陸上自衛隊システム通信・サイバー学校

陸上自衛隊システム通信・サイバー学校（りくじょうじえいたいしすてむつうしん・さいばーがっこう、JGSDF System & Signal / Cyber School^[1]）は、陸上自衛隊久里浜駐屯地（神奈川県横須賀市）に所在する防衛大臣直轄の機関（学校）のひとつである。

陸上自衛隊通信学校本部庁舎

概要

学校長は陸将補（二）が充てられ、システム通信・サイバーに関して、システム通信科の職務遂行に必要な知識や技能を修得させるための教育訓練を担任する。併せてシステム通信科部隊の運用に関する調査・研究を行っている。

2019年（令和元年）度から陸・海・空3自衛隊共通の「サイバー教育」を実施しており、サイバー教育に関しては第2教育部の「システム防護教育」と「高度サイバー基礎集合教育」の2つがある^[2]。

久里浜駐屯地は警察予備隊時代から続く陸上自衛隊最古の歴史を持ち、1939年（昭和14年）に旧日本海軍の通信学校が置かれ、学校本館など現在も当時の建物を使用している。

沿革

• 1951年（昭和26年）
  • 5月14日：警察予備隊総隊学校第3部（通信）が久里浜駐屯地に発足。
  • 5月22日：総隊学校第3部（通信）に第1期生が入校。
• 1952年（昭和27年）10月15日：総隊学校第3部を改編し、保安隊通信学校として久里浜駐屯地に創設。

※編成（学校本部、人事・調査・訓練・管理の4課、教材室、教育部、研究部）

• 1953年（昭和28年）
  • 5月19日：通信学校学生隊を編成。
  • 9月1日：久里浜駐屯地業務隊が発足。
• 1954年（昭和29年）
  • 7月1日：保安隊通信学校が陸上自衛隊通信学校に改称。
  • 9月10日：総務部および総務部警備課を廃止。第306診療隊が学校長に隷属。

※編成（総務課、管理課、教育部、研究部、別科）

• 1955年（昭和30年）
  • 3月31日：教育部に通信生徒隊を編成。
  • 7月11日：陸上自衛隊衛生学校長から駐屯地司令職務を移管。
• 1956年（昭和31年）
  • 1月25日：通信教育隊が久里浜駐屯地に編成完結。
  • 7月1日：学校付隊を編成。
• 1957年（昭和32年）
  • 1月17日：通信教育隊を改編し、臨時教導隊を編成。
  • 4月1日：久里浜駐屯地業務隊が学校長に隷属。
• 1958年（昭和33年）
  • 4月8日：企画室を新設。
  • 6月25日：臨時教導隊を廃止し、通信教導隊が久里浜駐屯地において編成完結。
• 1959年（昭和34年）
  • 8月13日：組織改編
  1. 久里浜駐屯地業務隊、第306診療隊を廃止。学校付隊を解散。
  2. 総務部を設置、教育部の学生課を廃止し、総務部に学生科を設置。
  3. 体育科を体育教育課と改称。
  4. 臨時生徒教育隊が編成完結^{[注 1]}。

※編成（企画室・総務部・教育部・研究部・体育教育課・通信教導隊）

• 9月12日：臨時生徒教育隊が武山駐屯地に移駐（15日まで）^[3]。

• 1960年（昭和35年）8月12日：臨時特別通信隊が久里浜駐屯地において編成完結。学校長に隷属。
• 1961年（昭和36年）8月17日：組織改編

1. 教育部を第1教育部に改称。第2教育部を新設。
2. 教育部教務課を総務部に編入。体育教育課は自衛隊体育学校として朝霞駐屯地へ移駐。

• 1968年（昭和43年）3月1日：臨時特別通信隊は隷属を離れ、通信標定隊（のちの第1電子隊）として編成完結。
• 2002年（平成14年）3月27日：東部方面後方支援隊通信教育直接支援中隊の新編に伴い、整備課を廃止。
• 2017年（平成29年）4月8日：通信教導隊において自衛官候補生課程（女子）の教育を開始（女性自衛官教育隊の一部の教育要員を派遣）^[4]。
• 2021年（令和03年）3月29日：第2教育部情報処理教官室を「サイバー教官室」に改編^[5]。
• 2024年（令和06年）3月21日：陸上自衛隊システム通信・サイバー学校に改編^[6][7]。サイバー教育部を設置^[8]

組織編成

• 企画室
• 総務部
  • 総務課
  • 厚生課
  • 管理課「通校」
  • 教材課
  • 会計課
  • 衛生課
• 第1教育部：幹部部隊運用（FOC、AOC、BOC）・初級陸曹特技教育
  • 教務課
• 第2教育部：指揮装置・レーダ整備および電子・電算機教育
  • 教務課
• サイバー教育部：サイバーに関する教育
  • 教務課
• 研究部：部隊運用・教育に関する研究・調査
• 通信教導隊：システム通信・サイバー学校入校学生に対する教育支援・自衛官候補生課程（女子）の教育

整備支援部隊

• 東部方面後方支援隊通信教育直接支援中隊「通教直支」（久里浜駐屯地）：2002年（平成14年）3月27日から

主要幹部

官職名	階級	氏名	補職発令日	前職
陸上自衛隊システム通信・サイバー学校長 兼 久里浜駐屯地司令	陸将補	青木圭[9]	2025年08月01日[9]	システム通信団長[9]
副校長 兼 企画室長	1等陸佐	井上勝	2024年03月21日	陸上自衛隊通信学校副校長 兼 企画室長
総務部長	1等陸佐	𠮷元勇人	2024年03月21日	陸上自衛隊通信学校総務部長
第1教育部長	1等陸佐	兼子孝人	2024年03月21日	陸上自衛隊通信学校第1教育部長
第2教育部長	1等陸佐	工藤一成	2024年12月20日	陸上自衛隊北海道補給処整備部長
サイバー教育部長	1等陸佐	竹永竜也	2025年03月24日	陸上自衛隊教育訓練研究本部 主任研究開発官
研究部長	1等陸佐	沖賢治	2025年03月17日	陸上幕僚監部装備計画部通信電子課 電子器材班長

歴代の学校長
（特記ない限り陸将補）

代	氏名	在職期間	出身校・期	前職	後職
陸上自衛隊通信学校長
01	岡本英男 （1等保安正）	1952年10月15日 - 1953年08月15日	東京帝国大学 昭和10年卒	警察予備隊総隊学校第3部長	保安庁技術研究所通信第一課長
02	平岡輿一郎 （1等保安正）	1953年08月16日 - 1956年08月15日	陸士41期・ 陸大51期	第一幕僚監部通信課勤務	陸上幕僚監部通信課長
03	櫻義雄	1956年08月16日 - 1957年08月11日	海兵52期	西部方面副総監	北部方面副総監 兼 札幌駐とん地司令
04	椙山一郎 （1等陸佐）	1957年08月12日 - 1958年07月31日	陸士43期・ 陸大52期	陸上幕僚監部第2部副部長	陸上自衛隊九州地区補給処副処長
05	久保田茂	1958年08月01日 - 1959年07月31日	陸士44期・ 陸大51期	陸上幕僚監部第1部副部長	陸上幕僚監部第5部副部長
06	中原正行 （1等陸佐）	1959年08月01日 - 1961年07月31日	陸士41期	固定通信群長	通信団本部付 →1961年11月26日 停年退官（陸将補昇任）
07	徳永八郎 （1等陸佐）	1961年08月01日 - 1963年03月15日	陸士43期・ 陸大53期	第1普通科連隊長	陸上幕僚監部付 →1963年04月28日 停年退官（陸将補昇任）
08	中山忠雄	1963年03月16日 - 1965年03月15日	陸士43期・ 陸大51期	第3教育団長 兼 別府駐とん地司令	陸上幕僚監部付 →1965年07月01日 退職
09	武田照彦	1965年03月16日 - 1967年03月15日	東北帝大大学院 昭和17年卒	技術研究本部技術開発官 （陸上担当）付第4班長	陸上幕僚監部付 →1967年06月30日 退職
10	日隈次男	1967年03月16日 - 1969年03月16日	陸士48期・ 陸大58期	陸上自衛隊通信補給処長 兼 大宮駐とん地司令	退職
11	高杉恭自	1969年03月17日 - 1970年06月30日 ※1969年07月01日 陸将昇任	陸士49期・ 陸大58期	防衛研修所副所長	第4師団長
12	正寶治平 （陸将）	1970年07月01日 - 1971年11月09日	陸士49期・ 陸大59期	中部方面総監部幕僚長 兼 伊丹駐とん地司令	死去
13	上阪賑一	1971年11月16日 - 1973年06月30日 ※1972年07月01日 陸将昇任	陸士50期・ 陸大59期	通信団長	退職
14	塚本勝一 （陸将）	1973年07月01日 - 1974年06月30日	陸士54期・ 陸大60期	陸上幕僚監部第2部長	陸上幕僚副長
15	吉松秀信	1974年07月01日 - 1977年03月15日 ※1975年01月01日 陸将昇任	陸士54期	中部方面総監部幕僚長 兼 伊丹駐とん地司令	陸上幕僚監部付 →1977年04月01日 退職
16	大辻隆三	1977年03月16日 - 1978年11月30日	陸士56期	陸上幕僚監部監察官	退職
17	小林有一 （陸将）	1978年12月01日 - 1980年02月11日	陸士58期	北部方面総監部幕僚長 兼 札幌駐とん地司令	第5師団長
18	松浦昇	1980年02月12日 - 1981年05月31日 ※1980年03月17日 陸将昇任	陸士60期	北部方面総監部幕僚長 兼 札幌駐とん地司令	第9師団長
19	中江正夫 （陸将）	1981年06月01日 - 1982年06月30日	陸航士59期	第1教育団長 兼 武山駐とん地司令	退職
20	松本米二郎 （陸将）	1982年07月01日 - 1985年04月30日 ※1982年09月01日 陸将昇任	海兵76期・ 三重農専 昭和22年卒	陸上自衛隊通信学校副校長 兼 企画室長	退職
21	岡村敦弘 （陸将）	1985年05月01日 - 1986年03月15日	東幼48期[注 2]・ 広島高等師範 昭和26年卒	防衛研修所副所長 →1985年03月08日 陸上幕僚監部付	退職
22	上田愛彦 （陸将）	1986年03月16日 - 1987年07月06日	防大1期	陸上自衛隊通信学校副校長 兼 企画室長	技術研究本部技術開発官 （陸上担当）
23	高橋清 （陸将）	1987年07月07日 - 1989年03月15日	防大1期	通信団長	陸上幕僚監部付 →1989年04月01日 退職
24	青山滋	1989年03月16日 - 1992年03月22日	防大3期	陸上自衛隊北海道補給処副処長	陸上幕僚監部付 →1992年04月01日 退職
25	鈴木善勝	1992年03月23日 - 1994年06月30日	防大6期	第6師団副師団長 兼 神町駐屯地司令	陸上自衛隊九州地区補給処長 兼 目達原駐屯地司令
26	中村暁	1994年07月01日 - 1996年12月15日	防大7期	第10師団副師団長 兼 守山駐屯地司令	退職
27	重村勝弘	1996年12月16日 - 1998年03月25日	防大10期	通信団長 兼 市ヶ谷駐屯地司令	陸上自衛隊関東補給処長（初代） 兼 霞ヶ浦駐屯地司令
28	渡邊光啓	1998年03月26日 - 1999年07月08日	岐阜大学 昭和42年卒	第2混成団長 兼 善通寺駐屯地司令	第11師団長
29	佐伯義則	1999年07月09日 - 2001年03月26日	生徒8期・ 防大15期	第5師団副師団長 兼 帯広駐屯地司令	東北方面総監部幕僚長 兼 仙台駐屯地司令
30	鈴木健	2001年03月27日 - 2003年03月26日	防大15期	通信団長	陸上自衛隊情報保全隊長（初代）
31	廣田義則	2003年03月27日 - 2005年01月11日	防大17期	自衛隊熊本地方連絡部長	陸上自衛隊補給統制本部副本部長
32	中村憲一	2005年01月12日 - 2008年03月25日	防大18期	通信団長	陸上自衛隊九州補給処長 兼 目達原駐屯地司令
33	田中達浩	2008年03月26日 - 2009年12月06日	防大19期	第2師団副師団長 兼 旭川駐屯地司令	退職
34	時津憲彦	2009年12月07日 - 2012年03月29日	防大23期	通信団長
35	小林英彦	2012年03月30日 - 2013年08月21日	金沢大学 昭和54年卒[注 3]
36	成田千春	2013年08月22日 - 2015年08月03日	防大25期
37	西川公康	2015年08月04日 - 2016年06月30日	防大26期
38	滝口龍治	2016年07月01日 - 2017年08月06日	防大27期
39	廣惠次郎	2017年08月07日 - 2018年07月31日	防大33期	統合幕僚監部指揮通信システム部長	陸上幕僚監部 指揮通信システム・情報部長
40	田浦尚之	2018年08月01日 - 2019年12月19日	防大37期	陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部 指揮通信システム課長	統合幕僚監部指揮通信システム部長
41	濵崎芳夫	2019年12月20日 - 2023年03月29日	防大35期	東部方面総監部人事部長	陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部長
42	奈良岡信一	2023年03月30日 - 2024年03月20日	防大35期	第6師団副師団長 兼 神町駐屯地司令	陸上自衛隊システム通信・サイバー学校長 兼 久里浜駐屯地司令
陸上自衛隊システム通信・サイバー学校長
01	奈良岡信一	2024年03月21日 - 2025年07月31日[9]	防大35期	陸上自衛隊通信学校長 兼 久里浜駐屯地司令	陸上自衛隊関西補給処長 兼 宇治駐屯地司令[9]
02	青木圭[9]	2025年08月01日[9]-	防大41期	システム通信団長[9]