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防衛大臣
日本の国務大臣 ウィキペディアから
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防衛大臣(ぼうえいだいじん、英: Minister of Defense)は、日本の防衛省の長および主任の大臣たる国務大臣[2][3]。略称は防衛相(ぼうえいしょう)。
他の国務大臣と同様、日本国憲法第66条の規定により、文民統制の観点から文民が任命される。防衛省の長であるとともに、陸海空の三自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣の下で、統合幕僚長を通じて自衛隊全体を統督する。防衛大臣の自衛隊の部隊運用に関する指揮は、統合幕僚長が補佐し、統合作戦司令官を通じて行われる。
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概説
要約
視点
東西冷戦期には日米安保体制下にあって日本が安全保障政策でイニシアチブをとる幅も少なかったため、戦後長らく、防衛庁長官は重要閣僚とはみなされず、初入閣者に与えられることが多いポストで、大物政治家の就任も少なかった。1970年に首相の佐藤栄作が第3次佐藤内閣で派閥領袖の中曽根康弘を起用したり、1977年の福田改造内閣で既に実力者であった金丸信が就いたりしたのは例外だった[4]。
変化の兆しが出てきたのは、自らも長官を歴任し、国防の専門家を自認する中曽根康弘政権においてであった。中曽根は党のホープとされた加藤紘一を1984年に長官に抜擢し、翌年の内閣改造でも留任させた[4]。1990年代以降になると、湾岸戦争などを経て日本の軍事面を含めた国際貢献が問われるようになるとともに、有事法制の整備、在日米軍再編や日米同盟の再定義といった国防に関わる問題が国政の最重要課題に上ることが増えた。さらに、災害対策などにおける自衛隊の活動も国民に認知されるようになる。首相の橋本龍太郎は普天間基地移設問題の処理が懸案となっていた1997年の内閣改造で、自らに近い久間章生の留任にこだわるなどした[4]。
相対的に防衛政策の重要性が高まる中、防衛庁は第1次安倍内閣下の2007年(平成19年)に悲願の省昇格を果たし、防衛大臣(防衛庁長官)も対外交渉や国会答弁を円滑に行うことのできる能力が求められるようになった。
21世紀以降の就任者を見ると、中谷元、石破茂、浜田靖一、江渡聡徳、岩屋毅、木原稔など、いわゆる国防族を始めとして、高村正彦(外務大臣などを経験)、小野寺五典(当時は外交族と見なされていた[5])、岸田文雄(外務大臣と兼任)、河野太郎(外務大臣から横滑り)といった党や政府で有力・関連ポストを経験した議員や、額賀福志郎、久間章生、石破、中谷、小野寺、浜田といった再任者の就任が多くなっている。また、2009年(平成21年)に成立した民主党政権でも、北澤俊美は外交・安保問題とは無縁の人物だったものの、就任後は閣内随一の実力者として存在感を発揮し、2012年(平成24年)には内閣改造(野田第2次改造内閣・野田第3次改造内閣)の目玉人事として民間人でありながらも自衛隊出身で外交・安保問題の論客である森本敏が起用された。2020年(令和2年)の菅義偉内閣では初入閣の岸信夫(元外務副大臣)が起用されたが、岸は外交族・親台派として知られており、対中安保を睨んだ人事とも評され[6]、2年に渡って務めた。安倍晋三政権では女性も登用され、小池百合子、稲田朋美が就任した。男性主導の印象が強い防衛省で女性がトップに就く人事は話題を呼んだが、小池は省内人事の混乱で再任を固辞し、稲田は南スーダン派遣PKO部隊の日報非開示問題(PKO日報隠蔽疑惑)などの責任を取って引責辞任した[4]。
こうして、今日では防衛大臣は比較的重要度の高い閣僚とみなされるようになっている。派閥均衡など自民党の人事力学と離れ、専門性を重んじる場合があるのも特徴である[4]。また、現在のところ防衛庁長官または防衛大臣経験者で、後に総理大臣に就任したのは、中曽根康弘、宇野宗佑、岸田文雄[注 1]、石破茂の4人である。
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旧制度との比較
旧憲法下の軍部大臣(陸軍大臣・海軍大臣)は軍の作戦行動に関する指揮権を持たず、軍政のみを管掌した(これを「ドイツ型軍部大臣」という)。また、軍部大臣の就任資格は殆どの期間で武官(軍人)に限定されていた(軍部大臣現役武官制)[注 2]。これに対して、現行制度における防衛大臣は、現行憲法第66条の規定により文民統制の観点から文民が任命され、自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣の隷下で軍政に相当する防衛行政だけでなく、軍令に相当する自衛隊の作戦行動に関する指揮監督をも行う(これを「フランス型軍部大臣」という)。
防衛大臣等の一覧
要約
視点
- 防衛大臣のほか、防衛省の前身である防衛庁、保安庁、警察予備隊本部及び海上警備隊の海上保安庁長官等も範囲に含める。
- 警察予備隊本部は保安庁や保安隊をへて現在の防衛省内局や陸上自衛隊に移行した。
- 海上保安庁の海上警備隊は保安庁の警備隊になり、現在の海上自衛隊に移行した。
- 海上保安庁の本体部分は保安庁の海上公安局とされたが、移行されずに現在の海上保安庁に至る。
- 太字は後に内閣総理大臣となった人物。
- 補職辞令のある再任は個別の代として数え、辞令のない留任は数えない。
- 臨時代理・事務取扱・事務代理は、大臣または長官が欠員の場合のみ記載し、海外出張時等の一時不在代理は記載しない。
警察予備隊本部長官
国務大臣(警察予備隊担当)
海上保安庁長官(保安庁への過渡期)
国務大臣保安庁長官(総理府の外局)
国務大臣防衛庁長官(総理府の外局)
国務大臣防衛庁長官(内閣府の外局)
防衛大臣(防衛省)
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記録
防衛大臣表彰(防衛大臣賞、防衛大臣感謝状を含む)
防衛大臣表彰は防衛庁の防衛省移行に伴い改称されたものである。これにより防衛庁長官表彰、防衛庁長官賞、防衛庁長官感謝状はそれぞれ防衛大臣表彰、防衛大臣賞、防衛大臣感謝状と改称された。 防衛大臣表彰は主に自衛隊員に対して授与されるもので防衛省職員(事務官、自衛官等)については25年以上に永年勤続[8]、予備自衛官、即応予備自衛官については30年以上の永年勤続[9]に対して授与されている。また、かつて防衛省が実施した安全保障懸賞論文の賞として授与されていた。防衛大臣感謝状は防衛省や自衛隊の業務に協力する団体の関係者に贈呈されることが多い。
脚注
関連項目
外部リンク
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