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日本の世界遺産

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日本世界遺産(にっぽんのせかいいさん、にほんのせかいいさん)はユネスコに26件登録されており、文化遺産が21件、自然遺産が5件である。

文化遺産

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自然遺産

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複合遺産

まだ、日本には自然遺産かつ文化遺産の特徴を持つ遺産は存在していない。

危機遺産

なし

地域別

要約
視点

現在、47都道府県中28都道府県(北海道青森県岩手県秋田県栃木県群馬県東京都新潟県富山県山梨県岐阜県静岡県三重県滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県和歌山県島根県広島県山口県福岡県佐賀県長崎県熊本県鹿児島県沖縄県)に世界遺産がある。

分布図

Thumb
日本の世界遺産位置図(2024年7月時点)

北海道

東北地方

関東地方

中部地方

近畿地方

中国地方

四国地方

なし

九州・沖縄地方

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暫定リスト掲載物件

要約
視点

日本政府は、登録の前提となる暫定リストに文化遺産4件をリファレンスナンバー(Ref No.[注 2])順に掲載している[3]。英語名は世界遺産センターの暫定リスト[3]、日本語名は文化遺産については文化遺産オンライン[2]による。

文化遺産の候補

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自然遺産の候補

なし

複合遺産の候補

なし

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暫定リストへの過去の提案

要約
視点

文化遺産推薦に向けた公募

文化庁は2006年と2007年に文化遺産候補を全国から公募した。その中には「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」、「「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群」、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」のように、すでに世界遺産に登録されているものもあり、「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」のように暫定リストに記載済みのものもある。また、「萩-日本の近世社会を切り拓いた城下町の顕著な都市遺産」は「萩城下町」として「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」に組み込まれて世界遺産に登録されている。その一方で、暫定リスト入りを果たしていない提案も以下のように多く残っている(カッコ内の年は最初に提案された年)[16][17]。以下の提案は文化審議会によって評価や課題が示されている[18]

なお、「飛騨高山の町並みと祭礼の場-伝統的な町並みと屋台祭礼の文化的景観-」の無形文化財の要素については、無形文化遺産山・鉾・屋台行事」の構成資産となった。また、ユネスコの遺産事業とは異なるが、日本遺産に組み込まれた例に四国霊場や足利学校および「水戸藩の学問・教育遺産群」と「近世岡山の文化・土木遺産群」の構成資産候補から弘道館閑谷学校の指定があり[注 3]、阿蘇は世界ジオパークおよび世界農業遺産、宇佐・国東は世界農業遺産、松島は世界で最も美しい湾クラブに登録されるなど、異なる枠組みで評価されている要素を含む物件もある。

自然遺産推薦に向けた選定

自然遺産の候補については、2003年に環境省林野庁が主催する「世界自然遺産候補地に関する検討会」でリストアップと検証が行われ、その中から、有力候補として知床小笠原諸島奄美・琉球が選定された[20][注 6]。その過程で漏れた候補は以下の通りである(「比較対象」は、審議の際に、候補地よりも優越するとして挙げられた他国の世界遺産などであり、選定された3件のみが他国の世界遺産よりも優越する可能性を指摘された)[21]

なお、2013年に環境省が検討会にリストアップした候補地(自然遺産に登録された物件を除く)に対し、その後の活動状況や現在も世界遺産を目指す意思があるのかなどの意識調査を実施している[22]

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今後の在り方について

要約
視点

ユネスコ・世界遺産委員会・諮問機関の動向と傾向

創設から40年を経過した世界遺産は、一見して解る著名な建築物遺跡自然環境を網羅し、文化遺産では産業遺産自然と人間の共生が見られる文化的景観などに移行しつつあり、諮問機関の国際記念物遺跡会議(ICOMOS)がこれまで行ってきたテーマ研究に基づき「世界遺産グローバル・ストラテジー(世界遺産一覧表における不均衡の是正及び代表性・信頼性の確保のための世界戦略)」を開示[23]、 その中で「世界遺産リストにまだ充分に反映されていない分野」として土木遺産・運河文化の道20世紀建築近代都市都市遺産聖なる山岩絵先史時代遺跡・化石人類遺跡などを挙げ、「遺産としての農村景観に関する原則」[24]に基づき地域多様性を反映する一般家屋や集落景観の可能性も示唆。

一方、自然遺産に関しては、地形地質学的特性から生物多様性固有種生態系の保護へと移行し、諮問機関の国際自然保護連合(IUCN)が生物多様性条約において生態系保全のため2030年まで国際社会が取り組むべき行動指針として、全世界の陸海域の30%を生物・生態系保護区にするという目標を定め(2010年制定の愛知目標では陸域の17%、海域の10%と設定)、各国の制度下で国立公園や国営保護区を積極的に設けるよう求める方向性を示し、ユネスコとしても世界遺産に登録枠を設けることができないかや公海の世界遺産の可能性も検討することになった[25]

加えてユネスコと世界遺産委員会は、無形の要素と絡めたりストーリー性がある展開や、文化遺産・自然遺産を問わず「システム」という枠組みや流れの中における対象物の存立意義を解説すること、構成資産に含まれなかった関連する場所の顕彰と連携(ヘリテージ・エコシステム)を求めるようになったほか[26]災害等を含めた管理体制と被災時における適正な復旧手法の事前構築、緩衝地帯を含めた景観保護や開発の監視・規制、世界遺産管理のエッセンシャルワーカーとしてのサイトマネージャーの育成、文化遺産維持に必要な文化資材の確保、遺産の価値や意義の周知徹底[注 7]観光公害対策[注 8]を求めるようになった[27]。また、2012年に開催された「世界遺産条約採択40周年記念-世界遺産と持続可能な開発:地域社会の役割」(京都ビジョン)で世界遺産存続のためコミュニティの存在の重要性が確認され、世界遺産を維持するためには地域コミュニティの持続可能性も必要であるとともに、保存活動への地域社会関与や世界遺産を活かした地域貢献の具体案(遺産の商品化)なども示さなければならない[28]

2021年に開催された第44回世界遺産委員会では、世界遺産保全に気候変動対策を盛り込むことが決定し、新規推薦に際して遺産影響評価(HIA)として被害想定シミュレーションと対策案を盛り込むことが義務付けられた[29]

さらに、国連機関の一員であるユネスコは、国連が推進する持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みから持続可能な開発のための文化を採択し、持続可能な開発を世界遺産にも反映させるべく求めるようになり、今後の世界遺産登録を目指す際には官民一体となった対応が不可欠とされる。SDGs目標11「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」の第4項に「世界の文化遺産および自然遺産の保全・開発制限取り組みを強化する」と明記されており、特に世界遺産候補地周辺での開発は慎重かつ国際ルールに則った適切なもので実施しなければならない。

世界遺産の推薦は2020年から文化遺産・自然遺産を問わず審議対象は一国一件に限られるようになり、全体審議数も35件までとして登録数の少ない国を優先するため推薦物件が多い場合には日本からの推薦が受理されない可能性もあるなど(2021年第44回世界遺産委員会での新規登録で日本は25件となり保有数で世界11位になった)、一層狭き門となるつつある状況に加え、正式推薦に先立ち「潜在的顕著な普遍的価値(POUV)」などを書面審査する「事前評価」制度を導入することが決まり、推薦書作成に際してさらに手間と時間を要するようになる[30]

新たな暫定リスト追加の可能性

文化遺産

上記のような情勢の変化をうけ、文化遺産分野の諮問機関であるイコモスの国内組織「日本イコモス国内委員会」の岡田保良副委員長(国士舘大教授)は2018年2月8日に宮崎県庁で行われた講演の中で、「政府が選定する国内の推薦候補地について、2019年度までに追加など見直し作業を行う可能性がある」との見解を示し[31]、2020年から文化庁文化審議会世界文化遺産部会が「我が国における今後の世界文化遺産の在り方に係る検討について」のテーマ研究を開始[32]。この過程の中で同部会は「特殊な資産に係る世界遺産一覧表への登録に関する指針」として、文化的景観に加え「歴史的町並みと街区」「運河に係る遺産」「遺産としての道」に優位性があるとした[33]

2021年1月21日に開催した同部会は新たに推薦されるべき候補として、

  • 地震洪水といった防災に係るもの
  • 対象の保護に無形文化遺産が必要不可分に関わっているもの
  • 独自の信仰形態を表すもの
  • 自然の尊重や自然との共生という古来からの精神を体現したもの
  • 自然環境と生活の相互作用が独自の文化的価値を表現しているもの
  • その時代の日本文化を象徴する資産が全国に展開されているもの
  • 戦後の復興を象徴するもの

という指標を示し、文化ナショナリズムが台頭していることをうけ国際軋轢を生まない物件にする配慮も必要とした[26]

また同年2月4日の部会では、トランスバウンダリー(国境を超える遺産)での国際協調も重視するとし、ユネスコの求めに沿った複数の都道府県をまたぐシリアル・ノミネーションの増加を指摘。2005年・2006年の「文化遺産推薦に向けた公募」の時のように単体の自治体推挙による公募制は採らないこと(シリアル・ノミネーションの優位性を示唆)や各既登録地の拡張登録を模索すること、自然との共生や相互作用を意識して自然面での保護根拠にエコパークジオパークを充てる試みなどを決め[34]、3月30日の最終部会では前回で単独自治体推挙による公募制を採らないとしたことをうけ、新候補地の選定方法として、文化審議会と外部有識者による書類審査・現地調査・ヒアリングで、前述の諸条件を満たし証明してるかを検証するとし、こうした条件に対応できる物件・地域(自治体等の地方行政機関)でなければ世界遺産の候補とすることは難しいとした[35]、文化庁幹部は「有力候補を一本釣りする」としている[36]

2023年7月4日の同部会では、2030年代の登録候補となるものの選定を始めるとし、2024年になり部会の下に「今後の我が国の世界文化遺産の候補として暫定一覧表に記載することが適当と考えられれる資産の具体的な検討を行うためのワーキンググループ」を設置した[37]

文化遺産推薦に向けた公募」に立候補し、その後も登録を目指す活動を継続する自治体に加え、新たに名乗りを上げる自治体も現れ、学術的視点で関係各方面から具体的な提言も出されるようになり、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の登録に尽力し内閣官房参与も務めた加藤康子黒部ダム[38]、そして日本イコモス国内委員会委員長・文化審議会世界遺産特別委員会(現 世界文化遺産部会)委員長を務めた西村幸夫と元ユネスコ事務局長の松浦晃一郎らも黒部に加え立山の砂防システムの登録の可能性を公言しており、立山の自然環境を含めれば複合遺産の可能性もあると示唆している[39]。特に西村は今後の日本の世界遺産について、ユネスコが認める保存活用事例(アダプティブユース遺産と創造性)も勘案しつつ、近代化遺産・産業遺産や稼働遺産としての土木構築物、戦後建築に移行せざるをえないのではないかと言及[40][注 9]。また、特定地域の文化財を推すのではなく、例えば各地の日本庭園茶室などを一つのテーマとするオールジャパン体制のシリアルノミネーションも有効とする[41]

日本イコモス国内委員会は2017年に、将来的に世界遺産になる可能性がある日本の20世紀遺産を選定している。

奈良文化財研究所の所長で、文化庁職員時代に京都の世界遺産登録を担当した本中眞は、「これまで世界文化遺産は自国の独自の文化を象徴するものである必要性があったが、今の時代の世界遺産に求められるのは“日本を代表する”という名目だけでは足りず、歴史に照らし往時に国際的な協調性開放性文化循環を伴っていたことも重視される」とし[42]、彦根城の登録を支援する読売新聞による講演会で世界遺産を取材してきた同紙編集委員からは「日本人が日本人の感性で彦根城の魅力を力説しても世界(世界遺産)には通じない。世界遺産に求められる国際基準に合致する価値観を示さなけらばならない」「富士山を自然遺産で推薦しようとした際に日本人の美意識に基づく自然美を根拠としたが、それは抽象的で日本人だけの価値観であり世界には通じないとされ、その感性や自然観を信仰や芸術という具象的なもので証明する文化遺産として認められた」と要点を紹介した[43]

自然遺産

環境省では環境審議会中央環境審議会)の下に自然環境部会を設け、自然遺産の動向について定期的に懇談会・意見交換会を開催している[44]

日本の世界遺産条約締約作業に携わった筑波大学吉田正人は、上記の「自然遺産推薦に向けた選定」が気候と地形に応じた植生を基にしたものであり、近年ユネスコと自然遺産の諮問機関IUCNが重視する生物多様性や固有種生態系の観点からすれば「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」をもって打ち止めの感はあるが、登録基準ⅷが示す「地球の歴史」については第1に地質分野として生物圏が評価された小笠原諸島の中から西之島だけ分離独立させることの現実性[注 10]、第2に太平洋プレート北米プレートユーラシアプレートフィリピン海プレートの4つが衝突する上に形成された弧状列島の特異さと地震や火山にみられる現在進行形の地質活動が物語るダイナミックな地球の胎動を表現すること、また第3に公海の世界遺産への注目を受けた海底域からの世界遺産推薦の可能性を挙げ、日本海溝伊豆・小笠原海溝などのプレート境界線、その延長線上に位置する小笠原諸島-伊豆諸島-伊豆半島-丹沢山地を一体的に捉えた視点の検討を提唱する[45]

加えて吉田は、1982年にIUCNが発行した『The World's Greatest Natural areas(世界の優れた自然地域)』に将来の自然遺産候補として阿寒国立公園日光国立公園富士箱根伊豆国立公園が上げられており、いずれも「自然遺産推薦に向けた選定」で俎上(そじょう)した後、日光日光の社寺として、富士山富士山-信仰の対象と芸術の源泉として文化遺産に鞍替えして登録された点に着目すると文化的景観の要素も含む複合遺産の可能性も示唆し、日光は男体山中禅寺湖から流れ落ちる華厳滝など自然崇拝の要素、富士山は前述の海底から地上に至る地質活動の終着点として、さらに阿寒湖界隈はアイヌ文化との密接な関係を備えるとした[45][注 11]

拡張登録

上記にもあるように文化審議会世界文化遺産部会は拡張登録の有効性を認めているが、現時点では平泉#世界遺産への拡大登録を目指す遺跡群だけが暫定リストに掲載されているのみである。

既存登録地の京都ではかねてから古都京都の文化財の拡張登録が取り沙汰されているほか、群馬で富岡製糸場と絹産業遺産群の拡張登録や、和歌山でも紀伊山地の霊場と参詣道の再拡張登録(未登録の紀伊路を含む)を目指す動きもある。

日本イコモス国内委員会は、「文化遺産推薦に向けた公募」の内、「松島の貝塚群」は「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」に加えることを検討すべきと示唆したり、松本城は暫定リスト掲載の彦根城や公募に名乗りを上げなかった犬山城と合わせて既登録の姫路城への「近世日本の木造天守閣式城郭」といったような枠組みでの拡張登録にすべきとしている[18][注 12]

自然遺産では上掲の吉田が、ユネスコとIUCNが推奨する海洋域への展開として除外された奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の海洋域や小笠原諸島の海洋域への拡張登録も提案している。

越境遺産の提案

外国から越境遺産(トランスバウンダリー)の共同提案の可能性が打診されている事例や、日本側から呼びかけるもの、諮問機関が示唆するものなどがある。

文化遺産
自然遺産
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脚注

関連項目

外部リンク

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