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1971年から1972年に日本テレビ系列で放送された日本のアニメーション作品 ウィキペディアから
『天才バカボン』(てんさいバカボン)は、赤塚不二夫の漫画『天才バカボン』を原作としたテレビアニメ。『天才バカボン』のアニメ化作品の1作目である。よみうりテレビ、東京ムービー制作。全40回・全79話。
本作は後年のアニメ作品との区別のため、「無印」と表現されることもある[1]。
およそ3年半に及ぶ長期の人気に支えられた『巨人の星』の後番組として、同じ東京ムービーで製作された。1959年10月スタートの『頓馬天狗』以来続いた、土曜19:00 - 19:30枠のよみうりテレビ[注釈 1]制作「大塚製薬一社提供番組[注釈 2]」としては最後の作品となった。
原作では登場人物の死亡・殺害描写、残酷描写や暴力的表現も数多く見られたが、アニメ化に際しては大幅に書き換えられている。
キャラクターデザインや人物造形については原作をほぼ踏襲しているが「本官さん」のみ本作品用に描き改められ、1つだけだった鼻の穴が普通に2つ付いており、シーンによっては目玉がつながっていない[3]。また、乱射しながら手足をバタつかせる特徴的な走り方は本作では行わない。さらに後述の植木屋設定により植木屋衣装のバカボンのパパが加えられた。
作品のテーマも原作と大きく異なっている。原作ではバカボンのパパをはじめ、登場人物がおかしな行動をとることで一般常識や漫画作品としてのルールすらゆさぶり、ストーリーや設定の破綻すらお構いなしのナンセンスな世界を展開するのが狙いであるのに対し、本作品ではバカボンのパパたちの一見おかしな行動は「無垢な心の表れ」であり、彼らの偽りない真心が、結果として問題を解決へ導いたり周囲の人々に幸せを招く…という、赤塚作品では『もーれつア太郎』のような「人情劇」やホームコメディを彷彿とさせる世界観に改変された[注釈 3]。これは全国アンケート「子どもに見せたくない番組(ワースト番組)」を実施していた日本PTA全国協議会から番組内容にクレームが寄せられたことが影響している。また番組スポンサーの大塚製薬からは「一家の主が働かないで生活が成り立っているのはおかしい、設定上ではなくパパが実際に働いてるシーンを映像で見せて欲しい。」との要望が出され[4]、苦肉の策として番組中盤より「パパを定職(植木屋)に就かせる」という本作独自の設定が生まれ、原作に無い植木屋で働いているシーンが多数盛り込まれた。しかしこれらの内容改変は、「パパは無職(バガボンド=放浪者)でないといけない」としている原作者、赤塚を大いに激怒と同時に失望させることとなった。
この他にも、バカボンの学校生活が原作より多くなり、担任の「凡田先生」、ガールフレンドの「さくら」、ガキ大将の「中村」・「青成」といった、原作に無いオリジナルレギュラーキャラが加わった[注釈 4]。またママが激怒すると、落雷場面がカットインする演出があった。このようなオリジナル設定は次作『元祖天才バカボン』でスタッフが一新された事を受け無くなった。
スポットや次週予告での最後の決めゼリフは、パパの「来週の『天才バカボン』を見よ! 見ない奴は死刑なのだ!」というものだった[注釈 5]。なお予告の台詞には歴代では唯一、次回放送作品のサブタイトルが無かった。
なお台詞の中には前番組『巨人の星』同様差別用語が含まれているのがあり[注釈 6]、かつて再放送の際そのままにされていたが、現在は無音になる事がある。
なお、『天才バカボン』のアニメ化企画自体は本作以前にもあり、日本テレビ系列で放映される予定でパイロットフィルムも制作されたが、何らかの事情でお蔵入りとなった。このことに関しては天才バカボン パイロットフィルムを参照。
スタッフの1人だった辻真先によれば本放送時の視聴率は芳しくなかった。辻は連載中にアニメ化した『Dr.スランプ』を引き合いに出し、連載終了から数年を経て当時は旬だったギャグが放送時には古びていたのが原因と指摘している[5]。
まず前番組『巨人の星』最終回で、エンディング直後に星飛雄馬らメインキャラが集まり、飛雄馬がお別れのご挨拶をした後、画面にバカボン一家が現れ、飛雄馬がバカボンのパパと握手しながら「バカボン君、僕に代わって来週からよろしく頼みますよ」と述べてから、パパのナレーションで本作の新番組予告編が始まった。また第20回(第39話)「運動会はパパにまかせろ」の劇中では、その『巨人の星』の主題歌「ゆけゆけ飛雄馬」[注釈 7]が使用されている。制作スタッフやスポンサーが同一であることで可能になった「お遊び」である。
なお、『バカボン』キャラクターのアニメ初登場は第1作の前年1970年、『もーれつア太郎(第1作)』(NET系列)第48話(2月27日放送)で時代劇エピソード、「男でござる東海道 その1・その2」の冒頭、江戸時代の町民役(通行人)としてパパとバカボンが描かれている。その後同作の第74話(9月4日放送)「ヒコーキ泥棒ニャロメ その1・その2」ではパパが空港の整備士(後におでん屋)役で出演している。なお、この時の声優はココロのボス役の八奈見乗児が『もーれつア太郎』と同じく務めた。またこの年、フジテレビ系列で放送されたバラエティ番組『祭りだ!ワッショイ!』の1コーナーで、毎回当時のヒット歌謡曲を1曲取り上げ、独自解釈のオリジナルアニメーションを制作し、現在で言うプロモーション・ビデオ風な映像に仕立てる「おたのしみアニメ劇場」(アニメーション制作:スタジオ・ゼロ)でも、「とまらない汽車(歌:中山千夏)」でのオリジナル作品中にパパが登場している[6][7]。
オープニングアニメーションの冒頭に登場するのは、レレレのおじさんである。その後はパパおよび、バカボン一家のみが登場する。エンディングはアニメーションではなく、「止め絵」が使用されている。
「バカボンの歌」
「バカボンのパパ」
全作品とも原則としては1回で2話放送。全40回、79話。原作漫画が『マガジン』から『サンデー』に移籍後、同誌に掲載されたエピソードもいくつかアニメ化されている。
サブタイトルクレジット部は、画面上にサブタイトル、右下に「脚本」と「コンテ」のクレジットで構成、そして画面左下からパパが顔を出して読み上げる。なおパパの表情は「笑顔」と「顰めっ面」の2パターンが有るが、順番は毎回異なる。
回 | 放送日 | 話数 | サブタイトル | 脚本 | コンテ |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1971年 9月25日 | 1 | バカボン一家だコニャニャチハ | 吉田喜昭 | 高倉健一 |
2 | 赤ちゃんはホンモノがいいのだ | 大西洋三 | |||
2 | 10月2日 | 3 | モシモシ早く生まれておいでね | 吉田喜昭 | 小華和ためお |
4 | コニャニャチハ赤ちゃん | 織田健也 | 奥田誠治 | ||
3 | 10月9日 | 5 | 赤ちゃんはハジメちゃんなのだ | 松元力 | 岡崎稔 |
6 | ハジメちゃんがはじめてしゃべったのだ | 吉田喜昭 | 佐々木正広 | ||
4 | 10月16日 | 7 | 天才児はハジメちゃんなのだ | 松元力 | 小泉謙三 |
8 | ハジメちゃんの中継は中止なのだ | 大西洋三 | 風間幸雄 | ||
5 | 10月23日 | 9 | 免許証なんか知ってたまるか | 出崎哲 | |
10 | バカボンのロボットいい研究ね | 藤川桂介 | 風間幸雄 | ||
6 | 10月30日 | 11 | アラジンのランプは大男なのだ | 小田健也 | 佐々木正広 |
12 | パパのむすこはダレなのだ | 七条門 | 岡崎稔 | ||
7 | 11月6日 | 13 | 都の西北ワセダのとなり | 吉田喜昭 | |
14 | モシモシお月さんコンバンハ | 松元力 小田健也 | 風間幸雄 | ||
8 | 11月13日 | 15 | パパの警官ゴクローサン | 七条門 | 羽根章悦 |
16 | アッホヤッホー山へいこう | 吉田秀子 | 佐々木正広 | ||
9 | 11月20日 | 17 | カネのなる木はいかがかね | 小森豪人 小森幸信 | 新田義方 |
18 | ごちそうはレバニライタメなのだ | 椋誠一 | 北川一夫 | ||
10 | 11月27日 | 19 | バカは日本製がいいのだ | 大西洋三 | 風間幸雄 |
20 | 俳句で電報うったのだ | 吉田喜昭 | 出崎哲 | ||
11 | 12月4日 | 21 | ヤットコはこわいのだ | 七条門 | 佐々木正広 |
22 | きょうはだいじな日なのだ | 雪室俊一 | 高円寺太郎 | ||
12 | 12月11日 | 23 | 物置きみたいな人なのだ | 椋誠一 | 岡崎稔 |
24 | いぬがパパでねこがバカボンなのだ | 吉田喜昭 | 出崎哲 | ||
13 | 12月18日 | 25 | クリスマスはクルシミマスなのだ | 小田健也 | 風間幸雄 |
26 | おかしなふしぎなチャペルなのだ | 椋誠一 | 壷中夭 | ||
14 | 12月25日 | 27 | ソウジキはベンリなのだ | 藤川桂介 | 平田敏夫 |
28 | もちつきはドロボーがうまいのだ | 大西洋三 | 山崎修二 | ||
15 | 1972年 1月1日 | 29 | お年玉はイタイ! のだ | 藤川桂介 | 壷中夭 |
30 | たこあげはタコにかぎるのだ | 吉田喜昭 | 佐々木正広 | ||
16 | 1月8日 | 31 | 服をきていると死刑なのだ | 小田健也 | 斉藤博 |
32 | スキーがなくてもヤッホーなのだ | 椋誠一 | 吉川惣司 | ||
17 | 1月15日 | 33 | 夜まわりはこわいのだ | 雪室俊一 | 壷中夭 |
34 | 殿さまはクルシイのだ | 七条門 | 南阿佐 | ||
18 | 1月22日 | 35 | バカボンとパパの旅ガラスなのだ | 藤川桂介 | 遠藤政治 |
36 | ガッコウの先生がせめてくる | 吉田喜昭 | 石黒昇 | ||
19 | 1月29日 | 37 | パパは会社でコニャニャチハ | 藤川桂介 | 山崎修二 |
38 | クツミガキはこどもがいいのだ | 七条門 | 南阿佐 | ||
20 | 2月5日 | 39 | 運動会はパパにまかせろ | 石黒昇 | |
40 | バカボンの学芸会なのだ | 吉田喜昭 | 遠藤政治 | ||
21 | 2月12日 | 41 | けんかに勝つのはむづかしいのだ | 藤川桂介 | 高橋春男 |
42 | パパの10万円は夢なのだ | 吉田喜昭 | 斉藤博 | ||
22 | 2月19日 | 43 | 怪獣の木がテレビに出たのだ | 七条門 | 阿佐みなみ |
44 | ガードマンはお化けなのだ | 藤川桂介 | 山崎修二 | ||
23 | 2月26日 | 45 | それでもパパはヒイキするのだ | 吉田喜昭 | 佐々木正広 |
46 | バカボンのひなまつりなのだ | 雪室俊一 | 岡崎稔 | ||
24 | 3月4日 | 47 | バカボンのクラス委員せんきょなのだ | 吉田喜昭 | 阿佐みなみ |
48 | ナポレオンはぐっすり眠るのだ | 雪室俊一 | 高橋春男 | ||
25 | 3月11日 | 49 | パパはモーレツ記者なのだ | 大西洋三 | 石黒昇 |
50 | バカボンの旅行はハワイなのだ | 小田健也 | 佐々木正広 | ||
26 | 3月18日 | 51 | バカボンとハジメは兄弟なのだ | 雪室俊一 | ひこねのりお |
52 | パパは男のなかの男なのだ | 七条門 | 阿佐みなみ | ||
27 | 3月25日 | 53 | バカボンが初恋をしたのだ | 大西洋三 | 佐々木正広 |
54 | チョキンチョキンともうけるのだ | 雪室俊一 | 岡崎稔 | ||
28 | 4月1日 | 55 | 父親参観日はつらいのだ | 斉藤博 | |
56 | 押花をつくると先生が困るのだ | 辻真先 | 高橋春男 | ||
29 | 4月8日 | 57 | パパがテレビで歌うのだ | 大西洋三 | 佐々木正広 |
58 | 別れはつらいものなのだ | 吉田喜昭 | 石黒昇 | ||
30 | 4月15日 | 59 | 親切にするとパトカーに乗れるのだ | 藤川桂介 | 山崎修二 |
60 | バカボンが誘拐されたのだ | 雪室俊一 | 斉藤博 | ||
31 | 4月22日 | 61 | おまわりさんは清く正しくつらいのだ | 壷中夭 | |
62 | バカボンの親切にしまショウなのだ | 辻真先 | 佐々木正広 | ||
32 | 4月29日 | 63 | バカボンのひとりたびなのだ | 吉田喜昭 | 斉藤博 |
64 | 太らないと犯人になれないのだ | 藤川桂介 | 高円寺太郎 | ||
33 | 5月6日 | 65 | ジャーン! バカボンのくびがないのだ | 雪室俊一 | 高橋春男 |
66 | パパの巣箱は大きいのだ | 小田健也 | 山崎修二 | ||
34 | 5月13日 | 67 | バカボンの結婚式なのだ | 吉田喜昭 | |
68 | パパはこうして植木屋になったのだ | 小田健也 | 壷中夭 | ||
35 | 5月20日 | 69 | 魚をつると密輸犯人にされるのだ | 吉田喜昭 | 斉藤博 |
70 | パパとママがケンカをしたのだ | 雪室俊一 | 壷中夭 | ||
36 | 5月27日 | 71 | パパは真面目が欠点なのだ | ||
72 | パパは運転の名人なのだ | 小田健也 | 山崎修二 | ||
37 | 6月3日 | 73 | 時の記念日はねむいのだ | ||
74 | パパはゴルフでカッコいいのだ | 吉田喜昭 | 高円寺太郎 | ||
38 | 6月10日 | 75 | パパがヘンシーンと変身したのだ | 辻真先 | 斉藤博 |
76 | パパのデベソは100円玉なのだ | 吉田喜昭 | |||
39 | 6月17日 | 77 | パパが二人になったのだ | 山崎修二 | |
78 | パパはサーカスのスターなのだ | 小田健也 | 高円寺太郎 | ||
40 | 6月24日 | 79 | バカボン一家がサヨウナラ[注釈 9] | 吉田喜昭 | 山崎修二 |
『東宝チャンピオンまつり』内のプログラムとして上映されている。
以前はバップから、VHSとLDが発売されていた。 廉価版DVD-BOXはハピネット・ピクチャーズより発売。
HDリマスター版はキングレコードより発売。
全巻とも本放送中に赤塚不二夫が書き下ろしたイラストをパッケージ用に転用している。
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