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奇跡の血量

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奇跡の血量(きせきのけつりょう)とは競走馬の交配を行う場合の血統理論のひとつである。理論名としては発表者であるM・S・フィッツパトリックとL・A・ラックブーの名前からフィッツラック繁殖説またはフィッツラックの18.75%理論と呼ばれる。

インブリードで、4代前祖先(6.25%の血量)と3代前祖先(12.5%の血量)が共通の馬(わかりやすく言い換えると、両親が従伯叔父母と従甥姪(いとこ違い)の関係)となる場合「4×3のインブリード」という。そのときの血量は6.25%+12.5%=18.75%となり、これをとくに奇跡の血量と呼ぶ。

概要

近親交配は、その共通する祖先の能力を大きく引き出せるといわれる反面、濃すぎる血量は虚弱体質や気性難など弊害もあるといわれている。そのギリギリのバランスがこの奇跡の血量18.75%と考えられている。

これはイギリスの競馬関係者で古くからあった考え方である。実践者として第17代ダービー卿が知られており、同人物の輩出したクラシック優勝馬17頭中11頭が3×4の馬である[1]

1940年代アメリカにおいて何万頭もの競走馬の血統を調べられ、『ブラッド・ホース』誌で統計を基にした理論として発表された。この理論をすぐに佐藤正人が翻訳し「優駿」誌上で日本に紹介している。M・S・フィッツパトリックとL・A・ラックブーによる共同研究であり2人の名前からフィッツラック繁殖説と名付けられた[2]

日本においては血統論や競走馬の配合の概念として歴史のあるもののひとつで、1951年ザテトラークの3×4であるトキノミノルが10戦全勝で東京優駿(日本ダービー)を制した際に定着したといわれている。また、ハイペリオンの3×4であるトウショウボーイ皐月賞を勝った際にハイペリオン自身もセントサイモンの3×4であることに注目され、さらにこの配合方法が根強い人気を持ったといわれている[1]。2020年代に入ると、史上初めて無敗で牝馬三冠を達成したデアリングタクトを筆頭に、サンデーサイレンスの4×3(3×4)をもつ活躍馬が多数現れており、注目を集めている[3][4]

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主な活躍馬

要約
視点

4×3のインブリードをもつ主な活躍馬

さらに見る 対象馬, 馬名 ...

4×3のインブリードを複数もつ主な活躍馬

さらに見る 対象馬, 馬名 ...

4×3以外で18.75%の血量のインブリードをもつ主な活躍馬

4×3ではないが、同様に18.75%の血量を持つ以下の配合も奇跡の血量と呼ばれることがある。代を経るに従い成立させるのが難しくなるため、こだわりを持つ人物による生産か、対象となる馬がよほどの大種牡馬でない限り見ることは少ない。

さらに見る 対象馬, 近交式 ...
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参考文献

  • 石川武「奇跡の血量18・75」『優駿』第831号、中央競馬ピーアール・センター、2013年3月、135頁。
    • 「須田鷹雄が選ぶもう一度読み返したい『優駿』名記事セレクション」における『優駿』1961年3月号からの部分再録記事。

脚注

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関連項目

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