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仙台・宮城デスティネーションキャンペーン

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仙台・宮城デスティネーションキャンペーン(せんだい・みやぎディスティネーションキャンペーン)は、宮城県を中心に南東北3県都を含む隣接県の市町も参加して開催されるデスティネーションキャンペーン (DC) の名称。略記は「仙台・宮城DC」。シンボルマークマスコットキャラクター)は「むすび丸」。

概要

かつて宮城県がDCの対象地域となったのは、東北新幹線上野駅延伸開業に合わせて1985年(昭和60年)4月〜8月に東北6県全体を対象に開催されたDCでの1回のみであった。その後、1987年(昭和62年)にNHK大河ドラマ独眼竜政宗』に伴う「政宗ブーム」が発生し、バブル景気にかけて宮城県の観光はピークとなる。バブル崩壊後、様々な観光振興策があったが、仙台・宮城DCは官民一体となって全県的に行う初めての試みであり、県経済に大きなインパクトを与えた。

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参加

DC参加団体

その他

宮城県が中心となっているDCであるため、必要な場合は知事レベル以下での協議が行われるが、2007年3月末に「南東北中枢広域都市圏構想推進協議会」が解散しているため、以下のような組織が行っている。2008年には、宮城県南部(仙南圏)と福島県北部(福島都市圏)の両県県議会議員による協議組織が結成される予定[1]

県議会議員レベル
県が設置する支庁・地方振興事務所レベル
  • 「仙台・やまがた交流連携促進会議」(2002年設立)
市町村レベル
  • 「仙台・福島・山形三市観光・物産広域連携推進協議会」(仙台市・山形市・福島市。2007年5月30日設立)
    2006年5月26日に締結した「広域観光連携の推進に関する覚書」に基いて活動してきた3市が設立。
  • 「伊達な広域観光推進協議会」(奥州市・西磐井郡平泉町・一関市、気仙沼市大崎市宮城郡松島町・仙台市。2008年4月設立)
    奥州市および一関市を除く4市町で2005年11月25日に共催した「広域観光連携シンポジウム」を元に設立。
経済団体レベル
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沿革

要約
視点

仙台・宮城DC(2008年)

仙台市景気の底と見られる2003年平成15年)を過ぎ、高速バス仙台 - 福島線を端緒とする東北地方の陸上交通の再編によって、仙台一極集中と県境を超えた経済圏の拡大とが進んでいた2006年(平成18年)にDC開催は決定した[2]。DCを機に、各県の県・市・経済団体などの各レベルで県境を越えた連携による経済活性化の議論が活発化した[3]。また、2007年(平成19年)にセントラル自動車(現・トヨタ自動車東日本)が宮城県進出を決定し、トヨタ自動車が東北地方を東海地方北部九州に次ぐ日本第三の拠点とする方向を示して投資を開始した[4] ことで、県境を越えた連携は観光以外にも広がった。

一方、2004年(平成16年)から始まったプロ野球再編問題によって仙台ライブドアフェニックス東北楽天ゴールデンイーグルス東日本旅客鉄道(JR東日本)仙台駅東口側にある宮城球場を本拠地として新規参入競争を展開し、楽天が50年振りに新規参入してチームを作り上げていく様子が連日のように全国に向けて発信されると、仙台への注目も高まり、前年の入札には全く応札がなかった日本たばこ産業 (JT) 仙台支店の跡地(JR仙台駅の南側)に同年10月、県外資本である東京都の3社が競争入札し、同年12月28日に30億円を超える額で落札された(アップルタワーズ仙台参照)。仙台の商業地の最高路線価も、2005年(平成17年)1月1日付けの137万円/m2バブル景気後の最安値となったが、県外資本や海外資本の流入によって反転上昇。2006年(平成18年)3月の仙台中央警察署跡地の入札でも予定価格の約3倍の111億円以上で落札され、最高路線価は2008年(平成20年)1月1日付けの260万円/m2まで急騰していく。このような状況は、マスメディアを中心に「仙台プチバブル[† 1]」と呼ばれた。

民間では、「仙台プチバブル」あるいはいざなみ景気の上昇感に下支えされ、仙台・宮城DCが始まる2008年(平成20年)10月1日に向けて、仙台市都心部では大型店の改装や新規出店が行われ[5]、また、仙台市郊外部では大型アウトレットモールが2つ開業する[6] など、仙台都市圏で主に物販系の投資が活況を呈し、競争が激化することになった。すなわち、仙台・宮城DCは、仙台市や宮城県、ひいては東北地方の商業地図の大規模な再編をも惹起した[7]。また、本来の観光面においては、平泉松島最上川世界遺産登録への動きが始まる一方、外国人観光客向けの「ミシュラン実用旅行ガイド」にて宮城県が「三ツ星」施設の総数で国内4位、星の総数で国内5位、首都幕府が置かれた歴史のない道県の中では最高位となり、さらにJR仙台駅構内およびペデストリアンデッキの改修、ホテルの大量進出、外資系高級ホテルの進出決定など、観光資源の再評価や投資が行われる契機となった。

しかし、2007年(平成19年)3月のキャッチフレーズ(メインテーマ)決定において三重県との間で「うまし国」論争が発生し、同年夏のサブプライムローン問題に起因する景気の減速や原油価格の高騰などのために、当初試算された経済波及効果をクリアできるかどうか不安視された。また、紅葉温泉の主要観光地の1つである栗駒山周辺で2008年(平成20年)6月14日岩手・宮城内陸地震が発生し[8]、さらに東北の夏祭りシーズン直前の7月24日にも岩手県沿岸北部地震が発生した[9] ことで、風評被害による観光収入落ち込みが発生し、その分を仙台・宮城DCで相殺できるか問題になった。また、平泉・松島・最上川の世界遺産登録が首尾よく進まず、登録特需も見込めない状態になった。

ガソリン価格の変化(単位:円/L

なお、2008年(平成20年)9月1日福田首相が辞任表明をしたことで、9月中は自由民主党総裁選挙が行われ、10月にも総選挙が実施されると目された。過去の経験から観光業界では「選挙期間中は旅行客数や宴会の予約数が低迷する」との認識があり、10月末の総選挙の実施見送りまで仙台・宮城DCにとっては更に不利な条件が加わった[10]。また、「100年に一度」と言われる世界金融危機も深刻化し、DC開幕直前の9月15日に発生したリーマン・ショック以降、景気が一気に冷え込んだ。一方で、原油価格が8月以降暴落してガソリンの小売価格も下がり、自動車での観光にはプラス要素が生まれた。また、戦国BASARAかんなぎといった宮城県を舞台とした人気のゲームアニメファンによる新たな観光や、「ゆるキャラブーム」が意図せずプラスに働いた。

さらに見る 2008年, 1月 ...

関連年表

2002年平成14年)
2004年(平成16年)
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2004年7月17日に発売開始された仙台まるごとパス
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東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地球場となった宮城県仙台市フルキャストスタジアム宮城(2005年9月)
2005年(平成17年)
2006年(平成18年)
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田代島(宮城県石巻市)のDVDに出てくるねこ太郎(2014年8月)。
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映画『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』のロケ地となった宮城県栗原市細倉鉱山旧佐野社宅(2010年2月)。2007年末までに団体客だけで6万7千人が観光に訪れた[16]
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2007年3月18日に運行開始した仙台空港アクセス線仙台空港駅(2008年1月)
2007年(平成19年)
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2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震で崩落した岩手県一関市祭畤大橋(2010年3月)
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原油価格の変化(WTIブレント原油
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2008年度に1両増車して5両体制とし、新制服および専属乗務員を配置した宮城県仙台市のるーぷる仙台。DC期間中の乗客数は前年同期比で32.4%増。
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DCを機に開湯した宮城県松島町松島温泉(2009年10月)
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アニメ「かんなぎ」のロケ地と見なされた宮城県七ヶ浜町鼻節神社(2009年4月)。ファンが「聖地巡礼」と称して訪れ、参拝客が例年の5倍以上に増加。
2008年(平成20年)

仙台・宮城DC(2013年)

関連年表

2009年(平成21年)
  • 1月16日 村井嘉浩宮城県知事が清野智JR東日本社長と東京で会談し、近い将来DCを再び宮城で開催するよう要請した[32]
  • 10月1日〜12月31日 「仙台・宮城【伊達な旅】キャンペーン」を、宮城県・仙台市・JR東日本共同で開催。
2010年(平成22年)
  • 10月1日〜12月31日 「仙台・宮城【伊達な旅】キャンペーン」を、宮城県・仙台市・JR東日本共同で開催。
2011年(平成23年)

「うまし国」論争

三重県では、2005年から毎年10月1日〜翌年3月31日の半年間、旧伊勢国および旧志摩国にあたる同県南勢地方(伊勢志摩)を対象とした観光キャンペーン「伊勢志摩キャンペーン」を行っている。また、日本書紀の巻六、垂仁天皇25年3月の条において、伊勢国をして「可怜国」(万葉仮名混交→「可(うま)怜(し)国」)と評したことに由来し[35]、この観光キャンペーンのキャッチコピーを『美(うま)し国、まいろう。伊勢・鳥羽・志摩』としている[36]

三重県の事情を知らなかった宮城県が、仙台・宮城DCのメインテーマを『美味(うま)し国 伊達な旅』と記者会見で発表すると、「美味し国」が「美し国」と被ると三重県から反発の声が出た。それに宮城県知事が問題視しないとの発言をしたため、「うまし国論争」としてマスコミを賑わす事態となった。同時期、三重県では統一地方選挙が実施されていたため(宮城県議会議員選挙も同時期実施。宮城県知事選挙は別の時期実施)、影響を与えないよう宮城県側は沈黙せざるを得なくなる一方、三重県側では政治問題化する傾向が見られ、問題が大きくなりながらも解決は選挙終了後にまでもつれ込む事態となった。

2005年
  • 10月1日「伊勢志摩キャンペーン」開催(2006年3月31日まで)。
2006年
  • 10月1日「伊勢志摩キャンペーン」開催(2007年3月31日まで)。
2007年
  • 1月29日、株式会社メディアートが『美し国、まいろう。伊勢・鳥羽・志摩』を商標登録出願[37]
  • 3月8日、宮城県が仙台・宮城DCのメインテーマを『美味(うま)し国 伊達な旅』とすると発表。
  • 3月12日村井嘉浩宮城県知事(大阪府出身)が「DCのターゲットは関東の人なので(三重を)イメージしない。全く問題ない」との見解を記者会見で示す。
  • 3月20日野呂昭彦三重県知事が、東京事務所を通し宮城県に抗議する方針を明らかにする。
  • 3月22日三重県知事選挙告示。
  • 3月26日、三重県東京事務所の戸神範雄所長が、宮城県東京事務所に今野純一所長を訪問し、野呂三重県知事の遺憾の意を村井宮城県知事に伝えるよう文書で申し入れた。同時に、伊勢国をして「美し国」とする資料を手渡した。なお、両事務所は東京都千代田区都道府県会館にある。
  • 3月30日三重県議会議員選挙告示。
  • 3月31日、当年度の「伊勢志摩キャンペーン」が終了。
  • 4月8日、三重県知事選挙および三重県議会議員選挙投票日。現職の野呂知事が再選。
  • 4月10日昼頃、村井宮城県知事が野呂三重県知事に電話し、三重県への謝意を伝える一方、仙台・宮城DCのメインテーマをそのまま使用することへの理解を求めた。仙台・宮城DC終了後については三重県の意向に配慮するとし、バーターとして宮城県の東京アンテナショップ「コ・コ・みやぎ[38]」(豊島区池袋)にて三重県の観光ポスター掲示や物産を取り扱うことなどを提案した。野呂三重県知事は記者会見で、「真摯に受け止め大人の対応をしたい」と和解する意向を示した。
  • 10月1日、「伊勢志摩キャンペーン」開催(2008年3月31日まで)
2008年
  • 10月1日、「仙台宮城DC」開催(12月31日まで)。
  • 10月1日、「伊勢志摩キャンペーン」開催(2009年3月31日まで)。

三重県は今後、「美し国」という言葉を三重県全体に広げ、世界遺産熊野古道の登録5周年や伊勢神宮式年遷宮と合わせて、2009年から2014年までの6年間を「美し国おこし・三重」に取り組むこととしている[39]

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投資

要約
視点

仙台・宮城DC前の大型店など動きは以下の通り。以下のほかに、仙台市都心部では、2006年から2007年の間にビジネスホテルを中心に7軒(合計客室数:1268室)が増え、郊外では泉IC長町IC付近にロードサイド店舗型ビジネスホテルが数軒進出した[40]。市内全域でみると、2003年度末から2008年度末までの5年間でホテル20軒が増え、客室数では約3300室(定員4990人)の増加となった[41]。その後も2009年(平成21年)には三井ガーデンホテル仙台(224室)、ホテル モンテ エルマーナ仙台(275室)、2010年(平成22年)にはダイワロイネットホテル仙台(270室)、ウェスティンホテル仙台(292室)など新規開業が相次いだ[41]。一方で既存の仙台ホテル(115室)、 仙台エクセルホテル東急(302室)、ホテル仙台プラザ(177室)は、耐震補強や空調設備の問題、宴会部門に偏った経営などにより将来の採算性が見込めず閉鎖された[41]

仙台市都心部

郊外

仙台・宮城DC前の投資により、競争が激化したことでのDC後の大型店などの動きは以下の通り。以下のほかに、2010年度には仙台トラストシティの開業による競争や東北新幹線新青森駅延伸による経済圏の変化も加わり、対抗して超高層ビルが数棟建ち、その低層部に物販・サービスが入ることが言われている。また、2015年仙台市地下鉄東西線開業までの開発計画も動いている。

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レギュラー番組

仙台放送制作、アサヒビール一社提供ミニ番組で、2006年東北6県ブロックネットで放送していた「とうほく食文化応援団浅野教授と行く、スロー風土探訪記〜[46]」の後継番組。

  • 仙台放送「とうほく食文化応援団 〜美味し国 伊達な旅〜[47]
    2007年9月30日12月30日。プレDC期間。全13回
  • 仙台放送「とうほく食文化応援団 〜美味し国 伊達な旅〜」
    2008年7月6日9月28日。DC前の3ヶ月間。家森幸子がナビゲーター。

DC期間中の主な恒例イベント

プレDC

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DCを機に名物化されたご当地グルメ

脚注

関連項目

外部リンク

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