トップQs
タイムライン
チャット
視点

廃校

学校の統廃合や閉校などの理由でその経営をやめること、廃止すること ウィキペディアから

Remove ads

廃校(はいこう)とは、学校が統廃合などの理由でその経営を廃止すること。また、そのような状態になった学校施設の跡地のこと[1]。幼稚園(広義的には、認定こども園を含む)や保育所は廃園という。また、短期大学・大学・大学院の場合は廃学ということもある。類似する意味として、休校もあるが、そちらは基本的に将来的な再開を目標とするので、性質的に完全に消滅させることを意味する廃校とは異なるものの、中・長期間休校または廃校に準ずる形で無期限休校になったり、一部では休校していた学校がそのまま廃校となってしまった事例もある。

「閉校」はインフルエンザなどの蔓延を防ぐために学校が一時的に閉鎖される「学校閉鎖」などの意味で使用されることもあるため、厳密的には「廃校」と同義ではないが、「廃校」という用語がネガティブな印象を与えるという指摘があり[要出典]、現在は「閉校」の用語を多用し、「廃校」の語を避ける傾向にある。また、上述のように「休校」は将来的な再開を目的としているものの、他校との統合によって旧来の学校単体としては再開することが不可能な状態となっているにも拘わらず、「廃校」や「閉校」ではなく「休校」としている例もみられる[注釈 1]

Remove ads

日本における廃校の状況

要約
視点

第二次世界大戦後の廃校の発生理由としては、以下のようなものが指摘されてきた。

  1. 戦災による施設の喪失と就学人口の減少(広島市など)
  2. 昭和の大合併」による統合市町村における統合施策
  3. 過疎地域における就学人口の減少
  4. 危険施設の改築と学校統廃合時の新校舎建設との間に補助金の額に差があったこと
  5. ドーナツ化現象による都心部での就学人口の減少

一方、20世紀末ごろからは、少子化によって就学人口が全国的に減少しており、廃校の発生も増加している。これまで就学人口の急増と施設の不足が問題となっていた大都市圏の郊外においても、急激な人口構成の変化(高齢化)が起こりやすい住宅団地を中心に、局地的な就学人口の減少と廃校の発生がみられる。

1983年以降の第二次ベビーブーム世代の受験者増加に対応して、進学率を抑制することなく軒並み増設された高等学校(広義的には高等専門学校も含む)でも、生徒数(高等専門学校の場合は学生数)の減少により、志願生徒数が減少した高等学校廃校の対象[注釈 2]になっている。

公立学校の場合、その学校に充てる設備、一部の教員など、様々な面で学校に掛かる費用は市区町村の税金によって賄われる。しかし、学校の子供の人数が減少し、今後も増加の見込みがなくなると、空き教室が大量にある学校は、それだけでも行政側の大きな負担となる。そこで学校を閉鎖し、近くの学校と統合することにより、そこに必要な教員の数も減らすことができ、行政の負担が軽減する。しかし、学校は地域にとって愛着のあるものでもあり、廃校するに当たって、地域で様々な議論がなされるのが常である。

私立学校においては、学校の運営資金は、入学金や授業料など、園児・児童・生徒の負担によって賄われている。したがって、子供の数の減少は学校運営に深刻な影響を与え、学校法人の運営が正常に行えなくなり、ついには倒産し、廃校(廃園)となる。その学校の園児・児童・生徒・学生や、教職員は転校(転園)・転職を余儀なくされる。特に教職員の場合は倒産・廃校(廃園)が即失業に繋がるため、深刻な問題である。

廃校(廃園)跡は、学校施設を改装し新たな施設として再利用されることもあるが、活用できずにそのまま放置され廃墟状態になっているものもある。廃墟と化した学校跡地は治安の悪化を招くこともあり、これも問題となっている。2003年4月に文部科学省の廃校施設の実態及び有効活用状況等調査委員会が、廃校利用の模範的なケース50件を選定し発表した。

2024年令和6年)5月1日現在、2004年平成16年)度から2023年(令和5年)度に発生した廃校の延べ数は8,850校であり、うち施設が現存する7,612校のうち5,661校(74.4%)が何らかの用途で活用されている[2]

活用の主な用途は、学校(大学を除く)、社会体育施設、社会教育施設、企業・法人等の施設、体験交流施設、福祉・医療関連施設など多岐にわたる[2]。その一方で活用されていない現存廃校は1,951校(25.6%)であり、その主な理由として「地域等からの要望がない」「建物が老朽化している」等が挙げられている[2]。近年は、地方公共団体と民間事業者が連携し、創業支援オフィスや地域産品加工施設等として再生する動きもみられ、地域経済の活性化に資する事例が増加している[1]

なお、廃校の発生は少子化過疎の進行と関連が深く、学校規模の適正化・配置をめぐっては統合や存置の判断、コミュニティ・スクール特認校の活用など複数の選択肢が政策上整理されている[3][注釈 3]

Remove ads

廃校舎の再利用

要約
視点

学校は地域にとって象徴的な意味合いを持つ場合が多いため、廃校になった校舎を様々な形で再利用する試みが各地でなされている。特にテレビドラマ映画では、劇中の雰囲気を演出として出すために、使われていた教室などをそのままロケーション撮影のためのセットとして使用することがある。その映画やドラマが大ヒットすると撮影に使われた教室などを展示する試みもある。→巡礼 (通俗)も参照

ただし、国庫補助金を受けて整備された学校施設を学校教育以外の施設に転用する場合には、文部科学大臣の承認を経た上で、国庫補助相当額を国に納付する転用手続が必要であり[4]、その財源がない場合、廃校ではなく形式的に休校とすることもある[5]

文部科学省においては、急速な少子高齢化の進展、産業構造の変化等の社会経済情勢の変化に対応するとともに、既存ストックを効率的に活用した地域活性化を図るため、一定の要件を満たせば、国庫納付を要さず、報告書の提出をもって手続が済む簡素な取扱いにするなど、転用手続の弾力化・簡素化を図っている[6]

東日本大震災では、旧埼玉県立騎西高等学校福島県双葉町からの避難所として利用され、同町の仮役場も置かれた。また旧岩手県立宮古高等学校川井校災害ボランティア向けの宿泊施設として使用された。

コロナ禍では、江戸川区は、区内で廃校となった校舎を活用して、新型コロナウイルスワクチン接種コールセンターを開設[7]

江戸川区は、区立小学校の廃校舎を「第2保健所(サテライトオフィス)」として運用している[8]

群馬県は廃校となった太田市内の小学校の旧校舎を使いワクチン接種会場にした[9]

練馬区は光が丘第七小学校跡に「練馬区酸素ステーション」を設置した[10]

再利用・転用例

北海道

Thumb
ユースホステルに転用された旧藤山小学校(北海道ニセコ町)

東北地方

Thumb
民俗資料館に転用された旧金成小学校校舎(宮城県栗原市)

関東地方

Thumb
文化芸術施設に転用された旧練成中学校(東京都千代田区)

中部地方

Thumb
民俗資料館に転用された旧多米小学校(愛知県豊橋市)
Thumb
多世代交流施設に転用された旧藤山台東小学校(愛知県春日井市)
Thumb
日帰り入浴施設に転用された旧阿曽小学校校舎(三重県大紀町)

近畿地方

Thumb
マンガミュージアムに転用された旧龍池小学校(京都市)

中国地方

四国地方

Thumb
水族館に転用された旧椎名小学校(高知県室戸市)

九州地方

所在地非公開

Remove ads

脚注

関連項目

外部リンク

Loading related searches...

Wikiwand - on

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.

Remove ads