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中核市
日本の地方公共団体のうち、地方自治法第252条の22第1項に定める政令による指定を受けた市。 ウィキペディアから
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中核市(ちゅうかくし)とは、日本の地方公共団体のうち、地方自治法第252条の22第1項に定める政令による指定を受けた市。中核市の指定と同時に保健所政令市としての指定も受ける。政令指定都市と並ぶ都道府県の事務権限の一部を移譲する日本の大都市制度の一つであり、2014年(平成26年)の改正以降の指定要件は、「法定人口が20万人以上」となっている[1]。

所属する都道府県の議会とその市自身の市議会の議決を経て、総務大臣へ指定を申請する。
- 地方自治法は、以下で条数のみ記載する。
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概要
日本の大都市制度には、政令指定都市・中核市・特例市の別があり(後に特例市は廃止)、中核市は1996年(平成8年)から施行された。いずれも都市の規模に応じて、市に都道府県の事務権限の一部を移譲する制度であり、中核市には政令指定都市に準じた事務の範囲が移譲されている。ただし、関与の特例については行政分野の大半に認められている政令指定都市と異なり、中核市は福祉に関する事務に限られる。
その後、特例市との区別を無くそうという意見が中核市市長会および全国特例市市長会双方から出されると、これらの問題を取り扱う国の地方制度調査会も前向きな姿勢を見せ[2]、2013年(平成25年)6月25日の第30次地方制度調査会答申では、「まちづくりや環境規制の分野において一般市への事務の移譲が進展した。これを踏まえて、特例市に対して更なる事務の移譲を進めることが必要である。」「人口20万以上であれば保健所を設置することにより中核市となるという形で、中核市・特例市の両制度を統合することにより、一層の事務の移譲を可能とすべきである。」とされた。それを受けて、2014年(平成26年)5月23日可決・成立の改正地方自治法(当該部分の施行は2015年〈平成27年〉4月1日)により、特例市制度が廃止されるとともに、中核市の人口要件が「法定人口30万人以上」であったものが「法定20万人以上」に緩和されることとなった。なお、改正法施行の時点で既に指定されている特例市(「施行時特例市」と呼ばれる)を対象とする経過措置として、従来の特例市の事務権限を引き続き保持するとともに、前述の改正法施行後5年間(2020年4月1日まで)に限り、人口が20万人未満になっていたとしても中核市に移行できるとされた[注 1]。
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一覧
要約
視点
2021年(令和3年)4月1日現在、以下の62市が中核市に指定されている。
- 概ね全国地方公共団体コードの番号順と施行順に掲載。
現在移行を検討している市
かつて指定されていた市
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移譲される事務
要約
視点
地方自治法[7]第252条の22(第2編 普通地方公共団体 第12章大都市等に関する特例 第2節 中核市に関する特例)で、中核市は「指定都市が処理することができる事務のうち、都道府県がその区域にわたり一体的に処理することが中核市が処理することに比して効率的な事務その他の中核市において処理することが適当でない事務以外の事務で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することができる。」と定義され、具体的な定めは政令に委ねられている。
行政分野ごとに個別にみると、中核市は保健所を設置して保健衛生行政を担当するほか、民生行政・環境保全・都市計画・文化財の保護などの行政分野について、政令指定都市に準じた事務の範囲を都道府県から移譲されており、これらの事務処理を行使するために必要な財源として、地方交付税が増額される。もっとも、事務処理への都道府県の関与について政令指定都市においては都道府県知事や都道府県の委員会の
- a.処分(許可、認可、承認等)を要すると法令で定めている事項のうちから、政令により、その処分を不要とするか、代わりに各大臣の処分を要するものとする、
- b.命令を受けると法令で定めている事項のうちから、政令により、その命令に関する法令の規定を適用外とするか、代わりに各大臣の命令を受けるものとする、
ことになっている(第252条の19第2項)が、中核市に関しては、処分についてa.に相当する特例規定は無く、命令についてはb.に類似する特例規定はあるが、委員会の命令は対象とならない(第252条の22第2項、地方自治法施行令[8]第2編第8章)。
関与の特例が行政分野の大半に及ぶ政令指定都市と異なり、中核市における関与の特例は、福祉に関する事務のみに限定されている[9]。
このようなことから中核市の権限は、都道府県並みあるいは都道府県と同等とされ行政区設置等の特例もある政令指定都市と比較すると小さい。
中核市に移譲される事務は、すべて列挙すれば1800件程度にのぼるため、ここでは主要な事務のみを抜粋して掲載する。なお、ここに掲げるのはあくまでも標準的な中核市の例であり、都道府県が独自の条例を制定して、更に多くの事務権限を移譲することも可能である。
権限のさらなる移譲
中核市に現行で移譲されている権限は不十分で、さらなる権限委譲を実施すべきだとする主張もある[注 4]。
こうした指摘のうち、最も議論が盛んなのは、県費負担教職員(公立小中学校の教職員など)の人事権に関する問題である。現行の制度では、中核市には教職員の研修実施権限があるのみで、人事権は都道府県に留保されている。これに対して中核市側は、「研修実施権限のみ認められても、人事権がなければ成果を得にくい」として、人事権も移譲するよう求めている。都道府県側は、教職員採用希望者の都市部への集中を懸念して慎重な姿勢を示しているものの、文部科学省は人事権移譲に比較的前向きで[注 5]、実際に人事権を委譲した場合、どのような影響があるかを具体的に検討する方向で調整していたが、結局、指定都市に限ることになった。
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中核市たる要件
要約
視点
- 人口が20万以上であること。
※かつての指定要件については、[表示]タブで表示。
かつての中核市指定要件
- 人口要件について - 行政需要のまとまりと行財政能力を確保するため、保健所設置市とされる中核市の規模を保健所設置市の基準と合致させるため、制度発足の契機となった全国市長会からの提言が「人口30万以上の都市に権限を委譲すること」だったため
- 面積要件について - 行政需要のまとまりを当時の政令指定都市に準ずる規模で確保するため
- 昼夜間人口比について - 周辺市町村の中核的な都市であることを確認するため
- 2000年(平成12年)4月1日以降 (昼夜間人口比に関する要件の廃止)
- 人口が30万以上であること
- 面積が100 km2以上であること
- 地方分権推進委員会の勧告があり、また人口と面積の要件のみで充分な諸機能・行政需要・規模能力があるものと見なせるとされたため、昼夜間人口比の要件は廃止された。
- 2002年(平成14年)4月1日以降 (人口50万以上の都市における面積に関する要件の廃止)
- 人口が30万以上であること
- 人口が30万以上50万未満である場合は、面積が100 km2以上であること
- 第26次地方制度調査会答申において、行政需要・行財政能力・都道府県の行政サービスの効率性勘案の上で、権限委譲推進の観点から人口50万人以上の都市の面積要件の撤廃が盛り込まれ、これが実行された。
- 人口30万以上50万未満で面積100 km2未満の都市が大都市圏に多数集中しており、これらを全て中核市とすると保健行政をはじめとする当該府県の行政効率性に重大な影響があるとの観点から、人口50万未満の都市について面積要件は残存した。
- 人口が30万人以上であること
- 第28次地方制度審議会の結果、2005年(平成17年)12月9日の答申で「市町村合併の進展の結果基礎自治体の規模・能力は拡充され、基礎自治体を中心とする行政の展開を図ることが求められていること、既に37都市が中核市に指定されているが都道府県との関係で特段の問題が起きていないことを踏まえ、面積要件については廃止することが適当」とされ、これが実行された。
要件を満たすが現時点で指定予定のない市
人口20万人以上であるが、中核市ではない市の一覧(※は施行時特例市)。現時点で人口20万人未満の施行時特例市と、検討に入っているものの指定時期が未定の市も含む。指定予定が決まっている市は、中核市#現在移行を検討している市を参照。
茨城県つくば市※ [14]
群馬県伊勢崎市※
群馬県太田市※
埼玉県熊谷市※ - 施行時特例市の特例期限中における中核市移行は見送る方針[15]。
埼玉県所沢市※
埼玉県春日部市※
埼玉県上尾市
埼玉県草加市※
千葉県市川市 - 2020年頃より、移行を検討しはじめる。
千葉県松戸市
千葉県流山市 (2020年に人口20万人を突破している)
千葉県八千代市 (2020年に人口20万人を突破している)
千葉県市原市
東京都府中市
東京都調布市
東京都町田市
東京都西東京市
神奈川県平塚市※
神奈川県藤沢市[16]
神奈川県厚木市※
神奈川県大和市※
神奈川県小田原市※ - 2018年に財政面から断念[17]。
新潟県長岡市※ - 2023年から調査中。
新潟県上越市※ - 2017年、財政的に困難であることから中核市移行を見送った。
静岡県沼津市※
静岡県富士市※ - 移行の検討を継続。
愛知県春日井市※ -2022年度より中核市への移行を前提に具体的な検証を開始。
三重県津市
三重県四日市市※ - 2020年度の中核市移行を検討。
大阪府岸和田市※ - 中核市関連条例案を否決し、移行が困難となった。
大阪府茨木市※
兵庫県加古川市※
兵庫県宝塚市※
徳島県徳島市 - 地方自治法改正による人口要件緩和により、指定を目指すことを表明[18]。
佐賀県佐賀市※
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人口順位
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将来推計人口
要約
視点
2020年(令和2年)国勢調査の結果をもとにした国立社会保障・人口問題研究所による30年後(2050年)の推計[19]。
- 人口の単位は「人」。
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脚注
関連項目
外部リンク
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