアでの山火事に伴い、投票期間を2日延長するため、発表を同月19日に変更となった[15][16]が、被害の拡大を受けて、同月23日に再延期した[17][18]。
第97回アカデミー賞のノミネートは2025年1月23日5時30分PST(13時30分UTC、22時30分JST)にサミュエル・ゴールドウィン・シアターにてレイチェル・セノットとボーウェン・ヤンが発表した[19][10][11][20]。
最多13部門でノミネートした『エミリア・ペレス』は『グリーン・デスティニー』と『ROMA/ローマ』の10部門を上回り、非英語圏の映画としては最多のアカデミー賞ノミネート記録を更新した[21]。また、本作での演技により、スペイン人女優のカルラ・ソフィア・ガスコンは演技部門でノミネートされた初のオープンリー・トランスジェンダーとなった[21]。『エミリア・ペレス』と『アイム・スティル・ヒア』は作品賞と国際長編映画賞の両方にノミネートされた非英語圏の作品であり、同じ年に両部門でノミネートされた作品が複数現れたのはこれが初めてである[22][注釈 1]。『アイム・スティル・ヒア』はポルトガル語映画として初の作品賞ノミネートとなり、国際長編映画賞を受賞したことでブラジル映画としては初となるアカデミー賞受賞作品となった[23][24]。
監督賞では『サブスタンス』のコラリー・ファルジャが監督賞にノミネートされた9人目の女性となり[25]、監督賞にノミネートされた監督は全員いずれも初ノミネートであり、全く新しい顔ぶれが監督賞を競い合うのは1998年以来であった[22]。
主演男優賞では『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』のティモシー・シャラメがジェームズ・ディーン以来となる20代で2度目の主演男優賞ノミネート俳優となった[26][注釈 2]。また、受賞した『ブルータリスト』のエイドリアン・ブロディは第75回の『戦場のピアニスト』以来22年ぶりの受賞となった[28]。
主演女優賞では『アイム・スティル・ヒア』のフェルナンダ・トーレスが主演女優賞にノミネートされた2人目のブラジル人となった[注釈 3]。また、受賞した『ANORA アノーラ』のマイキー・マディソンが演技部門で受賞した初のZ世代俳優となった[30]。
助演男優賞では『ANORA アノーラ』のユーリー・ボリソフは1978年にミハイル・バリシニコフが『愛と喝采の日々』でノミネートされて以来となるロシア人俳優となった[31][32][33]。
助演女優賞では受賞した『エミリア・ペレス』のゾーイ・サルダナがドミニカ出身のアメリカ人として初めてアカデミー賞を受賞した[34]。
ギンツ・ジルバロディス監督のアニメーション映画『Flow』は長編アニメ映画賞と国際長編映画賞の2部門にノミネートされ、複数のノミネートを獲得した初のラトビア映画となり[35][19]、長編アニメ映画賞と国際長編映画賞の2部門にノミネートされたのは第94回の『FLEE フリー』に次いで2作目であった[35][19][36]。『Flow』は長編アニメ映画賞を受賞したことにより、部門としては初のインディペンデントアニメ映画の受賞となり、監督のギンツ・ジルバロディスと共同プロデューサーのマティス・カジャはアカデミー賞を受賞した初のラトビア人となった。また、ディズニー/ピクサー以外の作品が3年連続で同部門を受賞したのも初めてのことである[37]。アダム・エリオットのストップモーションアニメ映画『かたつむりのメモワール』は同じくストップモーションアニメ映画である第86回の『アノマリサ』に次いで2作目のR指定アニメ映画としてノミネートされた[38][注釈 4]。
長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』はアカデミー賞を受賞した初のパレスチナ映画となり[40]、共同監督のバセル・アドラは初のパレスチナ人映画監督となった[41]。
『エミリア・ペレス』のジャック・オーディアールと『ANORA アノーラ』のショーン・ベイカーはともに4部門でノミネートされ[36][42][43][注釈 5]、4部門すべてを受賞したショーン・ベイカーはウォルト・ディズニーと並んで同一人物による同一年のアカデミー賞最多受賞記録となり[44][45]、同一作品での4部門受賞を果たした唯一の人物となった[13][46][47]。また、1978年以来主演女優賞にノミネートされた作品がすべて作品賞にもノミネートされた[22]。音響技師のアンディ・ネルソンは『ウィキッド ふたりの魔女』で25度目のノミネートとなり、存命中の人物ではジョン・ウィリアムズの54ノミネートに次ぐ最多ノミネート数を誇る[22]。
日本からは短編ドキュメンタリー映画賞に山崎エマ監督によるドキュメンタリー映画『小学校~それは小さな社会~』から生まれた短編版『Instruments of a Beating Heart 心はずむ 楽器たち』、長編ドキュメンタリー映画賞に伊藤詩織監督が自身の性的暴行被害への調査に乗り出していく姿を記録したドキュメンタリー『ブラック・ボックス・ダイアリーズ』、短編アニメ映画賞に韓国の絵本作家ペク・ヒナによる「あめだま」と「ぼくは犬や」を基にした西尾大介監督によるフルCG短編アニメ『あめだま』の3作品がノミネートされた[10][48][49][50]。
受賞者は各項目最上段に太字でダブルダガー () 付きのものである。

作品賞・監督賞・脚本賞・編集賞 受賞者

主演男優賞受賞者

主演女優賞受賞者

助演男優賞受賞者

助演女優賞受賞者

長編アニメ映画賞受賞者

国際長編映画賞受賞者

長編ドキュメンタリー映画賞受賞者

作曲賞受賞者

歌曲賞受賞者

歌曲賞受賞者

音響賞受賞者

撮影賞受賞者
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複数の部門での受賞・ノミネート作品
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ガヴァナーズ賞
映画芸術科学アカデミーは2024年11月17日、第15回ガヴァナーズ賞授賞式が行われ、以下の賞が授与された[51][52]。
- クインシー・ジョーンズ - "70年にわたる輝かしい音楽キャリアを持つ著名人"[53] (没後受賞)
- ジュリエット・テイラー - "映画史に残る名キャストを数多く輩出したキャスティング・ディレクター"[53]
- バーバラ・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン - "演劇業界への貢献"として[53]
- リチャード・カーティス - "慈善活動に多大な貢献をしている素晴らしい喜劇的ストーリーテラー"[53]
授賞式
要約
視点

2024年10月、映画芸術科学アカデミー (AMPAS)はテレビプロデューサーのラージ・カプールとケイティー・モーランを2年連続で起用し、監督としてハミッシュ・ハミルトンが2年連続、通算5回目の演出することを明らかにした。AMPASのCEOであるビル・クレイマーとAMPAS会長のジャネット・ヤンは、プレスリリースの中で人選について「映画への愛情、クリエイティブなビジョン、そして生放送における比類なき専門知識を持つ彼らは、映画業界最大の夜に、世界中の視聴者のために特別なショーを創り出す完璧なチームです」と語り、 「アカデミー賞の素晴らしい制作チームを再び率い、アカデミーやディズニー/ABCと協力して、世界中の映画ファンのために忘れられないテレビの夜を作り上げるお手伝いができることに興奮しています。私たちは、映画製作という芸術への愛を分かち合い、今年のアカデミー賞にノミネートされた素晴らしいアーティストたちを祝福するために、新しい世代を刺激し、繋ぎ続けることを望んでいます。」と述べた[54]。
11月、コメディアンであるコナン・オブライエンが司会を務めることが発表された[6]。発表前には前回の司会を務めたジミー・キンメルや第14回ガヴァナーズ賞の授賞式の司会を務めたジョン・ムレイニーの起用が検討されたが両者から断られたことにより、AMPASは複数の司会者による分担形式も浮上した。その中でも『デッドプール&ウルヴァリン』で共演したライアン・レイノルズとヒュー・ジャックマンのコンビを起用することも話題に上がったが、レイノルズはDeadline Hollywoodの取材に対し、その可能性は極めて低いと語りつつ、「ジャックマンと「いつか」一緒に司会をしたい」と語った[6][55][56]。
『ブルータリスト』で主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブロディは5分40秒にわたって受賞スピーチを行い、アカデミー賞史上最長の受賞スピーチを行った。これは『ミニヴァー夫人』にて主演女優賞を受賞したグリア・ガースンの受賞スピーチよりも10秒長かった[28][57]。
プレゼンターとパフォーマー
授賞式では冒頭、南カリフォルニアでの山火事で多大な被害を受けたロサンゼルスへの愛をロサンゼルスを舞台にした映画を集めた映像からスタートし、『ウィキッド ふたりの魔女』に出演しているアリアナ・グランデとシンシア・エリヴォによる『オズの魔法使』をテーマにしたパフォーマンスが行われた[58]。また、式の中盤では長年プロデューサーを務めてきたバーバラ・ブロッコリとマイケル・G・ウィルソンが「演劇業界への貢献」を称えられてアービング・G・タルバーグ賞を受賞したこと記念して、アカデミー賞では3年ぶりとなる007シリーズへのトリビュート企画が行われ[59]、プレゼンターとして『007/ダイ・アナザー・デイ』でボンドガールを務めたハル・ベリー、ダンサーとして女優のマーガレット・クアリー、歌手としてリサ、ドージャ・キャット、レイが出演した[60][61][62][63]。
イン・メモリアムの後には輝かしい音楽キャリアを受けて名誉賞を受賞し、前年に死去したクインシー・ジョーンズへのトリビュート企画が行われ、プレゼンターとしてウーピー・ゴールドバーグとオプラ・ウィンフリー、歌手としてクイーン・ラティファが出演した[47][64][65]。
以下の人々がプレゼンターを行い、パフォーマンスを披露した。
イン・メモリアム
追悼企画「イン・メモリアム」では以下の人々が紹介されるとともに、プレゼンターであるモーガン・フリーマンは授賞式4日前に死去が公表された俳優のジーン・ハックマンへの哀悼を述べた[64][69]。
- マギー・スミス - 女優
- ジーナ・ローランズ - 女優
- ダブニー・コールマン - 俳優
- ロールデス・ポルティージョ - 映画監督
- ディック・ポープ - 撮影監督
- フィリス・ダルトン - 衣装デザイナー
- デヴィッド・サイドラー - 脚本家
- ロジャー・コーマン - プロデューサー・映画監督
- ジェフ・ベイナ - 脚本家・映画監督
- ダイアン・クリッテンデン - キャスティングディレクター
- ボブ・ニューハート - コメディアン・俳優
- クリス・クリストファーソン - シンガーソングライター
- マーシャル・ブリックマン - 脚本家・映画監督
- ロバート・レームル - 映画館主
- M・エメット・ウォルシュ - 俳優
- K・C・フォックス - セットデコレーター
- アンシア・シルバート - プロデューサー
- ジョシュ・ウェルシュ - Film Independent会長
- ジョン・F・ブルネット - 映画編集者
- フレッド・ルース - プロデューサー
- ジーニー・エッパー - スタントウーマン・女優
- クリス・ニューマン - 音響技術者
- ナンシー・セント・ジョン - 視覚効果プロデューサー
- ポーラ・ワインスタイン - プロデューサー
- テリー・ガー - 女優
- チェン・ペイペイ - 女優
- ジョン・エイモス - 俳優
- ロバート・タウン - 脚本家・映画監督
- ビル・コッブス - 俳優
- リサ・ウェストコット - メイクアップアーティスト
- バリー・マイケル・クーパー - 作家
- レオナルド・エンゲルマン - メイクアップアーティスト
- バッド・S・スミス - 映画編集者
- リンダ・オブスト - プロデューサー・作家
- アダム・ソムナー - 映画助監督・プロデューサー
- ロジャー・プラット - 撮影監督
- チャールズ・シャイア - 映画監督
- ジョーン・プロウライト - 女優
- アヌーク・エーメ - 女優
- ドナルド・サザーランド - 俳優
- レオ・チャルーキアン - 音響エンジニア
- アルバート・S・ラディ - プロデューサー
- アート・エヴァンス - 俳優
- コリン・チルヴァース - 特殊効果コーディネーター
- ローレンス・ターマン - プロデューサー
- リチャード・シャーマン - 作曲家
- ヤン・A・P・カチュマレク - 作曲家
- ルイス・ゴセット・ジュニア - 俳優
- ティム・マガバーン - 視覚効果アーティスト
- レイ・チャン - 美術監督
- リアム・ペイン - 歌手
- ウィル・ジェニングス - 作詞家
- ジョン・ランドー - プロデューサー
- フミ・キタハラ - アニメ業界広報担当者
- シェリー・デュヴァル - 女優
- デイヴィッド・リンチ - 映画監督・脚本家・プロデューサー・ミュージシャン・アーティスト・俳優
- ジェームズ・アール・ジョーンズ - 俳優
- ジーン・ハックマン - 俳優
企画内では何人かの重要な人物が省かれているとして、ジム・エイブラハムズ、アラン・ドロン、カルロス・ヂエギス、シャナン・ドハーティー、ミッツィ・ゲイナー、バーナード・ヒル、オリヴィア・ハッセー、リンダ・ラヴィン、セルジオ・メンデス、マーティン・マル、ケン・ペイジ、シルビア・ピナル、トニー・トッド、ミシェル・トラクテンバーグの名が挙げられ、批判を浴びた[70]。
ロサンゼルスの山火事による影響
→「2025年1月南カリフォルニア山火事」も参照
約10000人のアカデミー会員を対象としたノミネート投票は2025年1月8日に開始され、当初は1月12日に締め切られる予定だったが、南カリフォルニアでの山火事が発生したことにより、投票の締め切りは1月17日に延長された。当初1月17日に予定されていたノミネート発表は19日に延期し、被害の拡大から23日に再延期された[71][72][73]。
山火事の発生後、授賞式もAMPASはロサンゼルスのコミュニティと映画産業におけるその役割を称えることへと変更し、このシフトの一環として、歌曲賞にノミネートされた5つの作品は生演奏されないことが発表され、その代わりに楽曲の背後にいるクリエイティブ・チームによる個人的な考えや舞台裏を通じて、作詞家・作曲家にスポットが当てられることになった[74]。これに対し、ノミネートされた作詞家全員が会員である作曲家・作詞家協会は、AMPASに決定を撤回するよう求めた。書簡はAMPASのCEO、会長、理事会、そしてテレビ放送のプロデューサーに送られたが、AMPASはコメントを拒否した[75]。ソングライターの殿堂にノミネートされた作詞家が出席するバーチャル・パネル・ディスカッションにて『6888郵便大隊』の「The Journey」でノミネートされたダイアン・ウォーレンはこの決定を「極めて無礼」「私たちは皆、その映画にとって本当に不可欠な曲を書いてきました。それを聴くことができないというのは、ノミネートされた人たちにとっても、そこにいる観客にとっても不公平だと思うのです」と批判した[76]。
山火事が授賞式の準備や司会者としての立場にどのような影響を与えるかについて、司会者のオブライエンはThe Hollywood Reporterの取材に対し、「これまでで一番簡単な仕事ではないけれど、僕はそれを受け入れている。私のためでないのは明らかです。これは私たち全員が一歩下がって『謙虚になろう』と言うべき瞬間です。謙虚になって、『これは大きな瞬間だ。これはロサンゼルスで起こった恐ろしい出来事なんだ』ってね…。戦略としては脚本家と私、そしてアカデミー賞で一緒に仕事をしているチーム、彼らは素晴らしいし、プロデューサー、みんな、私たちはすべてのセンスを出し切るだけです」と語った[77]。
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テレビ中継
アメリカ
アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー(ABC)のテレビ放送及びウォルト・ディズニー・カンパニー傘下の定額制動画配信サービスであるHuluのライブ配信にて中継された。Huluにて授賞式がライブ配信されるのは今回が初めてとなった[78]。
日本
2000年の第72回以降はWOWOWによる生中継を行っていたが[79]、今回は25年ぶりにNHK(日本放送協会)が中継を担当することになり、授賞式当日にNHK BSにて生中継を行った[80]。また、翌日にはWOWOWオンデマンドにてレッドカーペットの様子を伝える特別番組とともに授賞式の模様を字幕版で配信[79][81]、総集編が同月10日未明(9日深夜)にNHK総合で放送した[82]。
テレビ
ネット配信
視聴者数
視聴率測定会社のニールセンによるABCのテレビ放送及びHuluのライブ配信データの合計で前回より7%減の1807万人となった。これは授賞式の時間が3時間47分と長時間に及んだことや授賞式開催中にHuluで技術的なトラブルが発生し、作品賞発表の瞬間を見逃す視聴者が続出したことが影響している[89]。
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脚注
関連項目
外部リンク
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