やまと号 (やまとごう)は、奈良交通を中心に運行される、奈良県と首都圏を結ぶ夜行高速バス路線である。
1989年には首都圏の他に福岡市内への路線も運行を開始したが、2000年に奈良 - 福岡、2007年に奈良 - 大宮の運行が廃止された。
夜行バスで愛称を設定する場合、路線毎に異なる愛称を設定する場合が多いが、奈良交通の場合はすべての路線が「やまと号」という愛称で統一されている。共同運行相手の会社でも「やまと号」として案内している。これは他のバス事業者でも散見される(阪神バスの「サラダエクスプレス」、神姫バスの「プリンセスロード」、南海バスの「サザンクロス」など)。
なお、本項では歴史的につながりのある近鉄バスの高速バス路線であるサテライト号についても記述する。
奈良 - 新宿線、五條 - 新宿線
- 概要
- 奈良線は1988年8月6日に運行開始した最初の路線である[1]。同年、6月1日には新宿 - 大和高田線(のちに五條に延長)が加わり[2]、1日各1往復が設定されている。両系統は、天理駅以東では同じダイヤで運行するため奈良発着を1号車、五條発着を11号車(運行当初は51号車)としている。かつては両路線とも2階建てバス(三菱ふそう・エアロキング)が使用されていたが、2011年春より奈良線で取りやめ(日野・セレガハイデッカー車に置き換え)、2013年3月からは五條線も取り止めたが、2021年12月より新車(バンホール・アストロメガTDX24)を導入して五條線の関東バス便にて2階建てバスの運行を再開した[3]。なお、新宿では京王プラザホテルの都庁側玄関前にもバス停留所を設けていたが、建物構造上2階建てバスが進入できないため、路上停車となっていた。2023年4月1日より京王プラザホテルでの乗降を休止[4]。
- 運行経路
- 備考
- 大和八木駅では、かつては夜行高速バスなどのための待合室が存在したが、現在は廃止されて案内所はかしはらナビプラザに移転したため、待合室はない。
- 奈良線はJRバスグループ(西日本JRバス他)の夜行バスと競合している。こちらは通常便と格安便(青春ドリーム号)の2便が運行されている。
- 途中 御在所サービスエリア、浜松サービスエリア、足柄サービスエリアで停車するが、乗務員交代と車両の点検の為のみ停車するので乗客の乗り降りは出来ない。
- 奈良 - 新宿線の運休状態が続く中で奈良地区への乗客への救済措置として、夜間にJR奈良駅・近鉄奈良駅→天理駅間の直行連絡バスがある。天理駅で「五條 - 新宿線」に乗り換えが可能。要予約かつ「五條 - 新宿線」の切符の提示で無料で乗ることが出来るが、連絡バス未予約・切符不所持の場合は運賃を支払うと乗車できる。逆に新宿発で奈良へ行く場合は、天理駅より奈良交通運行による通常の路線バスを利用する(無料)。
過去の運行路線
奈良 - 福岡線
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やまと号福岡線(奈良交通) |
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やまと号(西日本鉄道) |
- 概要
- 1989年に運行開始。有名観光地であると同時に大阪のベッドタウンでもある奈良と九州最大の都市である福岡を結ぶルートとして開設され、潜在需要を期待されたものの、奈良から福岡への移動は近鉄奈良線やJR大和路線などで大阪に一旦出た方が利便性が良く運賃面でも有利なため、この路線の利用は思ったほど伸びなかった。さらに薬師寺や天理教関連行事の有無で乗客数の差が著しく、また西日本鉄道の夜行高速バス路線再編の影響もあり2000年3月30日に廃止された。
- 中国自動車道において冬期に路面凍結防止で散布される塩化カルシウムによる塩害でバスが早期に傷んでしまうという事態に悩まされていた。天理教信者による需要については少子高齢化、ライフスタイルの変化などが理由でおぢばがえりをする信者が減少したため、利用者も激減した。同じ理由で高知からの昼行高速バスが運行休止になった。
- 運行経路
- 近鉄奈良駅 - JR奈良駅(福岡発のみ) - 天理駅 - 筒井駅 - 法隆寺バスセンター - 高速門司港 - 小倉駅 - 砂津 - 引野口 - 博多駅交通センター - 西鉄天神バスセンター
奈良 - 横浜線
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運行開始当初のやまと号横浜線(奈良交通) |
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やまと号横浜線(湘南神奈交バス) |
- 概要
- 1989年(平成元年)2月28日運行開始[11]。
- 当初は神奈川中央交通が運行担当していた[11]が、のちに湘南神奈交バス→横浜神奈交バスに変更された。
- 2008年9月30日に廃止され、翌10月1日から奈良 - 千葉線に路線編入された。これにより、本厚木 - 横浜間のルートで完全に飛び出る形となっていた町田バスセンターは通過となり、変更後は町田バスセンターと上大岡駅以南へは停車しなくなった。
- なお神奈川中央交通は撤退後も、発券などの販売業務は引き続き行っていたが、高速バス予約センターの業務終了に伴い乗車券発売も行わなくなった。
- 運行経路
- 五位堂駅 - 上牧町役場前 - 片岡台三丁目 - 王寺駅 - 法隆寺バスセンター - 矢田山町 - 近鉄郡山駅 - JR奈良駅 - 近鉄奈良駅 - 天理駅 - 大和高原都祁(道の駅針T・R・S内) - 大和高原山添 - 本厚木駅 - 町田バスセンター(町田駅) - 横浜駅東口 - 上大岡駅 - 港南台駅 - 本郷車庫
- 奈良交通
- 三菱ふそう・エアロキング(2階建バス、新宿 - 五條線)
- 日野・セレガ/セレガR(ハイデッカー、新宿 - 五條線を含む各路線)
- かつてはスーパーハイデッカー(日野・グランデッカー)が用いられ、2-1列のシート配置を採用していた。西日本鉄道と共同運行していた奈良 - 福岡線開設時から独立3列シートを装備した車両も登場している。2000年以降利用者の多い奈良 - 新宿線には2階建てバスを充当しているが、続行便やその他路線は導入費用などが安価なハイデッカーを充当している。旧タイプであるセレガRのハイデッカーはトイレなどの設備を車両後部に設置(スーパーハイデッカーの場合は中央床下)したが、定員を減らさなかったため、座席間隔が狭くなっている。新型セレガハイデッカーについてはトイレ・仮眠室などの設備を中央床下に配置しているため座席間隔を犠牲にしていない。
- 車内設備
- 車内サービス
奈良交通は「やまと号」を運行する一方でWILLER GROUPが運行している高速路線バスの続行便を担当することがある(運行受委託契約)。また、ツアーバス時代には繁忙期を中心にWILLER TRAVELが主催する夜行ツアーの格安便を担当していた。このような縁から、WILLER TRAVELでもやまと号の販売が行われている。
“高速バス時代が本格到来”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 3. (1989年4月20日) “新宿-大和高田 夜行高速バス 来月1日から運行”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1989年5月28日) “近鉄など6社の三系統 高速バスを免許”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1989年11月1日) “高速バス4路線開設 運輸省が免許”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1989年7月19日) “二高速バス事業免許”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1989年2月3日)