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交通系ICカード全国相互利用サービス

2013年3月23日より開始された全国10種類の交通系ICカードの全国相互利用可能サービスのこと ウィキペディアから

交通系ICカード全国相互利用サービス
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交通系ICカード全国相互利用サービス(こうつうけいアイシーカードぜんこくそうごりようサービス)は、日本乗車カードのうち、非接触型ICカード方式を採用している電子マネー機能付き乗車カード(以下、「交通系ICカード」と記す)のうち以下の11団体が発行する全10種類のカードについて、乗車カード機能及び電子マネー機能(一部例外を除き)を相互に利用可能としているサービス。2013年3月23日から開始された。

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ICカード間の相互利用関係(クリックで拡大)。
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新幹線を除く10カードのエリアと、10カードエリア外の主な交通系ICカード

上記各社が発行する10種類のカードを総称して10カードと呼ぶことがある[1]

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概要

上記の10種類の交通系ICカード(以下10カード)について、どのカードを所持していても原則として別のICカードエリアで乗車カードとして利用できる(他エリアでは使えないという事がなく、持ち出しても有効)というものである。また、10カードが個別に相互利用協定を結んでいるこれら以外のカードのエリアでも利用可能となっている。

PiTaPa以外の9種類の交通系ICカードについては、電子マネーとしての相互利用も可能となっている(PiTaPaが加わっていない理由は「#電子マネーとしての利用」で後述)。

10カードはICカード相互利用センター[注釈 1]を介して相互利用に伴い発生するデータ処理等を行っている。また、これらとは別に一部の地域限定交通系ICカード(後述)については、10カードのいずれかのシステムを経由することで、10カードでの利用を可能としている[2]。これにより、47都道府県のうち46都道府県[注釈 3]県庁所在地及び人口20万人以上の115都市のうち政令指定都市全20市を含む82都市では10カードを何らかの方法で利用することが可能となっている[2]

共通のシンボルマークが設けられており、「IC」の文字に交通系をイメージさせるパンタグラフと車輪を付けたシンプルなデザインが採用されている[PR 2]。このシンボルマークは改札機・運賃箱などのタッチパネル部分に表示されている。

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導入の経緯

日本におけるICカード乗車券は2001年にJR東日本がSuicaを導入して以来全国各地に広まっていったが、導入に際してはほとんどの社局がソニーの非接触式ICカード技術「FeliCa」を採用しながら、それぞれが独自のICカード乗車券を導入する状態が続いていた。こうした中、近畿圏で2006年にJR西日本が採用しているICOCAと民鉄が採用しているPiTaPaが乗車カードとしての相互利用を開始したのを皮切りに、首都圏で2007年にPASMOがSuicaとのICカード乗車券及び電子マネー機能の完全互換利用(首都圏ICカード相互利用サービス)を前提として導入[3]、さらには2008年に本州JR3社のICカード乗車券の相互利用が始まる[4][PR 3] など、エリア内あるいはJR同士でICカードの相互利用の動きが進められてきた[5]

2010年12月20日、こうした動きを一歩進める形で、交通系ICカードを発行するJR5社と福岡市交通局、PASMOとPiTaPaの参加事業者の協議会組織(PASMO協議会・スルッとKANSAI協議会)、nimocaの発行元の親会社である西日本鉄道、さらに2011年に交通系ICカード「manaca」を導入予定の名古屋市交通局名古屋鉄道の11社局連名で10カードの相互利用サービスの検討を開始したことを発表[5][PR 4]、翌年5月18日に、2013年春の導入で合意したことを発表した[PR 5]

その後細部の検討を進めた結果、2012年12月18日2013年3月23日からのサービス開始がアナウンスされ、シンボルマークが制定された[PR 2]

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対象事業者一覧

要約
視点

2025年4月4日現在、320事業者で利用可能である[PR 6][PR 7][PR 8]背景色が黄色の事業者は、鉄道事業・バス事業いずれも交通系ICカードに対応している事業者。船舶事業者は、機器システム上バス事業者に含む。

なお、交通系ICカードを乗車券としては利用できないが、電子マネーとしては利用できる(物販扱い)事業者はこちらを参照されたい。

さらに見る エリア, 交通事業者 ...
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利用方法

要約
視点
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モバイルSuica使用履歴(スクリーンショット)の一例。

IC乗車券としての利用

10カード(小児用も含む)のいずれかを持っている場合には、下記のエリアでICカード乗車券として、鉄道の改札機や路面電車・バスの乗降口に設置されているカードリーダーにタッチしてそのまま使用できる。ほとんどのケースで残高の現金チャージも相互に利用可能となっている。普通運賃と別にIC運賃がある区間では、相互利用カードを使用してもIC運賃が適用される。一部のカードで実施しているポイントサービスおよびオートチャージには、原則として当該カードエリア外では対応していない。また、PiTaPaで使用する場合はあらかじめカードに残高をチャージしておく必要がある(ICOCAの近畿圏エリアを除いてポストペイ利用はできない)。

それぞれのエリアは原則として独立しており、「SuicaとPASMO」「SUGOCAとはやかけん」の組み合わせを除いて複数のICカードエリアをまたがった連続利用はできない(中間改札などでの処理が必要になる)。2021年3月13日にSuica・TOICA・ICOCAのエリアが、2023年4月1日にICOCAとSUGOCAのエリアが連続するようになったが、JR線同士であっても、エリアをまたいだ利用は在来線IC定期券およびSuica・TOICA・ICOCAで発行した新幹線定期券「FREX」「FREXパル」に限定され、引き続きIC残高でのエリアまたぎ利用はできない[注釈 4][PR 9][PR 10]。このようにIC残高でのエリアをまたぐ利用を行っていない理由として、鉄道ライターで都市交通史研究家の枝久保達也は、PASMO導入時の経緯から推察して、エリアをまたぐ利用を認める前に様々なパターンの運賃検証テストを行う必要[注釈 5]があり、これに要するコストが利用パターンや利用者数が限られるエリアまたぎ利用に見合わないのではないかと推察している[6]

PASMO導入事業者のうち、関東鉄道(鉄道線)と千葉都市モノレールは交通系ICカード全国相互利用サービスに参加していないため、PASMO・Suica以外のICカードは利用できない。

一部事業者(市や交通局など)が発売している福祉乗車証(ICカード化がされたもの)などはIC乗車券としての利用のみ可能。

きっぷ購入時に適用される割引制度(往復割引[注釈 6]や、証明書の必要となる学生割引/ジパング倶楽部/大人の休日倶楽部など)や、一部の運賃計算特例(特定都区市内途中下車制度など)は、IC乗車券としての利用時に適用されないものがある。

相互利用可能なエリア
片利用可能なエリア

これらのエリアでは10カードで利用できるが、逆にエリア向けに発行するカードでは10カードのエリアでは基本的に利用できない[7][注釈 7]

新幹線乗車サービス

JR新幹線の決済済証明としてカードを使用できるサービスや乗車カード(要登録)として使用できるサービスがある(ICカードによる新幹線定期券も提供されている)。これらのサービスを利用する前提とした特別企画乗車券(早割/往復割(EX系は2026年3月廃止予定)((東日本管内に限り大人の休日倶楽部対応)など)も存在する。

新幹線eチケットとタッチでGo!新幹線が重なる場合は、乗車駅からの予約情報がある場合は新幹線eチケットが優先され、タッチでGo!新幹線/新幹線定期券使用の場合は該当予約を取消しないといけない。
(新幹線eチケット/EX-IC/スマートEX>新幹線定期券>定期券新幹線サービス>タッチでGo!新幹線)が優先順位。

山形・秋田新幹線と盛岡以北の「特定特急券」(東日本管内はタッチでGo!新幹線を使用、西日本・北海道は対象外)や満席等の「立席特急券」は対象外

電子マネーとしての利用

PiTaPa以外の9種類の交通系ICカードについては、電子マネーとしての相互利用も可能となっており、買い物時の決済にも利用できる。

コンビニエンスストアなどでは、相互利用を前提に地元地域で発行される特定の1種類の交通系ICカードに対応しているケースが複数見られる(ローソンポプラなど)。大手コンビニエンスストアのセブン-イレブン[8]・ローソン[9]ファミリーマート[10] では店頭での支払いと共に現金チャージに対応するほか、セブン銀行ATMでも現金チャージに対応する[11]

PiTaPaが電子マネーの相互利用に加わっていないのは、他の9種類がプリペイド(チャージ残高でのみの決済)方式となっているのに対し、PiTaPaはポストペイ(一定期間の利用額を後日まとめて請求。クレジットカードと同じ)方式が前提となっているためである。また、上記の片利用可能な事業者については乗車券のみの対応であり、電子マネーは利用不可となっている。

以下の交通機関では、IC乗車券としての利用には対応していないが、駅券売機などが交通系ICカードでの決済に対応しており、交通系ICカードを使って乗車券を購入することで利用ができる。ただし、電子マネー決済となることもあり、重複して導入している場合を除きPiTaPaの利用はできない。

交通系ICカードの相互利用関係

凡例
※下記は2025年3月30日現在のもの。利用制限に関する詳細な記載は一部省略している。一部の事業者が発行している「特割用カード」は相互利用の対象となっていない。
◎:乗車券機能・電子マネー機能ともに相互利用可能
◯:乗車券機能の片方向利用可能(電子マネーサービス未実施)
△:乗車券機能のみ相互利用可能・電子マネー機能は利用不可
▽:乗車券機能のみ片方向利用可能・電子マネー機能は利用不可
×:乗車券機能・電子マネー機能ともに利用不可
-:発行事業者のため対象外
さらに見る 利用エリア, Kitaca ...
  1. ポストペイ方式での利用不可(事前のチャージが必要)。また、電子マネー決済による交通機関利用(別項参照)は利用不可。
  2. グリーン車Suicaシステム(Suicaグリーン券)は利用不可。
  3. PASMOエリアのうち関東鉄道常総線および竜ヶ崎線)、千葉モノレールではPASMO・Suicaのみ利用可能。それ以外のICカードは利用不可。
  4. 近畿エリアのみポストペイ方式での利用が可能。それ以外のエリアでの利用は事前のチャージが必要。
  5. 函館市電の「箱館ハイカラ號」は利用不可。
  6. JRバス東北・岩手県北自動車・岩手県交通・山交バスを除くSuica仙台エリアに限り、icscaによるSF利用が可能。icscaエリアではすべてのSuicaによるSF利用が可能。
  7. チャージ(窓口・チャージ機・車内チャージ)、乗り継ぎ割引の取り扱い無し。
  8. でんでんnimocaエリア(熊本市電)に限り、くまモンのIC CARDによるSF利用が可能。
カード残額の制限

manacaエリア、TOICAエリア、およびicscaエリアではカード残額が0円でも入場・乗車できる(降車時にチャージまたは精算が必要)が、それ以外の相互利用エリアではカード残額0円では入場・乗車ができず、前もって以下の残高がチャージされていることが必要になる(駅でチャージができない場合もある)。また、運賃先払いの交通機関(一部のバス・路面電車等)では精算額以上の残高がないと利用できない。
なお、スマートEX/新幹線eチケットはSF利用ではないので改札外⇔新幹線改札内への制限はないが、新幹線乗り換え改札を通行する場合は在来線のカードエリアの残額が必要で、新幹線改札で入場記録の更新を行う。(同一駅の場合は引去額はゼロ)

  • 1円以上:ICOCAエリア、PASPYエリア
  • 10円以上:PiTaPaエリア[注釈 8]、SAPICAエリア、IruCAエリア、SUGOCAエリア、nimocaエリア、はやかけんエリア
  • 1000円以上:Suicaの定期券新幹線乗車サービス
  • 当該改札からの初乗り運賃以上(駅・改札口で異なる):Kitacaエリア、Suicaエリア(「タッチでGo!新幹線」利用時[注釈 9]を含む)、PASMOエリア
    • 改札外乗換が有効の場合と定期券区間内を除く。なお、乗換駅までの運賃より目的地への運賃が安い場合でも差額の返金はない[注釈 10]

おサイフケータイ/FeliCaを内蔵した携帯電話向けのモバイルアプリ(モバイルSuicaモバイルPASMOモバイルICOCA)も交通系ICカードと同じような利用が可能だが、これらはカード挿入式タイプの自動券売機や精算機でのチャージに対応しておらず、オンラインチャージまたはトレー式タイプの自動券売機やコンビニなどのタッチ型端末のある場所で行う必要がある。

各カードの独自サービス

割引サービス
当該カードのエリア内で適用される独自の割引サービス(バス乗り継ぎ割引など)は、原則として相互利用サービス対応の他社局カード利用時には適用されない。
但し、下記の例外がある。
  • PASMOエリアの都バス乗継割引サービスは、PASMO・Suicaに限り有効。
  • ICOCAポストペイ対応エリアの時間帯指定割引・利用回数割引は、ICOCA・PiTaPaに限り有効(但しICOCAはポイント還元、PiTaPaは割引とサービス内容が異なる)。
ポイントサービス
当該カードのエリア内で適用される独自のポイントサービスは、原則として相互利用サービス対応の他社局カード利用時には適用されない。また、他社局エリア利用時にも適用されない。
但し、下記の例外がある。
  • PASMOエリアで提供していたバス利用特典サービス(バス特)は、PASMO・Suicaに限り有効。
  • SUGOCAポイント・はやかけんポイントは、筑肥線と福岡市地下鉄をまたいだ利用時にも1乗車につき一律10ポイントが追加付与される。ただし、利用先の区間のみを利用した場合は追加ポイントの対象外。
PiTaPaエリアにおける他カード利用制限
一部会社を除き、運賃不足時に現金やスルッとKANSAIカード等で差額の精算はできない。
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沿革

要約
視点

事業者単位でのサービス開始については、相互サービス対応済カードの新規導入(エリア拡大)事例は除く。新幹線乗車サービスは別途参考。

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相互利用の拡大(2018年3月まで)。GIFアニメ動画
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今後の予定

全国相互利用サービス対応(相互利用)

地域連携ICカードの導入

全国相互利用サービス対応(その他)

MOBIRY DAYS導入事業者
PASPY(2025年3月29日サービス終了)の後継となるMOBIRY DAYS(2024年9月7日本格導入)には、それ自体に交通系ICカード全国相互利用サービスとの互換性がないため、広島電鉄グループ各社と一部の呉市生活バス運行事業者ではICOCAの簡易型端末[注釈 13]を並行導入して、全国相互利用サービスを行っている。
将来的にMOBIRY DAYSの車載器でも全国交通系ICカードや、新たに流通大手の電子マネーを使えるように検討しており、時期は未定ながらも早期の実現を目指すとしている[66][67]

全国相互利用サービスからの離脱

くまモンのIC CARD導入事業者(全国相互利用サービス離脱)
くまモンのIC CARDを導入している熊本電気鉄道及び九州産交バス他3社では、料金収受機器の更新に公的補助がないこと、また各社の収益が悪化していることを理由に、約12億円の更新費(2025年3月末が保守期限)がかかる全国相互利用サービスの片利用を2024年11月15日で終了し、翌16日から利用できなくなった[68]。代替として2025年2月24日からクレジットカードによるタッチ決済を導入したほか[69]、スマートフォンによるQRコード決済の導入も検討されている(導入時期未定)[70]
また、くまモンのIC CARDとでんでんnimocaの双方に対応している熊本市電でも、2026年春を目処にnimocaを含む全国相互利用サービスから離脱することを表明した。熊本市電では既にクレジットカードのタッチ決済を導入済みで、全国相互利用サービスの有無による機器更新費用の変動は少ないものの、地域内の運賃支払方法を統一することを優先した[71]
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脚注

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