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2011年J1最終節
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2011年J1最終節(2011ねんJ1さいしゅうせつ)は、2011年12月3日に行われた日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)ディビジョン1 (J1)第34節のことを指す。なお、本項では特に、優勝の可能性のあった柏レイソル(以下「柏」)、名古屋グランパス(以下「名古屋」)、ガンバ大阪(以下「G大阪」)の3チーム、ならびにディビジョン2 (J2) 降格となる16位争いに絡むヴァンフォーレ甲府(以下「甲府」)、浦和レッズ(以下「浦和」)の両チームの絡む試合を中心に記す。
最終戦までの経緯
要約
視点
優勝争い
2011年のJ1は、いわゆる「優勝争いの常連」とみられていた鹿島アントラーズや浦和、さらには名古屋やG大阪が序盤戦から低迷。代わって首位争いを牽引したのが、前年のJ2から昇格したばかりの柏と、木村和司体制2年目となる横浜F・マリノス(横浜FM)、さらには東日本大震災でスタジアムや練習施設が大きな被害を受けながら、中断明けの第7節(2試合目)で川崎Fに逆転勝利を収めるなど開幕から12戦無敗を続けたベガルタ仙台(仙台)だった。仙台はリーグ中盤戦の第18節で初黒星を喫すると、そこから4分け5敗と大きく失速、代わって第12節から第21節まで16試合連続無敗の名古屋と、開幕26試合連続得点と圧倒的な攻撃力を誇るG大阪が調子を取り戻し、第25節には早くもG大阪・横浜FM・柏・名古屋の4チームによるマッチレースの様相を呈してきた。
終盤戦に入り、横浜FMが5試合勝ちなし(2分3敗)で優勝戦線から脱落、逆に第28節から5連勝を果たした柏が首位に躍り出て、第29節のG大阪との直接対決を4-1で大勝し、そこから4連勝した名古屋が2位をキープ。G大阪は名古屋戦の敗戦で首位陥落するも、連敗することなく何とか優勝戦線に踏みとどまっていた。
最終節前の第33節、2位名古屋と勝点3差で迎えた首位柏のホーム最終戦・セレッソ大阪(C大阪)戦。これに勝てば優勝に大きく近づき、場合によっては優勝決定の可能性もあった[注 1]が、C大阪に先制を許すと何とか追いつくも逆転には至らず、この試合を1-1で引き分けて勝点1の上積みにとどまる。一方、名古屋はモンテディオ山形(山形)に3-0で快勝、G大阪も前半の1点を守りきって仙台に勝利し、それぞれ勝点3を上積み。この結果、首位柏と2位名古屋、名古屋と3位G大阪がそれぞれ勝点1差で追走する状況となって最終節を迎えることになった。
残留争い
一方、16位以下の3チームがJ2降格となる残留争いは、シーズンを通じて浮上のきっかけをつかめなかった2チーム、アビスパ福岡(福岡)が第30節で、山形が第31節で共に16位以下が確定。残る1チームについては第32節終了時点で、ゼリコ・ペトロビッチの采配が迷走を続け、ヤマザキナビスコカップ2011では準優勝したものの、リーグ戦では終始下位に沈んだ15位浦和と、守備力の向上を目指して三浦俊也の下でそれまでの攻撃重視のチームの方向性を大きく変えたことが完全に裏目に出た16位甲府の2チームによる争いが確定していた[注 2]。
最終節前の第33節開始前の時点で浦和と甲府の勝点差は3、得失点差の差は16あった[1]。浦和は11月26日にアウェーで福岡と対戦、先制され苦しい試合展開ながらも福岡を逆転で下す。この時点で浦和が甲府の勝点を下回る可能性がなくなり、浦和は残留に大きく近づいた。逆に、残留のためには2試合で浦和に勝点で並び、かつ得失点差17をひっくり返す必要が生じて立場的に極めて厳しくなった甲府だが、11月27日のホーム最終戦でアルビレックス新潟(新潟)を3-0で下し、得失点差を縮めて一縷の望みをつないだ。
最終更新は2011年11月27日の試合終了時. 出典: J.LEAGUE Data Site
順位の決定基準: 1) 勝点、2) 得失点差、3) 総得点、4)直接対決の勝点、5) 直接対決の得失点差、6) 直接対決の得点数、7) 反則ポイント、8)抽選
(R) 降格.
順位の決定基準: 1) 勝点、2) 得失点差、3) 総得点、4)直接対決の勝点、5) 直接対決の得失点差、6) 直接対決の得点数、7) 反則ポイント、8)抽選
(R) 降格.
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最終節
要約
視点
概要
各チームの対戦カードは以下のとおり。優勝争いに絡む3チームはアウェーでの試合となった。
- 浦和レッズ - 柏レイソル(埼玉スタジアム2002)
- アルビレックス新潟 - 名古屋グランパス(東北電力ビッグスワンスタジアム)
- 清水エスパルス - ガンバ大阪(アウトソーシングスタジアム日本平)
- 大宮アルディージャ - ヴァンフォーレ甲府(NACK5スタジアム大宮)
左側がホームチーム、太字は優勝争いに関係するチーム。柏と浦和の試合は、優勝争いと残留争いの両方に絡む試合となった。
柏は勝てば勝点72となり他の2チームは追いつけず文句なしの優勝であるものの、勝点が並んだ場合に優劣の要因となる得失点差では「名古屋 > G大阪 > 柏」となっていたため、柏が引き分けまたは負けの場合に優勝争いが複雑化することとなった。
これにより、名古屋は勝利をものに出来れば柏の引き分け以下で逆転優勝、G大阪は勝利が逆転優勝への最低条件となった。
柏の相手・浦和は甲府と勝点3差、得失点差14をキープして大敗しない限りJ1残留を確実にしているが、浦和のホーム最終戦でもあり、目の前での優勝を見たくない浦和にとっても負けられない一戦となった。一方、優勝を争う名古屋はビッグスワンでの勝利がなく鬼門としており、逆転優勝のためにはジンクスを破る必要がある。また、G大阪は10年にわたってクラブを率いてきた西野朗のラストゲーム[注 3]を勝って逆転優勝に望みをつなぎたいところであり、さらに甲府の相手である大宮はここまでホーム1勝にとどまりデータ的には甲府に有利な状況であるなど、各会場とも複雑な事情を絡ませながらの最終節となった。
試合展開
前半
午後3時半過ぎ、3会場ほぼ同時にキックオフ。最初に試合が動いたのは清水での試合だった。中盤のキープレーヤー・MF小野伸二とMFフレドリック・ユングベリをけがで欠いた清水だったが、序盤はそれを感じさせないほど攻撃陣が機能し、9分にDF辻尾真二の右からクロスに久々の先発となったFW伊藤翔が頭で合わせて清水が先制、G大阪がリードを許す展開となった。
- 浦和 0 - 0 柏
- 新潟 0 - 0 名古屋
- 清水 1 - 0 G大阪
次に試合が動いたのは埼玉の試合だった。前節・福岡戦で負傷した1トップのFWエスクデロ・セルヒオを欠く浦和は、オリンピック予選から戻ってきたMF山田直輝を最前線に置く「ゼロトップ」の奇策に出るがこれが機能せず、パスカットから幾度となく柏のカウンターを許す展開となり、29分にMFジョルジ・ワグネルのコーナーキックをDF近藤直也がヘディングシュート、浦和守備陣に跳ね返されたところをMFレアンドロ・ドミンゲスが押し込むもポストにはじかれるが、こぼれ球をジョルジ・ワグネルがたたき込んで、柏が待望の先制点を挙げる。これで柏に俄然有利な展開となった。
- 浦和 0 - 1 柏
- 新潟 0 - 0 名古屋
- 清水 1 - 0 G大阪
一方、先制を許したG大阪だったが、32分と37分にFWイ・グノが立て続けに得点し、一気に逆転、ペースを引き戻す。しかし、イ・グノの2点目とほぼ同時に、埼玉では38分にレアンドロの右コーナーキック後の混戦から、DF橋本和がゴールを背にしながらオーバーヘッド気味の左足ループシュート、これが決まって柏が2点のリードを奪う。前半はこれで終了し、柏が2点リード、G大阪が1点リード、名古屋はスコアレスで前半を終える。
- 浦和 0 - 2 柏
- 新潟 0 - 0 名古屋
- 清水 1 - 2 G大阪
一方の残留争いにからむ大宮での試合だが、大量得点のために「ボールを保有してイニシアティブを取って」[4] ゲームを進めようとしたがこれが裏目に出て、13分に大宮FW石原直樹に先制点を許す。25分にMF井澤惇のゴールで甲府が追いつくが、直後の29分に大宮MF東慶悟に勝ち越し点を許し、逆に1点ビハインドで前半終了。甲府はいよいよ苦しい立場に追い込まれた。
- 大宮 2 - 1 甲府
後半
後半開始早々、大宮では東のこの日2点目が決まり、2点のビハインドを許した甲府の残留はこの時点で絶望的になった。それでも、勝って有終の美を飾りたい甲府は、まず同点に追いつくためにFWハーフナー・マイクにロングボールを集めるが、なかなかゴールを決めきれない。
- 大宮 3 - 1 甲府
一方、埼玉では前半1本もシュートも打てなかった浦和が後半開始時に山田に代えてFW原一樹を投入し、2列目のMF柏木陽介・MF原口元気の仕掛けを生かした攻撃を始めると、徐々に浦和にもチャンスが生まれる。53分、浦和MF平川忠亮の放ったクロスを飛び込んできた柏木が頭で合わせて、浦和が1点を返し、埼玉スタジアムは一気に盛り上がりを見せ浦和に勢いをもたらす。機を同じくして、新潟では名古屋がゴール右45度で得たフリーキックをFW玉田圭司が直接決めて名古屋に待望の先制点が入る。また、同じ頃、清水でもG大阪MF二川孝広のゴールが生まれて2点差とし、優勝争いの3会場は一気に緊迫の度合いを高めることになる。
- 浦和 1 - 2 柏
- 新潟 0 - 1 名古屋
- 清水 1 - 3 G大阪
埼玉ではその後も一進一退の攻防が続き、同点になってもおかしくない場面もあったが、76分、コーナーキックのこぼれ球を柏MF茨田陽生がミドルシュートを放つと、ゴール手前でワンバウンドしたボールを浦和GK加藤順大が後逸、そのままゴールに吸い込まれて柏が貴重な追加点を挙げる。浦和MF鈴木啓太が試合後に「あの失点で気持ちがガクッと来たところはあった」と語った[5] ように、このプレーで一気に意気消沈した浦和に、同点あるいは逆転の力は残っていなかった。
- 浦和 1 - 3 柏
- 新潟 0 - 1 名古屋
- 清水 1 - 3 G大阪
そしてこのまま4会場とも試合終了。柏の勝利により、柏はJリーグ史上初のJ2・J1連続優勝の快挙を成し遂げた。名古屋は新潟でのジンクスを破り、G大阪も西野体制での有終の美を飾ったものの、あと一歩及ばなかった。浦和はホーム最終戦を飾れなかったものの、甲府が敗戦したことにより何とか勝点差3をキープして残留決定、甲府の逆転残留は成らなかった。
最終更新は2011年12月3日の試合終了時. 出典: J.LEAGUE Data Site
順位の決定基準: 1) 勝点、2) 得失点差、3) 総得点、4)直接対決の勝点、5) 直接対決の得失点差、6) 直接対決の得点数、7) 反則ポイント、8)抽選
(C) 優勝; (Q) 出場権獲得; (R) 降格.
順位の決定基準: 1) 勝点、2) 得失点差、3) 総得点、4)直接対決の勝点、5) 直接対決の得失点差、6) 直接対決の得点数、7) 反則ポイント、8)抽選
(C) 優勝; (Q) 出場権獲得; (R) 降格.
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試合データ
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エピソード
- 柏はこれが初優勝だが、「年間最多勝点」であれば2000年シーズンに次ぐ11年振り2回目であった。2000年当時は2ステージ制で、1stステージが4位、2ndステージが2位にとどまったためサントリーチャンピオンシップへの出場を逃しており、年間順位としてはチャンピオンシップ出場の鹿島・横浜FMに次ぐ3位だった。また、オリジナル10以外で年間優勝を果たしたのは磐田に次いで2クラブ目となる。
- 浦和にとっては、2009年シーズン最終戦(鹿島に0-1で敗戦)に続いて、最終戦のホームで目の前での優勝決定を見せつけられる結果となった。試合後、浦和のシーズンを通じての不甲斐ない戦い振りに激怒した一部のサポーターがゴール裏スタンドに居残り、橋本光夫代表の辞任を要求。約4時間半にわたって押し問答が続く事態となった[6][7]。
備考
参考資料
関連項目
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