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カルピス

日本の乳製品・飲料メーカー、および同社が製造する乳酸菌飲料 ウィキペディアから

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カルピスは、アサヒ飲料機能子会社となる日本乳製品メーカーのカルピス株式会社: Calpis Co., Ltd.)及び、同社が製造してアサヒ飲料が販売する乳酸菌飲料の名称である。アルファベット表記はCALPIS、日本以外ではCalpicoとも。

概要 種類, 市場情報 ...

カルピス本社は、東京都渋谷区恵比寿に所在していた。2012年平成24年)10月にそれまでは味の素が保有していた全株式がアサヒ飲料などを傘下に持つアサヒグループホールディングスに譲渡され、同社の機能子会社となった。2016年(平成28年)1月のアサヒグループにおける飲料事業の再編にともない、アサヒ飲料の機能子会社である2代目法人となり、本社が東京都墨田区吾妻橋アサヒビール本社ビルへ移転した。同時に「カルピス」の登録商標についても、カルピスから親会社のアサヒ飲料に商標権が移管された。

2020年令和2年)12月現在のコーポレート・スローガンは「カラダにピース。CALPIS」。ブランド・スローガンは「ピースはここにある。」。

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企業

要約
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旧カルピス本社
(現在はグループ会社であるアサヒグループ食品の支店となっており、「CALPIS」のロゴも既に撤去済となっている)

企業としてのカルピスの創業者は、僧侶出身の三島海雲である。

20世紀の初頭の創業初期より、後に日本初の乳酸菌飲料となる「カルピス」を生産していた[2]。これと共に、脱脂乳の生産の際に副産品として製造を開始したとされるカルピスバターが主力商品である。

1964年東京オリンピックに際し、94カ国の選手が集まる選手村にカルピスを提供したところ、選手たちの間で人気を博した[3]。これがきっかけで、カルピスは日本国外への進出を決意し、1966年には初の国外現地法人が台湾に作られた[3]。1987年にはアメリカに進出した[3]。Calpisが牛の尿の意味の英語: cow piss「カウ ピス」と聞こえることから、英語が多用されるアメリカ合衆国やイギリス、インドネシアではCALPICO(カルピコ)という名称で販売される[4]。なお、製造情報の欄には輸出会社として「CALPIS CO.,LTD.」と書かれている。

1990年の味の素との提携後は、カルピスを製造時に水で希釈調合しすぐに飲めるようにした清涼飲料水「カルピスウォーター」の生産、ミネラルウォーターの「エビアン」やワインの輸入、カクテルカルピスサワー」などのアルコール飲料にも進出している。

味の素は2007年6月11日に同年10月1日付で、カルピス株式会社を完全子会社化することで合意したと発表した。カルピス経営陣は他社との提携も考慮したが、今後の少子高齢化で懸念される日本市場の規模縮小と、それを補うための海外市場展開、さらには、いわゆる三角合併の解禁による海外企業の買収攻勢への対応を見据え、この統合案しかないと表明。苦渋の決断だったとしている。

2012年5月8日、味の素がアサヒグループホールディングスにカルピスの全株式を2012年10月1日付、約1200億円で売却する内容の株式譲渡契約締結が発表された[5][6]。同年10月に株式譲渡が行われ、アサヒグループホールディングスの子会社となった。同時に「業務提携:味の素株式会社」の記載も削除されている。統合後はアサヒ傘下の会社とマレーシアにてカルピス飲料を共同開発し、東南アジア向けに現地の趣向に対応させ、ハラル認証も取得している。

2016年1月1日にアサヒグループの飲料事業の再編が行われ、事業ごとにグループ会社へ継承・移管した後、アサヒ飲料と合併。カルピスで行われていた国内飲料製造事業と乳製品事業はカルピスフーズサービスへ継承され、(2代目)カルピスとしてアサヒ飲料の機能子会社となった。

沿革

沿革については下記を参照。

初代会社

  • 1916年4月 - 前身となる醍醐味合資会社を設立。
  • 1917年 - ラクトー株式会社設立。
  • 1919年(大正8年)7月7日 - カルピス発売。
  • 1923年(大正12年) - カルピス製造株式会社に商号変更。
  • 1948年(昭和23年) - カルピス食品工業株式会社に商号変更。
  • 1951年(昭和26年) - 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年厚生省令第52号)によりカルピスが日本で初めての乳酸菌飲料となる。
  • 1987年(昭和62年) - フランスBSNグループ(現:グループ・ダノン)と業務提携。
  • 1990年(平成2年)
    • 1月 - いわゆる「黒人マーク」の使用を、人種差別問題に配慮して中止。
    • 8月 - 第三者割当増資を実施。味の素株式会社が増資を引き受け筆頭株主に。
  • 1991年 - 味の素株式会社から飲料事業を譲受、両社の缶入り飲料事業を統合。
  • 1997年(平成9年) - カルピス株式会社に商号変更。
  • 2007年(平成19年)
    • 9月25日 - 上場廃止。
    • 10月1日 - 株式交換により味の素株式会社の完全子会社になる。
    • 10月15日 - アサヒ飲料自動販売機事業の統合を公表。
    • 12月10日 - アサヒ飲料との共同出資で、自動販売機事業の持株会社「アサヒカルピスビバレッジ株式会社」を設立。出資比率はアサヒ80%・カルピス20%である。
  • 2008年(平成20年)1月4日 - 自動販売機事業子会社6社をアサヒカルピスビバレッジに譲渡。
  • 2009年(平成21年)10月1日 - 物流子会社のカルピス物流サービスを、相模物流センター及び群馬物流センターは関東エース物流、岡山物流センターは関西エース物流(共に味の素物流の子会社)に譲渡。
  • 2012年(平成24年)10月1日 - 株式譲渡によりアサヒグループホールディングス株式会社の完全子会社になる。
  • 2013年(平成25年)
    • 1月21日 - 2012年(平成24年)10月31日に締結した業務提携契約に基づき、自社開発のチルド飲料の製造・販売をグループ会社のエルビーへ移管。
    • 8月31日 - 酒類事業を終了(「カルピスサワー」はグループ会社のアサヒビールに移管され、同年12月10日に新仕様で発売される)。
    • 9月1日 - 国内飲料事業(「カルピスサワー」を除く)及び営業部門をアサヒ飲料へ移管統合。これにより、「カルピスサワー」、エルビーが担当するチルド製品を除く日本国内における「カルピス」ブランドの飲料製品のマーケティングと販売をアサヒ飲料が手掛けるようになる。
  • 2016年(平成28年)1月1日 - 国内飲料製造事業と乳購買を含む乳製品事業を子会社のカルピスフーズサービスへ、機能性食品(通信販売、素材)事業をアサヒグループホールディングス子会社のアサヒカルピスウェルネスへそれぞれ継承、海外飲料事業および発酵応用研究に関する組織と間接機能の一部をアサヒグループホールディングスへ機能移管した後、アサヒ飲料へ吸収合併され解散。

2代目会社

  • 2016年(平成28年)1月1日 - 乳製品の販売を行っていた(初代)カルピス子会社のカルピスフーズサービスが(初代)カルピスから国内飲料製造事業と乳購買を含む乳製品事業を承継して(2代目)カルピス株式会社に商号変更し、アサヒ飲料の子会社に移行。
  • 2020年(令和2年)12月末 - この月の製造・出荷分を以って同社が製造する製品(乳製品全般)における「CALPIS」ロゴのCIの商標使用を終了。

事業所

  • 本社:東京都墨田区吾妻橋1-23-1
  • 工場:岡山(工場記号BC)、群馬(工場記号KC)がある。国内工場の屋根は暖色系のオレンジ色に統一されている。

由来

1908年、30歳の三島海雲は内モンゴル(現在の中華人民共和国内モンゴル自治区)を訪れ[7]、そこで口にした酸乳を参考にして、1919年(大正8年)にカルピスを開発・発売し、この飲料と同名の企業の創業者となったと伝えられている。脱脂乳を乳酸菌で発酵(酸乳)しこれに加糖、さらに酵母馬乳酒中の酵母と近似[8])による発酵がカルピス独特の風味に不可欠であることは、長く企業秘密とされていたが、1990年代半ばに公開された。

社名は、「カルシウム」とサンスクリットの「サルピス」(सर्पिस्, sarpis, 漢訳:熟酥=じゅくそ)を合わせたものである[4]。社名を決める際、サンスクリット「サルピルマンダ」(sarpir-maṇḍa, 漢訳:醍醐)を使用し、「サルピス」・「カルピル」とする案も存在した。同社では重要なことを決める際には、その道の第一人者を訪ねる「日本一主義」があった。これにより、当時音楽の第一人者だった山田耕筰に社名について相談したところ、「カルピス」が最も響きが良いということで現行社名・商品名になったという[9]

元々は、パナマ帽を被った黒人男性が、ストローでグラス入りのカルピスを飲んでいる図案化イラストが商標だった。これは第一次世界大戦終戦後のドイツ帝国で苦しむ画家を救うために、社長の三島が開催した「国際懸賞ポスター展」で、3位を受賞したドイツ人デザイナーオットー・デュンケルスビューラードイツ語版による作品を使用したものである[10]1989年平成元年)に一部から「差別思想につながる」との指摘を受け、パッケージリニューアル時にこのマークは使用されなくなったが、マーク中の「渦巻き状のストローが入ったグラス」の意匠はややデザインを変えつつ、現在も一部のパッケージに受け継がれている。なお、カルピスはかつてのロゴの図案を白黒反転させたマークも商標登録している。

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商品

要約
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カルピス

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カルピスウォーター

乳酸菌飲料のカルピスの原液は非常に高濃度で、そのままでの飲用は推奨されていない。水、湯または牛乳で2.5から5倍程度に希釈して飲用とする。原液はその濃さから常温保存しても腐敗しにくい性質があり、戦前は一般家庭の常備品や大日本帝国軍補給品として、戦後は贈答用として広く使われていた。また、原液のままでかき氷にかけてシロップとしても使える。

飲料のカルピスは1919年(大正8年)7月7日に販売が開始された。当時のカルピスは現在の薬用養命酒のような下膨れのビン詰めで、ミロのヴィーナスが描かれた紙箱の包装だった。1922年水玉模様の包装紙を巻いたものになる。カルピスのパッケージの水玉模様は、発売日の七夕に因んで天の川をイメージしたもの。最初は青色地に白い無地玉で、1949年(昭和24年)に色を逆にし、白地に青い水玉とした[11][12]

1927年(昭和2年)には森永乳業よりコーラスが発売され、1980年代まで人気を二分した。

1941年に軍用カルピス、1943年に軍用ビタカルピスが製造され、大日本帝国陸軍の原料資材提供を受け、兵士の健康飲料とされた。ビタカルピスはオレンジ色の水玉模様の包装紙で包まれていた。軍隊調理法にも、練乳とクエン酸などを混ぜて作る代用品である「カルピス様飲料速製法」というレシピが載っている[13][14]

1958年に「濃縮オレンジカルピス」が登場のしたのを皮切りに、60年代初頭には「オレンジカルピス」ほかフルーツ味の瓶入り製品を展開した[15]

その後は希釈済みの製品として、1973年に炭酸水で希釈したカルピスソーダを発売。炭酸水希釈のソーダ飲料としたのは、当時の技術では普通の水による希釈では、長期の品質維持に問題があったためである。1980年代も終盤に差し掛かると生活様式の変化により、飲用時に希釈が必要な従来の原液カルピスは、一般家庭では徐々に疎遠な存在となっていった。1991年には、希釈の手間を省いたカルピスウォーターが発売され、大ヒット商品となった。また、1998年にはフルーツカルピスシリーズで初めてのカロリーオフ製品である「桃とカルピス」を売り出し、成功を収めた[15]

原液のカルピスは、瓶詰めの商品で、瓶が重いことなどから1995年(平成7年)に紙パック入りが登場し、商品のコンパクト化が実現された。これが近年の販売の主体となっている。

2002年(平成14年)、カルピスを飲んだとき、口の中に白い塊ができるのを防止するため大豆多糖類が加えられた[16][17][18]。この白い塊はカルピスに含まれるカゼイン唾液成分のムチンとが反応してできるものである[18]。この白い塊はネット上の一部で「カルタン」と呼ばれていたが、当然ながら正式な名称ではない[16][18]

2012年(平成24年)4月9日より、新たに開発した4層構造のプラスチックボトル「ピースボトル」を採用。レギュラー・ダイエット・ぶどうが全面リニューアルし、新規発売のオレンジとマンゴーも同じ「ピースボトル」を採用。主原料の砂糖・生乳の価格高騰が続いていることから、希望小売価格は据え置きながら、内容量は従来の紙容器から30 ml少なくなり、470 mlとなった。

このピースボトルのモチーフは、昔の水玉包装のカルピスで、懐かしさや親しみを与えようとデザインされた。風味維持のために光、空気を遮断する、プラスチック4層構造。ペットボトルよりも耐熱性に弱い素材であり、カルピス製造時の熱殺菌、充填、冷却に伴う容器の変形を防ぐための様々なノウハウが必要だという。紙パックに比べ、持ちやすいようにカーブをもたせている。また液切れのよいキャップを採用することで、薄めて飲むこと以外のかき氷に掛けるなどの用い方にも、配慮している。廃棄の際もキャップとボトルとラベルは同じ素材で分別不要である[19]

2019年(平成31年)1月出荷分よりラベルの意匠が変更され、カルピスのブランドからアサヒのブランドへ変更となった。同年(令和元年)7月7日で、販売開始から1世紀(100年)に到達。

コロナウイルスの流行による外出自粛に伴い、2020年はカルピス(原液)の出荷量が過去最高を記録した[20]

2020年4月7日には豆乳を原材料とする「グリーンカルピス」が発売された[21]。この製品は2023年6月をもって終売としたものの、乳アレルギーの子どもやその家族から再販を望む声が寄せられ、2025年3月4日には後継製品である「豆乳生まれのカルピス」が発売された[22]


自社の派生商品

これらの派生製品は、アサヒ飲料との合併後も引き続き自社で製造・販売されている。いずれも乳酸菌飲料としてのカルピスの成分は含まれない。

アサヒグループが発売する派生商品

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他社との提携商品

他社と提携し、商品名に「カルピス」を冠した商品も数多い。

  • ロッテアイス
  • J-オイルミルズ
  • エイワ
    • カルピスマシュマロ
  • エルビー
    2005年から2017年まではアサヒグループだった。グループ離脱後もアサヒ飲料からライセンスを受けて製造販売している。
    • 味わいカルピス
    • 大人の健康カルピス
    • すくすくカルピスキッズ
  • UCC上島珈琲
    かつてUCCブランドで喫茶店・飲食店向け業務用カルピスを販売していた。現在もAsahiブランドの業務用1Lパックを販売している。

その他の商品

なお、「カルピス」や後述する「ぐんぐんグルト」を含むカルピスブランドの製品は合併に伴ってアサヒ飲料の製品となった。下記以外の製品についてはアサヒ飲料#主要ブランドを参照。

  • ぐんぐんグルト - カルシウムを多く配合した乳性飲料。2003年(平成15年)発売。本製品はアサヒ飲料との合併後も「CALPIS」ブランドのままであったが、2019年夏季出荷分よりパッケージロゴ、キャップロゴともにAsahiブランドに変更された。

過去に存在した商品

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テレビ番組

CM出演者

現在
  • 長澤まさみ(カルピス・「カルピス」ブランドCMおよびアサヒ飲料合併以前のサウンドロゴも担当。カルピスソーダ・カルピスウォーター(2022年)。過去に、幼児期の子役でも出演しているほかカルピスウォーターシリーズにも契約があった)
  • 當真あみ(カルピスウォーター)

過去

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歴代CMソング

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提供番組

にち10ダバダ(10時台)のみ提供。提供読みは「カルピスでお馴染みのアサヒ飲料」→「アサヒ飲料」。毎週投稿者への景品も提供。

現在はスポットCM、またはアサヒ飲料提供番組で商品CMを流している。

過去

テレビアニメや特撮番組
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脚注

関連項目

外部リンク

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