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中央観閲式

陸上自衛隊が実施していた自衛隊記念日観閲式の通称 ウィキペディアから

中央観閲式
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中央観閲式(ちゅうおうかんえつしき)は、陸上自衛隊が原則的に3年に一度、埼玉県南部の陸上自衛隊朝霞訓練場で実施していた観閲式[1]の通称である。自衛隊の創設を記念して、自衛隊記念日行事の一環として2024年(令和6年)まで行われていた。陸上自衛隊では自衛隊記念日観閲式と呼称している[2]

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2007年10月28日、第54回中央観閲式にて戦車部隊を観閲する内閣総理大臣福田康夫

陸上自衛隊は開催目的を「自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣(観閲官)の観閲を受けることにより、隊員の使命の自覚及び士気の高揚を図るとともに、防衛力の主力を展示し、自衛隊に対する国民の理解と信頼を深める」こととしている[2]

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歴史

要約
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2007年10月28日、第54回中央観閲式にて各部隊を観閲する内閣総理大臣福田康夫
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2010年10月15日、朝霞駐屯地にて中央観閲式方面隊予行に臨む観閲部隊指揮官第1師団長中川義章
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2010年10月24日、第57回中央観閲式における普通科部隊
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第57回中央観閲式における中央即応連隊
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1994年10月30日、自衛隊観閲式にて観閲する内閣総理大臣村山富市(手前左)と防衛庁長官玉澤徳一郎(手前右)

警察予備隊が発足した翌年の1951年昭和26年)に東京都江東区越中島駐屯地で初めて観閲式が行われた。1952年(昭和27年)に保安隊が発足し、1953年(昭和28年)第一回保安隊創立記念観閲式が行われた。翌1954年(昭和29年)に自衛隊が発足して1955年(昭和30年)に防衛庁創立一周年記念式典が行われ、神宮外苑絵画館前で1972年(昭和47年)まで続けられた。

観閲式は1973年(昭和48年)から交通事情等の関係で現在の朝霞訓練場(朝霞駐屯地に隣接)へ会場を移し、大規模災害があった年度と昭和天皇の体調不良により中止された1988年(昭和63年)を除いて、ほぼ毎年行われた。1996年平成8年)以降はアメリカ同時多発テロ事件の影響により中止された2001年(平成13年)を除いて、陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊の持ち回りで実施され、陸上自衛隊担当が中央観閲式となる。海上自衛隊担当は自衛隊観艦式、航空自衛隊担当では航空観閲式となり、回次はそれらの通算である。

2001年(平成13年)はアメリカ同時多発テロ事件の影響により当年度の実施が中止となった影響で2004年(平成16年)に開催されるまで、6年間の実施間隙が生じた。以降、陸上自衛隊担当年度の前年に東部方面隊が主力となって同じ会場で「東部方面隊創立記念行事観閲式」を行っている。東部方面隊以外の各方面隊も、北部方面隊を除き「方面隊創隊記念」として独自に観閲式や観閲行進を行っている。

2018年(平成30年)度は、本来は自衛隊観艦式の実施予定であったが、朝霞訓練場が2020年東京オリンピック射撃競技の会場となり、2019年(令和元年)度の実施が不可能となったため、2019年(令和元年)度実施予定だった中央観閲式を前倒しして実施した。「空(航空観閲式)→海(自衛隊観艦式)→陸(中央観閲式)」の持ち回り実施を開始して以来初めての事態であった[3][4]

新型コロナウィルス感染症が流行していた2021年(令和3年)度は、朝霞訓練場ではなく朝霞駐屯地内において、同駐屯地に所属する部隊のみが参加して一般公開を伴わずに実施された[5][6][7]。その内容は栄誉礼・儀仗、巡閲および観閲官訓示であり、観閲行進は行われなかった[5]

2024年(令和6年)9月13日に防衛省は、同年11月9日に朝霞訓練場で行う「防衛省・自衛隊70周年記念観閲式」は、2018年(平成30年)度までと同様に行進を行うが、準備にかかる部隊の負担軽減のため無観客で開催すると発表した[8]。また観閲式参加部隊・観閲行進についても海上・航空自衛隊および防衛大学校等が省略され、可能な限り第1師団隷下部隊・東部方面隊直轄部隊の参加となった。また、徒歩行進は第1普通科連隊のみ、車両行進の装備品は2-3両程度と大規模な縮小化が行われた[9]

2025年(令和7年)7月30日に防衛省は、「我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する現在」「観閲式等を実施することは困難な状況に至って」いるとして「今後、観閲式等は、我が国を取り巻く安全保障環境が大きく変化しない限り、実施いたしません」と発表した[10]

さらに見る 名称, 年次 ...
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主要出席者

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2010年10月24日、第58回中央観閲式にて訓示する内閣総理大臣菅直人

参加部隊

要約
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令和6年度実施分

以下に令和6年実施分について記載する[9]

観閲式参列部隊

先進装備展示

車両搭載高出力レーザー実証装置(防衛装備庁)

観閲行進(行進曲「凱旋」→「大空」(観閲部隊指揮官・普通科部隊)→「陽光を背に」)

観閲飛行

回転翼機
固定翼機
戦闘機
平成30年度実施分との差異
  • 東部方面警務隊第302保安警務中隊による特別儀仗の省略
  • 海上自衛隊徒歩部隊、航空自衛隊徒歩部隊、防衛大学校学生隊、防衛医科大学校学生隊、高等工科学校生徒隊、女性自衛官部隊の省略
  • 陸上自衛隊のみの音楽隊編成
  • 部隊用国旗(旗手・旗衛手)、観閲指揮官幕僚の省略
  • 観閲行進での「陸軍分列行進曲」の省略
  • 「武器科」、「輸送科」、「警務科」が観閲行進に参加、「会計科」と「指揮所訓練支援隊」が観閲式に参加。
  • 偵察部隊と戦車部隊が統合し、「機甲科」として参加。
  • 観閲飛行が陸海空から、機種別に変更。観閲行進の最後に実施。

参考:平成30年度実施分

特別儀仗(らっぱ「速足行進曲 その二」、「栄誉礼冠譜 4回」)

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特別儀仗・第302保安警務中隊(2010年)

空挺降下展示

  • ヘリコプター:北部方面航空隊 北部方面ヘリコプター隊第2飛行隊 UH-1J
  • 隊員:第1空挺団 本部中隊員 3名
  • 自由降下落下傘 MC-4使用

徒歩部隊(行進曲「凱旋」→「陸軍分列行進曲」→「軍艦」→「空の精鋭」→「大空」)

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部隊用国旗(2007年)
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普通科部隊(2010年)

航空部隊

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AH-64D編隊(2010年)
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F-15編隊(2010年)

括弧で囲んだ部隊名は編隊部隊を示す。(以下、編隊長が部隊長である場合、部隊長名義で表記している)

陸上自衛隊編隊群

陸上自衛隊・編隊群指揮官:第1ヘリコプター団副団長

海上自衛隊編隊
航空自衛隊編隊

車両部隊(行進曲「陽光を背に」)

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普通科車両部隊(2010年)
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普通科車両部隊(2013年)。なお、平時に第31普通科連隊89式装甲戦闘車を装備しない
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野戦特科部隊(2010年)

括弧で囲んだ部隊名は指揮部隊(特筆なければ第1師団隷下)を示す。指揮部隊が平時において装備しない装備を含め、指揮部隊は主に高射学校富士教導団第7師団などの全国の各諸部隊・諸学校により増強を受けている[16]。特筆なければ指揮官は指揮部隊の部隊長が担当。

米軍祝賀部隊

  • 祝賀飛行部隊
    • MV-22オスプレイ×2(アメリカ海兵隊 第265海兵飛行隊 中型ティルトローター飛行隊「ドラゴン」)
  • 米軍と陸上自衛隊の合同祝賀車両行進
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備考

  • 2018年度までの開催では、自衛隊関係者や外国武官、会場周辺自治体の住民[17]などが招待されていた。東部方面隊創立記念行事観閲式と同様[18]に招待者以外は観覧できなかったが、当日の一週間前に実施される総合予行は観覧が一般公募された[19]。総合予行に先立ち、第1師団副師団長を観閲部隊指揮官に、師団予行、方面隊統一予行など、規模を縮小した予行を一部部隊長を替えて実施している。
  • 車両部隊の車両に記載されている所属表記(例として、第31普通科連隊の"31普")や、機甲車両に描かれる部隊マークなどの部隊認識表記はすべて消されている。
  • 2001年のアメリカ同時多発テロ事件以降世界各地で多発するテロ事件の影響もあり、会場内への飲食物の持ち込みは著しく制限されている。[20]
  • 2010年の第57回観閲式以降は、生中継映像の公式ライブ配信がUstreamを通じて行われた。[21]
  • 2010年は車両行進後、日米安全保障条約改定50周年記念在日米陸軍・空軍日米祝賀飛行部隊による観閲飛行が行われた。編隊は以下の通り。
  • 2016年は行事後に展示飛行が行われた。

車両行進曲「陽光を背に」

従来は須磨洋朔の「祝典ギャロップ」が長らく使われてきたが2018年度実施では、東北方面音楽隊コントラバス奏者である岩渕陽介三等陸曹(所属・階級は作曲当時)が作曲した「陽光を背に」を使用している[22]。この曲は、国旗の日の丸が象徴する太陽の威光を背負って完遂する「自衛隊の覚悟」、および、即応機動する陸上防衛力を表現したものという[23]。2018年3月、陸上幕僚監部内では発足以来の大規模改編後、初の中央観閲式となることから、「祝典ギャロップ」に代わる新車両行進曲を作ることを決定し、作品を募集したところ、6作品が応募された。その中から、岩渕三曹の作品が採用された。この功績から岩渕三曹は山崎幸二陸上幕僚長(当時)より第2級賞詞を受けた[24]

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脚注

関連項目

外部リンク

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