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夏八木勲

日本の俳優・声優・歌手（1939-2013） ウィキペディアから

夏八木勲
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夏八木 勲 （なつやぎ いさお、1939年12月25日 - 2013年5月11日[1]）は、日本の俳優・声優・歌手。本名同じ。1978年から1984年の間は、夏木 勲（なつき いさお）名義で活動した[注釈 1]。愛称はなっちゃん[6][7]・パパ[8][注釈 2]。

概要 なつやぎ いさお 夏八木 勲, 本名 ...

1966年にデビューし、鍛え上げた身体で野性味あふれる男らしい演技や[9][10][11]、晩年は円熟味と重厚さが加わり[11][12]、生涯300本以上の映画・テレビ映画・ドラマに出演した[11][13][14][15]。特技は乗馬・合気道・空手[16]。身長176cm[17]。

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生涯

要約
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東京府東京市足立区千住出身[9][13]。実家は酒屋を経営[17]。学生時代はスポーツに打ち込み[18]、柔道と空手で身体を鍛え上げる[17]。東京都立墨田工業高等学校卒業後、1年間の浪人生活後[19]、慶應義塾大学文学部仏文科に進学する。

これと言った目標を持たず暇を持て余していたところ、様子を見かねた知人から文学座のオーディションを勧められる[20]。大学在学中の1960年に文学座研究所へ入所[11][21][注釈 3]。しかしアルバイトばかりして演技の授業を時々サボっていたせいで、1年後正座員のメンバー選考から外れた[20]。改めて真剣に役者を目指そうと決意し[注釈 4]、1963年に劇団俳優座の養成所へ入所し直す[23]。同期には俳優座花の15期生と呼ばれるメンバーがいた。養成所に入ることを家族に反対されたため[17]、家を飛び出し、サンドイッチマン、バーテン、運転手などの仕事を転々とする[17]。

1966年に3年の研修を経て卒業した[9][23]。卒業公演を見に来ていた東映から「年間5本で映画をやらないか」と誘われ[4]、東映と契約し[11]、京都市に拠点を移した[注釈 5]。デビューは『骨までしゃぶる』で、加藤泰から体を張って娼婦を助ける大工の端役を貰った[17][26]。同年、『牙狼之介』の主演に抜擢されると[17][27][28][29]、五社英雄に「狼之介になり切るまで、寝ても日本刀を離すな」と厳命され[17][26]、食事中も腰に刀を差し、柄(つか)に手をかけてマスメディアの取材に応じている[17]。野生的な賞金稼ぎを主人公にした同シリーズは西部劇タッチのアクション時代劇で[13][30]、刃引きはしてあるものの、重量は真剣と同じ鉄身で殺陣を披露している[30]。縛られたまま馬に引っ張られ、樹木から吊るされるなど、荒っぽいアクションが続く過酷な撮影だったが、歯を食いしばって耐え抜いた[17]。第二作『牙狼之介 地獄斬り』でも主演を果たし、「五社監督は僕の育ての親」と述べている[26]。

1967年、『十一人の侍』『忍びの卍』と主演したが、『あゝ同期の桜』で千葉真一[6][10][31]、プライベートでは妻と出会う[15][18]。これ以降、親交を深めていく千葉とは特に共演が多く[6]、後年には千葉が主宰するジャパンアクションクラブ (JAC) の稽古にも参加していた[10][31]（⇒ #人物）。

一方、15期生の仲間は小さな劇団を立ち上げ、活動しているのを耳にしても観劇できず、映画は封切りが1か月遅いため、京都の生活にジレンマを抱いていた[32]。加藤泰から「『懲役十八年』に出ないか？」と誘われたものの、フラストレーションが溜まり始めていた矢先だったために断り、1968年に東映を退社[32]。晩年に「新人といっても27歳のぼくを東映は売り出してくれ、加藤監督は直接オファーくれたのに…。本当に無礼だった」と悔恨の情を吐露している[32]。東京へ戻り、15期生の小野武彦・高橋長英・地井武男・前田吟・村井國夫・竜崎勝と共に俳優事務所「どりいみい7」を結成し[33][注釈 6]、浪曼劇場にも参加[4][11]。アクション映画・刑事ドラマ・時代劇・やくざ映画や『鳩子の海』に出演するなど[25]、様々なジャンルで幅広い役柄をこなしていった[16][25][31]。

1977年の『人間の証明』で角川映画に初出演。同作のアメリカロケで角川春樹と親しくなり[20]、その後は1978年の『野性の証明』と主演映画『白昼の死角』、吹き替えなしで城の天守閣からヘリコプターで脱出するシーンを演じて周囲を驚かせた1979年の『戦国自衛隊』や[13][16][25]、『復活の日』等、角川映画の常連俳優として数多くの同社作品に出演した[21][25][31]。キャンプ座間で運転手のアルバイトをした経験から[20]、『白昼の死角』と『復活の日』では堪能な英語で外国人俳優との共演シーンをこなしている。1979年の第2回日本アカデミー賞、翌年の第3回日本アカデミー賞では優秀助演男優賞にノミネート。1978年に出演した『遠くへ行きたい』では、ランニングしてトレーニングしながら初めて訪れた街を知り、スクーバダイビングを楽しむライフスタイルが紹介されている。

2012年の秋から膵癌を患い[24][25]、闘病生活を送りながらも家族や親友の千葉真一などを除き[6][14][31]、周囲には病気のことを隠して活動を続けた[11][14]。化学療法を始め[31]、家族は看病をし、千葉も幾度となく見舞いに訪れ、病院の紹介や差し入れをしていた[6][14][31]（⇒ #人物）。

2013年に『希望の国』で複数の賞を受賞したが、5月11日15時22分に神奈川県鎌倉市の自宅で家族が見守る中、死去した[16][24]。73歳没。新作の撮影を控えていた矢先だった[35]。千葉真一を筆頭に[6][12][14][31]、『希望の国』の監督・園子温[12]、俳優座で同期の赤座美代子[36]・前田吟[9]、ファンだった片平なぎさ[36]、『そして父になる』で共演した福山雅治[36]、親しくしていた堀田眞三[8]、同世代の松方弘樹[24][37]、それぞれ弔意を表明。通夜・葬儀・告別式は近親者や千葉など限られた関係者のみで執り行われた[9][31]。未公開作品が5本残っており[35]、生涯現役を貫いた[11][18]。

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人物

要約
視点

俳優の基本は「健康な身体を保ち続ける」というポリシーを持ち、自らの鍛錬に熱心だった[10][13]。『水戸黄門 第5部』第25話「黄門爆殺計画・長崎」（1974年）や『戦国自衛隊』で鍛え上げた身体を披露しているが、その肉体美は世界的アクションスターの千葉真一にも引けをとらないと評されている[6][10][11]。千葉とはお互いに「演技に必要なのは健全な肉体である」という考えで意気投合したことから親友となり[20]、千葉が主宰するジャパンアクションクラブ (JAC) の稽古にも通っていた[10][31]。千葉との擬斗では『子連れ殺人拳』や『影の軍団 幕末編』などで、壮絶な一騎討ちを演じている。

「 静かで無口で新鮮で好きなタイプの俳優だった。いろんなことを教わったが、僕が“世界の千葉”と呼ばれるようになったのは、なっちゃんのおかげともいえる。人生に親友は3人いると言うけど、僕の場合は高倉健さんとなっちゃんかな。人を傷つけない、思いやりのある理想的で素晴らしい人だった。[6] 」
「 「監督からどんな要求をされても、それに応え、肉体で表現するのが役者だ」という価値観が一緒だった。御殿場市で行われた1年にも及ぶ『戦国自衛隊』のロケでは、出演者が皆バスで10km離れた宿へ戻ったが、我々二人だけはロケ現場から毎日走って帰った[14]。彼は足腰が強く、過酷なロケも平気だった。JACにも出稽古にきて、一緒に汗を流しました。僕のやってるトレーニングをいちいち「これはどうやるんだ？」と聞いてきて、懸命に鍛えていましたよ。[31] 」

と千葉は振り返り、夏八木は、

「 新人で京都にきたばかりで挨拶の仕方も知らなく、そんな僕を千葉ちゃんがいろいろと面倒みてくれた。「何も知らない奴だから、あまりいじめないでくれよ」と周囲に言ってくれたんです。お陰で見知らぬ京都でかなり過ごしやすくなったので、本当に感謝しています。千葉ちゃんのそういう性格はもちろんだけど、あそこまで自分の肉体を意のままに操れるよう鍛えていたことに、僕はビックリしてね。千葉ちゃんから「JACでアクションの練習をしているから、なっちゃんも暇があったら来てみない？」って誘われたので、時間がある時は練習場に行って、紛れて一緒に鍛えたりしていました。[10] 」

と回想している。千葉と夏八木を知る関係者も、

「 夏八木さんの口からは、千葉さんを絶賛する言葉しか聞いたことがない。千葉さんも夏八木さんを『僕の人生の中で最高の俳優』と認めていて、事あるごとに仕事に誘っていた。互いによき理解者で、尊敬し合えるかけがえのない友だった。[6] 」

と二人の友情を証言している。夏八木から癌を告白された千葉は、関西の名医に夏八木を連れて行く[6]、身体に良い水を差し入れし[14]、頻繁に自宅を訪ねて励ましていたが[6]、すごく苦しそうだったという[31]。

デビュー時は金欠だったので、東映京都撮影所の経理部に給与の前借りを頼むが、もじゃもじゃの頭髪・髭により、山猿を彷彿させる風貌だったので、応対した職員を驚かせてしまう[17]。身分証明書の提示を求められたものの、「将来の大物」と期待する岡田茂 (東映) の決済で受け取ることができた[17]。角川春樹は「私が仮出所して内輪のパーティを開いたときに、受付に座って殺到するマスコミの防波堤になってくれた」と、その気遣いと侠気ぶりに深く感謝している[21]。

京都府在住時に出会った妻は日英ハーフで[15][21]、夏八木が29歳の時に結婚し[18]、2人の娘をもうける[18][21]。家庭で全く仕事の話をしないので、家族は作品になって初めて知った[18]。長く居住していた鎌倉市を深く愛し、深緑色の洋風住宅を構えていた[35]。2003年にバス路線整備の話が持ち上がった際には、閑静な住宅街の雰囲気を守るため、住民を集めて反対を訴えている[35]。2012年にはご当地ナンバーの推進運動に参加し、癌を発病した後も続けていた[38]。『希望の国』の撮影地である埼玉県深谷市まで鎌倉から2時間以上かけて電車通勤するなど、仕事も私生活も信念を曲げなかった[35]。

山田洋次は役者としての才能を評価し、『男はつらいよシリーズ』に寅さんのライバル役で出演を打診したが、叶わなかった[20]。

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受賞

出演

要約
視点

※は夏木 勲名義

映画

テレビ映画

テレビドラマ

テレビアニメ

劇場アニメ

吹き替え

舞台

CM

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ディスコグラフィ

さらに見る 発売日, 規格 ...

書籍

  • 春日太一「演じるほかに、道はなかった」『役者は一日にしてならず』（初版第一刷）小学館、2015年2月28日。ISBN 4093798699。OCLC 905172825。

参考文献

脚注

外部リンク

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