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三振
野球、ソフトボールにおいて打者が投手に3つのストライクを取られること ウィキペディアから
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三振(さんしん)とは、野球、ソフトボールにおける英語のStrike Outの訳である。打者が投手からストライクを3つ取られること、またそのときの記録である。略記SOである。スコアブックでは空振り三振はS.O、見逃し三振はK、振り逃げ三振はꓘと記す。三振とあるが見送りなど振らなくても適用される場合もある。

概要
要約
視点
1回の打席において、打者が3回ストライクを宣告されたときの記録を三振という。このとき、第3ストライクの投球を捕手が正規に捕球するか、後述する規則により第3ストライクの宣告を受けた打者が直ちに走者となれない場合には、打者はアウトになる。ここで第3ストライクの宣告は、直ちに打者のアウトを意味するとは限らないことに注意しなければならない(→振り逃げ)。
球審は、第3ストライクを宣告する際、「ストライク・スリー」とコールする。
MLBでは1887年シーズンのみストライク4つでアウトにする四振が規則として採用された。反対が多かったのか翌シーズンには三振に戻された[1]。またチャーリー・O・フィンリーは試合短縮を狙って、ストライク2つでアウトにする二振をオープン戦で採用したことがある。
規定
2ストライク後にストライクを宣告された場合に三振が記録される(ストライクを宣告される場合については「ストライクが宣告される条件」を参照)。
公式記録の上で状況による区別はないが、特に目的をもって記録をつけている者はその目的に応じてしばしば区別して記録する。
- 3ストライク目が空振りである場合、空振り三振という。
- 打者が打とうとしなかった投球がノーバウンドでストライクゾーンを通過することを見逃しといい、3ストライク目が見逃しである場合、見逃し三振という。
- 2ストライク後にバントをした打球がファウルボールになった場合、スリーバント失敗と呼ばれる。なお、この場合三振だが、ファウルボールであるためボールデッドとなり、振り逃げ(下記)はできない。
打者の打席の途中で投手や打者が交代した場合に誰に奪三振や三振の記録が付くかは、公認野球規則に定められている。
- 打席の途中で投手が交代し、この打席の結果が三振となった場合は救援投手の記録となる[2][3][4]。そのため、救援投手の投球数が1球でも奪三振1が記録されることがある。
- 森滝義巳(国鉄スワローズ) - 1960年4月10日の対巨人戦で8回にのみ登板し1球1奪三振を記録[3]
- 岩﨑哲也(埼玉西武ライオンズ) - 2008年8月18日の対オリックス戦で9回にのみ登板し1球1奪三振を記録[4]
- スペンサー・パットン(横浜DeNAベイスターズ) - 2017年4月4日の対巨人戦で7回にのみ登板し1球1奪三振を記録[4]
- 近藤一樹(東京ヤクルトスワローズ) - 2017年6月30日の対阪神戦で9回のみに登板し1球1奪三振を記録[5]
- 大江竜聖(読売ジャイアンツ) - 2020年8月28日の対中日戦で7回のみに登板し1球1奪三振を記録[6]
- 久保拓眞(東京ヤクルトスワローズ) - 2022年9月17日の対中日戦で11回にのみ登板し1球1奪三振を記録[7]
- 打席の途中で打者が交代(代打)した場合 ―― 第2ストライクが記録された時に打席に立っていた打者に三振が記録される(複数の代打があった場合も同じ)[3][8]。
1人の打者に対するすべての投球がストライクとなり、3球の投球でその打者から三振を奪うことを俗に「三球三振」という。
無死または一死で、かつ一塁には走者がいない場合、もしくは二死の場合、第3ストライクにあたる投球を捕手が正規に捕球できないと、打者はアウトではなく、打者走者となって一塁に走らなければならない。これを振り逃げといい、この打者走者をアウトにするためには、内野ゴロ同様に、守備側は打者走者または一塁に触球しなければならない。それまでに打者走者が一塁に到達すれば、打者走者は一塁に生きることができる。振り逃げの成否に関わらず、打者には三振が、投手には奪三振が記録される(これにより、1イニングで4つ以上の三振が記録される場合がある。詳細は、振り逃げを参照)。
バットを掠めた投球を捕手が正規捕球(ファウルチップ)したものが第3ストライクに該当した場合も三振が記録される。打者にバットを振る意思があったかどうかは関係ない[注 1]。
三振で打者がアウトになった直後に塁上の走者が盗塁に失敗、または離塁が大きかったために触球されてアウトになることを、俗に「三振ゲッツー(三振併殺)」という。この場合、打者には三振が記録されるが併殺打は記録されない。
Kの表記について
スコアブック上で三振をKと表記する理由は諸説あり、今も明確にはなっていない。
- 「struck」の末尾の「K」を採ったとする説
- スポーツライターのヘンリー・チャドウィックによって考案された。頭文字の「S」をそのまま表記してしまうと、「Sacrifice(犠打)」と重複するためだとされる[9]。
- 「Knockout」のKを採ったとする説
- 「kill(ed)」のKを採ったとする説
- 日本語で「一死」などと言うように、「アウト」は「死」を意味する。つまり、「三振する」→「打者は死ぬ」→「投手は打者を殺した (killed)」
- 「単なる偶然」説
- ルールブック編集者がアウトにする方法を適当に箇条書きした上で、アルファベットを一文字ずつ振っていき、その結果、偶然にも三振のところに「K」が振られたとする。ただし、公認野球規則において三振になった打者がアウトになることを規定しているのは、同規則6.05のうち(b)(c)(j)[注 2]である。
奪三振
奪三振(だつさんしん)は、投手が打者を三振に仕留めることで、投手に与えられる記録である。
上記の要領で打者に三振が記録されると同時に、投手には奪三振が記録される。対戦打者の三振と対戦投手の奪三振は必ず同数になる。
試合における不確定要素を嫌うセイバーメトリクスの観点では、エラーやイレギュラーヒットなどの偶然に左右されない、重視すべきアウトカウント獲得方法とされる。
- 上記の通り、振り逃げが成功すれば投手には奪三振が記録されるものの打者はアウトにならないことから、理論上は1イニングの間に何個でも奪三振を記録できることになる。
- 投手にとって三振を取ることは、打者の狙いを完全に外すことであり、投手対打者の対戦において投手の完勝と言える。特に奪三振の多い投手は「ドクターK」(奪三振の先生)などと呼ばれ、強打者との対戦がクローズアップされるなど注目度が高い。なお、ミスターKと呼ぶと三振男(三振の多い打者)というニュアンスになるため、用いられない。
- 上記の通り、ある打者の打席途中で投手が交代した上でその打者が三振した場合は、第3ストライクを取った投手に奪三振が記録される。よって「奪三振1を記録するために必要な最少投球数」は「1球」ということになる。
- 1試合のプロ野球記録としては1952年5月13日にマイナーリーグのクラスD級において、ロン・ネッチアイ投手が回を追うごとに増す胃潰瘍による胃の痛みに耐え、9回で奪三振27という記録を達成している(同時にノーヒットノーランも達成している)[10]。
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三振数に関する記録
要約
視点
日本プロ野球
通算記録
- 記録は2024年シーズン終了時点[11]
シーズン記録
- 記録は2024年シーズン終了時点[12]
1試合記録
※延長回を跨いだ記録は参考記録として除外。
1試合チーム記録
その他の記録
- 打者9人で全員1個ずつ三振を喫する全員三振
メジャーリーグベースボール
通算記録
- 1876年以前の成績は原則としてシーズン記録は含まないが、個人通算記録は含まれる。
- 記録は2024年シーズン終了時点[23]
シーズン記録
- 記録は2024年シーズン終了時点[24]
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三振率
要約
視点
メジャーリーグの野球記録では、打者に対する「三振のしにくさ」を評価する数値として、打者が1つの三振を取られるまでにかかる平均打数を表す三振率(At Bats per Strikeout : AB/K)を用いる[注 4]。三振率は次の計算式により求められる。
- 三振率=打数÷三振数
三振率の特徴は打数を分子とすることで、四死球や犠打、失策の要素が影響せず、その打者の打撃がどれほど確実に投球を打ち返すかを表現している点である。数値が大きいほどその打者は三振しにくい。評価基準はおおむね、7.8ほどで良好、10を上回ると優秀であるとされている。また実際は打者の打率の高さともある程度の相関を持ち、いわゆる「アベレージヒッター」ほど高い数値を示す。
MLB通算記録
- 通算3000打席以上が対象、記録は2024年シーズン終了時点[25]
MLBシーズン記録
- 両打者記録はフランキー・フリッシュ(セントルイス・カージナルス、1927年)の61.7[28]
奪三振数に関する記録
要約
視点
日本プロ野球
最多奪三振
→詳細は「最多奪三振 (日本プロ野球)」を参照
通算記録
以上の記録は2024年シーズン終了時点[29]
シーズン記録
1試合記録
1イニング記録
打者連続奪三振記録
- 江夏のオールスター9連続奪三振 - オールスターゲームにおける記録。
イニング連続記録
メジャーリーグベースボール
最多奪三振
→詳細は「最多奪三振 (MLB)」を参照
通算記録
シーズン記録
1試合記録
- 2023年シーズン終了時点
- 19奪三振は延べ12回、18奪三振以下は多数
- 継投による20奪三振は7回[47]
打者連続奪三振記録
その他の記録
- 1試合両チーム三振数
- 2017年5月7日、シカゴ・カブス対ニューヨーク・ヤンキース戦で両チーム合わせて48三振(カブスは22個、ヤンキースは26個)を記録した[48]。従来の記録は1971年7月9日、オークランド・アスレチックス対ロサンゼルス・エンゼルス戦の43個だった。
マイナーリーグベースボール
1試合記録
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奪三振率
要約
視点
奪三振率とは、投手が1試合(9イニング)完投したと仮定した場合の平均奪三振数であり、次の計算式により求められる。
- 奪三振率=奪三振数×9÷投球回
この値は投手の能力を評価する指標の一つであり、高ければ自力でアウトに取る能力が高い投手と認識される。BABIPとの関わりから奪三振率の高い投手は被打率が低くなりやすいというメリットがある。評価基準は、7.5から8.0であれば高い部類に入り9.0を超えると典型的な、三振を取る投手となる。年代別に見ると、奪三振率はMLBにおいては全体的に上昇する傾向にある[49]。近年では奪三振を被打者数で割ったK%による評価が主流となりつつある。 シーズンを通しての日本プロ野球記録(規定投球回到達者)は2019年の千賀滉大の11.33(投球回180.1、奪三振227)。
MLB通算記録
- 通算2000投球回以上が対象。記録は2024年シーズン終了時点[50]
MLBシーズン記録
- 規定投球回以上。記録は2024年終了時点[53]
参考記録
- 記録は2024年シーズン終了時点[50]
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比喩
「三振」という語は、三度目の有罪判決で罪状に関係なく最大の量刑が課せられるという三振法や、新司法試験の3回しかない受験機会の全てで不合格だった者を指す三振博士のように、野球を離れて比喩的に用いられることがある。 またウェイトリフティングやパワーリフティング、シングルベンチプレスの大会で第1試技から第3試技まですべて失敗することを三振という。
脚注
関連項目
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