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周遊きっぷ
JRグループがかつて発売していた特別企画乗車券 ウィキペディアから
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周遊きっぷ(しゅうゆうきっぷ)は、JRグループが1998年(平成10年)4月から2013年(平成25年)3月まで発売していた特別企画乗車券である。
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当項目では、周遊きっぷの前身にあたる遊覧券、周遊券についても記述する。
歴史
要約
視点
遊覧券~周遊券
周遊券の歴史は古く、大正時代初期には鉄道院により割引遊覧切符が発売されていた。鹿島、香取遊覧客のために7月10日から9月10日の夏期限定で、両国橋 - 銚子 - 鹿島 - 香取 - 佐原 - 上野間をどちらまわりでも良く10日間有効で3等1円85銭、両国橋または上野 - 佐原 - 香取 - 鹿島の往復が5日間有効で3等1円65銭という切符が1914年(大正3年)には発売されていた[1]。
大正時代末期の1925年10月には「遊覧券」と呼ばれる周遊券が発売された。これは観光に必要な鉄道・バス・船舶の乗車に必要な乗車船券、食事・宿泊のための券が綴られたクーポンとなっており、富士五湖廻り、香取鹿島廻り、外房廻りといった名所周遊が設定され、有効期間は21日間で、該当エリアでは途中下車自由であった[2]。本制度は鉄道省によって制定されたが、遊覧券を作成するために数々の手間を要するため、企画・販売は東京駅設置のジャパン・ツーリスト・ビューロー(現在のJTB)に委託されていた[2]。
これにより、観光に赴く旅客は事前の手配が遊覧券の手配だけで済むようになった。以降、1933年には北海道・九州内が乗り降り自由な遊覧券が設定され、1934年からは、一定の条件を満たせば、旅客が自由に遊覧券を作成できるようになった。1939年には名称を「観光券」と改める。しかし、戦時色が強くなると観光旅行自粛によるあおりを受け、1942年に一旦廃止された。
戦後、輸送事情がようやく落ち着きを見せてきた1955年に、国鉄は遊覧券と類似した「周遊割引乗車券」(周遊券)を制定した[3][4]。1959年には新婚旅行者を対象とした「ことぶき周遊券」が発売された[5]。国鉄周遊券は、ピーク時には724万人(1980年)の利用者数に達し[5]、周遊券を用いてバックパッカー旅行する若者は「カニ族」と呼ばれていた[6]。
しかし、昭和53年のダイヤ改正以降、周遊券で利用できる夜行を含めた急行列車が減少するなどの影響もあり、旧態依然の制度のままであった周遊券は1996年になると利用者数が324万人に減少した[3][7]。
周遊きっぷ
1998年4月1日からは、特定の駅のみを発駅として販売し、ゾーンに至るまでの経路が自由選択制のために曖昧になっていた売上配分の問題、大きすぎる割引率や不正利用を招きやすいゾーン券の有効日数の長さなどの問題を解決するため、旧来の周遊券の発売を取りやめた上で、条件を満たしたゾーン外の任意の駅を発駅・着駅とできるようにするなど、利用しやすくするための制度変更を行った新たな特別企画乗車券「周遊きっぷ」の発売を開始した[3][4]。
一般的に、特別企画乗車券は券面に(企)(マル企)と印字されているが、周遊きっぷに限り、周遊券時代の制度の名残として(遊)(マル遊)と印字された。
従来の周遊券と比較して若干利便性が向上したものの、国内航空運賃の低廉化、安価な高速バス利用の浸透など、長距離周遊旅行に鉄道が必ずしも選ばれないケースも増えていった。2002年度には約13万枚だった周遊きっぷの売り上げは、2011年度には約4万8000枚に落ち込んだことなどから[5]、2013年3月31日からゾーン券が利用開始になるものをもって発売を終了し、全廃された[5]。
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周遊きっぷ
要約
視点
周遊きっぷは、ゾーン券、ゆき券(出発駅からゾーンまで)、かえり券(ゾーンから出発駅まで。ゆき券、かえり券の2枚を指してアプローチ券とも総称する)の3枚から構成される[7][注釈 1]。ゾーン内のJR線では、特急(新幹線の一部を除く)および急行を含む普通列車の普通車自由席に乗車できる[7]。一組の周遊きっぷには1つのゾーンのみ指定できる。ゾーン券のみを単独で購入することはできない。出発駅は全国JRどの駅にも設定できる[7]。
有効期限は五日間[7]。発売金額は、ゾーン券・ゆき券・かえり券の合計となる。ゾーン券の額はゾーン毎に決められている(周遊ゾーンの一覧を参照)。ゆき券・かえり券の額は各区間・経路の所定運賃の二割引(学割は三割引)である[7]。ただし、東海道新幹線を利用し、片道の営業キロが201km以上600km以下となる場合は、所定運賃の5%引(学割は20%引)となる。
年表
当初67ヶ所設定されたゾーンは[7]、年々統合や減少を続けてきた。
- 1998年4月1日 - 「周遊きっぷ」発売開始[3][7]。以下の67の周遊ゾーンを設定。
- 北海道ゾーン、札幌・道東ゾーン、札幌・道北ゾーン、札幌・道央ゾーン、札幌・道南ゾーン、釧網ゾーン、札幌近郊ゾーン、青函ゾーン、青森・十和田ゾーン、秋田・白神ゾーン、田沢湖・十和田湖ゾーン、盛岡・陸中海岸ゾーン、一ノ関・南三陸ゾーン、山寺・松島ゾーン、庄内・最上ゾーン、福島・蔵王ゾーン、福島・会津ゾーン、いわき・福島ゾーン、水戸・郡山ゾーン、日光・塩原ゾーン、水戸・鹿島ゾーン、北房総ゾーン、南房総ゾーン、上州・両毛ゾーン、越後・新潟ゾーン、越後湯沢・弥彦ゾーン、白根・越後湯沢ゾーン、白馬・諏訪ゾーン、妙高・軽井沢ゾーン、諏訪・かいじゾーン、東京ゾーン、湘南・熱海ゾーン、富士・箱根ゾーン、大井川・浜名湖ゾーン、三河湾・日本ラインゾーン、木曽路・恵那峡ゾーン、飛騨・奥飛騨ゾーン、鳥羽・熊野ゾーン、奥三河・伊那路ゾーン、富山・高岡ゾーン、加賀・能登ゾーン、越前・若狭ゾーン、近江路ゾーン、京阪神ゾーン、播磨ゾーン、南紀ゾーン、北近畿ゾーン、鳥取・倉吉ゾーン、松江・出雲ゾーン、石見(A)ゾーン、石見(B)ゾーン、岡山・倉敷ゾーン、福山・尾道ゾーン、広島・宮島ゾーン、津和野・秋芳・萩ゾーン、下関・北九州ゾーン、高松・松山ゾーン、徳島・室戸・高知ゾーン、四万十・宇和海ゾーン、四国ゾーン、九州ゾーン、福岡ゾーン、長崎・佐賀ゾーン、大分ゾーン、熊本ゾーン、宮崎ゾーン、鹿児島ゾーン
- 2002年10月1日 - 山陰ゾーン新設。以下の30の周遊ゾーン発売終了。
- 釧網ゾーン、秋田・白神ゾーン、盛岡・陸中海岸ゾーン、一ノ関・南三陸ゾーン、庄内・最上ゾーン、福島・会津ゾーン、いわき・福島ゾーン、水戸・郡山ゾーン、日光・塩原ゾーン、水戸・鹿島ゾーン、北房総ゾーン、南房総ゾーン、上州・両毛ゾーン、越後湯沢・弥彦ゾーン、白根・越後湯沢ゾーン、妙高・軽井沢ゾーン、諏訪・かいじゾーン、湘南・熱海ゾーン、富士・箱根ゾーン、大井川・浜名湖ゾーン、三河湾・日本ラインゾーン、木曽路・恵那峡ゾーン、鳥羽・熊野ゾーン、奥三河・伊那路ゾーン、播磨ゾーン、鳥取・倉吉ゾーン、松江・出雲ゾーン、石見(A)ゾーン、石見(B)ゾーン、福山・尾道ゾーン
- 2002年12月1日 - 北海道ゾーン10日間用が新設。
- 2003年4月1日 - 和歌山・高野山ゾーン新設。
- 2004年1月28日 - 青森・十和田ゾーン発売終了(1月27日利用開始分までの発売)。
- 2004年6月1日 - 青函ゾーン発売終了。
- 2004年12月1日 - 越後・新潟ゾーン、白馬・諏訪ゾーン発売終了。
- 2006年9月1日 - 和歌山・高野山ゾーン発売終了。
- 2010年4月1日 - 田沢湖・十和田湖ゾーン、山寺・松島ゾーン、福島・蔵王ゾーン発売終了。
- 2012年4月1日 - 以下の19の周遊ゾーンが発売終了。
- 北海道ゾーン(10日間用)、札幌近郊ゾーン、飛騨・奥飛騨ゾーン、富山・高岡ゾーン、加賀・能登ゾーン、越前・若狭ゾーン、近江路ゾーン、南紀ゾーン、北近畿ゾーン、山陰ゾーン、岡山・倉敷ゾーン、広島・宮島ゾーン、津和野・秋吉・萩ゾーン、下関・北九州ゾーン、高松・松山ゾーン、徳島・室戸・高知ゾーン、熊本ゾーン、宮崎ゾーン、鹿児島ゾーン
- 2013年3月31日 - 発売終了[5]。
購入方法
ゆき券の利用開始日の1か月前から「みどりの窓口」および旅行会社で発売される。ただし、ゾーン券に購入する駅および旅行会社が含まれる場合は購入できない。例えば、東京都内の駅の「みどりの窓口」・旅行会社の窓口では「東京ゾーン」のゾーン券を含む周遊きっぷを購入できない。
購入に際しては、出発駅(=帰着駅)、ゆき券・かえり券の経路および出入口駅(または航空便)を指定する。JRでは窓口で配布される専用の申込用紙に記入する。
購入・利用に関する諸規定
- ゾーン券とゆき券・かえり券は、券は分かれているが一体のきっぷであり、ゾーン券使用中はかえり券を必ず所持していなければならない。なお、JR四国・JR九州では切り取り線で切り分けることができる、全てが一体となった補充券型のきっぷ(ゾーン名やゆき券・かえり券の発着駅・経路などはすべて手書きまたはゴム印で記入。ゾーンの詳細は別紙を添付)が存在した。
- 通常の乗車券と異なり、ゾーン券は在来線と新幹線を別の路線として扱う。そのため、ゾーン券で在来線に乗車できても、並行する新幹線に乗車することはできない(特急券のほかに乗車券も必要となる)ケースがある(特に、2012年4月1日以降は新幹線をゾーン内に含むケースが全くなくなった)。また、ゆき券・かえり券についても、東海道新幹線だけは在来線(東海道本線)とは別の路線として取り扱う(詳しくはゆき券・かえり券の発売条件の項を参照)。
- 使用開始前であれば、周遊ゾーン、ゆき券・かえり券の区間・経路を1回に限り変更できる。使用開始後は、東海道新幹線と東海道本線との相互の変更以外は不可となる。また、使用開始前の券片であれば、使用開始日を変更できる。
- 払い戻しは、すべての券片が未使用であれば、所定の手数料を差し引いて払い戻される。ゆき券のみを払い戻すことはできず、ゾーン券とかえり券を一緒に払い戻さなければならない。ゾーン券の使用後に払い戻す場合は、かえり券のみ払い戻すことができる(ゾーン券の払い戻しはできない)。
アプローチ券
アプローチ券とは、乗車駅から、周遊ゾーンの入口(出口)駅との間を往復する切符「ゆき券」「かえり券」の総称である。ゆき券・かえり券の区間で特急・急行列車、指定席・グリーン車・寝台車などを利用する場合は、別に特急券・急行券、指定券・グリーン券・寝台券などを購入する必要がある。なお、これらはゆき券・かえり券とは別の扱いであるため、条件さえ満たせば特急券や急行券の乗継割引・エクスプレス予約などの割引制度も適用される。
発売条件
ゆき券・かえり券の区間・経路は、通常の片道乗車券の要件 の他、複数の条件を満たす必要がある。
通常の片道乗車券の要件とは、具体的には次のようなものである。
- 出発駅とゾーンまでの経路は自由に指定でき、ゆき・かえりの経路が同一である必要はない(もちろん同一でもよい)。
- 運賃や有効期間は実際の乗車経路に従って計算する。
- 通常の乗車券と同様に、出発駅・帰着駅が特定都区市内駅に該当する場合は、その都区市内の中心駅を出発・帰着するものとして運賃・有効期間を計算する。
- 出入口駅が特定都区市内駅である場合は、その都区市内の中心駅に発着するものとして扱う。
- 経路特定・列車特定・選択乗車なども通常通り適用の対象となる。
また、ゾーンが北海道・四国・九州であれば、片道のみ指定された空港に発着する空路を利用することができる(航空券でゆき券もしくはかえり券を置き換える形になる)。この場合、航空券を同時に購入するか、予め購入した航空券(引換証)を提示する必要がある。航空券(航空運賃)の種類に制限はない。なお、出発・帰着する駅と空港が異なる地域にあってもよいが、空港への交通にJR線を利用する場合でもその区間をゆき券・かえり券の経路として組み込むことはできない。ゾーンに対して指定された空港とゾーン内の間の交通についても同様。
その他、以下のような周遊きっぷのゆき券・かえり券に特有の制限がある。
- ゆき券・かえり券はそれぞれJR線の営業キロで201キロ以上乗車しなければならない。
- 出発駅と帰着駅は同一でなければならない。
- ゾーンには出入口となる駅が指定されており、ゆき券は出発駅から周遊ゾーンの入口駅まで、かえり券は周遊ゾーンの出口駅から帰着駅までとなる。入口駅と出口駅は同一でも異なっていてもよい。なお、出入口に指定されていなければ、ゾーン区間の端に位置する駅であっても、その駅までのゆき券・かえり券は発売できない。
- ゆき券・かえり券は片道乗車券でなければならず、連続乗車券となってはいけない。また、他のトクトクきっぷや企画乗車券類(青春18きっぷなど)を組み込むこともできない。
- 「出入口駅、またはゾーン末端駅を在来線で通過して別の出入口駅まで」という経路のゆき券・かえり券は発売できない。例えば、本州から九州ゾーンへ入る際、一旦在来線でゾーン内に入ったあと小倉駅から博多駅まで山陽新幹線(九州ゾーンに含まれない)を利用したい場合、入口駅を博多駅とすることはできず入口駅を門司駅にしなければならない。同様の例として、肥前旭駅以南から長崎・佐賀ゾーンに入る場合、鳥栖駅(出入口駅)を鹿児島本線(ゾーンに含まれない)で通過して博多駅を出入口駅にすることもできない。一方、山陽新幹線で九州ゾーンに入る場合、入口駅は小倉駅から鹿児島中央駅間の山陽・九州新幹線停車駅のいずれ(新水俣駅・出水駅を除く)でもよい。
- 会社線を含むゆき券・かえり券は購入できない。ただし、線内を通過するJR線との直通列車がある以下の第三セクター鉄道は、両側をJR線に挟まれた形(通過)であれば利用可能である。この場合、JR線の運賃は通過連絡と同様に、会社線前後のJR線の営業キロ・運賃計算キロを通算して算出する。
- バスを含むゆき券・かえり券も購入できないが、以下に挙げるJRバスは相当する区間のJR線を経路に含めることで乗車できる(高速バスの運賃は必要ない)。ただし、表記の区間のみの乗車に限られ、途中乗降や乗り越しは認められない。同区間に違う名前のバスが設定してある場合でも、表記の名称のバスの乗車に限られる(「ニュードリーム号」・「青春ドリーム号」・「東海道昼特急」などは利用できない)。昼行便は、ゆき券・かえり券の提示でそのまま乗車できるが、東名ハイウェイバスのS特急・超特急・直行の東京駅乗車時など、乗車地・便によっては、乗車前に窓口できっぷを提示して便の指定を受ける必要がある。夜行便を利用する場合には、別に「JR夜行バス周遊利用券」を必要とする(おとなの金額を区間の右側の< >内に示す。こども用・学割用もあり)。
- 東海道新幹線に関しては、全区間に渡って東海道本線とは別の路線として扱う。そのため、経路として新幹線を指定した区間は在来線には乗車できず、逆に東海道本線を指定した区間では新幹線には乗れない。この扱いは東海道新幹線区間だけのもので、その他の新幹線については通常の片道乗車券と同じ条件で取り扱う。なお、使用開始後でも東海道新幹線と東海道本線相互間の経路変更を行うことはできるが、不足額が発生した場合は差額を徴収され、余剰額が発生しても払い戻しはない。
- 東海道新幹線以外の新幹線で、ゾーン内にある新幹線専用の出入口駅まで(から)経路として新幹線を指定していた場合、在来線の出入口駅区間から(まで)は選択乗車として在来線に乗ることはできない。
- ゆき券・かえり券の経路上の駅、及びゾーン内の各駅にて駅レンタカーを利用する場合、レンタカー料金が特別企画乗車券の『レール&レンタカーきっぷ』を利用した場合と同額の割引を受けることが可能であった(2012年3月31日の利用開始分まで)。
運賃
ゆき券・かえり券の運賃は、次のように計算する。
- JR線の運賃は2割引(学割は3割引)。いずれも10円未満の端数は切り捨て。
- 会社線の運賃には割引が適用されない。しかし、学割を利用した場合に限り、青い森鉄道線を101km以上通過連絡する場合の同線運賃は2割引(10円未満の端数は切り上げ)となる。
- ただし、ゆき券またはかえり券の経路内に東海道新幹線を含み、東海道新幹線を含む券のJR線の距離が営業キロで600キロ以内である場合は5%引(学割は2割引)となる。
ゾーン券
ゾーン券はそのエリアと発売額が決められており、ゾーンに指定された区間内では特急・急行・快速・普通列車の普通車自由席に乗車できる。ゾーンによっては私鉄やバスが含まれているものもあり、その区間内も乗降自由となる。ただしゾーン内に含まれる区間でも高速バスは除外されるなど条件付きの場合がある。
ただし、特急・急行列車の指定席やグリーン車、寝台車に乗車する場合は乗車券としての効力のみとなり、それぞれ指定席料金やグリーン料金、寝台料金だけでなく、特急・急行料金も必要となる。ゆき券またはかえり券とゾーン件を併用し、ゾーン外からゾーン内へ(ゾーン内からゾーン外へ)直通する特急・急行列車で自由席を利用する場合は入口駅からの(出口駅までの)特急・急行料金が必要となる。また、快速・普通列車のグリーン車(指定席、自由席)、普通車指定席を利用する場合は、それぞれグリーン料金、指定席料金が必要となる。
また、俗に“ヒルネ”と呼ばれる寝台特急の座席利用についても、別途「立席特急券」を購入しなければならない(立席特急券の料金は、自由席特急券と同額であるが、立席特急券は指定券の一種であるため)。
2012年3月31日まで設定されていたゾーンには新幹線区間(自由席利用)が含まれているものも存在した。
有効期間
有効期間はゆき券・ゾーン券・かえり券でそれぞれ別々に指定される。
ゆき券・かえり券については、片道乗車券の有効日数と同様に、ゆき券・かえり券の有効日数=乗車するJR線の営業キロ÷200+1(小数点以下切り上げ)として計算される。ゾーン券の有効期間は、一律5日間である[7][注釈 2]。
ゾーン券の有効開始日はゆき券の有効期間内でなければならず(最低1日は有効期間を重ねなければならない)、かえり券の有効開始日はゾーン券の有効期間内でなければならない(同様)。そのため、周遊きっぷ全体での最長の有効日数は、「ゆき券の有効日数+ゾーン券の有効日数+かえり券の有効日数-2」(日)となる。空路を利用する場合も同様で、ゆきに航空機を利用する場合、ゾーン券の有効開始日は航空機の搭乗日と同日となり、かえりに航空機を利用する場合、航空機の搭乗日はゾーン券の有効期間内でなければならない。
ゆき券: | ○○○ | ● | |||
ゾーン券: | ● | ○○○ | ● | ||
かえり券: | ● | ○○○ |
実際にはゾーン券の有効開始日はゾーン券の使用開始日となるため、入口駅から先へ進んだ時点でゆき券の残余日数は無効となる。同様に、仮にゾーン券の有効期間が残っていても、かえり券はゾーンを出る日から有効にしなければならない。ゾーン券の有効開始日は購入時に予め指定しなければならず、それより遅く使い始めるのは構わないが、その場合でも購入時に決まった有効期間の終了日は変化しない。
ゆき券: | ○ | ● | ・・・ | ・ | ・・ |
ゾーン券: | ● | ○○○ | ● | ||
かえり券: | ● | ○○○ |
特に、夜行列車などで日付の変わる直前にゾーンに入ったり、朝早くゾーンを出るときなどは、ゾーン券の有効日数のうちの1日をわずか数時間や数分で消費してしまうことがある。もしも日付が変わる直前に入口駅を通過したり、ゾーン内に入った直後に所用などでゾーン券を使わずに数日過ごす場合などは、入口駅から最低限必要な区間の乗車券を別途購入してゾーン券の使用開始日を遅らせるなどといった工夫が有効となることもある。これに関連して、ゆき券の有効期間内であれば、ゆき券を使用した後でもゆき券を持っているという前提で、あらかじめ設定したゾーン券とかえり券の使用開始日をそれぞれ前倒しするように変更することも可能である。
周遊ゾーンの一覧
周遊ゾーンは当初67種類設定されていたが、利用者の少なさを理由に2002年に30のゾーンが廃止され、以後いくつかの新設・廃止を経て、2012年4月時点で13の周遊ゾーンがあった[8]。
以下に周遊ゾーンの一覧を挙げる。< >内はゾーン券のおとなの価格。こどもは半額(5円の端数を切り捨てるか切り上げるかはゾーンによって異なる)。
2013年3月31日発売終了時点
以下の周遊ゾーンは2013年3月31日をもって発売廃止となった[9]。
過去
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周遊券
要約
視点
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日本国有鉄道においては、1955年より周遊割引乗車券(周遊券)を制定した[3][4]。オーダーメイド型の普通周遊乗車券と、レデイメイド型の均一周遊乗車券に大別され[5]、一般周遊乗車券は国鉄窓口ではなく日本交通公社(JTB)などの旅行代理店で購入する必要があった一方、均一周遊乗車券は国鉄窓口でも発売されていた[5]。民営化後JR各社の全面直営となった旅行センターでは、一般周遊乗車券はJR九州の一部店舗で扱うのみだった。
第1条 この規程は、日本国有鉄道が指定する観光地(以下「周遊指定地」という。)を周遊する旅客に対し、旅客運賃の割引きを行なうことによって、周遊旅客の利便と周遊旅行の増進とを図ることを目的とする。
第3条1 この規程によって周遊旅行を行なう旅客に対して発売する周遊割引乗車券の種類は、普通周遊乗車券及び均一周遊乗車券の2種とする。
2 均一周遊乗車券は、北海道周遊乗車券、東北周遊乗車券、南近畿周遊乗車券、山陰周遊乗車券、四国周遊乗車券及び九州周遊乗車券とし、各均一周遊乗車券に東京発用、名古屋発用、大阪発用及び博多発用(南近畿周遊乗車券については大阪発用を、四国周遊乗車券及び九州周遊乗車券については博多発用を除く。)を設ける。—周遊旅客運賃割引規程(昭和30·1·20 日本国有鉄道公示第20号)[10]
数々の改定を経て、1972年以降、JR発足後もしばらくの間、以下の種類の周遊券が設定されていた。また、周遊券に関する規定として「周遊割引乗車券発売規則」を定め、1983年に特別企画乗車券制度が制定されても、周遊券は別の取り扱いとした。周遊券には、特別企画乗車券と同じように、券の左上に丸で囲った「遊」のマークがある。
一般周遊券 (普通周遊乗車券)
1955年(昭和30年)に発売された、下記の条件を満たせば、旅客自身が自由に旅程を決めることができる周遊券である。
- 日本各地に設定した周遊指定地(117か所)を2か所以上(上限はない)訪れること[10][11]。ただし、特定周遊指定地(14か所)を訪れる場合は1か所でよい(1980年〈昭和55年〉から)。なお、管理局(国鉄時代)・支社等(JR化後)指定により、管内の周遊指定地1か所のみで「ワンポイント周遊券」としても発売された。また、準周遊指定地は何か所訪れても上記の「1か所」には含めない。(準周遊指定地は、時刻表に「遊」マークのある定期観光バスに乗車する(乗車券を行程に含める)ことによって「1か所」に数える。)
- 出発地と帰着地は同一市町村・東京23区内とすること[10]。同一市町村・東京23区内であれば、発着駅は異なっていてもよい。
- 国鉄線・連絡する会社線(経由社線・指定地接続線)の乗車券区間が、全て連続している(同一市町村内・東京23区内各駅と特別に乗り換えを認める区間以外に、乗車券の連続しない区間がない)こと[10]。
- 国鉄線・鉄道連絡船・国鉄高速バス(1968年〈昭和43年〉以降)を営業キロで101キロ(1964年〈昭和39年〉以降201キロ)以上利用すること[10][12]。ことぶき周遊券は二等車限定で600キロ以上[12]。
- 必要な乗車船券をすべて一括で購入すること[10][12]。
- 出発地から周遊指定地(準周遊指定地を含む。以下同様)まで、周遊指定地間、最終周遊指定地から出発地までの何れも著しく迂回とならない経路を選択すること。ただし、「著しく迂回」の定義があいまいで、発券取扱い者の裁量に任されていた他、1か所には数えないものの準周遊指定地となっている国鉄駅(JR駅)も数多くあったことから、見た目が迂回でもそれらの駅を経由することで多くの周遊地を訪れている(周遊地の上限はない)という解釈も可能だった。
運賃は、正規の運賃から、国鉄線・連絡船2割引(発売当初は1割引[11][13])、国鉄バス・会社線1割引にし、有効期間1か月として発売した[13]。当初は近隣の指定地を回ることで往復乗車券としての利用を抑制するため、指定地間の運賃が他の運賃の10 %以上なければいけなかったが、1964年(昭和39年)に廃止された。
なお、この場合の乗車券は別に規定がない限り「普通乗車券」と同じ規則・規定が適用され、不乗区間の距離通算(遠距離低減制の適用)や指定地接続線などを別途片道(往復)として購入することも任意であった。
- 1959年(昭和34年)には、新婚旅行客向けに「ことぶき周遊券」を設定した。当初は1等または2等を601キロ以上乗車する場合に発売していたが、数々の改定の後、新婚旅行であるか否かに関わらず、夫婦向けの「グリーン周遊券」となった。発売条件は一般周遊券と同じであるが、加えてグリーン車またはA寝台を201キロ以上利用することも条件であった。運賃は一般周遊券と同じ割引率であったが、加えて特急料金・急行料金・グリーン料金・指定席料金が2割引であった。ただし、1992年(平成4年)から運転を開始する「のぞみ」の特急料金は割引を適用しなかった。この他、「ことぶき周遊券」、「グリーン周遊券」の新婚旅行利用時には、見送り用の入場券が10枚無料で添付された。
普通周遊券は、旅行日程に切符を冊子つづりにして発行され、改札においては順番にちぎって渡す形であった[14]。また途中下車も自由であった[15]。
なお、周遊指定地は国鉄が決めていたため、観光地が周遊指定地に指定されると、「国(実際には国直営ではなく公共企業体日本国有鉄道である)から観光地としてお墨付きをもらった」という一種のステータスがつくため、「ぜひ我が街の名所を周遊指定地に」といった陳情が国鉄に行われたケースも多い。また、駅名標と並べられた名所案内にも「国鉄周遊指定地」と表記されていることも多かった。これはJR化後も引き継がれて「JR周遊指定地」と記されていた。
こうした経緯もあり、周遊券の廃止により「周遊指定地」の意味がなくなっても、すぐに時刻表地図から元の周遊指定地を消すわけにはいかず、「周遊おすすめ地」というやや苦しい表記に変更された。『JR時刻表』では現在でも掲載が続いているが、サイズが小さい『コンパス時刻表』などではすでに掲載を取りやめており、『JTB時刻表』でも2017年11月号から掲載を取りやめている[16]。
均一周遊乗車券



自由乗車エリアが広範囲であるワイド型と、範囲を絞ったミニ型の二種類が存在した[5]。
- 例:「東北ワイド」「北陸ワイド」「京阪神ミニ」「福岡・唐津ミニ」など[5]。
ワイド周遊券(ミニ周遊券登場以後、「一般用均一周遊乗車券」)
1956年(昭和31年)に発売された、需要の見込まれる地域から周遊地域への往復分の国鉄乗車券(九州、四国では片道関西汽船を利用できるものもあった)と、周遊地域での国鉄線が乗り降り自由(自由周遊区間)となる周遊券[10][11]。あらかじめ指定し、特定の運賃としたため、駅で常備でき、旅客からの申し出ですぐに発券できた。出発地と自由周遊区間の往復は、出発地ごとにあらかじめ定められたいくつかの経路の中から選べ、往復の経路は異なっていても良く、途中下車も可能であった。
有効期限は7 - 20日間[6]。また、均一周遊乗車券では、経路上・自由周遊区間の周遊指定地への指定地接続線も1割引で購入できた。長期休暇のある学生の需要を期待し、学割は普通乗車券の2割引に対し3割引とした[6]。
きっぷはA券片とB券片のセットで、出発地から自由周遊区間までの移動時はA券片とB券片を携行し[10]、自由周遊区間に入って最初に下車した駅でA券片を駅係員に渡し、自由周遊区間内を移動中と、自由周遊区間から出発地に帰るときにはB券片のみ携行するようになっていた[10]。
- 最初に指定されたのは北海道で[6]、以後、九州、四国、東北…と徐々に拡大していった。後に、ゆき・かえり、及び自由周遊区間で急行列車の普通車自由席の利用を認めた。特急列車が増加すると、自由周遊区間内に限り、特急列車の普通車自由席の利用を認めた。しかし、急行列車の指定席および、特急・急行列車のグリーン車、寝台車の利用時(座席利用も含む)に特急、急行料金(普通車自由席利用時と同額)免除はなかった。
- 航空機の増発と利便性の向上により、東京と北海道・九州間の鉄道のシェアが減少し始めたことから、1965年(昭和40年)から新たに、片道は国鉄線・片道は航空機を利用することができる「立体周遊券」(北海道[11]・九州)を設定した。これが発展して、自由周遊区間までの往復の交通機関(国鉄線・JR線、航空機、船舶)を旅客自身が決めることができる「ニューワイド周遊券」(北海道・四国・九州)となった[5](往復の交通機関のきっぷは同時購入。往復の運賃は、指定された交通機関に限り、一般周遊券と同率の運賃の割引をする。航空機は各航空会社が設定した割引運賃を適用する)。
- 以後、北海道ワイド周遊券で十和田湖周辺を行きまたは帰りに通過できるオプション券の発売、北陸ワイド周遊券で周遊地に能登を追加する「能登付随券」、東日本の信州ワイド周遊券[17] で片道だけ名古屋経由にできる「名古屋経由券」が設定された。
- 南近畿ワイド周遊券はJR化後もしばらくは紀和〜和歌山市間の利用は認められず、和歌山市まで行く場合は、紀和〜和歌山市間の乗車券が必要(急行列車の自由席利用の場合は急行券も必要)であったが、後に紀和〜和歌山市間の利用も認めた。国鉄バス・JRバスには一部で利用できない路線もあった。一方、自由周遊区間内・出発地からの経路に接続する経由社線・指定地接続線に指定された社線区間(国鉄・JR線は除く)については、一般周遊券と同様に1割引で別途購入が可能であった。(下記の「ミニ周遊券」も同様)
- 南近畿ワイド
- 山陰ワイド
ミニ周遊券 (特殊用均一周遊乗車券)
1970年(昭和45年)、大阪万博輸送以後の旅客減少傾向の歯止めに発売開始された周遊券で、従来の均一周遊乗車券(ワイド周遊券)に比べて自由周遊区間を狭く、価格を低く、有効期間を短く設定した。ゆき・かえり、及び自由周遊区間で急行列車の普通車自由席の利用を認めた。ただし、自由周遊区間内の特急列車の普通車自由席利用は認めず、急行列車の指定席、グリーン車、寝台車の利用時に急行料金免除はなかった。
- 東京ミニ
- 鹿児島ミニ
- 能登加賀温泉ミニ
- 山口秋芳洞ミニ
ルート周遊券
1972年(昭和47年)から発売され、一般周遊券のモデルコースを国鉄独自に設定したもので、季節や時期によって様々なルートを設定し、割安な運賃で発売した。メインルートのほかに付属のコースとしてのサブルート、レンタカーを利用できるレンタカールートも存在し、多様であったが、次第に利用の少ないコースが廃止され、縮小された。JR化後も発売されたが、全コースの一覧が時刻表のページ1枚にも満たない程度になり、数年で発売休止となった。販売休止後は、「立山黒部アルペンルート」のみ、JR東日本・JR東海・JR西日本がそれぞれ後継となる企画乗車券「立山黒部アルペンきっぷ」の販売を始めている。
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脚注
出典
参考文献
関連項目
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