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増山江威子

日本の女優、声優 (1936-2024) ウィキペディアから

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増山 江威子(ますやま えいこ、1936年〈昭和11年〉4月22日[11][12] - 2024年〈令和6年〉5月20日)は、日本女優声優ナレーター[6]東京府東京市(現在の東京都品川区荏原出身[3]青二プロダクション最終所属[7]

概要 ますやま えいこ増山 江威子, プロフィール ...
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来歴

4人姉妹の末っ子として生まれる。小さい頃はゆっくりした話し方で、教師に「あなた、ちゃんとお話しできないの?」と言われショックを受けるなど、次第にその話し方に劣等感を持つようになる[13]

幼少期はバレリーナを目指しレッスンも行っていたが、肺病のため12歳の時に断念した。「何か夢を持ちたい」と思っていたころに、義理の兄[注 1]の紹介もあり、ゆっくりした話し方を克服しようと新児童劇団(現在の劇団新児童)に所属し、指導担当だった麻生美代子に師事する。そこで話し方の劣等感を克服し、自然と演技に興味を持つようになる[13][14]

立正学園高等学校出身[15]

15歳の頃、児童劇団に所属する年齢でもなくなったため、近い世代の毒蝮三太夫稲吉靖司影万里江北浜晴子豊原ミツ子らと「劇団山王」を立ち上げる[10][14][16][17]。数年後、浅利慶太に「女優が少ないから」と頼まれ、影万里江とともに劇団四季に移籍した[10][14][17][18]。テレビ出演、海外ドラマの吹き替えの仕事もするようになったという[5][14]。四季にラジオドラマやアテレコの仕事が入って来るうちに声の仕事に興味を持ち始める[19][20]。プライベートで時間の制約ができてしまい、時間が不規則なテレビ、稽古が必要な舞台の仕事が難しくなっていったという[5]

その後、「声の仕事だけに集中しよう」と決意し、家庭や子育てを仕事と両立させるため、舞台などよりは比較的短時間でできる声優業に専念するようになり、高松里友子事務所を経て[21]1960年代から青二プロダクションに所属した[5][17][19][20]

2017年、『東京アニメアワード2017』において「アニメ功労部門」を受賞した[22]

2021年、第15回声優アワードで「功労賞」を受賞した[23]

2024年5月20日肺炎のため死去。かねてから病気療養中だったという。88歳没。葬儀は本人の意向により家族葬として行い、訃報は、6月3日に青二プロダクションより発表された[24][25]。最後の出演は、2023年10月23日に放送された『それいけ!アンパンマン』のあきかぜさん役と報道されたが[26]、翌2024年2月2日放送分[27]にやみの女王役で出演しており[28]、こちらが生前最後の出演となった[29]

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人物

要約
視点

幼少期から宝塚歌劇団の大ファンであった。宝塚に入団しようとした時期もあり、バレエを習っていたのも受験に備えるためだった[14]。肺病により受験を断念したが[14]、結婚後も宝塚への思いは残り、夫の仕事が落ち着いた2005年から約9年間、宝塚大劇場付近に住んでいた。タカラジェンヌや関係者とも組に関係なく幅広い交流があり、一人暮らしをするタカラジェンヌに自宅でカレーなどの実家を連想させる料理を振る舞うこともあったことから、タカラジェンヌの間では「不二子ママ」の愛称で慕われていたという[30][31]

児童劇団時代に麻生の引率で劇団東童の公演を見学し、そこで王子様役を演じた俳優に憧れ「あの人と同じ舞台に立ちたい」と思った。その俳優こそが後に『ルパン三世』で40年近く共演し続けた納谷悟朗だった[32]

デビュー当初は本名で活動したが、演出家の星野和彦に「こんな名前じゃねぇ、やっていけないよ」と高島易断に連れていかれ、現在の芸名となった[33]

同年代の仲間からは「トンチ」と呼ばれた。本人によると、二人の実姉が“イッチー”“キョーチ”と呼ばれていたため本名が「トモコ」の増山も“トンチ”と呼ばれ、それが仕事仲間にも広がったという[34]

井上喜久子はデビュー前に見た『アタックNo.1』の再放送がきっかけで増山のファンとなり、プロになってから増山と同じ青二プロダクションに所属する久川綾に自身を紹介してもらったといい、3人はそれぞれの誕生日にお祝いで食事に行ったりするなど交友があった[35]。井上によると増山は「会えば会うほど素晴らしく、いつも輝いている素敵な人物」「会うたびにたくさんの愛をくれる、永遠に憧れの人」とのこと[35]

夫は、TBSのプロデューサーで『料理天国』などを生み出した政田一喜(2022年没)[8][36]。娘がいる[2][17][36]

特色・役柄

声種は「上品で情熱的なメゾソプラノ[37]」。

役柄としては、少女役から大人の女性役まで演じ[20]、色っぽいキャラクターを演じる一方で、優しい母親役も多かった[14]。2005年のインタビューでは、老け役より若い感じの役が多いため「いつまでも若手で行くか!」という感じであった[12]

自身の声について、歳を重ねるにつれ少しずつ(音程が)下がっているといい、若いキャラクターを演じるための音程を維持するトレーニングに苦労していることを2005年に明かしていた[12]

アニメソングの歌唱も数多く担当していた。これは『ひょっこりひょうたん島』で出会った宇野誠一郎が増山をよく起用するようになったためで、当初は「私でいいの?」と思ったが、後に「とても嬉しいことだった」と回想した。

海外作品では、ハンナ・バーベラ作品にも複数出演している[20]。吹き替えではリー・レミックを数多く担当している[17][38]。リー・レミックとは佇まいや骨格が似ていると言われ、一番アテやすいという[17]。『ハイウェイ』もよかったが、特に『酒とバラの日々』には感動しており、とてもやりがいがあったという[17]

仕事に対する姿勢

アフレコの際は「絵が主役」であり、「絵があるからこそ声もピッタリ合う」との考えを持っている。また、絵がないと演じてきた色々なキャラクターの声が混ざってしまうので、絵もなく突然「○○の声をやって下さい」と言われるのは苦手だと発言している。

役作りに関しては、まず自分で作ってから演出側に披露し、それがを判断してもらったりアドバイスを受ける形が理想だとしており、先に演出側から細かく注文を受けるのは苦手な趣の発言をしている[39]

アニメのアフレコの際に絵がほとんど入らないことに苦言を呈している。ある作品ではこのことが原因で台詞を入れ忘れたように見えるシーン[注 2]が完成してしまった他、絵と演技が一致しない場面が放送され「何で増山さんは何年もやってるのにこれ(演技)が出来ないのか」と投書が来てしまったことから、その後ある現場では「恥はかきたくない」「何とか収録時には絵が欲しい」と頼んだこともあるという[40]

以前はテレビ番組のゲスト出演など顔出しの出演も多かったが、近年は「みんなの知ってる私の声はハニーや不二子などの若い声。そんな若いキャラクターのイメージを壊したくない」という理由で顔出しをあまり好んでおらず、『大胆MAP』では顔出しを拒否するような発言もしている[20]。ただし、同番組ではアフレコをしている様子を遠目で録るという条件で承諾し出演した。2019年9月21日放送のNHK BSプレミアム『セカンドの美学』でも同様に顔を映さないことを条件にインタビュー出演した[41]

キューティーハニー

1973年放送の『キューティーハニー』で、初代ハニーの声を担当した。リメイクである『キューティーハニーF』では友情出演として、神崎美津子の声を担当した。『Re:キューティーハニー』では別世界からやってきたという設定で初代ハニーを再演した。2005年に再びハニーを演じた際は、「こんないい作品に出会えたということはそれだけで嬉しいものですね」とコメントしている[42]

増山によると、それまでは可愛らしい役柄を演じることが多かったため、ハニーはセクシーな役を担当するようになる転機だったという[43]

峰不二子

1977年の『ルパン三世 (TV第2シリーズ)』より、峰不二子役を沢城みゆきに交代する2011年まで演じた。

元々、2本製作された『ルパン三世 パイロットフィルム』では増山が不二子を演じており『ルパン三世 (TV第1シリーズ)』にも参加予定だったが、実際に放送されると録音監督の田代敦巳から謝罪があり、不二子役が二階堂有希子に代わっていた[44]。『TV第1シリーズ』の演出を担当したおおすみ正秋はこの交代についてに後に「ルパンが不二子に挑みかかる場面があるんですよ。ところがその場面になるとシーンとしちゃって」「『どうしたの?』って聞くと『どうしてもできません』って」と、増山がお色気シーンをできなかったため仕方なく変更したと発言している[45]。なお、『TV第1シリーズ』第14話「エメラルドの秘密」ではキャサリン・マーチン役としてゲスト出演し、二階堂演じる不二子と会話を交わすシーンが存在する。

その後も不二子への思いが強かった増山は、『TV第2シリーズ』放送前のオーディションに参加し[注 3]、不二子役を担当することになった[46]

『パイロットフィルム』が一般に知られていなかった当初は、「何故不二子が二階堂さんじゃないんだ」という抗議の投書が殺到した。日本テレビのスタッフからこれを聞いた増山は、「どうあがいても二階堂さんにはなれないから、私の持ち味でやるしかない」と発奮して演じ続けたという[19]

増山は「不二子はすべての理想を兼ね備えた女性であり、いつも憧れている」と語っており[47]、不二子のファンは女性が圧倒的に多いと語っている[46]。ルパンについては、裏切っても不二子のことを想う所が「男性の可愛さみたいで、好きですネ」と語っている[48]

不二子を演じる際は「健康的な色気」を意識していたといい、「絵がセクシーなだけで、言動はそこまで色っぽさが無い」「あの人(不二子)自身が色っぽい訳ではなく、仕掛けや武器として色気を使っている」と考えていた[43][49]。また、作品によってキャラクターデザインが変わりそれらの要素も異なる部分は、「泥棒のように手を変え、品を変え。相手によって芝居を変える」役者としての自身と重なり面白かったという[49]

自身が演じた中で思い出深いルパン作品には『ルパン三世 カリオストロの城』を挙げている。増山自身は、『カリオストロの城』での不二子の勇ましさに「これが不二子の本当の姿じゃないか、ベースはこれなのかもしれない」と感じたことを明かしているほか、クラリスに「捨てられたの?」と聞かれた不二子が「ううん、捨てたの」と答える場面が好きだと話している[49]

2019年に原作者のモンキー・パンチが死去した際は、「役者は作品との出会いが全てです。私の財産となった『峰不二子』に出会えたこと。モンキー・パンチ先生に感謝しています」とコメントしている[50]

2022年に次元大介役の小林清志が死去して以降は、『カリオストロの城』にも起用され評価の高い『TV第2シリーズ』当時のメインキャストで唯一の存命者であった[51]

バカボンのママ

天才バカボン』はこれまでに5回テレビアニメ化されているが、主要キャストが変わる中、バカボンのママだけは4作目『レレレの天才バカボン』まで一貫して増山が演じていた。これは原作者である赤塚不二夫の希望であり、4回目のTVアニメ化に際して、赤塚からの唯一の希望が「ママの声だけは(増山から)変えないで欲しい」だったという。それまでに増山以外の声優が演じたのは1作目の第70話「パパとママがけんかをしたのだ」の1回だけ北浜晴子が代役で演じたのみである[20][注 4]

増山は私生活でも母親だったことから、ママ役を抵抗もなく自然と演じることができたという[52]。また、初めてママの絵を見た際「私、絶対ピッタリだわ」と思ったという

ある番組の収録で青梅赤塚不二夫会館(2003年10月-2020年3月運営)へ行った際、壁に様々な赤塚のコメントが貼ってある中で実際に「ママは絶対増山さんじゃなきゃダメだ」と書かれているのを見つけた時は、「自分が勝手に言ってる訳ではなく、本当に原作者である先生に認められていた」という気持ちで、とてもうれしかったという[53]

その他作品

『ひょっこりひょうたん島』ではテケ役を演じた。当時は少年役にキャスティングされることなど想像もつかず「プリンちゃんかしら、チャッピーかしら」と女の子役だと思い込んでいたところ、NHKのプロデューサーに「いえ。男の子のテケですよ」と告げられ「エエーッ!私、男の子の役なんて、やったことないんです……」と思わず言ってしまったという[14]。しかし、演じていたところ意外に楽しく、後に「やらせていただいて良かった」と述べている[14]

演じていて楽しかったキャラクターに『オバケのQ太郎』のU子役を挙げている。それまで自身が演じたことのないようなキャラクターだったため、第一声を発した際は「こういう風にやるのか、と録音スタッフがひっくり返った」と冗談交じりで述べており「それまでのキャリアと異なる新しい役作りの楽しさ、声の仕事の醍醐味を再認識した作品」としている[54]

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後任

増山の死後、持ち役を引き継いだ人物は以下の通り。

さらに見る 後任, 役名 ...

出演

要約
視点

太字はメインキャラクター。

テレビアニメ

1963年
1965年
1966年
1967年
1968年
1969年
1970年
  • ムーミン(1970年 - 1972年、テミィ、水の精) - 2シリーズ
1971年
1972年
1973年
1974年
1975年
1976年
1977年
1978年
1979年
1980年
1981年
1982年
1983年
1984年
1985年
1986年
1987年
1988年
1989年
1990年
1991年
1992年
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年

劇場アニメ

1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代

OVA

Webアニメ

ゲーム

1995年
1997年
1998年
1999年
2002年
2003年
  • ルパン三世 海に消えた秘宝(峰不二子
2004年
2007年
2010年

ドラマCD

吹き替え

担当女優

アン・フランシス
リー・レミック

映画

ドラマ

アニメ

人形劇

ラジオ

テレビドラマ

映画

  • 激怒する牡牛(1957年) - 千代 役 ※増山智子 名義

テレビ番組

人形劇

CM

その他コンテンツ

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音楽

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関連書籍

  • 増山江威子『僕らを育てた声 増山江威子編』アンド・ナウの会、2019年。

脚注

外部リンク

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