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2020年のF1世界選手権

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2020年のF1世界選手権
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2020年のF1世界選手権は、国際自動車連盟(FIA)フォーミュラ1世界選手権の第71回大会として開催された。

2020年のFIAフォーミュラ1
世界選手権
前年: 2019 翌年: 2021
一覧: 開催国 | 開催レース
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2020年のF1世界選手権において7度目のドライバーズタイトルを獲得したルイス・ハミルトン

概要

要約
視点

ハミルトン7度目のタイトル獲得・メルセデス史上初の7連覇

2014年のパワーユニット(以下PU)導入以来両タイトルを独占するメルセデスが17戦13勝、15ポールポジションを記録し、コンストラクターズ選手権では開幕戦でポイントリーダーに立ってからは一度もその座を譲ることなく独走し、第13戦エミリア・ロマーニャGP時点で優勝を確定させ、F1の歴史上初めて7年連続でコンストラクターズタイトルを獲得したチームとなった[1]ドライバーズチャンピオンシップは、メルセデス所属のルイス・ハミルトンが開幕戦[2]と第10戦[3]でペナルティの対象になる行為があったとしてタイムペナルティを受けて勝利を逃すが、第3戦の優勝でポイントリーダーに立って以降は盤石の走りを見せ、第14戦トルコGPミハエル・シューマッハに並ぶ7冠を達成した。また、ポルトガルGPで通算勝利数を92としたことで、シューマッハの持つ最多勝記録(91勝)を更新した[4]。勝利数は本シーズン終了までに95まで伸ばしている。このほかにも表彰台回数165回(同155回)、入賞回数でも229回(同221回)と史上最多を更新し、ポールポジション獲得は98回まで伸ばした[5]。最終的にはメルセデスのダブルタイトル7連覇という結果でシーズンを終え、昨年からのダブルタイトル連続記録を更新した。ただし、メルセデス自体も第8戦イタリアGPでのピットインに関するミス[6]や第16戦サヒールGPでのピット作業ミス[7]によって勝利を落としたグランプリもあったが、これらがタイトル獲得に影響しないほどの盤石ぶりであった。

フェラーリおよびフェラーリ製PUの不振

2018年シーズンから指摘されていたフェラーリPUの不正疑惑について、前年度に技術指令書の発行を受け[8]、シーズン終盤から明らかに失速していたが、この影響を本シーズンも引きずることとなった[9]今季のシャシーは外見は前年型に似た進化形であるが、前年の設計コンセプトを捨て、新たなコンセプトに基づいて設計したマシンを投入[10]。だが、プレシーズンテストの段階で今季型のマシンの開発が失敗している兆候[10]が表れていた。ただし、開幕戦については2019新型コロナウイルスの世界的流行の影響によるイタリア国内のロックダウンに伴いフェラーリの拠点が長期間閉鎖され、開発スケジュールに支障をきたし、開幕戦ではプレシーズンテストの仕様のマシンおよびPUを投入[11]せざるを得ない状況であることを認めていた。だが、開幕戦の予選[12]および決勝[13]のデータで前年型のPUよりパワーが低下したことが露呈し、シャシーにも問題があることが明らかとなった。そのうち、PUに関してチームは今季のフェラーリPUは新たな技術指令書に対応した影響を受けたこと[14]は認めた。

他にも、PUに関してはコロナウイルスの影響を受け、開幕戦以降のアップデート禁止=シーズン中のアップデートの事実上の禁止[15][16]が実施されることが決定[17]していたが、フェラーリは改良型の開発を開幕戦に間に合わせることができず[18]、今季に関してはすでにパワー不足の兆候が出ていたプレシーズンテストの仕様で戦わざるを得ない状況となったことも影響した[19]。しかし、メディアの独自分析でシャシーのコンセプトの変更の失敗の影響[20][21]もたびたび指摘され、シャシーのコンセプト変更もマイナスに働いたことが予選などのデータで示唆[22]されていた。そのため、シーズンを通じて戦闘力不足をカバーすべく様々なシャシー関連のアップデート[19]が行われた。

成績面に関しては、フェラーリにとっては2016年以来のシーズン0勝、表彰台の獲得数は計3回、コンストラクターズランキング6位に終わった。コンストラクターズが6位以下となったのは1980年以来であり、歴史的な大不振となった[23]

フェラーリPUのパワー不足および車体開発コンセプト失敗は、フェラーリからPUおよび車体の技術提供を受けるカスタマーチームにも大きく影響した。アルファロメオ、ハースともに予選ではQ1敗退、決勝でも入賞圏外が定位置となり、コンストラクターズ選手権はそれぞれ前者は8位、後者は9位に沈んだ。

中団グループの上位進出

2014年シーズン以来メルセデス、フェラーリ、レッドブルの「3強」と称されるトップチームが表彰台の一角を常に獲得し、2016年以降はその3チームの3名だけで独占すること(特に2017年、2018年はその3チーム以外のドライバーが表彰台を獲得することはそれぞれ1回のみであった)が常態化していたが、上述の通りフェラーリの不振により表彰台から遠のき、レッドブルもセカンドドライバーのアレクサンダー・アルボンが表彰台争いに加わることができず、4位以下でレースするパターンが多かったこと[24]もあり、表彰台圏内で争うドライバーがメルセデスの2名(ハミルトン、バルテリ・ボッタス)、レッドブルのマックス・フェルスタッペンの3名だけという状況になった。そのため、この3名のうち誰かがリタイアしたりペナルティやマシントラブルなどで後方に下がった場合、中団グループにも表彰台のチャンスが巡ってきやすくなった。この結果、キャリア初優勝者が2名(ピエール・ガスリー(第8戦)とセルジオ・ペレス(第16戦))、キャリア初表彰台が3名(開幕戦のランド・ノリス、第9戦と第15戦のアルボン、第16戦のエステバン・オコン)生まれた。それらも含め、シーズンとしては2012年に並ぶ計13名が表彰台に上がった[5]

キャリア初優勝が中団チームから2人生まれ、コンストラクター選手権では7位(アルファタウリ)までが3桁ポイントを獲得するなど、メルセデスおよびレッドブルを除けばチーム間の戦力差がかなり縮まったといえるシーズンであった。特にマクラーレンは2012年以来となる選手権3位に返り咲いた。

その他のトピック

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レギュレーションの変更

技術規定 

  • PUを監視するエレメントを追加したことに伴い、車両の最低重量が745kgから746kgに変更された[27]
  • PUのアップデートは、プレシーズンテストの時点ではそれに関する制限は存在していなかったが、新型コロナウイルスの影響を受け、PUに関する開発費の負担の軽減を目的として、今季に限ってはスケジュール変更後の開幕戦オーストリアGPで投入された仕様以外を投入することが禁じる一種のホモロゲーションの仕組みが導入される[16][17]。前年度を例にすれば「@1」「@2」(@の部分に各メーカーの分類上の名義が記載される)という風にシーズン中のアップデートができたが、今季は開幕戦で投入した「@1」以外の仕様を投入することは禁じられる[15][28][29]。ただし、PUの項目別で言えば、MGU-K・ES(バッテリー)・CE(電子制御装置)に関してはシーズン中のアップデートも可能であるが、その3項目は2020年第2戦以降から2021年最終戦までの間のうち1回だけアップデートすることが可能という仕組みとなっているため、今季の最終戦までの間にその3項目のアップデート版を投入する選択もできるが、その場合、次にアップデートの権利が発生するのは早くても2021年最終戦以降からとなる。そのため、今季投入されるPUに関しては事実上ホモロゲーション化されたPUとなる。以上のことから、PUの開発作業に制限が導入されるものの、後述のサマーブレイク期間を除き、その開発作業が禁じられたわけではなく、開幕戦までに改良型を開発して投入すること[30]は認められており、シーズン中も来季用のPUの開発作業はできるため、今季に関してはPUの開発が完全に凍結されるわけではない[16][31]

競技規定

  • 2021年からのレギュレーションでチームごとの予算制限(上限を1億7500万ドルとする)が導入されるのに先立ち、各チームの支出に対するチェックが導入される。なお予算制限の対象には、PUの供給費用やマーケティング費用、ドライバーの年俸などは含まれない[32]
  • 開催数が歴代最多の22戦に増やされるのを受け、PUのコンポーネントのうち、MGU-Kの年間使用制限基数を2基から3基に緩和する[33]
  • シーズン中に1回しか認められていなかったドライバーヘルメットのデザイン変更制限が撤廃された[27]。前年にダニール・クビアトが母国ロシアGPで特別デザインのヘルメットを使用しようとしていたが、既に所属チームのトロ・ロッソのホームレースであるイタリアGPで特別デザインを使用していたため、FIAから却下されていた[34]。この件でクビアトをはじめ多くのドライバーから批判があったのを受けてのもの[27]
  • 前年度まではレース週末に供給されるドライタイヤの13セットのうち、10セットのタイヤコンパウンドは各ドライバーが自由に選択し(残りの3セットはハード、ミディアム、ソフトが1セットずつ供給)、チームはドライバー毎にどのコンパウンドのドライタイヤを何セットずつ使用するのかFIAに事前連絡(ヨーロッパで開催されるレースにおいては8週間前、ヨーロッパ外で開催されるレースにおいては14週間前まで)する必要があった。ところが、新型コロナウイルス感染拡大に伴うカレンダー変更に対応するためとして、各ドライバーのタイヤ選択制は廃止され、ハード2セット、ミディアム3セット、ソフト8セットという配分で全ドライバーに対し統一的に供給する方針へ変更された[35]
  • 第8戦イタリアGPより、予選・決勝で同一エンジン(ICE)モードを使用することが義務付けられた[36]。フリー走行は対象外となる。それまで予選や決勝レースのバトル時には高出力モード、予選アウトラップやSC導入時などには低出力モードといったように、各チーム状況に応じてエンジンモード(空燃比)を細かく調節して走行していたが、この技術指令書によりこうした調節が禁止される。ただし、回生システムを利用したオーバーテイクボタンの使用は認められる。また、SC、VSC導入時に低出力モードにすることはFIAに申請すれば認められるものの、そこからチェッカーフラッグまで出力を戻すことは一切認められなくなるため、実質的にもエンジンモード変更は封じられることになる。
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参戦チーム・ドライバー

要約
視点

エントリーリスト

前年度チャンピオンのルイス・ハミルトンはカーナンバー「44」を継続して使用するため、6年連続でカーナンバー「1」が不在のシーズンとなる。

昨年「スクーデリア・トロ・ロッソ・ホンダ」として参戦していたトロ・ロッソが「スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ」にチーム名を変更した。

さらに見る エントラント, コンストラクター ...

ドライバーの変更

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開催予定地

要約
視点

当初の開催スケジュール

2019年8月29日、FIA世界モータースポーツ評議会から暫定的な年間スケジュールが発表され[101]、10月4日に承認された[102]。昨年度より開催枠が1つ増え、歴代最多となる全22戦でシーズンが進行する。22戦開催を受け、開幕前にカタロニア・サーキットで行われるプレシーズンテストを従来の4日間2回から3日間2回に減らし、2回開催されてきたインシーズンテストは行われないことになった[102]

2019年からの変更点

さらに見る ラウンド, レース名称 ...

新型コロナウイルス感染症の世界的流行による日程変更

しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により開催延期または中止となったレースが相次いだ(詳細後述)ため、当初予定されていた年間スケジュールは2020年4月16日にF1公式サイトから取り下げられた[105]。F1を運営するリバティメディアは7月5日のオーストリアグランプリからの開催を目標とし、9月上旬までヨーロッパラウンド、9-11月にユーラシア、アジア、アメリカでのフライアウェイ戦、12月に中東のバーレーングランプリアブダビグランプリを開催する構想を立て[106]、6月2日にヨーロッパラウンド8戦の日程が発表され[107]、7月10日に2戦[108]、7月24日に3戦[109]、8月25日に終盤4戦の追加日程が発表され、全17戦で行われることが決定した[110]

開催中止が決まったレース

延期が発表されたが、改訂後のスケジュールに組み込まれたレースを含む。

さらに見る 当初のラウンド, レース名称 ...

改訂後の開催日程について

さらに見る ラウンド, レース名称 ...
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シーズン結果

要約
視点

レース

さらに見る ラウンド, グランプリ ...

ドライバーズ・ワールド・チャンピオンシップ(選手部門)

上位10台には以下のポイントが加算される。

さらに見る 順位, ポイント ...

(略号と色の意味はこちらを参照

さらに見る 順位, ドライバー ...

コンストラクターズ・ワールド・チャンピオンシップ(製造者部門)

ポイントシステムおよび以下の書式は選手部門と同一である。

さらに見る 順位, コンストラクター ...
  • レーシング・ポイントはブレーキダクトの設計プロセスが競技規則に違反していたため、15点が減点された[144]。(ドライバーズポイントは減点なし)

ペナルティポイント

ペナルティポイントが12ポイントに達すると1戦出場停止。ポイントは12ヶ月間有効となる。なお2020年ロシアグランプリではルイス・ハミルトンがスタート練習違反でペナルティポイントが2点課されていたが、後にそのペナルティポイントが取り消され、罰金へ変更となった。

  • 前年度繰越の()内の数字は、改定前スケジュールでの開幕時点(2020年03月15日)の有効ペナルティポイント。
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カーナンバー

過去に使用されたことがあり、2020年から使用可能になるカーナンバーは「19」(フェリペ・マッサ)、「22」(ジェンソン・バトン)、「30」(ジョリオン・パーマー)、「40」(ポール・ディ・レスタ)、「94」(パスカル・ウェーレイン)の5つ。

テレビ放送・インターネット配信

日本

2020年も例年と同じくCS放送のフジテレビNEXT、DAZNで放映される。

ゲーム

コードマスターズにより独占で公式ゲームが開発され、EAスポーツから発売された。70周年エディションと、ミハエル・シューマッハ エディションが発売されている。

脚注

外部リンク

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