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日本の漫画、メディアミックス作品 ウィキペディアから
『ジョジョの奇妙な冒険』(ジョジョのきみょうなぼうけん、英語: JOJO'S BIZARRE ADVENTURE, イタリア語: Le bizzarre avventure di JoJo)は、荒木飛呂彦による日本の漫画作品。略称は「ジョジョ」[1]。
ジョジョの奇妙な冒険 | |||
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ジャンル | 少年漫画、青年漫画、冒険活劇、サガ 大河、バトルアクション、超能力 成長、サスペンス、ホラー、スリラー ダーク・ファンタジー、ハードボイルド | ||
漫画 | |||
作者 | 荒木飛呂彦 | ||
出版社 | 集英社 | ||
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掲載誌 | 週刊少年ジャンプ ウルトラジャンプ | ||
レーベル | ジャンプ・コミックス | ||
発表号 | 週刊少年ジャンプ 1987年1・2号 - 2004年47号 ウルトラジャンプ 2005年4月号 - | ||
発表期間 | 週刊少年ジャンプ 1986年12月2日 - 2004年10月18日 ウルトラジャンプ 2005年3月19日 - | ||
巻数 | 単行本を参照 | ||
テンプレート - ノート | |||
プロジェクト | 漫画 | ||
ポータル | 漫画 |
集英社の少年向け漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』に1986年から2004年まで、2005年からは集英社の青年向け漫画雑誌『ウルトラジャンプ』に長期にわたって連載されている。シリーズの単行本は合計で100巻を越え、全てのシリーズを合わせた単行本の全世界累計発行部数は1億2000万部(2022年1月時点)を突破している[2]。
作品全体のテーマは「人間讃歌」[注 1]。仲間たちとの絆・強敵との死闘など少年漫画の基本を押さえながらも、個性的な表現方法とホラーサスペンス的な不気味さで独自の世界観を築き上げており、その作風は「王道を行きながら実験的」と評されている[4][5]。少年誌にして「大人向け」といえる作風であり、荒木自身も「子ども向けに描いてはいない」と発言している。
メディア展開はおおむね各部ごとに行われており、アニメ化やゲーム化、小説化、映画化などが行われている。
外伝作品も複数発表されており、Part4のサブキャラクターを主人公に据えた『デッドマンズQ』『岸辺露伴は動かない』の2本は短編集『死刑執行中脱獄進行中』に収録されている。『露伴』はシリーズ化し、他紙に出張したり派生もしている。他作者によるスピンオフ作品も複数ある。
そのほか、番外編『オインゴとボインゴ兄弟 大冒険』(文庫本・全1巻)もある。これはPart3の作中作であるボインゴの漫画自体を独立させ、岸辺露伴の解説をつけるなど実物の漫画作品としたものであり、Part3の文庫に合わせて刊行されたが、その後は絶版になっている。
25巻(Part3、ダービー弟戦)から、全ての漢字にルビが振られるようになった(正確には、漢数字を除く)。
2012年、本作は連載開始25周年を迎え、それに先立ち2011年4月1日に荒木の公式サイト「JOJO.com」がオープンした[6]。
2011年9月より人気小説家とジョジョの奇妙な冒険がコラボする特別企画「VS JOJO」が開始され、第1弾として上遠野浩平による『恥知らずのパープルヘイズ -ジョジョの奇妙な冒険より-』、第2弾として西尾維新による『JOJO’S BIZARRE ADVENTURE OVER HEAVEN』、第3弾として舞城王太郎による『JORGE JOESTAR』がそれぞれ発表された[7]。
2012年3月には、本作の原画展である「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展」の開催が発表され[8]、宮城県にて7月28日から8月14日の日程で「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展 in S市杜王町」が[9]、東京都にて「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展 東京」が10月6日から11月4日の日程ででそれぞれ開催された[10]。仙台のジョジョ展では、当時連載中であったジョジョリオンに登場する「杜王銘菓 ごま蜜団子」が数量限定で発売された[11]。
7月5日に行われた「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展」の記者発表会では、本作初となるテレビアニメ化及び新作ゲーム「ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル」の制作が発表された[12]。
9月19日に発売されたウルトラジャンプ10月号には、鳥山明、尾田栄一郎、CLAMP、冨樫義博、武井宏之ら22名からのイラスト&メッセージを始めとした様々な情報が収められた、ジョジョの奇妙な冒険25周年の記念ブック「25YEARS WITH JOJO」が収録された[13]。
10月5日には、連載25周年を記念した荒木責任編集のムック「JOJOmenon(ジョジョメノン)」が発売された[14]。
2013年9月19日には、連載25周年を記念した画集「JOJOVELLER 完全限定版」が発売された[15]。
2022年、本作は連載開始35周年を迎えた。
35周年を記念して、1冊全てがジョジョの奇妙な冒険で構成された専門誌「JOJO magazine(ジョジョマガジン)」が3月19日に発売されることが決定した。荒木がカバーイラストを描き下ろす他、「岸辺露伴は動かない」の新作読切、新作スピンオフ小説、最新作までを網羅したアニメ特集、スピンオフドラマ「岸辺露伴は動かない」シリーズで露伴役を務めた高橋一生のインタビューなどが収録された[16]。
3月10日には、2013年に発売された「ジョジョの奇妙な冒険オールスターバトル」をリメイクしたゲームソフト「ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトルR(アール)」の2022年初秋発売が発表された。声優は全てアニメに準拠する形で変更となっている他、9名の追加キャラクターや新モードなどが盛り込まれた[17]。
4月19日と5月19日にそれぞれ発売されるウルトラジャンプ5月号と6月号にて、前後編からなる『岸辺露伴は動かない』の新作「エピソード11 ドリッピング画法」が掲載された他、4月30日〜5月28日に金沢21世紀美術館(石川県金沢市)で開催予定の原画展「荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋」では、シリーズ第8部「ジョジョリオン」の新規イラストが追加展示された[18][19]。
7月14日には、本作の35周年を記念してガイドブック『地球の歩き方 JOJO ジョジョの奇妙な冒険』が学研プラスより発売された[20]。杜王町のモデルになった宮城・仙台市をはじめ、第1部から第8部までの物語の舞台を徹底網羅する内容となっている[20]。
8月19日発売のウルトラジャンプでは、本作35周年を記念したパーカーの応募者全員サービスが実施された[21]。
12月19日、2冊目となる専門誌「JOJO magazine 2022 WINTER」が発売された。前作同様に荒木がカバーを書き下ろした他、書き下ろし企画「続・荒木飛呂彦の漫画術」、ドラマ「岸辺露伴は動かない」より岸辺露伴役の高橋一生と泉京香役の飯豊まりえの対談、原画展金沢会場の記録、アニメ「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」より徐倫役のファイルーズあいと土肥範子プロデューサーの対談、原作の第1部・第2部特集などが収録された[22]。
また同日には、初のクイズ本「JOJO's Bizarre Quizzes 500 ジョジョの奇妙な問題集」や北國ばらっどによる短編小説集第3弾となる「岸辺露伴は倒れない」、スピンオフ作品「ジョジョの奇妙な冒険 クレイジー・Dの悪霊的失恋」2巻といった関連書籍も発売され、記念企画としてファイルーズあいとケンドーコバヤシがジョジョクイズに挑む特番がYouTube上で公開された[22]。
そして「JOJO magazine 2022 WINTER」にて、本作の第9部となる「The JOJOLands」の始動が正式に発表された。第8部「ジョジョリオン」の完結からおよそ1年半ぶりとなる新シリーズであり、翌2023年2月17日発売のウルトラジャンプ2023年3月号より連載を開始した[23]。
荒木は「当初から意識していたのは、これまで読んだことがない新しいストーリーを作ろうということ。当時の「週刊少年ジャンプ」編集部の方針も何かそういう空気があって、「王道のスポーツ漫画なんか描いてきたらボツにするよ」というような(笑)」と語っている[24]。
具体的には、「ストーリーとしては、「エデンの東」のような大河ドラマや、子供の時から好きで読んでいる「シャーロック・ホームズ」やホラー短編集を、自分なりにすごく分析して作りました。ストーリーが綿密に組み立てられて、何らかの伏線があってオチに向かっていくというような。「武装ポーカー」の時代から、ストーリーにこだわって、すごく冒険的に作ってきた感じはあります」とのこと[24]。
荒木は本作の連載を開始する前にヨーロッパ旅行へ行っており、「実物には写真では伝わらないアイデアがいっぱい入っていたり、すごく感動したんですよね。雑誌などの写真で見るのとは全く違うインプットがあった。特にイタリアで見た宗教画やフレスコ画というのは、写真で見ると古典作品としか感じなかったけど、実際に見ると斬新だし、何かもう圧倒されてしまって。この辺から学んでいけば、自分の絵の道が開けるのかなと思いました」と語っている[24]。
第2部の連載終了後の1989年頃には、当時の担当編集・椛島良介に連れられてエジプト旅行に行っており、それで描いたのがジョジョだとも語っている[25][26]。
本作は、力と力がぶつかり合い、力が強いものが勝つという少年漫画のパターンをなぞるのではなく、能力同士の相性や知恵を使う頭脳戦というメソッドを確立した[27]。
荒木は週刊少年ジャンプ初連載となる『魔少年ビーティー』の人気が低迷し10回で打ち切られた後、不人気の理由を担当編集者と検討した際、なぜか最終回のアンケート結果だけが好評だったのかを探っていくと、1-9回は高い知能を持つ主人公が肉体派の敵を一方的にやり込める話だが、最終回のみライバルも力ではなく頭脳で対抗するという構図が『スリルとサスペンス』を盛り上げたためではないかと推測しており、この時点で『主人公と敵の頭脳戦』が人気をとれるという考えにいたっていたという[28]。
その後連載した『バオー来訪者』からは、多種多様なキャラクターが互いの強さを競い合うバトル系の作品を中心に描くようになる。荒木は、貧弱な肉体の持ち主でも自身の弱さを突きぬければヒーローに勝てるかも知れないと考えていた。また現実的な理由として、当時既に存在していた表現のスキマを狙わなければ生き残れないという状況もあり、頭脳戦というスタイルを開拓していった[29]。
荒木は、第1部の連載を開始した時点で既に第3部までの構想が出来上がっていたと語っており、誰にも言わなかったものの「エデンの東」のように世代が変わっていく話を核にすることが出来たらいいと考えていた。またホラー作品が好きでその要素を取り入れたかったとも語り、「一番怖いことって何か」を考えたときに「先祖の代からの恨みで襲われること」だという結論に至ったことも影響している[24]。
本作は、第1部及び第2部では「波紋」という超能力が用いられたが、第3部以降からは新たに「スタンド」という概念が打ち出された。
荒木は「もうちょっと実感的に相手を叩きに行くみたいな、それこそマンガ的な絵を作りたかった」と語っている。イメージとしては、「エネルギーを絵にしたものが出てきて相手や物体を壊しに行く、そのとき守護霊とかが出てくる感じ」ならば漫画として読者に伝わると思い、「これまでのように、超能力者が何か念じて物体がいきなりバーンと割れるより、スタンドが実際に動くことで、相手とのヒリヒリするような距離感も表現できる」と考えた[24]。
また椛島に「もう波紋、古いよな」「波紋あきてきたよねえ」等と言われそのプレッシャーで考え出したという側面もある[24][30]。椛島はスタンドが登場した際に、「これでヒットだ」と思ったことを明かしている[27]。
「人間賛歌」
本作では、シリーズ全体を通し、一貫して「人間賛歌」がテーマとして掲げられている[27]。具体的に、荒木は人間賛歌について以下のように語っている。
『人間は素晴らしい』という前向きな肯定です。何かの困難に遭ったとき、それを解決し、道を切り拓いていくのは人間の力によるのであって、そこで急に神様が来て助けてくれたり、魔法の剣が突然落ちてきて、拾って戦ったら勝ってしまった、という都合のいい偶然は『ジョジョ』ではけっして起こりません—荒木飛呂彦、『荒木飛呂彦の漫画術』[27]
荒木は「少年漫画の登場人物は常に前向きでなくてはいけないというのがルール」だとしている。「後ろ向きになる」「闘うことを悩み続ける」といったマイナス要素を入れ込むと読者がうんざりしてしまうと語っており、「成長すること」「闘うことに悩まないこと」「闘うときは孤独であること」が大原則だというスタンスをとっている。『ジョジョ』ではそのルールを忠実にのっとり、その点で荒木は『ジョジョ』を王道の漫画だとしている。また悪役についても荒木は主人公側と同じく前向きであることを重要視しており、以下のように語っている[27]。
最終的な善悪の判断は読者の視点次第でいくらでも変わります。キャラクター次第で変わり、それが激突する。『ジョジョ』の登場人物はとにかく成長したいと思っています。陰湿な敵であっても自分の信念を貫いていたり、高潔だったりすれば読者からの共感は得られる。ここが重要なんですね。前向きだと怖いんです—荒木飛呂彦、「これ以上、王道の漫画はない」――荒木飛呂彦が「ジョジョ」を描き続ける理由[27]
「意志」
荒木は「人間賛歌」と並ぶもう一つのテーマとして、「残された人に意志を残し、受け継がれていく」ことを挙げている[27]。
本作では勝利と同じぐらい重要なシーンとして「敗北」が描かれており、荒木も「敗れはしても、決して負けていない」という立場で描いているという。荒木は「戦う過程のなかで、その人間が何を選択するのか」に興味があるとしており、「人は死んで終わりではない」「敗北したとしても、誰かが意志を継いでいく。僕はそれを人間の美しさだと思っています」と語っている[27]。
本作は単独の人物を主人公としておらず、主人公が変わるごとに「第○部(○部分に数字)」と部数が進み、作品のサブタイトルも変わる形式を採用している。また主人公が変わるだけでなく、作品の舞台やジャンルも各部ごとに変化しており、基本的には各部ごとに話が完結する仕組みとなっている。
しかしながら、世界観自体はPart1から一貫しており、ジョースター一族とその奇妙な運命を描く大河群像劇となっている。また、各部で登場した人物や道具が後の部で再登場したり影響を与えていることも多く、運命や因縁といったものに主眼が置かれている。なお、本作には2つの独立した世界線が存在する。
Part1「ファントムブラッド」からPart6「ストーンオーシャン」までで1つの世界線を成しており、1つの大きな物語となる。
全体としての大きな流れは、ジョナサン・ジョースターとその血を受け継ぐ者たちと、邪悪な吸血鬼と化したディオ・ブランドーやその因縁との、1世紀以上に亘って繰り広げられる戦いを描くものになっている。
Part7以降は、Part6終盤での出来事が影響し、それまでの世界線とは設定が全く異なるパラレルワールドに舞台が移った。
それ以前の世界と同じくジョースター家やツェペリ家、ディオ等が登場するものの、それらは名称だけであり直接的な繋がりは一切ない。また、石仮面や波紋といったPart6以前の世界観は基本的に全てリセットされ、スタンドが引き継がれるのみにとどまっている(なお、スタンド自体も新たに定義し直されている)。
続くPart8は、シリーズを通し初めてディオが一切関連しない物語となっている。
現在使用されている副題はPart6の執筆時に後から付けられたものであり、それまでは日本語で第○部と表記し、主人公名と現在の副題とは別のサブタイトルが付けられていた。作者はPart3の執筆時から副題を付けるつもりであったが、既存のジャンプ・コミックスとの整合性が取れなくなるという理由で編集部から却下された[31]。こういう初期事情から、単行本(ジャンプコミックス)はPart5(63巻)までは副題が書かれておらず一貫して「ジョジョの奇妙な冒険」として刊行されており、部区切りも単行本をまたぐ。後の文庫版や廉価版などはPart・副題ごとに区切って刊行されている。
3部以降の副題には、主人公のスタンドと同様の鉱物・自然界の4大元素が含まれており、作者が意図して入れたもの[32]。
これと同様に、単行本収録の際の各話の副題でも、Part1・2は雑誌掲載時のものがそのまま使われたが、Part3以降は副題を付け直し、「○○ その (1) 」のように1つの副題を何話かに分ける方式をとった。後にこの方式は、Part3以降との整合性からPart1・2の文庫版収録時にも採用され、各話の副題が付け直された。
英語表記の「JOJO'S BIZARRE ADVENTURE」も連載開始時から用意されており、たびたび使用されているが、Parte5[注 2](第5部)でのみイタリア語表記の「LE BIZZARRE AVVENTURE DI GIOGIO」[注 3]が代わりに使用され、ジョジョの綴りが「JOJO」から「GIOGIO」に変更されている[注 4]。
なお、『週刊少年ジャンプ』掲載時は「ロマンホラー!—深紅の秘伝説—」という編集部の考案した[33]キャッチコピーが添えられていたが、単行本収録時とPart6以降は削除されている。
現在までにPart1からPart9までの9部が発表されている。各部にはPart6(第6部)執筆時以降に副題が与えられており、以下の通りに構成されている。
なお、Part7『スティール・ボール・ラン』は当初、『ジョジョの奇妙な冒険』とは無関係な新作として扱われていた。2005年に掲載誌を『ウルトラジャンプ』に移してからは、正式にPart7として扱われている。続くPart8『ジョジョリオン』以降は連載当初から『ジョジョの奇妙な冒険』として扱われている。
Part (Parte) |
副題(日本語) | 副題(英語) (Parte5のみイタリア語) |
連載時のサブタイトル | 話数 | 単行本収録巻 | 発表期間 (発表号) |
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Part 1 | ファントムブラッド | Phantom Blood | 第一部 ジョナサン・ジョースター ―その青春― |
全44話 | 第1巻 - 第5巻 | 週刊少年ジャンプ |
1986年12月2日 - 1987年10月26日 (1987年1・2号 - 46号) | ||||||
Part 2 | 戦闘潮流 | Battle Tendency | 第二部 ジョセフ・ジョースター ―その誇り高き血統 |
全69話 | 第5巻 - 第12巻 | 1987年11月2日 - 1989年3月13日 (1987年47号 - 1989年15号) |
Part 3 | スターダストクルセイダース | Stardust Crusaders | 第三部 空条承太郎 ―未来への遺産― |
全152話 | 第12巻 - 第28巻 | 1989年3月20日 - 1992年4月14日 (1989年16号 - 1992年19号) |
Part 4 | ダイヤモンドは砕けない | Diamond is Unbreakable | 第4部 東方仗助 | 全174話 | 第29巻 - 第47巻 | 1992年4月21日 - 1995年11月13日 (1992年20号 - 1995年51号) |
Parte 5 (Part 5) |
黄金の風 | VENTO AUREO (英語圏:Golden Wind) |
第5部 ジョルノ・ジョバァーナ 【黄金なる遺産】 |
全155話 | 第47巻 - 第63巻 | 1995年11月20日 - 1999年4月5日 (1995年52号 - 1999年17号) |
Part 6 | ストーンオーシャン | Stone Ocean | 第6部 空条徐倫 ―『石作りの海』(ストーンオーシャン) |
全158話 | Stone Ocean 第1巻 - 第17巻 (通算第64巻 - 第80巻) |
1999年12月7日 - 2003年4月8日 (2000年1号 - 2003年19号) |
Part 7 | STEEL BALL RUN | STEEL BALL RUN | なし | 全95話 | STEEL BALL RUN 第1巻 - 第24巻 (通算第81巻 - 第104巻) |
2004年1月19日 - 10月16日 (2004年8号 - 47号) |
ウルトラジャンプ | ||||||
2005年3月19日 - 2011年4月19日 (2005年4月号 - 2011年5月号) | ||||||
Part 8 | ジョジョリオン | JoJolion | なし | 全110話 | ジョジョリオン 第1巻 - 第27巻 (通算第105巻 - 第131巻) |
2011年5月19日 - 2021年8月19日 (2011年6月号 - 2021年9月号) |
Part 9[34][35] | The JOJOLands | The JOJOLands | なし | 連載中 | The JOJOLands 第1巻 - (通算第132巻 - ) |
2023年2月17日[34][35] - (2023年3月号 - ) |
現実世界の19世紀後半から21世紀現代までが舞台となっている。少数の吸血鬼や超能力者が存在するが一般には知らされていない。魂というものがあるとされるが、基本的に絶命した者は生き返らない。
イギリスの貴族ジョージ・ジョースター卿の血を引く一族が主人公であり、部ごとに主人公が代替わりする。主人公はいずれも「ジョジョ(JoJo, GioGio)」という愛称を持つ。ただし劇中でジョジョの愛称がよく用いられていたのはPart3初期までである。
荒木作品の特徴としてよく「擬音」と「ポーズ」が挙げられる。擬音はヘヴィメタルやホラー映画などから思いつき[37][38]、擬音によって「引き込まれる感じが違う」と答えている[39]。コミックスの表紙などで見られる「ジョジョ立ち」と呼ばれるポーズに関しては、20代の頃に初めて行ったイタリア旅行においてミケランジェロの作品に強い衝撃を受けたことをきっかけに、彫刻のように肉体を捻るポーズを自分なりに漫画の中に取り入れたかったと語っている[39]。
他の特徴として、セリフの語尾に「ッ」「ッ!!」などをつけて口語強調することがある。セリフ回しは翻訳調と評価されることがあり、作者も肯定している[40]。
Part1およびPart2は、波紋(はもん)と呼ばれる特殊能力を身につけた人間たちが吸血鬼や屍生人、「柱の男」といった人間よりもはるかに長命で強力な生物に立ち向かうという作品で、格闘戦が主体であった。
Part3以降は後述のスタンドが中心となり、波紋を用いて格闘戦が行われることは無くなった(なおPart3では、ジョセフが波紋を用いるシーンが存在する)。また、後のPart7では、波紋はスタンドにたどり着くための技術の1つであるとされており、互いに全く無関係の特殊能力というわけではないことが明かされている。
Part3以降は、幽波紋(スタンド)と呼ばれる精神エネルギーを具現化した能力を使う人間同士の戦いが基本となり、様々な能力があるスタンド同士の攻防・頭脳戦が作品の骨子となる。なお、各部の最後の敵は共通して時間に関する能力を持つ傾向があり、作者は「時間を支配できる奴がいたら無敵だろうな、どうやって主人公は勝つだろう、と思う」と答えている[41]。
Part7以降で舞台となるパラレルワールドについても、スタンドのみは受け継がれている。
ジョースター家の血統者に共通する特徴として、首の後ろや左肩の辺りに星形のアザがある(ただし、仗助のみ作中ではアザが確認できないが、アニメではアザが確認されている)。Part3でジョナサンの胴体を奪って復活したディオ(DIO)にもアザがあるため、ジョナサンの子孫にスタンドの影響を起こした。さらにディオの子であるジョルノ(Part5・主人公)とヴェルサス他2名(Part6・敵)も星形のアザを受け継いでいる。DIOの骨から誕生した緑色の新生物、それと融合したプッチ、血縁者のウェザーなど、星のアザとスタンドは血に影響する。星のアザを持つ者同士は、お互いの存在をなんとなく感知することができる。
設定がリセットされたPart7以降のジョースター一族にも星のアザが確認されており、ジョースターの血統であるPart8のある吉良吉影、虹村京にもアザがあり、Part8の東方定助にもアザがある。
ジョースター家の男性はほとんどが高身長かつ頑健な肩幅など、恵まれた体格を持つ。イギリス貴族のジョージI世やニューヨークで不動産王になったジョセフ、マフィアのボスまで上り詰めたジョルノなど、社会的に誰からも信頼されてトップ水準の地位を得るが、家族関係は薄幸。性格は好奇心旺盛で、旅行好きである。
ジョースター家の男子には「代々短命である」というジンクスがあるとされ(12巻)、ジョージI世、ジョナサン、ジョージII世の三代続いていたが、ジョセフが破っている。また「生涯1人の異性しか愛さない」ともされていたが(13巻)、こちらもまたジョセフが破り非嫡出子の仗助をもうけていたことが判明する。その後のジョセフは第六部でも生きており、作者、荒木飛呂彦先生いわく、「多少ボケていますが生きている」と語っている。代をまたいで、結果的には承太郎はジンクスに当てはまっている。
家系図はPart3・13巻で初登場して、14巻以降は単行本冒頭に掲載されている。Part4・5・6まで更新されつつ継続された。
Part1 - 6
メアリー | ジョージ・ジョースターI世 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
? (不明) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
エリナ | ジョナサン・ジョースター1 | ? | ディオ・ブランドー (養子) | ? (不明) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
? (不明) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ジョージ・ジョースターII世 | リサリサ(エリザベス) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
スージー・Q (妻) | ジョセフ・ジョースター2 () | 東方 朋子 (愛人) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
空条 貞夫 | ホリィ () | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
? | 空条 承太郎3 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
静・ジョースター (養女) | 東方 仗助4 (隠し子) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ジョルノ・ジョバァーナ5 (汐華 初流乃) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
空条 徐倫6 | ウンガロ リキエル ドナテロ・ヴェルサス | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Part8の3巻で初登場し、次第に詳細が明らかになっていく。15巻以降は単行本冒頭に吉良家・東方家の現在の家系図が掲載されている。
Part7 - 9
グレゴリオ・ツェペリ | ジョージ・ジョースター | ノリスケ・ヒガシカタ (初代 東方 憲助) | ブランドー母 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ジャイロ・ツェペリ7 | ニコラス・ジョースター | ジョニィ・ジョースター7 | 東方 理那 | 東方 憲助 (二代目) | ディエゴ・ブランドー | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
エリザベス | ジョージ・ジョースター (III世) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ジョセフ・ジョースター (仗世文) | スージーQ | 東方 憲助 (三代目) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
バーバラ・アン・ジョースター | 吉良・ホリー・ジョースター | 吉良 吉輝 | 東方 憲助 (四代目) | 東方 花都 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
虹村 京 | 吉良 吉影 | 東方 定助8 (養子) | 東方 常敏 | 東方 密葉 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
東方 鳩 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
東方 常秀 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
東方 大弥 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ドラゴナ・ジョースター | ジョディオ・ジョースター9 | 東方 つるぎ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
連載期間は30年を超える「ジョジョの奇妙な冒険」であるが、基本的な作風は一貫している。
しかし作者の荒木は2020年のインタビューにて、「若い頃は迫力を追求して、力業で描いたりしている。でも、年齢を重ねると余裕が出てきた。若い頃はビートが激しいけど、今はゆったりした、夜のジャズのような絵を描いてみたいとか、そういうのはある」と語る[42]。
荒木は「『ジョジョ』はキャラクターを決めて、そこにストーリーがついていくような作り方をしている。今回は今回、来月は来月っていう作り方で、キャラクターだけが動いていく」と語る[42]。
また著書『荒木飛呂彦の漫画術』では、キャラクターを形作っていく際に何十もの項目からなる「身上調査書」を作成していることも明かしている。
登場人物およびスタンドの名前の多くは洋楽のミュージシャンやグループ名などから引用したものである。例えば各部の主人公たちの通称である「ジョジョ」の由来は、ビートルズの楽曲「ゲット・バック」の歌詞に登場する人名「ジョジョ」から引用されている[43]。荒木はこれについて「ロック大好き。ロック少年だったから。で、バンドから名前を借りたんだけど、ルールがある。バンド名とキャラ(名前や設定、能力など)がマッチしていないとダメなんだ。だから、敵だったり味方だったりというのは、そこに理由がある」[44]と説明しており、Part3やPart4のようにコラムで公表されたり、先述のジョジョや吉良吉影、岸辺露伴のように、対談の中で荒木が回答している例もある(詳細は各項目を参照)。
また、キャラクター名として、Part5ではイタリア語の食材名、Part6ではファッション関連のデザイナーやブランドの名前に因んだ命名も散見される[要出典]。また「スタンド」という呼び方はベン・E・キングやジョン・レノンで知られるミディアムバラード曲「スタンド・バイ・ミー」から取られたことが筆者本人から明かされている。
荒木は作中のファッションについて、「いろんなところにデザインがあるので、それを持ってきたいなって思います。特定のアーティストというのはないですけど、男性女性区別なくとり入れているというか、男だけど花柄にしたりとか、そういうのが楽しいので。あと、機械の一部分だけデザインがいいなって思ったりすると、(キャラクターの衣装などに)描いてみたりしますね」と語る[45]。
荒木はその独特の色使いについて、「ポール・ゴーギャンが砂浜の色をピンクに塗っていたのが、子供のころから魅力的だと思っていた。何色で塗ってもいいんだ、と」と語っており、アニメの制作の際に「主人公の(東方)仗助は何色ですか?」と聞かれたことに対しては「何色とかない」というのが自身の答えであるとしている。カラフルな絵を描く理由は「色と色を組み合わせる時に驚きを感じるときがあり、それが楽しい」からだという[46]。
『週刊少年ジャンプ』掲載時の掲載順は、看板作品のように常に前の方ではなく、良くても中間、時には最後尾になる時もあった。巻頭カラーになることが少なかったが、単行本の売り上げは順調であったため打ち切りにならなかった。Part3(28巻)までは椛島良介(現新書編集長)編集者が担当し、28巻の巻末で荒木がコメントを寄せている。
編集部からは『ジョジョ』以外の作品を描くことを薦められているが、作者は「何を描いても『ジョジョ』になってしまう」[47]「もう『ジョジョ』しか描かないし、『ジョジョ』しか描けない」[48]と発言している。また、雑誌のインタビューで、2004年の時点でPart9(第9部)くらいまでの構想があるとも語っている[49]。
荒木は1980年代ジャンプの大ヒット漫画を評価している。その一方で、主役も敵もどんどん強くなっていくと際限がなくなるという課題に行き着いた(このような漫画はバブル時代の産物、とも評している)。だからといってマイナスや停滞にすると、読者にうんざりされるということもPart1序盤での経験でわかっていた。そこでPart3は、日本からエジプトに向かい、道中で敵と戦って前進していくという形式にした(トーナメントではなくスゴロク、と喩えている)。強弱さまざまなタイプの敵を出しつつ、最後には最強のDIOが待ち受ける。Part3は大団円を迎え、Part4に続くも、Part4の敵は「DIOより強い」とはならない。
数多くの敵役・悪人が登場し、主人公たちと戦う。これらの敵は無関係の人たちを巻き込んで殺傷するが、怪物や超能力者であるため、社会正義で逮捕したり裁いたりすることができない。主人公の行動原理も、正義の「心」であって、社会正義ではない。現実のように、社会正義には腐敗や裏もある。悪人や犯罪者ほど吸血鬼やスタンド使いの素質があるともされる。敵キャラクターや悪役について、作者は「本当に強い人っていうのは悪い事はしない」「弱い人間がその弱さを攻撃に向けたときが一番怖い」と述べている[50]。
また荒木は、「悪役のほうが自由。主人公は読者の共感を得なければならないし正しいことをしなければならないが、悪役は自由にしてよい。悪役の理論、哲学があり「貫いている悪」だと、「いいな」となる。それがないとただの悪党」とも語る[46]。
初代担当編集者は椛島良介で、デビュー前の原稿持ち込みから、Part3完結までの10年以上の間ずっと担当であった。Part3最終巻(28巻)ではスペシャルサンクスとして言及されている。79巻(Part6終盤)では、『ジョジョ』という作品は彼の意見と影響があまりにも大きく、違う編集者に会っていれば違う作品になっていたであろうとまで語っている。『JOJOVELLER HISTORY』にて2013年・Part8までの歴代編集者全員へのインタビューがあり、特に初代とは対談も収録されている。
作中で度々大きな矛盾が生まれたり、設定がいつの間にかなくなっていたりする。特にシーザー・アントニオ・ツェペリの存在自体に関わる重大なミスに対しては、単行本4巻でそのミスを修正するとともにあとがきにて「おとなはウソつきではないのです。まちがいをするだけなのです…」と弁明している (Part1 - Part2)。
『週刊少年ジャンプ』連載中にはテレビアニメ化はされていない。1993年にはPart3がアニメ化されたが、これも「Part3の後半部をダイジェストで」「OVAとして」という異例の企画であった。テレビアニメ化には荒木は、2003年の対談の中で「たぶん、子供に見せるマンガじゃあないんで、(それは)ないと思いますけど」と答えている[37]。Part3OVAは「前半部」が遡って作られ、2007年にはPart1が劇場アニメになった。2012年からはPart1・2から順にテレビアニメ化が行われている。
本作『ジョジョの奇妙な冒険』は、それまで単純な『力比べ』だけだった少年誌のバトル漫画に心理的な駆け引きやトリックによる『頭脳戦』を導入することで新たな展開をもたらしたと評価されている[51][52]。特にPart3以降に登場する「スタンド」(様々な超能力をヴィジュアル化したキャラクター)の概念は、人物ごとに異なった能力で勝負する「能力バトル」という新形式を日本のバトル漫画全体に普及させた。これらのことから「現在のバトルマンガは全て『ジョジョ』の影響下にあると言っても過言ではない」とも評されている[53]。
ライター・ドラマ評論家の成馬零一は本作について、その影響は多岐にわたるが中でも「スタンド」という概念を生み出したことが最大の功績だと評している。成馬はスタンドバトルが「ジャンプに心理戦の面白さを持ち込み、90年以降のジャンプ漫画のバトル表現を一気に更新した」としており、「異能力バトルの見せ方は『ジョジョ』以前と以降で、大きく変わった」と評価している[54]。
PENICILLINのボーカリスト・HAKUEIは、本作について「さまざまな超能力を「スタンド」という人形のようなキャラクターで擬人化・可視化させたこと」が画期的だとしている。また、本作の登場以降は、「単に精神力ではなく、戦う相手との能力の相性や優劣が、ロジカルに勝敗を決めていく」ようになったとも評し、本作の連載が始まった1980年代後半からは「無敵の必殺技」が非常に少なくなっているとその影響を評価している[55]。
ライターの島田一志はスタンドを本作最大の発明だとした上で、それ以前に大友克洋が行った超能力の表現とは別の形での可能性があることを提示し、さらに緊張感のある頭脳戦・心理戦の要素を組み込むことで、唯一無二のバトル表現を生み出したと評価している[56]。
本作の25周年記念にあたる2012年時点で、シリーズ累計発行部数は8000万部を突破している[24]。2016年12月19日発売のシリーズ第8部『ジョジョリオン』第14巻をもって累計発行部数が1億部を突破した。これは集英社の漫画作品では『ONE PIECE』、『ドラゴンボール』、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』、『NARUTO -ナルト-』、『SLAM DUNK』に続いて6作品目であった[57]。荒木も「30年の間にこの作品とキャラクターたちを、手に取ってきてくれた読者の方々には感謝しかありません。けど、これがゴールではなく、30周年となる2017年も様々な企画が盛りだくさんなので、これから先も『ジョジョ』を楽しんでもらえればと願っています」とコメントを発表した[58]。2022年1月時点で、累計発行部数は1億2000万部を突破している[2]。
成馬は、本作で描かれた特殊能力者同士のバトルという形態は、冨樫義博の『幽☆遊☆白書』や『HUNTER×HUNTER』をはじめとする後続のジャンプ漫画に影響を与え、その後は上遠野浩平の『ブギーポップは笑わない』や西尾維新の『戯言シリーズ』といったライトノベルにも広がっていったと分析している[61]。
作者の高橋和希は本作の大ファンである。『遊☆戯☆王』の劇中カードゲーム『マジック&ウィザーズ』の原型は実在するカードゲームと『ジョジョ』の世界観である「スタンド」に由来し、メインキャラのメインカードはスタンドに近い設定で「精霊」と呼ばれている他、世界観は『ジョジョ』のPart3以降を元に製作している。
作者の迫稔雄は荒木のことを師と仰いでおり、作品を描く上で参考にしている作品の1つに本作を挙げている[62]。
作者の吾峠呼世晴はジャンプ作品の中でも特に本作のファンであることを公言している。作中では呼吸法や不死身の鬼など、本作を彷彿とさせる要素が盛り込まれている[63]。成馬は、「ものすごく邪悪で強いのだが同時に卑怯で姑息、仲間をも平気で切り捨て、生き残るためなら平気で見苦しい醜態をさらす」という鬼無辻無惨の描写に、本作の影響が強く表れていると評している[64]。
作者の上遠野浩平は荒木からの影響をたびたび語っている。同シリーズでは、荒木と同様に作中に登場する固有名詞等が海外のミュージシャンや曲名を元にしており、洋楽を聴き始めたのは本作の影響と述べている[65]。
原作者の朝霧カフカは、影響を受けた作品に本作を挙げており、「特殊な能力を使いながらも、日常世界となめらかに接続されているところが勉強になります」と語っている[66]。
作者の珪素は、影響を受けた作品として『嘘喰い』、『喧嘩稼業』と共に本作を挙げている。特に「戦闘中の、読み合いや能力の裏をかくなどして敵を上回って勝つ」という点を学んだという[67]。
日本国外では、イタリアで "Le bizzarre avventure di Jojo"、台湾では『JOJO冒険野郎』のタイトルで知られる。イタリア語版の本作品のタイトルも「JOJO」である。柔道がjudoであるように、外来語としては J の字もあり得るため、オリジナル準拠の表記とされている。ただし、Parte5が開始している70巻(日本語版とは巻数が異なる)の表紙はGioGioと表記されている。2005年9月からはPart3のみアメリカ合衆国でも発売されている。
アメリカ版では権利関係の問題を回避するため「エンヤ婆」が"Enyaba Geil"に、「呪いのデーボ」が"Soul Sacrifice"になっているなど、アーティスト由来の人物名が変更されている。アーティストに由来する名称だが、一般に見られる姓名であるポルナレフやアヴドゥルはそのままとなっている。また、ストーリーでは暴力的・宗教的問題がある部分の表現とイラストが変更されたりしたため、日本では大ヒットしたもののアメリカでは商業的にあまり振るわない作品の1つに数えられることがある[68]。
米NBCで放送されたドラマ『HEROES』に登場する日本人キャラクターヒロ・ナカムラ(演:マシ・オカ)の有する特殊能力「Time Manipulation(時空間コントロール)」はヒロが憧れているマンガキャラの一人、空条承太郎(およびディオ・ブランドー)の時を止めるスタンド能力に由来するものであり、ヒロ自身のブログのHNも「Jotaro Kujo(空条承太郎)」にしている。なお、「ジョジョの奇妙な冒険」へのオマージュとして『HEROES』の2、3シーズンでは複数のエピソードで「無駄無駄無駄無駄無駄」という台詞が使用されている(英語版ページより)[出典無効]。
2023年5月、タイの前進党が作成した選挙ポスターが、本作を彷彿とさせるタッチとポーズで描かれているとSNS上で話題となった[69][70]。
2012年10月から2013年4月にかけて放映された本作のテレビアニメ1stシーズンにて、イエスの楽曲「ラウンドアバウト」がエンディング・テーマとして起用され、その際に用いられた、「To Be Continued」と書かれた矢印と共にエンディングに突入する表現が人気を博した。具体的には、TwitterやInstagram、TikTokなどのSNS上で「さあ、ここからどうなるのか」というタイミングで「To be continued...」の矢印が登場し、この先が知りたいという欲求をさらに駆り立てるようなエンディングで笑いや好奇心をもたらすネタが世界的に大流行した。2016年頃から「To Be Continued」動画集などの形で話題になり、「To Be Continued compilation 2」と題された動画が2018年時点で1200万回以上再生される大ヒットを記録した。その後は動画が簡単に作成できる専用アプリが作成されるなど、いまだ衰えぬ人気を見せている[71][72]。
単行本では、セリフの細かいミスなどはあまり修正されずにそのまま版を重ねる傾向があった。そのような箇所は、2002年の文庫版化に伴って一斉に微変更・修正が行われている。
1 - 3巻が「Part1 ファントムブラッド」、4 - 7巻が「Part2 戦闘潮流」、8 - 17巻が「Part3 スターダストクルセイダース」となっている。
本作初、また荒木自身としても初となる個展。2003年4月にフランス・パリで開催された[305]。
本作の連載25周年を記念して開催された国内初となる個展。2012年7月28日から8月14日まで、せんだいメディアテークにて開催された[306][307]。本展では、Part8「ジョジョリオン」に登場する「杜王銘菓 ごま蜜団子」が岩手県の菓匠・松栄堂の製造で数量限定発売され、荒木自身が「食べ方注意書き」を書き下ろした[308]。また同年10月には「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展」を六本木・森アーツセンターギャラリーにて開催した[309]。
2013年6月28日から7月14日まで、イタリア・フィレンツェのGUCCI Show roomにて開催された「荒木は岸辺露伴 グッチへ行く」をはじめ、GUCCIとさまざまなコラボを幾度にわたり展開してきたことから、GUCCIにとって由緒ある場所で展覧会を開催するに至った。前年に東京で開催された「ジョジョ展」でも展示された「ジョジョ日本八景」や、同年1月から2月にかけて全世界のGUCCI直営ショップのウインドウを飾った描き下ろしのカラー原画など、約60点が展示された[310][311]。
2017年8月12日から9月10日まで、せんだいメディアテークにて開催された。オープニングセレモニーには荒木に加え、仙台市長(当時)の奥山恵美子、仙台市副市長(当時)であり本展示の実行委員会会長である伊藤敬幹らが出席した他、記念として本作をデザインしたicsca(イクスカ) が1万枚限定で発売された[312][313][314]。
本作30周年記念の集大成として、2018年8月24日から10月1日の日程で東京・国立新美術館にて開催された。国立美術館でマンガ家の個展が開催されるのは手塚治虫以来28年ぶり2人目の快挙であった[315][316]。荒木描き下ろしによる完全新作の大型原画が全12枚展示された他、ジョルノのテントウムシをリアルに再現した「ジョルノブローチ」、プッチ神父がデザインされたUSBカードスティックなどオリジナルのグッズも発売された[317]。また、同年11月から2019年1月まで大阪の大阪文化館・天保山で[318]、2020年には長崎の長崎県美術館[319]と石川の金沢21世紀美術館で[320]それぞれ巡回展が実施された。
原作の途中のエピソードから映像化する形が取られている。ストーリーは一部が改変されている。
2007年5月25日に、上記のアニメ作品を全て収録したDVD-BOXとして『ジョジョの奇妙な冒険 第3部 スターダストクルセイダース DVD-BOX』が発売された。なお、OVAの作中(Adventure 6 -報復の霧-)に不適切な表現があったため、2008年5月より作品を収めたDVDの出荷停止処置がとられている(詳細については「#論争」を参照)。
『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』(2007年2月17日全国公開)は、Part1のアニメ化作品で、OVAとほぼ同じスタッフにより制作されている。ストーリーがかなり簡略化されており、スピードワゴンなど多くの主要人物も登場しない。
原作のPart1『ファントムブラッド』とPart2『戦闘潮流』を描いた1st Seasonは、「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展」の記者発表会が2012年7月5日に行われた際に製作が発表され[324]、2012年10月5日から2013年4月5日まで、TOKYO MX、MBS、CBC、東北放送、RKB毎日放送、BS11にて放送された。全26話(第1部9話+第2部17話)[325]。
原作のPart3『スターダストクルセイダース』を描いた2nd Season『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』は、2013年10月18日にテレビアニメ版公式サイトなど各メディアにおいて製作が発表され[326]、分割4クールで[327][328]、前半2クールが2014年4月から9月まで、後半2クール「エジプト編」が2015年1月から6月まで放送された。全48話。
原作のPart4『ダイヤモンドは砕けない』を描いた3rd Season『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』は、2015年10月24日に2nd Seasonのスペシャルイベント『THE LAST CRUSADERS』にて製作が発表され[329]、2016年4月から12月まで放送された。全39話。
原作のPart5『黄金の風』を描いた4th Season『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』は、2018年6月に製作が発表され[330]、同年10月から2019年7月まで放送された。全39話。
原作のPart6『ストーンオーシャン』を描いた5th Season『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』は、2021年4月に製作が発表され[331]、第1クールが同年12月1日からNetflixにて先行配信されたのち、2022年1月から3月までテレビ放送され[332]、第2クールが同年9月1日からNetflixにて先行配信されたのち、同年10月から12月までテレビ放送され[333]、最終章である第3クールが同年12月1日からNetflixにて先行配信されたのち、2023年1月から4月までテレビ放送された[334]。
1992年から1993年にかけて全3巻で発売された。
2002年FIFAワールドカップに向けたアディダスの企画、『adidas MANGA FEVER』(雑誌)に参加。アディダスとのコラボレーションTシャツ発表(2002年7月) デザインはジョルノ。
ビームスとのコラボレーションTシャツ発表(2003年8月)。ジョルノと徐倫が描かれている。
ユニクロの『UNIQLO CREATIVE AWARD 2006』に荒木飛呂彦が審査員として参加し、自らもデザインを手がけたコラボレーションTシャツを発表(2006年4月)。Part4に登場した吉良吉影のスタンド「キラークイーン」からスピンオフしたキャラクター「キラー・タイガー・クイーン」、「キラー・ダンシング・クイーン」の2種の絵柄。
ultra-violenceからParte5に登場したブローノ・ブチャラティ仕様のカットソー「Sticky Fingers Buccellati」(2007年)。荒木飛呂彦の原画とコラボレーションした『ultra-violence×ジョジョの奇妙な冒険 コラボTシャツ』。第2弾まで各弾4種類ずつと限定モデル1種と石仮面モデル1種が発売されており全10種(2008年)。
バンダイより『ジョジョの奇妙な冒険 Adventure Battle Card』の名で発売。同社のトレーディングカードゲームの特徴を色濃く引き継いでいる。
ヘビーゲイジより『スターダストクルセイダース』の登場人物およびスタンドを題材としたガレージキット、「フィギュアコレクション」が1997年に発売。全10種。『戦闘潮流』『黄金の風』を題材とするフィギュアの発売も予定されていたが、発売中止となっている。
コトブキヤ ARTFXより『スターダストクルセイダース』と『黄金の風』を題材にしたシリーズが2000年に発売。それぞれスタンドと本体の2体セットとなっている。
超造形魂よりファントムブラッドを題材にしたフィギュア『ジョジョの奇妙な冒険 1』が2006年8月に発売。全10種。
HGIFシリーズより『ファントムブラッド』と『戦闘潮流』を題材にしたガチャポン『HGIFシリーズ ジョジョの奇妙な冒険』が2006年9月に発売。全5種。
超像革命メディコス・エンタテインメントよりジョナサン・ジョースターをモデルにしたフィギュア『超像Artコレクション ジョジョの奇妙な冒険 ジョナサン・ジョースター』が2007年10月に発売。2008年には空条承太郎モデルも発売された。どちらも全2種。また、2009年1月より可動フィギュア「超像可動」が発売される。
マスクコレクションシリーズより、第5部に登場するスタンドの頭部を立体化した『ジョジョの奇妙な冒険スタンドコレクション』が2009年10月に発売。
2012年3月21日、グリコから『ジョジョの奇妙な冒険』オリジナルパッケージがセブンイレブンで先行発売。さらに対象商品を2個買うと先着20名に「オリジナルカレンダー」《全2種》1コがもらえる[337]。パッケージ商品は下記のとおり。
LGエレクトロニクス製の「Optimus Vu L-06D」をベースにした端末で、「L-06D JOJO」として1万5000台限定で2012年8月30日に発売。
さらに、2018年3月23日には『ジョジョの奇妙な冒険』30周年記念スペシャルモデルとして、「V30+ L-01K」をベースにした端末「JOJO L-02K」が1万台限定で発売された。
いずれも期間限定。
いずれも期間限定。
第4部を原作とする実写映画が、東宝とワーナー ブラザース ジャパンの共同製作で2017年に公開。主演の東方仗助役は山﨑賢人。
2023年6月、第1部「ファントムブラッド」をベースに「ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』」のタイトルで舞台化されることが発表された[338]。
2010年に放映されたテレビドラマ『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』は、時を止める能力者ニノマエジュウイチ(一十一)が登場するなど、『ジョジョの奇妙な冒険』へのオマージュとして話題になっていた。その後、2012年に公開された劇場版『劇場版 SPEC〜天〜』では、上映開始前に同作の公式ツイッターへ「ちなみに『SPEC 天』には『ジョジョの奇妙な冒険』が出演します。ちゃんと許諾をいただきました」とのコメントが出され[406]、劇中に『ジョジョの奇妙な冒険』の単行本が小道具として使用されている。
バラエティ番組『雨上がり決死隊のトーク番組アメトーーク!』では、ジョジョ好き芸人たちによる『ジョジョの奇妙な芸人』が2度放送されている[407][408]。
2016年2月に実施された国士舘大学の前期入学試験(A日程)における選択科目「地理B」の題3問にて、本作第3部「スターダストクルセイダース」が日本からエジプトまで旅するロードムービー形式の作品であることを説明した上で、その旅のルートを地図で示し10個の小問に答えるという問題が出題された[409]。
これについて国士舘大学の広報課は、「出題内容であるアジア〜北アフリカの地誌を解くにあたって、受験生が対象地域をスムーズにイメージするための導入部分として用いました。また、地理という科目は我々の日常生活と結びついており、身の回りのいろいろなところに地理的なものは転がっているのだということを、多くの人に知ってほしいという意図もあります」としている。また「もちろん『ジョジョの奇妙な冒険』そのものを問題にしているわけではないので、この作品を読んだことがある受験生と、全く知らない受験生との間に、問題を解答するにあたって有利・不利がないような問題となっています」とも答え、作品を知っているかどうかで不公平が生じるようなことは無いとも説明した[409]。
これを受けネット上では、「国士舘受けとけば良かった」「完全に趣味じゃねぇか」「作品への愛がだだ漏れ」「これ作った教授、ジョジョ好きなんだろうか」「導入がジョジョなだけで、まともな地理の問題」といった声が挙がった[410]。
2024年3月10日に中山競馬場で実施された中山10レース「東風ステークス」で、1着が「ディオ」、2着が「ノースザワールド」となり、それぞれ本作に登場するディオ・ブランドーとそのスタンドであるザ・ワールドを連想させると話題になり、Xでは「ジョジョ馬券」が一時トレンド入りした。なお3着となった「ホウオウビスケッツ」も花京院典明のスタンド・ハイエロファントグリーン(法王の緑)を連想させるものとなっている[411]。
この「ジョジョ馬券」について、生産者の下河辺牧場は前日に公式Xで「DIO様とノース“ザ・ワールド”」「ジョジョ馬券でよろしくお願いします」とポストしており、それが実現した形となった[412][411]。
2024年5月16日、俳優の高橋一生と飯豊まりえが結婚を発表した。2人は本作を題材としたスピンオフ作品『岸辺露伴は動かない』の実写ドラマで共演しており、それがきっかけで交際へと発展したという。そのため、XをはじめとしたSNS上では「ジョジョ婚」と祝福の声が挙がった[413][414]。
このことについて原作者の荒木も祝福のコメントを寄せた他、『ジョジョの奇妙な冒険』公式Xは「『祝福』いたします」とメッセージを投稿した[415][416][417]。
Part3のOVA作品『ジョジョの奇妙な冒険 Adventure6 -報復の霧-』の中でディオ・ブランドーがアラビア語の書物を読みながら主人公一行の殺害を部下に命じるシーンがあり、この書物の文章がコーランの一説「雷電章」の引用であったことが判明した。これを鑑賞した一部の人間が「イスラム教に対する侮辱で受け入れられない」として反発し、また外務省の報道官の談話(2008年5月23日付)でもこの問題が取り上げられた[418]。
原因は制作会社が雰囲気を出すためにアラビア文字の資料を探したところ、コーランであることを知らずに転写したためと判明する(原作ではコーランは描かれていない)。集英社と制作会社は「心よりおわび申し上げます。イスラームとその文化についての理解を一層深めるべく、努力する所存です」とコメントし、該当DVDの出荷を停止。また原作にもモスクの描写に不適切な表現があったとして、Part3(第3部)の単行本・文庫版に加え、画集2冊の計29冊について出荷停止の措置がとられたが[419][420][421]、その後の2009年2月より原作の該当箇所を訂正した改訂版が販売再開されている[422]。
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