藤村 有弘(ふじむら ありひろ、1934年〈昭和9年〉3月6日 - 1982年〈昭和57年〉3月16日)は、日本のコメディアン・俳優・声優。東京都千代田区神田出身。
概要 ふじむら ありひろ 藤村 有弘, 生年月日 ...
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幼少期より芸能活動を行い、俳優・千葉信男の付き人を務めていたこともあった[1]。喜劇役者として映画などで個性的な役柄を演じたほか、『ひょっこりひょうたん島』(NHK)のドン・ガバチョの声(初代)や「インチキ外国語」で一世を風靡した。日本のお笑い史にも軌跡を残し、“バンサ”の愛称で知られる。
ドン・ガバチョのつぶやき声である「ブフブハ」、笑い声の「ハタハッハ」は「誤記」された台本をそのまま読んだことから、またトラヒゲを「トラどん」とアドリブで言ったところスタッフに受けたため採用されたものである。
トニー谷のトニングリッシュに続く「インチキ外国語芸」の使い手であり、特に協和語を多用したインチキ中国語はフジテレビ『新春かくし芸大会』の中国語劇のナレーションとして定番であった。また、時にアクション映画で中国人ギャング役を演じることもあった。
趣味はアマチュア無線で、当時のコールサインはJH1BAN(今は別人に割り当て済み)。著名人であることから郵政省電波監理局が愛称にちなみ便宜を図ったようだが、真相は明らかにされていない。
1982年(昭和57年)3月10日に風邪ぎみになり、同年3月13日、レギュラーパーソナリティーとして出演していた静岡放送(SBSラジオ)の生放送ラジオ番組『藤村有弘の東海道それゆけ4時間』の放送終了後に緊急入院した。その後の診断で原因がかねてからの持病だった糖尿病の悪化によるものと判明したため、主治医の勧めで3月15日夜に戸塚共立第2病院に転院したが、緊急入院からわずか3日後の3月16日午後5時35分に糖尿病性昏睡のため死去。48歳没[2]。その日に放送された『なるほど!ザ・ワールド』(フジテレビ系)が最後の出演だった。普段の生活ではゲイであることを公言しており、葬儀のスピーチで友人の大橋巨泉は「バンサは彼がゲイである事を隠さなかった。しかし日本にはまだ同性愛者に対する強い偏見がある。だからボクは今夜、藤村有弘を立派な同性愛者として送ってやりたい」と述べた[3]。ただし遺族に関しては知られておらず、一般社団法人映像コンテンツ権利処理機構においては不明権利者とされている[4]。
テレビドラマ
- OK横丁に集まれ(1957年10月-1960年7月、NTV)
- 吾輩は猫である(1958年、NTV)
- セールスマン水滸伝(1959年 - 1961年、フジテレビ)※第26回まで主演を務め第27回より渥美清に交代した
- 若い季節(1961年 - 1964年、NHK)
- お気に召すまま(1962年、NETテレビ)
- 第8話「生活の知恵」
- 第15回「友遠方より来たる」
- コメディ フランキーズ(1963年、TBS)
- エプロンおばさん第一期(1963年 - 1965年、NTV) - 敷金なし(エプロンおばさん)
- ザ・ガードマン(大映テレビ室 / TBS)
- 第16話「ガードマンを罠にかけろ」(1965年)
- 第236話「喜劇・いらっしゃいませ集団万引様」(1969年)
- 第254話「マンションは女の戦場」(1970年)
- 第312話「女と男のズッコケ自動車レース」(1971年)
- 第345話「まあ恥ずかしい! スターの告白」(1971年)
- 第348話「今晩ワ! 私は死のセールスマン」(1971年)
- 水戸黄門 第36話「どら猫と小判」(1965年、東伸テレビ映画 / TBS)※ブラザー劇場版
- 泣いてたまるか(1966年、国際放映 / TBS)
- あいつと私(1967年、NTV)
- エプロンおばさん 第二期(1967年 - 1968年、NTV) - 敷金なし(エプロンおばさん)
- 意地悪ばあさん 第3話「ネコの家出の巻」(1967年、C.A.L / YTV)
- 魔女はホットなお年頃(1970年、松竹 / MBS) - 鈴木院長
- 時間ですよ 第2シリーズ(1971年、TBS)
- なんたって18歳!(1971年 - 1972年、大映テレビ / TBS)
- シークレット部隊(1972年、大映テレビ / TBS)
- 第4話「連休はハレンチ一家で大冒険」
- 第26話「住宅ローン殺人事件」
- プレイガール(12ch / 東映)
- 第190話「男泣かせの濡れた肌」(1972年) - 坪川
- 第212話「真夜中の愛の狩人」(1973年) - 伴善平
- 気まぐれ指数 (1973年、NHK) - 牧野邦高
- 非情のライセンス 第1シリーズ 第38話「兇悪の虚栄」(1973年、東映 / NET) - 熊井平吾
- ニセモノご両親(1974年、大映テレビ / TBS)
- 連続テレビ小説 鳩子の海(1974年、NHK) - 児玉
- バーディ大作戦(東映 / TBS)
- 第3話「ギャング対Gメン 盗聴作戦」(1974年)
- 第21話「刑事ボロンボ 花嫁交換殺人事件」(1974年)
- 第29話「浮気の計算書」 (1974年) - 双星運送社長
- 第39話「連続殺人! 女の事件簿」(1975年) - 市村宏
- Gメン'75 第47話「終バスの女子高校生殺人事件」(1976年、東映 / TBS)−バス乗客のサラリーマンA
- ベルサイユのトラック姐ちゃん 第5話「ベルトラ姐ちゃん大奮闘」(1976年、東映 / NET)
- 水戸黄門(TBS / C.A.L)
- 第7部 第8話「ちゃんの土俵入り -青森-」(1976年7月12日) - 呼び屋長十郎
- 第9部 第4話「芝居になった悪い奴 -福島-」(1978年8月28日) - 伝兵衛
- 第11部 第19話「馬に蹴られた悪企み -三国峠-」(1980年12月22日) - 伊兵衛
- 第12部
- 第11話「献上塩昆布にかけた意地 -大阪-」(1981年11月9日) - 嘉兵衛
- 第23話「弥七を騙った悪い奴 -善光寺-」(1982年2月1日) - おさらば唐次
- 事件㊙︎お料理法(1977年、関西テレビ、宣弘社) - 原庄兵衛(城北署の刑事課長)
- 新・座頭市 第26話「鴉カァーと泣いて市が来た」(1977年、勝プロ / CX)
- 江戸を斬る(TBS / C.A.L)
- 江戸を斬るII 第6話「濡れ鼠河内山宗春」(1975年) - 河内山宗春
- 江戸を斬るIII 第20話「悪徳検校」(1977年)
- 江戸を斬るIV(1979年)
- 第9話「白洲で泣いた鬼婆」- 徳兵衛
- 第17話「瑠璃玉の復讐」(1979年) - 大田主計
- #江戸を斬るV 第12話「鍾馗人形殺人事件」(1980年)
- 気まぐれ天使(1977年、ユニオン映画 / NTV) - 人事部長
- 第38話「友江とならばドコドコ迄も」
- 第41話「社を捨てて、街に出よう」
- 達磨大助事件帳 第9話「夜明けの父娘」(1977年、前進座 / 国際放映 / ANB) - 与平
- 気まぐれ本格派 第18話「砂漠の墓に踊らされ」(1978年、ユニオン映画 / NTV)
- 透明ドリちゃん(1978年、東映 / ANB) - ガンバス大王
- 新幹線公安官 第2シリーズ 第3話「ハンカチを振る少女」(1978年、東映 / ANB)
- 江戸川乱歩の黄金仮面 妖精の美女(1978年、ANB) - 三好執事
- 白昼の死角(1979年、東映 / MBS) - 稲垣(新陽汽船専務)
- 探偵物語 第12話「誘拐」(1979年、東映ビデオ / NTV) - 高宮修
- 西遊記II 第16話「イカレた亭主の弟子入り志願」(1980年、国際放映 / NTV) - 李国方 / 妖怪が化けた李国方(二役)
- そば屋梅吉捕物帳 第20話「闇に笑うけしの花」(1980年、国際放映 / 12ch) - 望月平九郎
- 噂の刑事トミーとマツ(大映テレビ / TBS)
- 第1シリーズ 第8話「きまった!トミーの投げ銭」(1979年) - 原田良平
- 第1シリーズ 第42話「ゆきすぎ課長辞職! さて後任は?」(1980年) - 佐久間
- 第2シリーズ 第1話「絶望! やっぱり駄目だこのコンビ」(1982年)
- 警視-K 第10話「いのち賭けのゲーム」(1980年、勝プロ / NTV) - 影山代議士
- 秘密のデカちゃん 第1話「秘密ヒミツ! 今夜の出来ごと」(1981年、大映テレビ / TBS) - 大山
- 大岡越前 第6部 第11話「江戸っ子駕籠」(1982年5月17日、TBS / C.A.L) - 巳之助
- 火曜サスペンス劇場 / 消えた蜜月(1982年、NTV)
- 土曜ワイド劇場(ANB)
- 殺しの連鎖反応(1983年)
- 松本清張の寒流(1983年)
- 整形復顔の女(1983年)
出典
色川武大・著『なつかしい芸人たち』(新潮社 1989年9月)171〜177頁「とんぼがんばれ ‐逗子とんぼのこと‐」
コメディアンの藤村有弘さん死亡。読売新聞1982年3月17日朝刊23面より