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福島県の市 ウィキペディアから
いわき市(いわきし)は、福島県の浜通り南部に位置する市。中核市に指定されている。1966年(昭和41年)成立。福島県浜通り地域の行政・経済・文化の中心地であり、面積は福島県内で最大であり、郡山市に次ぐ県内2位の人口を有する。
いわきし いわき市 | |||||
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| |||||
国 | 日本 | ||||
地方 | 東北地方 | ||||
都道府県 | 福島県 | ||||
市町村コード | 07204-4 | ||||
法人番号 | 9000020072044 | ||||
面積 |
1,232.51km2 | ||||
総人口 |
318,293人 [編集] (推計人口、2024年8月1日) | ||||
人口密度 | 258人/km2 | ||||
隣接自治体 |
田村市、田村郡小野町、双葉郡広野町、楢葉町、川内村、石川郡古殿町、平田村、東白川郡鮫川村 茨城県北茨城市 | ||||
市の木 |
クロマツ (1971年10月1日制定) | ||||
市の花 |
ツツジ (1973年3月20日制定) | ||||
市の鳥 市の魚 |
かもめ (1996年10月1日制定) めひかり (2001年10月1日制定) | ||||
いわき市役所 | |||||
市長 | 内田広之 | ||||
所在地 |
〒970-8686 福島県いわき市平字梅本21番地 北緯37度03分02秒 東経140度53分16秒 | ||||
外部リンク | 公式ウェブサイト | ||||
ウィキプロジェクト |
福島県の浜通りの南部を占め、福島県内で面積が最大の市。いわき都市圏の中心都市。
古代は石城国造(北部)や道奥菊多国造(南部)の領土であり、平安時代の12世紀から関ヶ原の戦いまでは岩城氏の本拠地として栄えていた。
明治初期より本州最大かつ東京に最も近い炭鉱である常磐炭田の開発が始まり、隣接する日立鉱山とともに、明治期の日本の近代化に欠かせない地域となった。鉄道の常磐線は、この地域で産出される鉱物資源を首都圏へ運ぶ重要路線として早期に敷設され、日本の主幹産業として当時の人口増に寄与した。南側の茨城県日立市やひたちなか市などとともに常磐工業地域を構成している。
高度経済成長期には石油へのエネルギー革命が進み、石炭産業が急速に衰退していくと新産業都市の指定を受けるべく14市町村の大合併を行った。環境問題としては化学工場から排出されたカドミウムによる土壌汚染と地下水汚染の公害を鮫川中流域において経験した。この新産業都市は、工業整備特別地域ほどの成果を生むことはなかったが、首都圏から近い地の利と小名浜港を生かし、宮城県仙台市や郡山市を上回る製造品出荷額(2020年度:約8,853億円[1])を誇る、東北地方最大の工業都市である。
東北地方では最も集客力のあるリゾート施設スパリゾートハワイアンズを筆頭に、アクアマリンふくしま、いわき湯本温泉など多彩な観光資源を持ち(2015年度の市内観光交流人口は東北2位の年間約810万人[2])、観光都市への転換にも成功している。特に炭鉱会社であった常磐炭礦(現・常磐興産)が会社存続をかけて1966年に開業させたスパリゾートハワイアンズは、2006年に『フラガール』として映画化されるなどいわき市の顔であり、市役所としても「フラおじさん」など、ハワイ色を強く出した観光イメージ戦略を行っている。
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、揺れと津波に襲われ死者467名、建物の全壊7902棟といった大きな被害を受けた(2019年8月時点集計)[3]。同震災に伴い起きた福島第一原子力発電所事故による影響や風評被害も受けた[4]。しかしながら、サイクリングロードを兼ねた防潮堤建設など復興や将来の災害への備えも進められている[5]。詳細は「東日本大震災と福島第一原子力発電所事故」を参照のこと。
2016年には東北初となるWBSC U-15ワールドカップ(WBSC U-15野球ワールドカップ)が開催。また、2013年には福島県初となるプロ野球オールスターゲームが開催されるなど、温暖な気候を生かしたスポーツ推進にも力を入れている。
いわき市は福島県の東南に位置しており、面積は1,232.0km2で東京都区部(東京23区)の約2倍とほぼ同じ面積を有している。距離は東西39キロメートル(km)南北51.5 kmに渡って市域が広がっているが、常磐自動車道から西側は阿武隈高地の山間部であり、残る東側も丘陵地が多く市街地と市街地が丘陵によって分断され、連続性がないのが特徴である。JR常磐線ではトンネルと市街地が交互に現れ、そのため面積に対する可住地面積の割合は30%と福島県内の市の中では最も低い。
南は茨城県と接し太平洋に面した60kmにわたる海岸線を有する。物流・工業港としては小名浜港[6] があるほか、6カ所の漁港がある[7]。東日本大震災と福島第一原発事故の影響を受けた海水浴場は、2023年夏時点で4カ所が再開されている[8]。
平県、磐前県を経て最終的に1876年に福島県に組み込まれたものの、歴史的には陸前浜街道を介して(現在の)茨城県との繋がりが深かったため、方言や習慣は同じ福島県よりも茨城県により近い。明治維新以後も、常磐線や常磐自動車道などの交通網が茨城側から順に整備されたため、険しい阿武隈高地を超えた中通りよりも、茨城県との交流が近密であった。近年は、1995年に磐越自動車道が開通した事によって中通りや会津地方と結ばれたため、交流が活発になってきている。
磐城地方は基幹産業であった常磐炭田と水産業の斜陽化が進み、早急な方向転換を迫られていた。 そのため、全国総合開発計画に基づく新産業都市の指定を「常磐・郡山地域」として受けるべく、県が主導となり、郡山市と共に大規模な市町村合併を行った。これにより、平田村を挟んで両市は隣同士となり、70km離れた両市が「1地域」として指定される事となった。
この合併により平市、磐城市、勿来市、常磐市、内郷市の5市と旧石城郡の全域(3町4村)に双葉郡の2町村(久之浜町・大久村)を加えた計14自治体が1つとなり、1966年(昭和41年)当時としては日本一広い面積(1,231.13km²)のいわき市が誕生した[9][10]。その後、2003年に静岡市に抜かれるまで37年間にわたり日本一面積が大きい市区町村であった。
また、いわき市は長野県諏訪郡ちの町(現茅野市)、山口県阿武郡むつみ村(現萩市)、滋賀県東浅井郡びわ村(びわ町を経て、現長浜市)、青森県むつ市についで5例目のひらがな名の自治体でもある。
「いわき」の漢字表記は「岩城」「磐城」「石城」であるが、歴史で変遷がある。国造と律令制下の郡名が「石城」で、本市を本拠地にした戦国大名の姓が「岩城」で、徳川藩政時代と明治令制国が「磐城」となっている。その流れから言えば、1966年(昭和41年)10月1日の市町村合併で新設された市の名前は「磐城市」となるところだが、合併する地域に含まれていた既存の「磐城市」(小名浜地区)への吸収合併というイメージを避けるために、妥協点としてひらがなの「いわき市」とした。なお、「いわき」を漢字で表記する場合、学校や施設、行政機関名は「磐城」を用いている例が多い。(例:磐城高校など)
新設後、ひらがな名の自治体では人口が最多だったが、2001年(平成13年)5月1日、埼玉県浦和市・大宮市・与野市の3市の合併によりさいたま市が発足し、ひらがな名の自治体では人口が最多の座をさいたま市に奪われたことで現在では2位になった。(ちなみに、ひらがな名の自治体で中核市以上は本市とさいたま市のみ)。
福島市から遠方であることに配慮して、1979年(昭和54年)4月、いわき市にいわき自動車検査登録事務所がおかれ、「いわきナンバー」が新設された。これは、全国初のひらがなナンバープレートであった。
東北地方内では年間日照時間が最も長く、1日の平均気温が最も高い。沿岸部のため冬は内陸部よりも冷えにくく、夏は内陸部よりも暑くなりにくいためか年間の寒暖の差が小さい。また冬は日本海側から流れる雪雲が越後山脈、奥羽山脈、阿武隈高地に遮られるため、山間部を除いて雪はほとんど降らず、乾燥した快晴の日が多い。平均積雪量は東北地方の中では極端に少なく、数年に一度積もる程度、東京や名古屋などとほぼ同じ値[11] となっているため、東北地方にありながら市民は雪には慣れていない。
2010年に山田町にアメダス観測所(山田地域気象観測所)が設置され、海風の影響を受けやすい従来の「小名浜特別地域気象観測所」よりも内陸部の気象データが反映されるようになった。
これにより、夏季において真夏日を記録する日が連続して観測されるようになった。但し猛暑日は年に一度程度(一日も記録しない年も珍しくはない)で、熱帯夜はより少ない(熱帯夜最多日数は小名浜の9回(2021年)に対し、山田は2010年、2019年の1回のみである)。
いわき市小名浜字船引場(小名浜特別地域気象観測所、標高3m)の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 20.8 (69.4) |
24.8 (76.6) |
23.5 (74.3) |
27.4 (81.3) |
29.7 (85.5) |
33.6 (92.5) |
34.9 (94.8) |
37.7 (99.9) |
34.4 (93.9) |
32.2 (90) |
25.0 (77) |
25.4 (77.7) |
37.7 (99.9) |
平均最高気温 °C (°F) | 8.6 (47.5) |
8.9 (48) |
11.5 (52.7) |
15.8 (60.4) |
19.6 (67.3) |
22.6 (72.7) |
25.8 (78.4) |
27.9 (82.2) |
25.4 (77.7) |
20.9 (69.6) |
16.1 (61) |
11.1 (52) |
17.9 (64.2) |
日平均気温 °C (°F) | 4.1 (39.4) |
4.3 (39.7) |
7.1 (44.8) |
11.6 (52.9) |
15.8 (60.4) |
19.1 (66.4) |
22.5 (72.5) |
24.5 (76.1) |
22.0 (71.6) |
16.9 (62.4) |
11.5 (52.7) |
6.6 (43.9) |
13.8 (56.8) |
平均最低気温 °C (°F) | −0.1 (31.8) |
0.1 (32.2) |
2.8 (37) |
7.4 (45.3) |
12.3 (54.1) |
16.4 (61.5) |
20.1 (68.2) |
22.0 (71.6) |
19.0 (66.2) |
13.2 (55.8) |
7.1 (44.8) |
2.1 (35.8) |
10.2 (50.4) |
最低気温記録 °C (°F) | −9.3 (15.3) |
−10.7 (12.7) |
−8.5 (16.7) |
−3.8 (25.2) |
−0.6 (30.9) |
4.8 (40.6) |
9.6 (49.3) |
11.6 (52.9) |
7.2 (45) |
0.8 (33.4) |
−3.3 (26.1) |
−7.1 (19.2) |
−10.7 (12.7) |
降水量 mm (inch) | 57.3 (2.256) |
54.0 (2.126) |
108.4 (4.268) |
125.2 (4.929) |
146.1 (5.752) |
149.5 (5.886) |
160.7 (6.327) |
122.6 (4.827) |
192.3 (7.571) |
193.1 (7.602) |
80.3 (3.161) |
51.3 (2.02) |
1,440.7 (56.72) |
平均降水日数 (≥0.5 mm) | 5.1 | 5.8 | 9.9 | 10.8 | 11.9 | 12.6 | 13.4 | 9.7 | 12.2 | 11.2 | 7.6 | 5.9 | 116.2 |
% 湿度 | 58 | 59 | 62 | 68 | 76 | 83 | 86 | 84 | 80 | 75 | 69 | 62 | 72 |
平均月間日照時間 | 193.4 | 180.3 | 191.4 | 192.8 | 193.0 | 150.3 | 151.1 | 183.1 | 144.5 | 147.3 | 162.4 | 179.0 | 2,068.6 |
出典:気象庁 (平均値:1991年-2020年、極値:1910年-現在)[12][13] |
山田地域気象観測所(いわき市山田町大谷、標高25m)の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 17.5 (63.5) |
22.5 (72.5) |
24.1 (75.4) |
28.2 (82.8) |
32.5 (90.5) |
35.9 (96.6) |
36.0 (96.8) |
36.3 (97.3) |
36.5 (97.7) |
31.3 (88.3) |
25.5 (77.9) |
22.2 (72) |
36.5 (97.7) |
平均最高気温 °C (°F) | 8.5 (47.3) |
9.0 (48.2) |
12.4 (54.3) |
16.9 (62.4) |
21.9 (71.4) |
24.1 (75.4) |
27.9 (82.2) |
29.4 (84.9) |
26.3 (79.3) |
21.3 (70.3) |
16.4 (61.5) |
11.2 (52.2) |
18.8 (65.8) |
日平均気温 °C (°F) | 2.9 (37.2) |
3.6 (38.5) |
6.8 (44.2) |
11.1 (52) |
16.5 (61.7) |
19.6 (67.3) |
23.5 (74.3) |
24.8 (76.6) |
21.4 (70.5) |
16.2 (61.2) |
10.6 (51.1) |
5.4 (41.7) |
13.6 (56.5) |
平均最低気温 °C (°F) | −2.2 (28) |
−1.4 (29.5) |
1.3 (34.3) |
5.5 (41.9) |
11.3 (52.3) |
15.9 (60.6) |
20.1 (68.2) |
21.4 (70.5) |
17.7 (63.9) |
12.0 (53.6) |
5.6 (42.1) |
0.4 (32.7) |
9.0 (48.2) |
最低気温記録 °C (°F) | −7.2 (19) |
−7.6 (18.3) |
−4.7 (23.5) |
−3.6 (25.5) |
2.8 (37) |
5.8 (42.4) |
15.8 (60.4) |
13.1 (55.6) |
9.9 (49.8) |
3.8 (38.8) |
−1.9 (28.6) |
−6.9 (19.6) |
−7.6 (18.3) |
降水量 mm (inch) | 45.3 (1.783) |
56.5 (2.224) |
113.5 (4.469) |
163.4 (6.433) |
148.4 (5.843) |
194.4 (7.654) |
161.5 (6.358) |
163.9 (6.453) |
193.6 (7.622) |
213.2 (8.394) |
74.2 (2.921) |
71.0 (2.795) |
1,601 (63.031) |
平均月間日照時間 | 202.9 | 173.2 | 196.4 | 196.2 | 210.6 | 150.0 | 139.9 | 168.6 | 126.5 | 135.7 | 159.8 | 175.5 | 2,047.8 |
出典:気象庁 (平年値:2009 - 2020年) |
平(いわき市好間町今新田字宮西、標高12m)の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
降水量 mm (inch) | 52.8 (2.079) |
48.2 (1.898) |
102.2 (4.024) |
129.7 (5.106) |
147.3 (5.799) |
156.9 (6.177) |
173.6 (6.835) |
140.5 (5.531) |
186.2 (7.331) |
184.2 (7.252) |
82.1 (3.232) |
52.9 (2.083) |
1,444.5 (56.87) |
平均降水日数 (≥1.0mm) | 4.5 | 5.0 | 8.8 | 9.7 | 10.2 | 11.9 | 12.0 | 9.6 | 11.1 | 10.3 | 7.3 | 5.4 | 105.3 |
出典:気象庁 |
合併前の歴史については各市町村記事を参照。
いわき市は市長の補助機関として副市長が置かれ、市長が議会の同意を得て選任する。任期は市長と同じ4年。2023年(令和5年)現在で2人が選任されている(うち1名は福島県からの出向)。この他、事務の目的や性質になどに併せて部を設け、部には所・課を設けており、さらに係・担当などに分かれている。職員数は3,758人(2022年(令和4年)4月1日現在)[26]。
代 | 氏名 | 就任 | 退任 | 期 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
赤津庄兵衛 | 1966年(昭和41年)10月1日 | 1966年(昭和41年)10月19日 | 職務執行者(前勿来市長) | ||
1 | 大和田弥一 | 1966年(昭和41年)10月20日 | 1974年(昭和49年)10月19日 | 2 | 前平市長 |
2 | 田畑金光 | 1974年(昭和49年)10月20日 | 1986年(昭和61年)10月19日 | 3 | |
3 | 中田武雄 | 1986年(昭和61年)10月20日 | 1990年(平成2年)10月19日 | 1 | |
4 | 岩城光英 | 1990年(平成2年)10月20日 | 1997年(平成9年) | 2 | |
5 | 四家啓助 | 1997年(平成9年)9月28日 | 2005年(平成17年)9月27日 | 2 | |
6 | 櫛田一男 | 2005年(平成17年)9月28日 | 2009年(平成21年)9月27日 | 1 | |
7 | 渡辺敬夫 | 2009年(平成21年)9月28日 | 2013年(平成25年)9月27日 | 1 | |
8 | 清水敏男 | 2013年(平成25年)9月28日 | 2021年(令和3年)9月27日 | 2 | |
9 | 内田広之 | 2021年(令和3年)9月28日 | 1 |
このほか、市民サービスセンターが、いわき駅前・中央台・豊間・泉・江名に置かれている。
いわき市議会には、年4回定期的に開く定例会(通常2月、6月、9月、12月)と必要に応じて開く臨時会があり、その招集は市長が行う。2023年(令和5年度)現在の定数は37名。
2023年(令和5年)9月20日現在の会派構成は、以下のとおり。
福島県議会議員(いわき市選出)
衆議院議員
福島県第5区(いわき市、双葉郡):吉野正芳 - (自由民主党、当選8回)
警察
消防
(2020年現在)
※得票数順
国内
海外
いわき市の人口は福島県内2位で、面積(1,231.34m²)は県内最大である。市街地・人口集中地区は平、四倉、小名浜、勿来、常磐などの地区に分散しており[28]、単体の市で多極分散型となっているが、国道6号線(6号線は平成初期に泉の住吉から神谷(かべや)間のバイパス化がなされた。そのためかつての国道6号線は「旧六」と呼称されるが、両者共に沿線では都市開発が進んだ。)や「小名浜平線・鹿島街道」と呼称される県道26号線に沿う形で形成された市街地と商工業地区への集約、山間部の過疎が目立つ。
地理的・歴史的背景から、湯本傾城(ゆもとけいせい)を境にして大きく北半分(概ね旧磐前郡。内郷~末続)と南半分(概ね旧菊多郡。勿来~湯本)に二分される。比較的大きな市街地は、行政・商業・陸上交通の中心で、城下町から発展し、いわき市中心部の平(いわき駅・磐城平城周辺)と、工業・海上交通の中心で、港町から発展した小名浜(小名浜港周辺)、このほか常磐線駅周辺に市街地が形成されているが、いわきニュータウンを初めとする大規模開発住宅地もある。
主に東京圏への青年層の流出(大学就学、就職)と、生活環境に富むことを背景とするUターン、Iターンが拮抗しながらも、1998年をピークに緩やかな人口減少傾向にある。
平地区
小名浜地区
勿来地区
常磐地区
内郷地区
四倉地区
遠野地区
小川地区
好間地区
三和地区
田人地区
川前地区
久之浜・大久地区
※地区区分・掲載順は『いわき市内地域別データファイル2010』[29] に従う。
いわき市を中心市とする都市雇用圏(10%通勤圏)は、いわき市および隣接する双葉郡広野町の1市1町で構成される。人口はいわき都市圏1市1町の合計の人口(国勢調査の人口計)
いわき市は、陸前浜街道の影響により、1876年の福島県編入以前から現・茨城県との結びつきが強い。令制国も現在の県境(いわき市・北茨城市境)を境に2つにまたがっている。
直近の推計人口では、いわき市が福島県の18.2%(2023年5月1日)を占め、また北茨城市・高萩市・日立市・常陸太田市の合計人口は茨城県の9.8%(2023年5月1日)を占めており、両県とも各々における人口集積地区の一つとも言える。
専らこの地域は、戦後常磐炭田により発展しており、磐越東線や磐越自動車道により同県の郡山市等中通り地域との交流より、隣県同士で交流が著しかった。現在においても、いわき市小名浜以南ではスピルオーバーにより関東広域圏の民放テレビ5局及びNHK水戸放送局の県域テレビ放送が直接受信できること、また関東地方の天気予報においては測候所が設置されている小名浜の天気予報が掲載されるなど、いわき市を関東圏とみなす文化も存在している。
いわき市においては、福島県の県庁所在地である福島市よりも、茨城県の県庁所在地である水戸市が近い。また、福島市や同県の中心都市の一つである郡山市方面より、水戸・東京方面への方が交通至便であることからも、福島・郡山方面への関心が薄い傾向にある(浜通り・中通り間の交流が弱い)。福島市へのアクセスは高速バスに頼る一方、水戸市へのアクセスは常磐線により高頻度で連絡することからも、その傾向は近年著しい。
通勤においては、両地域を相互に通勤する者も多く、「茨城県いわき市」や「福島県北茨城市」と揶揄されることもある。
2011年3月11日の東日本大震災ではいわき市も被災し、震度6弱を観測した。宮城沖から茨城沖の震源域の中間にあたるいわき市は、震度4以上の揺れが3分10秒にわたって続き[30]、これは当震災を観測した震度計の中で最大の長さであった。気象庁の推計震度分布図によると[31]、市北東部で局地的に震度7相当の揺れがあったとみられている。
翌月4月11日には、いわき市内南西部の井戸沢断層付近を震源とする内陸直下型地震である福島県浜通り地震が発生し、震度6弱を観測した。この地震により井戸沢断層と塩ノ平断層、またいわき市内中西部の湯ノ岳断層が同時多発的に数十キロに渡ってそれぞれずれ動いた。湯ノ岳断層の過去の活動が14万年前の大昔であり、塩ノ平断層に至っては未知の断層で、当震災のひずみにより誘発されたものであると考えられる。これにより、いわき市内の至る所で断層(最大落差2m)や地割れ・亀裂が出現し、土砂崩れも相次いだ[32]。翌日には、湯ノ岳断層付近を震源とした震度6弱の余震も発生した。
この一連の地震活動と津波により、いわき市内の全半壊戸数は宮城県仙台市に次ぐ約4万戸に上り(一部損壊も含めると9万戸)、死者は津波や土砂崩れによるものを中心に400名以上に及んだ。
上記に含め、大熊町で発生した福島第一原子力発電所事故によって市北部が屋内退避区域に指定されるなどの影響もあり、1年半後にいわき市が無作為に抽出したアンケートによると、回答者のほぼ半数が当震災と原発事故により一時的に市外へ避難したと答えた。このため、いわき市ではおよそ15万人が避難したと推測している[33]。3か月ほどでほとんどの市民が戻ったが、半年間で約7,000人の人口が転出した。
福島第一原子力発電所の事故では、歴史的・経済的に繋がりの強かった双葉郡の住民を中心に約24,000人(2013年4月現在)[34] が避難しており、いわき市を転出した住民の減少分を上回っているため、結果的に人口が増加している。だが、そのほとんどがいわき市に住民票を移さず双葉郡内町村に置いたままで住民税の減免を受ながら、原発被災者特例法により避難先のいわき市の行政サービスを受けているので、住民基本台帳の人口ではなく避難者も含めた現住人口に対し、市役所等の業務量は増加しているが税収はあまり増加していない。
いわき市に臨時の役場機能(一部を含む)を置いているのは、楢葉町[35] と富岡町[36] と大熊町(原発1 - 4号機所在地)[37] である。また2013年現在、埼玉県にある双葉町役場(原発5 - 6号機所在地)も再移転先を当市に決定し、2013年6月に移転予定である[38]。(予定通り移転し2021年現在も役場機能を置いている。)この4町は住民避難先最多がいわき市であり、浪江町も2,000人以上の避難者がいるので出張所を置いている[39]。広野町も臨時役場を置いていたが、緊急時避難準備区域の解除に伴い2012年3月に帰還した。2013年5月時点で、住民の9割がいわき市に居住している。
いわき市は、被災者用として解体予定だった雇用促進住宅630戸を急遽開放したり、市営・県営住宅を活用したりするなどして、市民に対する仮設住宅の建設は200戸程度であった。一方で、双葉郡の避難者向けの仮設住宅が市内各地に3,300戸以上建設された[40]。
賃貸物件も、被災したいわき市民と双葉郡民によって、多くが借り上げられているほか、東京電力3施設(福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所と広野火力発電所)に関わる社員や、除染作業の本格化による除染作業員や復旧作業員の居住地にもなっているために需要が逼迫しており、2013年4月現在でもいわき市内への転勤者・進学者が入居物件を見つけられない事例もある。賃貸物件の入居待ち予約者が100人以上という賃貸仲介会社もあり、深刻な状況であった[41]。
広野町、楢葉町と居住可能範囲が広がり、東京電力関連社員や除染作業員、復旧作業員の居住地も北部へ移ってきているが、現在地の避難先から故郷に近く気候の似たいわき市へ移りたいという希望は続いている。
住宅地の地価も上昇している。2013年1月1日時点での地価公示地価は泉もえぎ台が10.7%、中央台が10.6%上昇し、住宅地上昇率で全国6位と8位に入るなどいわき市内の住宅地の平均変動率が16年ぶりに前年比プラスになった。これも、いわき市内の通常の需要と被災者の需要に加え、双葉郡内の被災者が帰郷を断念し市内の宅地を購入しているためと考えられる[42]。
この動きは続いており、2014年1月1日時点での地価公示価格は、中央台が11.6%、草木台が11.3%、泉もえぎ台が11.2%上昇し、住宅地上昇率で全国2位と5位と7位であった。さらに2015年1月1日時点での地価公示価格に至っては、泉もえぎ台が17.1%、草木台が14.1%、中央台と泉が丘で13.3%上昇など、住宅地上昇率全国上位10地点すべてをいわき市が占めた。このように、いわき市内の住宅地価が震災前に比べて平均で15%、人気地点で30 - 40%上がる土地バブルに加え、資材の高騰、建築業者不足もあり、住宅購入が大幅に割高になっているため深刻な問題になっている。いわき市も、土地転用を積極的に進めているが解決には至っていない。
高度経済成長期が到来する前は、常磐炭砿など常磐炭田の石炭産業を中心に小名浜港の漁業、林業、農業といった第一次産業で発展した。
常磐炭砿閉山後、大規模合併を期に工業化を図る。湯本地区の温泉やリゾート施設、海岸部の灯台・水族館あるいは海水浴・サーフィンを中心とした観光、市立美術館、勿来の関をはじめとする文教面での観光資源なども存在する。
下記記載以外の郵便区には簡易郵便局の設置なし。
小名浜港(2003年)
いわき市と全国の年齢別人口分布(2005年) | いわき市の年齢・男女別人口分布(2005年) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
■紫色 ― いわき市
■緑色 ― 日本全国 | ■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
いわき市(に相当する地域)の人口の推移
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総務省統計局 国勢調査より |
1998年の36万1934人をピークに減少傾向にある。
公立高等学校
この他、2015年時点、福島県立双葉高等学校、福島県立双葉翔陽高等学校、福島県立富岡高等学校が医療創生大学に校舎を間借りしている(いずれも生徒募集は停止中)。
私立高等学校
市立中学校
私立中学校
公立小学校
私立小学校
いわき秀英小学校
この他、2015年時点、富岡町から福島県立富岡支援学校が仮設校舎を設置して移転している。
いわき市内には、浜通りに沿った南北方向に幹線道路(国道6号、常磐自動車道)と鉄道(常磐線)が通っており、東京から約200km、仙台から約150kmに位置する。常磐道ではいわき中央ICから東京方面の三郷ICまで175.5km(首都高速都心環状線・江戸橋JCTまで約196km)、仙台方面の亘理ICまで124.9km(仙台南部道路・長町ICまで約146km)である。常磐線では営業キロでいわき駅から東京駅まで215.2km、仙台駅まで151.3kmである。同線は四ツ倉駅以南(水戸・東京方面)で複線(または複々線)化されている一方、同駅以北(相馬・仙台方面)は一部を除き複線化されていない。2015年の上野東京ライン開業により、東京駅より乗換不要でアクセスできる様になった。
ほかにも、中通りとの間に道路では国道49号と磐越自動車道、鉄道では磐越東線が通っており、郡山から約70kmに位置する。県庁所在地である福島市の福島県庁からは約120kmで、福島空港からは約1時間となっている。
現在、いわき市内と空港を結ぶアクセスバスやリムジンバスの設定はない。
いわき駅(1994年までは平駅)を中心に南北・西方向に路線が存在する。旅客輸送については、東日本旅客鉄道(JR東日本)が担い、私鉄は存在しない。以前は福島臨海鉄道が臨時に旅客取扱を行ったが、現在は貨物取扱のみになり行っていない。各線の詳細はそれぞれの路線の項目を参照。
常磐自動車道および常磐バイパスが南北に貫き、分散する市街地を相互に連絡している。また、磐越自動車道や国道49号線も主要な道路網の一つである。
このほか、常磐自動車道と小名浜港を結ぶ小名浜道路(地域高規格道路)が建設中である。
東日本旅客鉄道(JR東日本)が導入している「Suica」は現時点において新常磐交通のバスでは使用できないが、2024年(令和6年)春に「地域連携ICカード」を導入して、一般路線バスにおいても使用できる見通し[47]。なお、プリペイドカードとなる「バスカード」を発行している。
一般路線バス
観光都市として脱皮する事にも成功している。いわき市は、東北地方でありながら一年中、比較的に温暖な気候を活かし日本のハワイとして観光イメージアップを図り、東北地方で最も集客力のあるリゾート施設スパリゾートハワイアンズで成功を収める。そのほかにアクアマリンふくしま、いわき湯本温泉など多彩な観光資源を持っており、2013年度(平成25年度)の市内観光交流人口は、福島県内第1位の年間約788万人となっている[49]。
平地区
小名浜地区
勿来地区
常磐地区
内郷地区
四倉地区
遠野地区
小川地区
好間地区
三和地区
田人地区
川前地区
久之浜・大久地区
現在の序列は以下の通りになっている。
文学作品
映画
テレビ番組
アニメ
楽曲
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