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麻生区

神奈川県川崎市の行政区 ウィキペディアから

麻生区map
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麻生区(あさおく[1])は、神奈川県川崎市を構成する7行政区のうちの一つである。川崎市北西部の多摩丘陵の一角に位置し[1]、川崎市の多摩区宮前区、神奈川県横浜市青葉区東京都稲城市多摩市町田市と隣接する[2]

概要 あさおく 麻生区, 国 ...
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はるひ野の住宅地

1982年昭和57年)7月1日多摩区から分区して設置された[1]

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概要

要約
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1974年頃の新百合ヶ丘駅付近国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成

「麻生」の地名の由来は、8世紀頃から大和朝廷へ納めていた麻布の原料であるの産地であったためと伝えられる[1]。また江戸時代天保期頃)からは木炭「黒川炭」の生産も行われた[1]。区南部には、鎌倉時代に発見された日本最古の甘柿の品種と言われる禅寺丸柿が発見された王禅寺地区があり「柿生」の地名の由来[1]となった。

緑地が多く、公園の数は321カ所と、2位の宮前区を100カ所以上、上回る[3]。区北部の黒川地区には、昔ながらの里山が残っている。

麻生区区域はもともと津久井街道(現在の都道・県道3号世田谷町田線)が五反田川麻生川に沿って伸び、また1927年(昭和2年)の小田急小田原線開業によって交通の不便が改善され、その沿線には集落が形成されていた。さらに1960年代に入ると現在の麻生区域の丘陵地帯では日本住宅公団(現在の都市再生機構)による団地建設を皮切りに急速な住宅地造成が進められ整備地域内の人口は急増したが、それ以外の大半の土地は山林に覆われ、人口も少なかった[注釈 1]

1974年(昭和49年)に多摩ニュータウンへのアクセス路線である小田急多摩線が開業したことで、その後は沿線付近が新興住宅地として開発された。区内を小田急の2路線が通る麻生区は東京都庁のある新宿への便が良く、東京都区部への通勤通学が便利なため、東京のベッドタウンとして発展が続いている。一方、南北に長い川崎市において、行政・商業の中心となっている川崎区(市の南東部)とは最も離れているため、市役所等への移動は非常に時間がかかり、川崎市中心部への流動は東京都区部に比べて弱い。そのため南北交通の強化を目的に、川崎市では1960年代から川崎縦貫高速鉄道(市営地下鉄)の建設構想を掲げていたが、着工には至らず2018年(平成30年)に計画廃止[5]となった。

さらに区のほぼ中央の多摩丘陵を開拓し、小田急新百合ヶ丘駅付近を川崎市の北部副都心と位置づけて、区役所、税務署などの公共施設、百貨店、映画館など様々な商業施設を充実させる都市開発が行われ[注釈 2]1998年平成10年)度には建設省(現・国土交通省)の都市景観100選を受賞した。新百合ヶ丘駅周辺は新規に開発したニュータウンであるため、駅周辺では風俗営業を禁止しており、遊技場(パチンコ店)1店のみに留まっている。

東京都心部へのアクセス向上により、小田急不動産などのデベロッパーが積極的に開発・分譲を行った新興住宅地が小田急沿線に多く存在する。そのため、川崎市の中で人口増が最も多い区となった[6]

近年では川崎市の「芸術のまち構想」の一環である「音楽のまち・かわさき」として、昭和音楽大学の誘致、川崎市アートセンターの建設、KAWASAKIしんゆり映画祭の開催など、音楽や芸術などの文化振興に力を入れている。

区名の由来

区名は一般公募され、候補には麻生区のほか「百合ヶ丘区」「山手光区」「柿生区」などかあった。さらに審議の結果、瑞祥地名の百合ヶ丘区・山手光区は歴史性が乏しいとされ、柿生区・麻生区に絞られた。都筑郡柿生村に由来する「柿生区」が最も多い結果であったが、歴史的由来に価値があり新区の名称にふさわしいという理由により「麻生区」に決定した[7][8]

区名の読みは「あそう」ではなく「あさお」である。なお、かつては区役所窓口の申請書記入例の氏名欄に「麻生太郎」と記載されていたが、2008年自由民主党総裁選挙の際に、麻生太郎候補と同名であると指摘されて差し替えられた[9]

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地理

川崎市の西北端に位置し多摩丘陵の一部を占める。南北に長い市域を持つ川崎市の中で、行政の中心である市の南東部の川崎区とは最も離れている。区域全体が丘陵地帯にあり標高は高めで、市内で最も標高が高い地点も麻生区内にある。区の中央から西に流れる麻生川沿いは標高がやや低くなっている。

そのため、麻生区はその周囲を流れる一級河川鶴見川水系および多摩川水系の分水嶺になっており、鶴見川水系麻生川、片平川、真福寺川、早野川、黒須田川、および多摩川水系五反田川三沢川など多くの川の水源地になっている。

西部に飛地となっている岡上地区があるが、これは明治時代の柿生村岡上村をめぐる歴史的背景によるものであり、在住の中学生は公立学校に通う場合は飛地から川崎市立柿生中学校へ通学している。

歴史

町名

要約
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麻生区内では、一部の区域で住居表示に関する法律に基づく住居表示が実施されている。川崎市の町名の丁目にはアラビア数字が広く採用されており、『官報』告示等において漢数字表記されている場合であっても、麻生区ではアラビア数字で統一している。

麻生区役所管内(126町丁)
さらに見る 町名, 町名の読み ...
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人口

平成27年(2015年)国勢調査によれば、男性85,480人、女性90,077人と、女性の人口が男性より多い。

産業

商業中心であるが、一部地域には農家も多く残っており、特に黒川岡上早野地区は市街化調整区域および農業振興地域に指定されている。

栗木・黒川地区にはかわさきマイコンシティが造成され、コンピュータソフトウェア関連企業の研究所が多く立地する。

商業

新百合ヶ丘駅を中心とした大規模商業地区と、最も古くから栄えていた柿生駅付近に商店街スーパーマーケットなどの中規模施設、その他の各駅付近に小規模商業地区が存在する。また、小田急線小田原線と併走する県道3号世田谷町田線沿いに商業施設が集まる。

一方、麻生区内には国道高速道路はなく、同区の幹線道路である県道3号世田谷町田線も道路渋滞が激しいため、大規模なロードサイド店舗の成立は見られず、新百合ヶ丘駅周辺を除くと商業施設は住民の日常生活を支える規模にとどまっている。

教育

大学・短期大学

このほか、和光大学玉川大学(東京都町田市)の敷地の一部は区内にまたがっている。

高校

中学校

小学校

社会教育施設

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医療・健康

区内にある総合病院は、麻生総合病院、柿生記念病院など柿生駅周辺に集まっているが、新百合ヶ丘駅を最寄り駅の一つとする新百合ヶ丘総合病院や、隣接する宮前区に存在する聖マリアンナ医科大学病院など、他にもアクセス良好な総合病院が存在する。

区内には個人開業医が多数あるが、より詳細な検査・緊急時には聖マリアンナ医科大学病院および同大学が指定管理者となっている川崎市立多摩病院を紹介されることが多い。

区内および隣接する主な総合病院

  • 新百合ヶ丘総合病院(377床) - 新百合ヶ丘駅徒歩15分
  • 柿生記念病院(270床) - 柿生駅徒歩5分
  • 麻生総合病院(199床)、麻生リハビリ総合病院(183床) - 柿生駅徒歩10分
  • 川崎田園都市病院(305床) - 柿生駅バス5分、五月台駅徒歩15分
  • たま日吉台病院(199床) - 柿生駅バス12分
  • 聖マリアンナ医科大学病院(1208床) - 宮前区(最寄り駅:百合ヶ丘駅)
  • 川崎市立多摩病院(376床) - 多摩区(最寄り駅:登戸駅
  • 日本医科大学多摩永山病院(401床) - 東京都多摩市(最寄り駅:小田急永山駅

平均寿命

厚生労働省が発表した『2020(令和2)年 市区町村別生命表』によると、平均寿命は男性が84.0歳、女性が89.2歳で、ともに日本一だった[3]。公園や坂が多いうえに、後述するように鉄道・路線バスが発達しているため自家用車に頼らず歩いたり運動したりする人が多く、さらに健康診断や食生活に気を配る傾向が強いことなどが影響している可能性があると分析されている[3]

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交通

要約
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新百合ヶ丘駅
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若葉台駅

鉄道

前後を東京都に挟まれているため、東京都を通らないと県内の他の駅(京王稲田堤駅橋本駅)に行くことができない。
貨物線部分であるため、区内に駅は存在しない。
構想中の路線
2000年の運輸政策審議会答申では、横浜市営地下鉄の延伸線として、新百合ヶ丘駅-すすき野間を2015年度までに整備に着手すべき路線と位置づけられた(すすき野地区-あざみ野駅間は2015年度までに整備すべき路線として答申)。2019年1月1日、横浜市があざみ野駅から新百合ヶ丘駅までの延伸方針を固めたことが報じられ[11]、同年1月23日には延伸に関して横浜市と川崎市の間で合意が結ばれ、両市長間で覚書が交わされた[12][13]。2030年頃の開業を目指すとしている[13]
計画中の路線
始発駅(品川駅)から、神奈川県の駅(橋本駅)へ向かう際、区内地下を通過する予定だが、当区には駅の設置予定はないものの、非常時の脱出用として東百合丘非常口と片平非常口[注釈 3]が設けられる予定[14]

路線バス

空港連絡バス

道路

小田急線小田原線と併走し、区のほぼ中央を東西に通る世田谷町田線は、都心と新百合ヶ丘駅付近、そして町田市街地を繋ぐ主要道路であるが、生活道路と都市間結節機能とが混在し、同道路は片側1車線であるため慢性的な交通渋滞が発生している。そのため、特に渋滞の多い新百合ヶ丘駅付近から柿生駅付近を片側2車線化する工事を進めている。

区西部の柿生・町田市街方面や、区北部の黒川・多摩市街方面(尻手黒川線)から、区南部の王禅寺・東名川崎IC方面に向かう際にも、小田急小田原線がある影響で、新百合ヶ丘駅付近を通る必要があったが、2010年10月23日に新百合ヶ丘駅と柿生駅の中間に辺りに跨線橋をかけ、王禅寺方面から世田谷町田線へつながる道路が開通したことで、新百合ヶ丘駅付近を迂回する必要がなくなった。

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事

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川崎市アートセンター
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2021年まで存在した川崎広域レーダ雨量情報システムレーダー基地局
弘法大師がこの地に立ち寄り、寺を建設しようとしたが谷の数が足りずに断念し、代わりに松の木を植えて立ち去ったという伝説が残されている。初代弘法の松1956年12月に焼失し、今に至っている。
川崎市の運営する施設で、ごみ焼却場の廃熱を利用した温水プールを中心に、トレーニングルーム、会議室等を備える。温水プールは全天候型。2014年度から3カ年の予定で各半年程度の閉館を伴う設備改修工事を実施、完成した[15]
  • 王禅寺ふるさと公園(旧名称:川崎市制60周年記念総合公園)
多摩丘陵の豊かな自然を生かし、水と緑をテーマとして、市制60周年を記念して計画された公園[16]

なお、東京よみうりカントリークラブの一部ホールが、区内にかかっている(クラブハウスは東京都稲城市に所在)。

祭り・イベント
  • 麻生木賊不動尊だるま市 - 関東の納めのだるま市。毎年1月28日に行われる。
  • KAWASAKIしんゆり映画祭 - 市民ボランティアを中心とした運営による映画祭。
  • アルテリッカしんゆり - 毎年ゴールデンウィークに実施される、音楽、映画、演劇を中心とした芸術祭。
  • kirara@アートしんゆり(キララット・アートしんゆり)- 毎年年末年始に新百合ヶ丘駅周辺で行われるイルミネーション
その他
  • 柿生発電所
  • 川崎広域レーダ雨量情報システム(通称「レインネットかわさき」。川崎市上下水道局の管轄)2021年8月撤去
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著名人

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脚注

関連項目

外部リンク

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