トップQs
タイムライン
チャット
視点

第18回参議院議員通常選挙

1998年の参議院議員通常選挙 ウィキペディアから

第18回参議院議員通常選挙
Remove ads

第18回参議院議員通常選挙(だい18かいさんぎいんぎいんつうじょうせんきょ)は、1998年平成10年)7月12日日本で行われた国会参議院議員選挙である。

概要 内閣, 任期満了日 ...
Remove ads

概説

第2次橋本改造内閣は選挙直前の5月に、離党議員の復党などで衆議院での自民党の単独過半数を回復したことから、社民党、新党さきがけとの連立を解消していた。前年からの景気減速は顕著なものになっており、失業率の悪化や金融機関の破綻などの事例により、従来の財政再建路線から景気対策を重視するようになりつつあった。

就任以来、比較的高い支持率を保ってきた橋本内閣だが、前年の佐藤孝行の入閣問題などを機に下落していき、5月には30%を割り込むようになっていた(NHKや毎日新聞で27%など)[1][2]

それでも公示後のメディアの情勢記事では現状維持か、少し上回る60議席台前半と予想するものが多かった。また7月7日付の朝刊で各紙が報じた内容は、改選数61は確保できそうだというものだった[3]。自民党総務局長の古賀誠も「60議席は堅い」と見込んでいた[4]。しかし、首相閣僚の恒久減税に関する発言が迷走したことや、選挙区で2人擁立しての共倒れが続出したことなどから、自民党の獲得議席は17議席も減らす44議席と惨敗を喫し[3](無所属で当選した参院議長の斎藤十朗田中直紀市川一朗を含めても47議席)、橋本は敗北の責任を取って退陣した。その一方で、民主党が27議席、共産党が15議席(共産党としては過去最高)を獲得するなどの健闘が目立った。

世論調査が大きく外した原因としては、前回参院選の投票率が史上最低だったこと(44.52%)、投票締め切り時間の延長[5]、不在者投票要件緩和等といった新制度導入により、投票率を実際より低めに見積もったことや、報道によるアナウンスメント効果などが指摘されている[2]

Remove ads

選挙データ

内閣

公示日

投票日

改選数

1994年の公職選挙法改正により選挙区の8増8減が決定し、前回選挙に続き4増4減が実施された。

増員区:宮城県(増加1)、埼玉県(増加1)、神奈川県(増加1)、岐阜県(増加1)
減員区:北海道(減少2)、兵庫県(減少1)、福岡県(減少1)
各選挙区の改選数

 ※ 太字は定数改選の選挙区。

選挙制度

  • 選挙区
    • 小選挙区制:24(増減なし
      • 2人区(1人改選):24
    • 中選挙区制:23(増減なし
      • 4人区(2人改選):18
      • 6人区(3人改選):04(埼玉県・神奈川県・愛知県・大阪府)
      • 8人区(4人改選):01(東京都)

投票方法

秘密投票単記非移譲式投票、2票制(選挙区・比例区)

選挙権

満20歳以上の日本国民

被選挙権

満30歳以上の日本国民

有権者数

99,048,700(男性:48,038,691 女性:51,010,009)
Remove ads

選挙活動

党派別立候補者数

さらに見る 党派, 計 ...
  • 民主党の改選議席(18)のうち、広中和歌子は無所属で立候補した。
  • 社会民主党の改選議席(12)のうち、上山和人は無所属で立候補した。
  • 自由党の改選議席(6)のうち、都築譲は無所属で立候補した。

党派の動き

与党

選挙区57名、比例区30名の計80名を擁立。参院選直前の6月に社民、さきがけの閣外協力解消に伴い自社さ連立政権が崩壊し、自民党単独政権となった。衆院では前年9月に新進党の離党議員を積極的に入・復党を進めて単独過半数を確保し、参院も改選過半数確保のため、2人区以上での複数擁立を積極的に行い、前回は選挙区で37名を擁立したが、今回は20名増加した。岩手選挙区では無所属新人の元衆院議員を推薦した。

野党

選挙区23名、比例区25名の計48名を擁立。新進党解党に伴い、4月に旧・民主党、保守系の民政党、旧民社党系の新党友愛、連合系の民主改革連合が合流して発足した。前回参院選で野党第一党の新進党が擁立した62名に及ばないものの、1人区を中心に公明、自由党との共闘による無所属候補者の支援を進めた。
選挙区45名、比例区25名の計70名を擁立。革新共闘が成立した高知選挙区、沖縄選挙区を除く選挙区で候補者を擁立し、女性の候補者の割合も30名(約42.9%)と最も高い割合であった。
選挙区2名、比例区18名の計20名を擁立。浜四津代表は東京で立候補した。新進党解党後の最初の国政選挙で、選挙区は東京選挙区、大阪選挙区に絞ったが、福岡選挙区では野党共闘が成立し、旧公明党出身の元衆院議員を擁立。同じく埼玉選挙区では旧新進党各党の共同推薦により元衆院議員を擁立した。
選挙区9名、比例区12名の計21名を擁立。和歌山選挙区では野党共闘が成立。愛知選挙区では旧新進勢力の支援を結集するため、現職は無所属での立候補となった。小沢党首の地元の岩手選挙区では、自由党に参画しなかった無所属現職が出馬するため、候補者擁立を断念した。
選挙区5名、比例区17名の計22名を擁立。選挙直前の離脱により、自民、民主、旧新進系のいずれとも選挙協力は行わなかった。現職を擁立した新潟選挙区を最重点区としてさきがけ、新社会と連携体制を構築した。
比例区3名を擁立。党勢の退潮、連立離脱により、選挙区での候補者擁立を断念した。
比例区3名を擁立。
改選期を迎える現職がいないこともあり独自候補を擁立せず、比例区では公明を支援した。
選挙区4名、比例区3名の計7名を擁立。選挙直前にアントニオ猪木(猪木寛至)党首が辞任し、新しく就任した西党首が比例区で立候補した。

諸派・政治団体・無所属

選挙区12名、比例3名の計15名を擁立。矢田部委員長など現職3名を立候補し、新潟選挙区では社民党現職を支持した。
選挙区で46名、比例区で9名の計55名を擁立。徳田代表は比例区で立候補した。神奈川選挙区では社民党新人を推薦し候補者擁立を行わなかった。
選挙区13名、比例5名の計18名を擁立。中村党首は東京選挙区で立候補した。岩手選挙区では自民党推薦の無所属新人(党首の子息)を推薦した。
選挙区7名、比例区3名の計10名を擁立。高橋代表は立候補せず、篠原芙早子幹事長が比例区で立候補した。
選挙区8名、比例区2名の計10名を擁立。魚谷代表が比例区で立候補した。
石川副総裁(事実上の党首)が愛知選挙区で立候補した。
  • グリーン・共生党(杉内一成代表)
杉内代表が神奈川選挙区で立候補した
澤田党首が東京選挙区で立候補した。
志良以代表が愛知選挙区で立候補した。
又吉代表が東京選挙区から立候補した。
増田同人(党首)が愛知選挙区から立候補した。
赤石総裁が愛知選挙区から立候補した。

キャッチコピー

  • 自由民主党 :Plus. 日本をプラスに変えます。[6]
  • 民主党   :私は変えたい。[6]
  • 日本共産党 :大企業・ゼネコン中心で国民そっちのけの逆立ち政治をただします[6]
  • 公明    :ひとりを大切にするヒューマニズムの政治[6]
  • 社会民主党 :キッパリと社民党[6]
  • 自由党   :比例区は自由党[6]
  • 新党さきがけ:環境主義だ。[6]
Remove ads

主な争点

選挙結果

  • 自民党の敗因は、前年の国民負担増(消費税率引上げ等)、それに伴う景気の後退、失業率の上昇などとみられる。また、投票直前の橋本総理が民放のテレビ番組に出演した際、争点に浮上していた恒久減税について「私は恒久的な税制改革をやるといっているのであって、恒久減税をやるとはいっていない」と述べたかと思うと、数日後には実施すると明言し発言が迷走、これが橋本離れに拍車をかけたとも見られている[3]。7月8日の記者会見で「1999年からの所得税の恒久減税」を明言して収拾を図ろうとしたが、有権者の不信感を払拭することはできなかった[4]
  • 自民党幹事長加藤紘一は「金融と建設という自民党の支持基盤に打撃を与える改革をしようとしたのだから、選挙に響くのは当然だ。」と参院選敗北を総括した[7]
  • 自民党総務局長の古賀誠は「橋本さんの人気で乗り切れると思っていた。こんなに一気に世論は変わっていくのかと選挙の恐ろしさを痛感した」[4]と振り返っている。
  • 自民党は負けたとはいえ野党側の選挙での共闘体制が整っていなかった。新進党の解党から間もない時期であることで、民主党が野党第一党にこそなったものの、民主、社民の両方から出馬での共倒れの1人区がある一方で、自民党以外では共産党や無所属しか立候補していない選挙区も有るなど、調整がほとんど成功しなかった。結果として選挙区では無所属候補者が多数当選し、一方で共産党が結党以来最多の当選者を出し、自民批判票の受け皿となった。
  • 自民党の敗因の一つは改選定数が3人以上の選挙区での複数擁立による共倒れであり、自民候補は条件に当てはまる4都県(東京・埼玉・神奈川・愛知)で共倒れして議席を失い、共産党の候補者がそれらの全選挙区で議席を獲得した。京都・大阪・兵庫の関西3府県でも自民は全滅した。

党派別獲得議席

さらに見る 政党, 獲得 議席 ...
選挙区投票率:58.84%(前回比:増加 14.32%)
【男性:58.38%(前回比:増加 13.71%) 女性:59.28%(前回比:増加 14.91%)】
比例区投票率:58.83%(前回比:増加 14.33%)
【男性:58.36%(前回比:増加 13.79%) 女性:59.27%(前回比:増加 14.91%)】
Remove ads

政党

自由民主党:44議席(102議席)
総裁橋本龍太郎
幹事長    :加藤紘一
総務会長   :森喜朗
政務調査会長 :山崎拓
国会対策委員長保利耕輔
参議院議員会長井上吉夫
民主党:27議席(47議席)
代表菅直人
代表代行   :中野寛成
副代表    :江田五月 笹野貞子
        鳩山邦夫
幹事長    :羽田孜
政策調査会長 :伊藤英成
国会対策委員長石井一
参議院議員会長菅野久光
日本共産党:15議席(23議席)
議長 :宮本顕治
委員長不破哲三
副委員長    :上田耕一郎 松本善明
         山原健二郎
書記局長    :志位和夫
政策委員会責任者聴濤弘
国会対策委員長 :寺前巌
参議院議員団長 :立木洋
公明:9議席(22議席)
代表浜四津敏子
副代表    :大久保直彦
幹事長    :鶴岡洋
政務調査会長 :日笠勝之
国会対策委員長木庭健太郎
常任顧問   :藤井富雄
自由党:6議席(12議席)
党首:小沢一郎
幹事長    :野田毅
政策調査会長 :井上喜一
国会対策委員長:二階俊博
参議院議員会長:平井卓志
社会民主党:5議席(13議席)
党首:土井たか子
副党首    :上原康助 日下部禧代子
幹事長    :伊藤茂
政策審議会長 :及川一夫
院内総務会長 :秋葉忠利
参議院議員会長:日下部禧代子(兼)
新党さきがけ:0議席(3議席)
代表:武村正義
幹事長    :園田博之
政策調査会長 :水野誠一
院内幹事   :奥村展三
参議院議員会長:堂本暁子
第二院クラブ:0議席(1議席)
代表:佐藤道夫
改革クラブ:候補者なし(3議席)
代表:小沢辰男
幹事長    :石田勝之
政策審議会長 :西川知雄
総務会長   :冨沢篤紘
国会対策委員長:前田正
参議院議員会長:岩瀬良三
自由連合は、選挙区の得票率が2%を超えたものの当選者がおらず、選挙後に国会議員1名が入党し、政党資格を取得した。
Remove ads

議員

要約
視点

選挙区当選者

 自由民主党   民主党   日本共産党   公明党   自由党   社会民主党   無所属 

補欠選挙等

さらに見る 年, 月日 ...

比例区当選者

 自由民主党   民主党   日本共産党   公明党   自由党   社会民主党 

繰上当選

さらに見る 年, 月日 ...

初当選

計65名
※:衆議院議員経験者
自由民主党
20名

 

民主党
13名

 

 

日本共産党
11名

 

 

公明
3名
自由党
4名
社会民主党
1名
無所属
13名

 

 

返り咲き・復帰

計5名
民主党
2名
日本共産党
1名
無所属
2名

引退・不出馬

計39名
自由民主党
16名

 

民主党
1名
公明
5名
日本共産党
3名
自由党
2名
社会民主党
7名

 

 

 

第二院クラブ
1名
無所属
4名

落選

計30名
自由民主党
21名
民主党
4名
新社会党
3名
無所属
2名
Remove ads

選挙後

  • 現有議席の大幅減を受け、橋本首相は翌日の記者会見で退陣を表明し、橋本内閣は総辞職した。後継の小渕内閣は、過半数割れした参議院対策に苦労したため連立政権を模索するようになり、翌1999年に自由党との連立政権を経て現在の自公連立政権につながる自自公連立政権が発足した。
  • 議席を獲得できなかった新党さきがけは「さきがけ」に改称、事実上の解散となった。同党はのちに「みどりの会議」に改称するが、当選者を出せないまま解散した。

脚注

外部リンク

Loading related searches...

Wikiwand - on

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.

Remove ads