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御家人斬九郎
柴田錬三郎作の時代小説、およびそれを原作とするテレビ時代劇 ウィキペディアから
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概要
1975年10月に創刊された日刊ゲンダイにて新聞連載された後、1976年(昭和51年)に講談社から単行本が刊行され、翌年2篇の読み切りが「オール讀物」で発表された。晩年の柴田が最も力を入れた連作である。フジテレビでドラマ化されている(後述)。
江戸時代の末期を舞台に、大給松平家に名を連ねる名門の家柄ながら無役・三十俵三人扶持の最下級の御家人である松平残九郎家正(通称、斬九郎)が、かたてわざと称する武士の副業によって活躍する物語。残九郎の許婚(いいなずけ)の松平須美、幼馴染で北町奉行与力の西尾伝三郎、馴染みの辰巳芸者のおつた、など多彩なキャラクターが登場する。
各話題名
※新潮文庫目次より (ISBN 4-10-115027-3)
- 第一篇 片手業十話
- 第一話 男ってえ奴はこんなものさ
- 第二話 二兎を追ったら二兎を獲るさ
- 第三話 隻腕でやるかたてわざだぜ
- 第四話 柳生但馬守に見せてやりてえ
- 第五話 直参旗本の死にざまだぜ
- 第六話 良人を殺した気持が判るぜ
- 第七話 女の怨念はおそろしいやな
- 第八話 寺で新仏をつくってやらあ
- 第九話 正義の味方にだってなるぜ
- 第十話 女の嫉妬はこうして斬るのさ
- 第二篇 箱根の山は越えにくいぜ
- 第三篇 あの世で金が使えるか
- 第四篇 美女は薄命だぜ
- 第五篇 座敷牢に謎があるぜ (「オール讀物」昭和52年7月号掲載)
- 第六篇 青い肌に謎があるぜ (「オール讀物」昭和52年2月号掲載)
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テレビドラマ
要約
視点
映像京都・フジテレビの制作によって、1995年から2002年まで、5つのシリーズ(全50話)として放送された。
主人公・斬九郎を演じたのは渡辺謙。『独眼竜政宗』や『仕掛人・藤枝梅安』シリーズなどで、時代劇作品の経験も豊富であった渡辺が、原作者が意図したとされる「明るい眠狂四郎」という斬九郎のキャラクターイメージにはまり、渡辺の当たり役となる。その後、従来の歴史劇の武将役にとどまらず、『ラストサムライ』など幕末・明治初期の武士の役を演じることが多くなった。
原作は数本の短編作品を収録した文庫本1冊分しかなく、従って原作のネタはすぐに尽きてしまったが、キャラクターたちを活かしたオリジナルエピソード作品が製作された。物語はステレオタイプ時代劇の単純な勧善懲悪形式ではなく、救いのない話や後味の悪い結末のエピソードも多い。が、斬九郎と岸田今日子演じる母・麻佐女とのコミカルなやり取りが清涼剤となり、その重さを払拭している。また、貧乏御家人に過ぎない主人公が葵の御紋の使用を許されている(が、濫用はしない)など、既存の時代劇の"お約束"を皮肉ってもいる。
描かれている第1シリーズから第4シリーズまでは11代将軍徳川家斉在世の時代(第3シリーズから第4シリーズまでの間に2年の歳月が経ったという設定)、第5シリーズは幕末という設定。ただし史実に忠実という訳ではもちろんなく、物語の面白さを優先させている。第4シリーズ第3話「大利根の月」で近藤正臣が平手造酒(晩年は徳川家慶の時代)を演じ、斬られてはいない。
第5シリーズ最終章「最後の死闘」では渡辺謙が監督を務めた。 挿入曲としてQueenの"The Show Must Go On"と、One Little Creatureの"You've Gotta Learn"の2曲を渡辺自身が選曲。 渡辺自身も「音楽も冒険させてもらいました」と述べていた。2017年4月15日BSフジが放送したリマスター版でこの二曲は佐藤勝の劇伴に差し替えられ、他の放送局による再放送や配信でも差し替えの有無で複数ヴァージョンが存在する。
登場人物・キャスト
- 松平残九郎(通称:斬九郎) - 渡辺謙
- 9人兄弟姉妹の末子で、30がらみの男。余計者という意味合いで「残九郎」と名付けられたが、兄たちは長男と次男が父との剣の稽古での事故で死に、三男は養子に行き、姉たちは結婚したり大奥に上がったりしたため、家督を継がされる。誰に習ったわけでもないが剣の達人であるものの、遊び人かつ大酒飲みで、いつも褌が丸見え。また、他の兄弟たちは全く家に寄り付かないため、年中母と2人きりで暮らしているが、親子喧嘩をしないのはどちらかが家を空けた時だけというようである。30俵の家禄だけでは到底生活が成り立たず、罪を犯した者を幕府にも内密に首を討つ仕事を請け負う“かたてわざ”で、鼓の名手でプライドの高い、美食家の母を養わなければならない。最終回、下河原藩邸での壮絶な立ち回りの中、土屋左門の放った凶弾を浴び…
- 松平麻佐女 - 岸田今日子
- 残九郎の母親で、79歳になるが気丈で口達者。残九郎がこの世で唯一頭が上がらない「くそババア」。残九郎がかたてわざで得た報酬を、高級料亭(特に八百善)の食事に注ぎ込む美食家。鼓となぎなたの腕は一流であり、鼓に関しては御台所の御前演奏を行ったほどの腕前で世に広く知られている。また、この時代の人間には数少ないオランダ語を理解できる人間で、英語で書かれた暗号をオランダ語と英語の辞書の併用で解いたり、アメリカからの使節団の通訳などを行ったこともある。[注釈 1]
- 蔦吉 - 若村麻由美
- 深川育ちの辰巳芸者で江戸っ子気質。武家の生まれだが、両親とは死別して植木職人、辰五郎の養女となる。芸者として多くの座敷に出入りしている事情通で、たびたび残九郎に有益な情報をもたらす。残九郎とは相思相愛だが、粋な性格が邪魔して素直に甘えることができず、顔を合わせれば痴話げんかになる。また、武家崩れの女をよく思われていないのか、麻佐女には贔屓にしていることをひた隠しにされている。なお、原作では“おつた”といい、残九郎の情婦というテレビ版とはまるっきり別設定となっている。本名は大沼妙子。
- 西尾伝三郎 - 益岡徹
- 残九郎の幼馴染で、北町奉行所の与力。甘いものが好きで、屋敷にいる時はいつも菓子をつまんでいる。残九郎は「雷おこし」というあだ名をつけている。真面目な性格(まるっきり堅物ではなく、賄賂を貰うことや粋な面もある)で、義理に厚く、役目のかたわら残九郎のかたてわざにも手を貸すことを惜しまない。妻・るいに強く出られない恐妻家だが、一人娘のゆき江は目に入れても痛くないほど可愛がっている。原作ではテレビ版と違い、残九郎に匹敵する達人とされている。
- 南無八幡の佐次 - 塩見三省
- 西尾配下の岡っ引き。残九郎の悪友でもある。死体を見るたびに「南無八幡」というのが口癖。背中に八幡大菩薩の姿を彫ってもらっていると言ったので、麻佐女と残九郎の姉粂女が試しに見せてもらったところ、軍神である八幡様の顔にしては柔和な顔だったため、「観音様と間違えたんじゃ」と言われてしまう。相生町の親分、相生町の佐次とも呼ばれている。
- 西尾るい - 唐沢潤
- 伝三郎の妻女。一見伝三郎を尻に敷いているように見えるが、ここぞという時には夫を立てる良妻。伝三郎の役目に支障をきたす面倒を持ち込む存在として、残九郎のことを快く思っていない。残九郎もるいを苦手としていたが、娘を授かってからは性格も丸くなる。
- おえん - 奈月ひろ子
- 残九郎が入り浸っている船宿「舟久」のおかみ。おえんの母の代から松平家とは縁があり、残九郎の父も顔なじみだったという。その関係もあり、催促なしのツケが利く。
- お光 - 奥田小百合
- 「舟久」の女中。残九郎にほのかな恋心を寄せる。
- 松平須美 - 吉沢梨絵
- 残九郎の許婚だが、残九郎は妹のように思っている。残九郎の煮えきらない態度に悩んでいたが、第3シリーズ最終回で、松平家と所縁のある越前桑山藩の家臣寺田彦六と相思相愛になり、自ら残九郎の許嫁から身を引き、寺田彦六と幸せな結婚し越前に下る。
- 喜助 - 牧冬吉
- 妻のよねと共に松平家に仕える通いの下男。年中麻佐女に振り回されている。舟久の場も知っており、時に残九郎を家へと呼び戻しに来る。演じた牧冬吉没後も、用事で不在という形が取られたり、過去映像を流用・編集するなどの処理で登場している。
- よね - 松村康世
- 夫の喜助と共に松平家に仕える通いの下女。年中麻佐女に振り回されている。喜助役の牧冬吉没後は、喜助が担っていた役割も果たすようになった。
- 東八 - 喜多村英三
- 残九郎たちのたまり場となっている居酒屋の主人。寡黙な人柄。その発言は残九郎に有益なものをもたらすことも多々ある。演じる喜多村英三が亡くなったことに伴い、第3シリーズ終了後、故郷へ帰ったという設定が取られた。
- おもん - 長野いずみ
- 東八の女中。通いであり、夜道は物騒だからとたびたび残九郎や蔦吉に送ってもらっている。
- りよ - 日下由美
- いろいろあって娘・八重と共に江戸へ出てくる。その後、東八を受け継ぐことになり、佐次と相思相愛の末に結ばれる。
- 新六 - 橋本潤 (第1シリーズ 1〜5話)
- 佐次配下の下っ引き。佐次共々残九郎のために骨を折る。
- 梅吉 - 大橋一三
- 佐次配下の下っ引き。佐次共々残九郎のために骨を折る。
- 白猫 - にゃ~
- 東八の飼い猫で居酒屋に出入りしている。残九郎と誰かが店内で乱闘、切りあいになっても動じない。
- 残九郎とも仲良しだが、名前は不明。彼女と居酒屋は帰郷する東八から「りよ」に託された。
ほか
スタッフ
- 企画 - 能村庸一、西岡善信、香取擁史(株式会社仕事)
- 脚本 - 金子成人、野上龍雄、安倍徹郎、中村勝行、田坂啓、古田求、加藤文、田村惠、中村努、志村正浩、芳村恒和、高野香織
- 監督 - 三村晴彦、齋藤光正、田中徳三、舛田利雄、蔵原惟繕、吉田啓一郎、井上昭、池広一夫、原田徹、工藤栄一、高瀬昌弘、津島勝、富永卓二、小笠原佳文、原田眞治、杉村六郎、田中幹人、渡辺謙
- 音楽 - 佐藤勝
- 殺陣 - 宇仁貫三
- 現像・テレシネ - IMAGICA
- 協力 - 京都映画(第2シリーズ以降松竹京都映画、現・松竹撮影所)
- タイトルバック協力 - 江戸東京博物館
- プロデュース - 遠藤龍之介、河合徹、酒井実、西村維樹
- 制作 - フジテレビ、映像京都
- ナレーション - 相川浩(OPナレーション及び次回予告担当。第3シリーズまで)
放送局
- 本放送
- CS
- 時代劇専門チャンネルで再放映された。
- これを機にHDリマスタリングが行われ、当時制作に携わった映像京都のスタッフが監修にあたっている[1]。
- 地上波での再放送
放映リスト(サブタイトル)
- 第1シリーズ(1995年1月 - 3月、全8回)
- 第2シリーズ(1997年1月 - 3月、全11回)
- 第3シリーズ(1997年10月 - 1998年1月、全11回)
- 第4シリーズ(1999年1月 - 3月、全10回)
- 第5シリーズ(2001年11月 - 2002年2月、全10回)「渡辺謙の御家人斬九郎 ファイナルシリーズ」
ロケ地
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脚注
関連項目
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